吉本新奇劇 よしもと しんきげき

徒然なるまま、写真とともに日々の発見を記録する公開日誌です。

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 話題となっていたが見そびれていた映画『メッセージ』原題 Arrivalを観てきました。広島ではもうバルト11で夜中の10時からという回しかやっていなくて、仕方なくそこへ観に行ったのでした。
バルト11はシネコンなのですが、あまり行く気がしない。なぜかといえば座席の座り心地が非常に悪いから。頭のところが前にせり出して姿勢が変になるし、肘掛に飲み物受けのでかいのがついてて、肘を置いていると痛くなるのです。スクリーンと座席の距離がちょっと近すぎるようにも思える。この映画館は解体すべきだと思います。その話は、これくらいで。
 この『メッセージ』という映画、宇宙人とのファースト・コンタクト物なんだけど、SFでありながらSFでないというのが面白いところでしょう。言語学者が主人公という映画は、これまであったでしょうか。それだけでも画期的な映画と言えます。ちょっと今思い出せないけど。あえて言えば、古いけど、ドリトル先生ものとか(動物語を話せる医者の話)、『マイ・フェア・レディ』(ロンドンの労働者階級の訛りを直そうとする言語学者の話)とかになるんじゃないかな。
 原作がテッド・チャンという中国系のアメリカ人らしいんだけど、この人の関心はコミュニケーションとか言語と思考とかそういうところとにあると一応言えそうです。一応というのは、やはり詳しいところは原作を読んでみないとその辺りがわからないという気がするからです。
 SF映画として観る限り、『未知との遭遇』とか『ET』とか、『宇宙戦争』とか『2001年宇宙の旅』などのイメージがいろいろ散りばめられている感がありますが、宇宙人とか宇宙船とかそういうのは二次的なことになっていて、究極の言語とは何なのか、その究極の言語によって人類は救われるのかもしれない、それがなければ人間はバベルの塔の呪いによって自滅するしかないのではないか、というあたりが本当のテーマなのだろうと思うのです。
 雰囲気というか、ストーリーの流れとしてはよく考えられた映画だとおもいます。けど、やはりちょっと理解しずらいところもある。原作を読まないとまずいなと思わせる映画ですね。原作はもうちょっと哲学的というか、あまりアクションとかサスペンスとかじゃないだろうと思う訳ですが、映画としてはその辺を前に出さないとうまくいかなかったのだろうと思います。
 生物学的に、足が7本の生物ってありうるのかという疑問がどうしても湧いてくるし、相当の進歩した文化やテクノロジーを持った宇宙人のはずなのに、素っ裸なのかなあ、顔もないっていうことなのかなあ、そのあたりはどうなのか、という疑問も湧いてくる。宇宙人の筆記用具は煙なのか、イカスミなのか、その辺りもちょっと気になる。宇宙船のデザインは斬新であるけど、何かのお菓子に似ていることが話題になっているらしいですね。
 原作が東洋系の人なんだけど、東洋人が全く登場しない(ああ、最後に中国人がでてきますが)のもちょっと嬉しくない。世界が分裂して内輪揉めで戦争をまさに始めようかという時に、中国を悪者にしているのも、まあ仕方ないけど、どうなんでしょう。宇宙人の文字はおそらく漢字のような象形文字的なものらしいけど、この主人公の言語学者は、それを本当にはわかってないんじゃないかという感じを拭えない。最後に中国人の軍隊の親分と話す時も、中国語が話せるという設定になっていたはずなのに結局英語でしゃべっているし(中国人の方から英語でしゃべってきたからしようがないけど)。この象形文字らしい文字を最初に解読するのは中国人という方がありそうな話のように思えますが。
