Choki+Motobu_Smaller

 古い武術家の写真や古本を開いてみるとなかなか面白いものであり、誌面上の動きが自然に復元されて、その動作のおおよそが理解出来るものである。  
上に載せた写真は、中国の南派拳法の主流派である洪家拳と、沖縄の唐手家”本部朝基”の写真である。
この本部のナイファンチを行う姿は、すでに様々な所で取り上げられている有名な写真であるが、沖縄の古い武術と中国の南方の拳術の深い繋がりが、この2枚の写真を見ても容易に理解する事が出来るのである。
私の米国の自宅には世界の新古の武術書籍が蔵書してあり、こうした書籍の中から大きな発見や解明がされる事も少なくない。
上の写真に関しては折を見て専門誌で発表してみようと考えている。

さて、ここで南拳との思い出話である。
以前、台湾に滞在していた時に北派拳法の蟷螂拳の訓練を積む一方で、日本ではあまり人気の無い南派拳法の理解にも時間を費やした事がある。
そのスタイルが上記の洪家拳であったのだ。
洪家拳は腰を低く落とし、虎、鶴、他の動物に因んだ動作を用いて、力強く貫手や拳や指先を打ち込んで来る荒々しい拳法である。
私は何となく知り合った洪家拳の師範に連れられて、神社の境内にある訓練所にお邪魔する事となった。
その神社内にある稽古場はまるで香港映画のセットの様な雰囲気で(赤い柱、壁等に囲まれた中庭に薄暗い赤っぽいライトが光っていた)、その中で一同、列を作って”息吹き”を使いながら激しく動物的な動きを行う風景はまさに中国の伝統武術を想わす光景であった。
 
 しかし、ここの師範と弟子の面々、、、何と言うか、かなり危ない素性の匂いを漂わせているのである。
そんな事を思いながら練習を眺めていると、台湾では目にする事の少ない組手の稽古が始まったのだ。
組手と言っても、日本で行っていた空手道のものとも異なり、貫手や喉の掴みなども含んだ独特のものであった。
そうこうしている内に、その師範がこちらに歩み寄りタドタドシイ日本語で私の空手と”一手交えよう”、と予想していた一言が出てきたのである。
一応は断ったもののとにかく押しが強い、仕方なくその中の一人とお茶濁しで済まそうと出た瞬間、相手の目は殺気立っているではないか、これはマズイな、、と適当にかわそうとすると、いきなり顔面横を貫手がかすめて行ったのだ。
顔面に貫手を放たれてはただでは済まない、当時得意であった蟷螂拳と空手を結合した足払いを出すと、これが見事に極まった。
ところが、後が悪い、、、 師範の顔が引きつっているではないか、今度は中国語でまくし立てられ、そのままでは全員を相手にしなければ済まない雰囲気へと変わって行く、だが一手を交えた手前引っ込みもつかない。それでも何とか万事に事無きを得てその場から生還した。18歳の夏の事。
 
 ホームタウン以外での戦いは、本当に危険なものである、考えてみると空手を始めて以来私の戦いはいつも敵地ばかりだ。

それにしても台湾の洪家拳・・・味のある武術一団であった。