2010年03月13日
サリドマイド副作用、関与のたんぱく質発見 東工大など
睡眠薬として使用した妊婦の胎児に対して、奇形という重い障害をもたらしたサリドマイドに関する記憶は、今も、生々しく残っている。
しかし、近年、このサリドマイドが、ガンの薬として有効であることが判明している。サリドマイドの使用を求めるがん患者は少なくなく、あの時の記憶から、薬害を心配する人がいる。
今回の研究結果は、サリドマイドの副作用に関わる体内のたんぱく質を発見したというもので、動物実験の段階では確かめられたという。副作用がない状態で、サリドマイドががん治療に有効に使われための最初のステップとなる可能性が出てきた。
『睡眠薬として服用した妊婦の子に重い障害が出るという深刻な薬害を引き起こしたサリドマイドについて、東京工業大と東北大のグループは、その副作用にかかわる体内のたんぱく質を見つけ、動物実験で確かめた。現在サリドマイドはがんなどの治療薬として認められており、副作用の仕組みが解明されれば安全な治療法の開発に役立つ。12日付の米科学誌サイエンスで発表した。
東工大の半田宏教授らは、サリドマイドを直径1万分の2ミリのビーズに固定し、ヒトのがん細胞を溶かした液につけた。その結果、セレブロンというたんぱく質とくっつきやすいことがわかった。
ニワトリや熱帯魚ゼブラフィッシュの卵にサリドマイドを加えると、翼の骨や胸びれができなくなる。ところが、サリドマイドと結合しないセレブロンの遺伝子をつくってニワトリやゼブラフィッシュの卵に入れると、サリドマイドを加えても翼や胸びれが発達した。
逆に、遺伝子操作でセレブロンがつくれないようにしたゼブラフィッシュは、サリドマイドを加えなくても、ひれが正常に発達しないという障害が起きた。これらの結果から、サリドマイドがセレブロンにくっつき、その働きを邪魔することが副作用の主因と考えられるという。
サリドマイドは1950年代に睡眠薬、精神安定剤として発売されたが、妊娠初期の服用で胎児への重大な薬害を起こし、60年代初めに出荷停止になった。その後、ハンセン病など多くの難病への効果が発見され、国内ではがん「多発性骨髄腫」の治療薬として2008年に再承認された。さらに、サリドマイドの構造を変えて、胎児に対する副作用だけをなくした薬の開発が試みられているが、うまくいっていない。』(朝日新聞)






