September 27, 2014

映画 東京島

公開当時TVか何かで紹介されていて気になっていた映画、東京島。‘み’は桐野夏生の原作小説の存在もそのモデルとなったアナタハンの女王事件も知らなかったんですが、今回DVDをレンタルして鑑賞してみました。


あらすじ的には・・・


夫婦でクルーザー世界一周の旅に出た清子だったが、出航してまもなく嵐に遭い無人島に漂着し、サバイバル生活を営むハメになってしまった。
そこへ与那国島での過酷な仕事に嫌気を感じて脱走した16人の若い男たちが漂着。更に密航に失敗した6人の中国人の男達も加わる。
清子は唯一の女性としてもてはやされるが、最初の夫が謎の死を遂げ、16人のうちの1人を次の夫とするもこの2人目も死亡・・・ 不穏な空気が漂う中、平穏な生活ために清子の夫は順番にくじ引きで選ばれることになる。
一方、中国人たちは生活力もありイカダを作って東京島と呼ばれるようになった無人島を脱出しようとする程だったが、清子は何とか助かろうとこれに便乗したもののイカダは東京島に戻ってしまい、裏切りものとして微妙な立場に・・・
そんな中、くじ引きで清子の夫になっていた記憶喪失で「GM」と呼ばれていた森軍司が記憶を取り戻し始め、リーダーシップを発揮して行く。
益々立場が危うくなる清子だったが、GMの子供を宿していることが分かり・・・


という感じ。


ここからはネタバレありの感想を少々。



一言で言ってしまうと無人島に残された多数の男と1人の女性のサバイバル生活を描いたものなんですが、一般的な衣食住に困るようなサバイバルというよりは極限状態の人間の生活や行動をやや風刺的に描き、その先でもっと大きなテーマを描いている作品・・・という感覚の方が良いかなと思います。


清子の何が何でも東京島を脱出しようとする執着心は良い意味で分かり易かったですし、あの状況下での裏切りに近いような行動も当然なのかなと。清子は唯一の女性という立場を利用した結果、劇中で非常に激しくその立ち位置が変わっていますし、その中で適宜見せた立ち回りはある種人間の本能に近い部分のようにも思えましたからね。


更に、逆ハーレム状態が結果的に生み出したチキ&チータの新たな命。

微妙な緊張感を保っていた日本人と中国人のグループが遂に衝突し、殺し合いに発展。流れ着いていたフィリピン人の比較的若い女性グループが漂着したボートが脱出の可能性を生んだことで更に混沌とした状況の中、清子とGMは自らの子供(実際はヤンが父親かも知れませんが、GMは自分の子だと思っているハズ)をなんとか守ろうとするんですが・・・
ここも大きなポイントで、今までは自分自身がなんとか助かろうとしていた清子がお腹を痛めて生んだ子供を守る発想に切り替わっているんですよね。
本来であればボートに乗るはずのなかったフィリピンの女性(2人の子供を分かれた夫のいるイランに残している)と清子、双子のうちの女の子チキのみが実際に島を脱出、双子の男の子の方のチータはGMの手の中に守られて東京島に残る・・・
そして10年後には、清子が東京でチータの誕生日を祝い本当のことを告げようとする一方、GMは島に残りチキを王子として社会を形成し、王子の生誕を祝う。

清子が劇中で「何がハッピーエンドかは自分で決める」と断言していた通り、どちらが正解ということではないんでしょうが、父子=男が半ば原始社会に近いムラというかクニ社会に残り、母子=女が現代社会に戻るというのは極めて対照的で皮肉に満ちているなと。
明示こそされませんでしたが、東京島の中でも「トウカイムラ」で村八分のようになっていたワタナベは東京に戻ってチキに「何でもあるけど、何にもないよ。何にもないけど、何でもあるよ・・・」のこれまた皮肉たっぷりの歌を伝えたと思う方が自然でしょうし、誕生パーティにもう1人遅れて来るのは多分そのワタナベなんでしょうからね。

歴史的にも社会的にも男性と女性のどちらが優位に立つのかとかそんなテーマは結構論じられているとは思いますが、この映画を見ると、個体の生存と種としての存続・発展というような観点から、女性の持つ強さや子供を生めるという無二の能力が改めてもっと重視されるべきなんだなと感じてしまいますね。劇中でも描かれていたように、男性は幾らでも代わりがいますし。
‘み’の知識の範囲では、人間の原始社会やその他の生物など、基本的にオス社会よりもメス社会の方が圧倒的に多いようにも思えますし、最近感化されているガンダムUCでもマーサ・ビスト・カーバインがこの手の発言をしているので、妙に引っ張られる部分があったなと。


‘み’は男子なのでちょっと切ない部分がありますし、拡大解釈しすぎかもしれませんが、単なる極限状態ムービー(実際はそんなに極限状態ではないですが)と思って色眼鏡で見てしまうと勿体無いと思いますよ〜



Posted by kazumitsuzuka at 12:43│Comments(0)TrackBack(3)clip!
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