 まあどうしても文句を書いてしまうのですが、意識の高い映画で、面白いことは確かです。人類を救うのはやはり究極の言語なのだという視点がいいと思います。宇宙人もただ戦争を仕掛けてくるというんじゃなくて、いろいろ考えているんだという所も。
 宇宙戦艦の艦長である沖田十三と侵略者である宇宙人ガミラスのデスラー総統が、通訳なしでコミュニケーションするという漫画が昔ありましたが(そういえば今もやっているんだ)、それよりはかなり現実的です。
 皆さんも観た方がいいと思います。

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ひろしま美術館で開催中の「ピーターラビットTM展に協賛した公開講座で、「ピーターラビットを巡って」と題して公開講座が開催され、今日はその3回目と言うことで「動物物語の系譜のなかのピーターラビットTM」と題して話をさせていただきました。
この展覧会は、この講座のこともあって、観に行っておかないとと思い5月13日に観に行ったのですが、その時もかなりの客の入りで、相変わらずのピーターの人気に驚きました。今日の公開講座も80名超の申し込みがあったということで盛況となりました。
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この講座をやってくれとT先生に頼まれた時、これまでのように20人くらいの受講者だろうから、なんとか自分の得意分野のことを混ぜて話せば何とかなるだろうと思って引き受けたのですが、申込者が結構居ると報告を受けて、ちょっとこれはしんどいかもと感じ始めました。先日なんとかやり終えたITCLの『十二夜』公演のこととか、授業でやる『十二夜』の台本の制作とかと重なってなかなか準備の時間が取れず、ここ数日間焦りまくって準備したという感じでした。
1時間という微妙な時間で何をしゃべればいいか迷ったのですが、一応概論的に動物物語のジャンルとか、歴史的背景などを押さえなければなるまいと思い、それなりの構成を考えたのでした。
あらすじをちょっと書いておきましょう。
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まず、動物物語のジャンル分けとして四つに分類。
1. 自然科学・博物学的な対象として動物を描、2. 寓話・風刺・教訓、3. 変身譚・恩返し物語 4. 動物が主人公となって自らの生涯を語る物語 そして番外編でマザーグースの歌を入れておきました。
1ではダーウィンの『ビーグル号航海記』、『ファーブル昆虫記』、『シートン動物記』などについて短く解説。2では「イソップ寓話」の背景など短く解説、3では『美女と野獣』「アザラシ女房セルキー伝説」、「鶴の恩返し」などについて話しました。4ではアンナ・シューエルの『黒馬物語』やジャックロンドンの『荒野の呼び声』などについて。
その後、19世紀から20世紀初頭に書かれた名作児童文学で動物がらみの作品を取り上げたのですが、普通は動物物語とは見なされない『アリス』にいかに動物がいろいろ出て来て、その性質が多岐にわたっていることを話したのですが、調子に乗ってちょっと時間を取りすぎてしまった感がありました。まあ、児童文学で動物がどのような扱われ方をしているか分かってもらうのにはよかったかも知れませんが。
それから『ジャングルブック』にちょっと時間をとり、『くまのプーさん』『ドリトル先生』シリーズについて短く解説。
ここまでしゃべったら、残り時間が15分くらいしか残っておらず、ここから「ピーターラビット」の特徴は何なのかについて話す、ということになり、明らかに時間配分を失敗した感がありました。
前日一応しゃべるシュミレーションをしてみたのだけど、やはり本番ではちょっと余計なことをしゃべってしまったりするわけです。
結局、「ピーターラビッット」は動物物語としてどんな特徴があるのかって?
