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今回はちょっとえらそうに。加川良、もとい「教訓」めいた話を。
自分の過去の失敗をもとに、同業の管理人さんたちが同じ失敗をしないように、恥をさらしたいと思います。
(※登場する人物はすべて仮名です)

世の中には「冤罪」がいっぱいあります。
日本の警察(公安も含む)や検察は、古くは「大逆事件」、「袴田事件」「志布志事件」、最近では、「大川原化工機事件」など、自らでっち上げて冤罪を作るという、凶悪犯罪を起こしています。
こういうのは論外ですが、でっちあげの意図はなく、「目撃者の証言を鵜呑みにした結果冤罪を起こしてしまう」ということもあります。

これ、管理人の仕事でもけっこうあります。
管理人って、「ルール違反住民に注意する」「マナーを守らない住民に警告する」とか・・・ 管理組合から、「警察」的な役割を期待されている面があります。

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特に今の日本では「面と向かって注意すると、逆に刺されるかもしれない」という懸念から、自分で注意することをせず、「めんどくさいことは全部管理人にやらせよう」という考えの人が増えています。
まあ、道路での「あおり」なんかのニュースを見ていると「こいつ、完全に狂ってる」という人間がけっこう存在しており、「他人任せにする」気持ちもわからないではないですが、「管理人に仕事を押し付けないで欲しい、そんな金はもらっていない」というのが本音です。

「真上の部屋の住民がうるさい。管理人から注意して欲しい」

これ、よくある話ですが、絶対に信じてはいけません。
実際に、真上の部屋の住民のところに行って「苦情が来ているので、静かにしてもらえませんか?」とお願いすると、「え その日は家族で帰省していて、留守だったよ」とか言われて・・・・・
そう「濡れ衣」だったのです。こういう「無実なのに犯人扱いされた」というのは、けっこう後々まで恨まれることが多いです。それも、「申告した住民」ではなく「やってきた管理人」を恨みます。

「隣の部屋からタバコの煙が流れてくる。ベランダでタバコを吸わないように注意をして欲しい」
「真上の部屋でベランダで布団を叩いて、そのホコリがうちの部屋の洗濯物にくっついて困る。辞めさせて欲しい」

こんなのもあります。
これも、実際に注意をしに行ったら、「うちは夫婦ともにタバコは吸いませんよ! 変な言いがかりしてこないで下さい!」と怒られたことあります。

そういうのをいくつか経験すると、申告を受けた際に、「本当に真上の部屋ですか? 間違いないですか?」と確認するようになりますが、申告者は「間違いない! 俺の言うことが嘘だっていうのか!」って怒ります。どうしたって管理人が怒られるんです。そして、その申告が間違いである確率もかなり高いです。

また、「506の石川さんが毎晩タバコをポイ捨てしてる」なんていう苦情もありますが、これも結果的には、「石川さんと背格好や服装がそっくりな804の高田さんだった」という冤罪でして。
申告者に「間違いでしたよ!」と伝えると、その人はなんら責任をとるわけでもなく、「そう見えたんだからしょうがないだろ! 情報を教えてあげたのに、その態度はなんなんだ!」とか逆に怒られたりします。

小規模マンションだと間違いにくいんですが、住民の数が増えれば増えるほど、確率的に、こういう「人間違い」は増えてくるので、ほんと要注意なんです。

あと、「時間」なんかも実はかなりいい加減です。

「夜の11時に騒いでいた」という証言なのに、防犯カメラで確認すると「午後9時」だったり。
「30分くらいやっていた」という証言だが、実際は「5分」だったり。
ほんと、人間の感覚はいい加減です。

さらに、こんなのもあります。

東棟の4階 ここは、小学生の男の子がいる部屋は403の織田さんしかいません。
「織田さんの子供が4階の廊下の消火器をいたずらしてた」
という申告がありました。同じ申告が、別々の住民から3件来ました。
「織田さんの子供で間違いないですか?」
「間違いない!」と3人とも長井秀和さんのように断言します。

こうなると、信用するしかなく、織田さんのところに行って父親に話をして「いたずらしないようにお願いします」と伝えました。

が。。。。

「うちの子はそんなことはしない」と言われました。
そして翌日、
「その日は、うちの子の学校の友達がうちに遊びに来ていた。その子に確認したら、消火器をいたずらしたことを認めた。つまり、うちの子ではなかったということだ。うちの子を犯人扱いした責任は重いぞ。どうしてくれる。私の弟が弁護士をやっているのだが、名誉毀損であんたを訴えるぞ」
と、その父親が言ってきたのです。というか、脅迫です。

これ、私の「常識」だったら、「そういう友達を連れてきた、うちの子が悪い。すいませんでした」と謝るものですが、この父親は、そういう感覚はなく、とにかく、「うちの子ではない、冤罪だ」という思考でして。
この件は、対処したフロントがだらしなくて、こじれてしまい、最終的に、管理会社の専務まで駆り出されて、「専務」「部長」「フロント」「管理人」の4名が、菓子折りを持って、その部屋を訪問し、リビングで4人が正座して頭を下げるという事態にまで発展しました。そして、私は始末書を書かされ、厳重注意を受けました。

正直、これは堪えました。参った。

学校の同級生ですから、背格好も似ていて、他の住民は「小学校男児がいるのはあの部屋しかない」と知っているのもあって、「あそこの子だ」と思い込んでしまったのでしょう。こういう思い込みは怖いです。


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こういう失敗を重ねた結果、今はどうしているかというと・・・・

「苦情や申告を受けた際は、まずは鵜呑みにしない。申告者の機嫌を損ねないようにしながらも、なるべく詳細な情報を聞く」
「防犯カメラでカバーしていれば、映像を確認する」
「証言はなるべく複数集める」
「常習的なものは、管理人自身も自分の目で見るまで調べてみる」
「実際に相手のところに行く場合は、これは管理人の言葉ではなく、そういう申告をした人がいた、ただそれを代理で伝えているだけ、というのを前面に出す」
「あなたがやった、ではなく、そんな話が出ているんですが、なにか心当たりはありませんか? とか、もしかしてお宅ではありませんか?  と聞く。絶対に断定はしない」
「勘違い、間違いだったらごめんなさい、 というのを最初に言っておく」
「会話の内容をボイスレコーダーで録音しておく」

といったことを心がけています。

まあ、民度が高ければ、たとえ、濡れ衣だったとしても、
「間違いは誰にでもあるよ、しょうがない」
「そんなことまでやらさされて、管理人さんも大変だなあ。ご苦労さま」
とか、優しいっ言葉をかけてくれる住民もいるんでしょうが、うちの場合、激怒する人ばっかりですから・・・・・

なお、ベテランの管理人で、経験値が多い人だと、冤罪であっても、「そうはいっても、おたくのお子さん、3才の時に、あそこのガラスを割ったじゃないですか? そういうのもあって疑われたんですよ」とか、ついつい言ってしまいがちですが、こういうのは「火に灯油を注ぐ」ようなものなので、やめましょう。


とにかく、
「住民の言うことは鵜呑みにしない。信用しない」
これが大事です。






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