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この前、東京に行って、東急という私鉄に乗っている時に、ものすごく驚いたことがあります。

それは、「車掌がいない」ということ。
最初、「車掌が乗り遅れて、そのまま発車してしまった」とか思いました。しかし、他の乗客に聞いてみると、数年前から「ワンマン運転に変わった」そうで。

地方のローカル鉄道で、車両が1〜2両しかないところで「車掌がいないワンマン運転」ならわかりますが、10両編成という長い電車で、お客さんがぎっしり乗っているのに「車掌がいない」というのは驚愕です。
あとから調べてみると、
「全駅にホームドアが設置された」
「いろいろなカメラを設置し、安全対策を講じている」
など、設備面でいろいろやって、そうやって人件費を削減しているようですが、やっぱり、8両とか10両で車掌がいないというのは、どう考えても、異常だと私は考えます。昭和の感覚なのかな?


さて、「ワンマン」というと、代表格は「バスの運転手」だと思います。
そして、「マンション管理人」も実はワンマンのことが多いです。
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さて、さっきXを見ていたら、東京の高速道路内で千葉の「小湊鉄道」のバスが「白煙が吹き出す」という異常を起こし、乗客が車外に避難したという事故が起きたことがツイートされていました。

この車両火災?の投稿が炎上しているのですが、その原因は「運転手の対応」でして。
投稿記事がすべて真実とは限らないですが、抜粋してみると。

車内に白煙が充満しても運転手は何も言わない。
呼吸が苦しくなった乗客が「ドアを開けてくれ」と言っても拒否。
「消火器で消火するから座席に戻って」と言う運転手。
大勢の客が押しかけて「開けてくれ」と詰め寄り、ようやくドアを開け、乗客が外に避難。
その際に運転手の誘導はなし。
とにかく、運転手からのアナウンスが一切ない。

という感じで、乗客が怒って投稿したようです。

こういう緊急時に、「ワンオペ体制」のスタッフの資質の差、会社の姿勢の差が露呈すると思います。これは管理人も同様です。

先に、バス会社の姿勢を考察しますが、この小湊バスの公式HPや公式X、今に至るも、何もアナウンスしてません。これはちょっとないですね。ひどい会社だと思います。
ということは、緊急事態を想定した訓練というのも、おそらく真剣にやってないんでしょう。社員教育システムもちゃんとしてないんだと思います。

場所が高速道路上ということもあり、特に首都高速ですから、車外に出ても安全に避難できる場所がないはずです。となると、運転手としては二次災害を防ぐためにも乗客を外には出したくないわけで、それが、「ドアを開けることを固辞した」と推測します。これは「マニュアルどおり」なのかもしれません。

しかし、緊急時こそ、人間心理が大事になるわけでして、適正なアナウンスが大事です。
まったく何も説明しないというのは、乗客をパニック状態に陥れます。
「白煙が出ています。エンジンの故障かもしれません。消火器で消火してみますので、しばらくお待ち下さい」
この一言があるだけでもずいぶん違うでしょう。そして、緊急時なんですから、とにかく、本社と連絡を取って指示をあおぐことです。これもしたのかしないのかわかりません。
「現在、本社に連絡をとっております」
というだけでもいいでしょう。とにかく、運転手が何を考えて何をしているか、説明をしないとだめです。
バス運転手がワンオペなのは乗客もわかっています。
他の乗客に手助けを求めるのもありだと思います。
「私は消火活動をしますから、あなたは、他の乗客を誘導しておろして下さい。後方から来る車に注意をするように指示して下さい」
「すいませんが、携帯で119通報してくれませんか」
「子供一人だけの客がいます。この子の面倒を見てあげてくれませんか?」
こういうお願いをしてもいいと思います。

こういった緊急に落ち着いた行動をとれるかどうか、というのは、「会社としてのマニュアルが有るかないか」「適切な訓練が行われているか?」「その運転手個人の経験値」「運転手の性格」・・・・など、いろいろな要素によって変わってきます。

一人だけで完璧な対応を取れる人はそんなにいないのが現実でしょう。

でも、とにかく「黙っている」のはNGです。今回の運転手さんには同情しますが、同乗しているお客さんへの説明が不足していたことは反省点だと思います。


さて、ひるがえって「ワンオペの管理人業務」を考えてみると、うちの会社でいうと、緊急時の対応のマニュアルは事実上ありませんし、研修も教育もまったくありません。
そもそも、高齢者を最低賃金で雇用しているという時点で、管理人に「緊急時の適切な対応」なんてものを求めてはいけません。

ということは、管理組合さんは、緊急時には、「管理人をあてにせず、自分たちだけでなんとかする」ということを肝に銘じておかないといけないわけです。実際、24時間常駐体制の大型マンション以外では、管理人の勤務時間は、全時間の4分の1〜5分の1程度しかない(8時間勤務&休日を考えればそうなる)わけですから、「管理人はいない」という前提で考えたほうがいいのです。
「火災の時はこうする」
「地震の時はこうする」
「急病人が出た時は?」
「裏山が崩れた時は?」
「ペットの犬が逃げた時はどうする?」

こういう非常事態に関して、「管理人はない」「管理会社はあてにならない」「住民だけでなんとかする」という姿勢で、マニュアルを考えておかないといけません。

特に今は、人手不足で、優秀な管理人を雇うなんて夢のようなものです。管理人がいたとしても「この人はあてにはならない。住民だけでがんばる!」というつもりでいたほうがいいです。

そもそも、管理人がいたとしても、管理人がそのマンションのために命をかけて働くなんてことはなく、「マンション住民よりも自分の家族が心配」ということで、すぐに自宅へ帰ると思います。

最低賃金で自己犠牲まで求めちゃだめですよ。



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