Shadow+Rises++7066
(Photo by John Wright)

最近、随分とアクティブになったFacebookによる日本とのやり取りが中心になり、かなりそれと重複した内容になってしまう傾向がある。
そこで今回はそのFB内での話題を武道家・修行者向けに掘り下げた内容でその話題を進めてみたいと考える。

私が渡米してから30年以上が過ぎているが、それまでの年月の中にて様々な体験をして来ている事はご想像の通りである。
そこで今回は”異国の拳”。外国人と交わった拳=コブシの話をしよう。
ここに紹介した写真は映画”Shadow Rises"の中の一場面であり、俳優ディマーカス・ヤング氏との格闘シーンであるが、映画とは言え身長2メートルを越え、体重150キロほどの同氏、そして撮影の遅れから殆どブッツケ本番での撮影となった。
彼の振ったフックを得意のキャッチングで受けた瞬間、その手がそのパワーによって引きちぎれんばかりに広がってる。
この技術は微妙にパワーの視点をずらし、力が充実する前に止めてしまう。私も得意としている防御のひとつであるのだが、こんな凄い衝撃を感じたのは武道家同志の試合や、その他でも珍しいことであった。
こんなパンチをまともに喰ったらまず一発KO必至であろう。その感触は今でも私の手中に残っている。

空手と言えばその鍛えた拳を用いて板や瓦などを粉砕する一撃必殺をモチーフとした破壊力が思い浮かぶが、異国へ渡ってからと言うもの、本当に多くの異国の拳を肌で感じてきたものである。
勿論、それらの全てはヘッドスリップや、被爆瞬間に首を捻って直撃はさせない。

しかし、そうして掠ったパンチで皮膚が剃刀で切られたように裂かれ、出血しながら戦ったこともある。
また、ある時は100キロ級の相手のパンチをスリップでかわしたにも関わらず、顔面半分がかち割られ、吹っ飛ばされたではないか、とさえ感じる衝撃を受けた事もある。

また昔のあるメキシコ出身の生徒のコブシは、氷の塊のように硬く強かった。石ではない。硬さに冷たさを感じる不思議な拳だったのだ。
ボクシング出身の彼と組手をすると、ポイントスタイルの競技組手ではなく、キックの地稽古的になるのだが、あの種の打撃は何処に当たっても痛さが芯に響く。普段の稽古ではアドレナリンが上がって痛みは感じないものであるが、この拳を受けるとそのアドレナリンが冷やされてしまう様な痛みが走ったものだ。

世界には沢山の個性をもった拳が存在するものだ。
これらを身体で味わってきた事は、私の空手修行の財産だ。
これらを持って更に優れた空手道を伝えて行きたいと考える次第である。