まあ手短かに言えば、ベアトリクス・ポターの博物学的関心と絵の才能の力が存分に発揮されたこの絵本では、絵の力がすごいんだということ、絵が多くのことを語っていてテキストを補い、テキスト情報以外のことも語っているということ。動物の弱肉強食の世界がかなり生々しく描かれていて、単なる子供の道徳とか躾のためのいわゆる教訓ものではなく、人間的なことをする動物たちがいかに野生の本能に従って生きているかをうまく表現しているということでしょう。結果的に単なるハッピーエンドではない、生きることの厳しさ、スリル、みたいなものが鋭く描かれているとでも言いましょうか。その一方でイギリス社会の階級意識とか、スノビズム的なことも描かれているということ。あるいは衣服の着脱で人間的になったり動物的になったり、変化があると言うようなこと。これは以前ゼミ生のCさんが卒論で書いてくれたことの借用ですが。
こういう言い回しでは実際は言わずに時間切れになっちゃったのでここに書いているわけですが、まあそんな所です。今日会場に来られた方がおられましたら、こういうことが言いたかったのかと納得していただけるでしょうか。
最後にピーターラビットはディズニーアニメ化されていないことの幸運についてコメント。
さらにYouTubeで多分BBCによって大昔に作られたピーターラビットのアニメのビデオ映像の出だし部分(ニアソーリー村のあの風景や家の中が映像で見られる)を紹介して終わり。
これは皆さんも是非見てみて欲しいですね。Peter Rabbit Videoと検索をすれば出てきますよ。
この展覧会の監修をされているD大学のK先生とお話をする機会を得られたことは大変幸運でした。またひろしま美術館の学芸員さんのご発表も非常に内容が濃くて、いろいろ勉強させていただきました。

昼からのカープ戦中継では、一軍に上がったばかりのドミニカ・カープアカデミー出身のバティスタが逆転ホームランを放ち、チームを勝利に導いてくれたのがうれしかったですね。新しいスターが出現したと言う感じですね。楽しみ楽しみ!

公開講座が終わって、イベントが一段落したのでほっとした土曜日。夕方6キロほどジョギング。

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2017年ITCL(International Theatre Company London)によるシェイクスピア劇『十二夜』の広島公演がなんとか無事終わりました。
ほとんど一人で準備して来て、やっとのことで公演にこぎつけ、一応会場を七割くらいは埋めることが出来て、そして最高の演技、観客の歓声と拍手喝采。これまで注ぎ込んだエネルギーが一応無駄ではなかったなと独りうれしさを噛み締めることが出来ました。
公演当日は同僚のA先生とO先生が駆けつけてくださって、チケットの販売やいろいろな所でお手伝いをいただき、また、学生十数名にもボランティアで受付とか準備を手伝ってもらいました。この人々の強力がなければどうなっていたことか。そういう受付業務が大変だったのだけれど、その反面、開場前には長蛇の行列ができて、会場が熱気に包まれたその光景を見たときは、ある種うれしさがこみ上げる気がしました。
みなさん本当にありがとうございました。
一人で準備したというのは大袈裟だということは分かっています。事前の公開講座をしてくださったT先生にもお世話になりましたし、他の先生方にも様々な形で協力してもらいました。もちろん公演が成功したのは劇団や役者や演出家やコーディネータのWさんが素晴らしいからなのだけれど、今回広島で公演が出来たということに付いては、振り返ってみれば、自分という一人の人間の意地みたいなものがなければ実現しなかったことなので、その意味ではなにか一つの達成感というのを感じたのです。
思えば、昨年も同じITCLの『テンペスト』を広島に呼ぶことが出来たのだけれど、それも苦労の連続でした。予算が付かなかったのだけれど、どうしてもやりたかったので、同じ学科の同僚の教員に頭を下げまくって、研究費から少しずつのカンパを募って(これは立派な学生のための教育活動であり文学研究でもあるので研究費を使うことは大いに意味があるはずです)、やっとのことで講演費用をかき集めることができて、やっと実現にこぎ着けたのでした。そして無料で一般に公開して、体育館で公演を実施して、予想外の500人ほどの観衆を集めることができたのでした。体育館にパイプ椅子を並べての公演だったので、観客からは「見えにくい」、「暑い」、「照明が明るすぎる」、「椅子の並べ方が悪くて見えにくい」などいろいろな不満をいただきながらも、舞台の内容や演技については非常に好評な感想をもらうことができました。
昨年のこの集客数と好評と言う実績があれば、なんとか今年こそは予算をつけてもらえるのではないかという期待は見事に裏切られ、やはり今年も予算は付きませんでした。それで昨年同様に同僚に頭を下げようかと思ったのだけれども、別の学科や上昇部からは、税金である研究費をそんなことに使っているというのは自分の研究に金を使う気がないのか、研究費はいらないということか、というようなことを言われこのやり方も断念せざるを得ませんでした。その時点で今年はやめた、でもよかったのです。本当はそうしてもよかった。その方がどれだけ楽だったか。
でもここでやめたら、このITCL広島公演はこれっきりで途切れてしまうでしょう。せっかく多くのファンが居ることもわかっているのだし、学生にこの舞台を見せて、同じ題目を授業で英語劇として舞台化するという計画を今年も持っているので、もう一年だけはなんとか実施したかったのです。そして、やるなら昨年みたいに体育館ではなくて一応ちゃんとしたホールを使いたい。こうなったら意地でもやらないと気が済まないと思ったのです。それでなにかいい方法がないかと探りました。幸い劇団の方も採算度外視で広島公演をやりたいと言ってもらえていたので、学科のヘッドやコーディネーターのW氏といろいろと交渉を重ね、会場代だけなんとか大学が出し、チケットを一定数ノルマとして売ることを条件に広島公演を実施してもらえることになったのでした。そのチケットも、昨年が無料だったのであまり高く設定するわけにもゆかず、破格の1000円(学内関係者のみ)という値段にしたのでした。
ノルマのチケットを売るのも一苦労でした。この『十二夜』を実際に舞台で演じることにしている授業の履修者にはとりあえず授業の一環として必ず見るようにすることは許されるはずです。シェイクスピアを学ぶ最高の方法としてはまず舞台を見なければ話にならないのですから。原文も読むわけだし、作品研究の授業もやるのです。しかし、それ以外の学生に、いかにして関心を持たせて劇場に行く気にさせるのか、それが問題でした。結果的には自分の担当する授業の学生を中心にある種の課題として、強制ではないが見てほしい、ということでかなりのチケットを買ってもらったけれど、それ以外ではなかなか売れなかったのです。宣伝用に告知のメールを出しまくったり、昼休みに学食の前に一人で店を出して売ったり、職員の部屋に行ってチケットいりませんかと叫んだり、まあいろいろやりました。そんななかでもうれしかったのは、うちの大学の庄原と三原のキャンパスの人々から、チケットが欲しいというメールが結構な数届いたことでした。やはり教養のある、文化を愛する人は居るんだと。やはりこういう文化活動に意味を見いだしている人は居るんだと。
現在、文科省は国公立大学には人文系学部はいらないというようなとんでもないことを言っていて、理系学部だけに補助金を集中させて国際競争力をつけるみたいなことを言っているわけです。そんな中で文学とか教育とかそういう系統の学部はどんどん予算を削られ、人員を削減され、締め付けられて抹殺されようとしている。そのような流れの中では、イギリスの劇団のシェイクスピア劇を招致するなんていう活動に予算をつけるなんてとんでもない、というのが今の大学なのです。皆さん、こんなことでいいのでしょうか。もしも今回見に来てくださった方で、この文章を読んでくれている方がおられましたら、是非ご意見をコメントして欲しいと思います。
昨晩の『十二夜』の舞台は本当に素晴らしいものでした。長くなったので、その詳しいことは稿を改めたいでのですが、『十二夜』って本当はこんなに面白い芝居だったのかと改めて教えられた感じでした。映画バージョンも2つ見ているのだけれど、それらの映画では表現しきれていない原作の面白さを、今回の舞台は最大限に引き出してくれているように感じました。観客の反応もすごくよくて、役者とのコミュニケーションもすっごくいい感じでした。会場からは終始くすくす笑いとか、驚きの叫びとか、唸る声とか、わー!とか、が聞こえて来て、役者も乗って来たなというのも見えた気がしました。
そんな舞台を見ながら、この、今目の前で起きていることが、なんだかんだ言っても、自分の意地みたいなもので粘った結果なのであって、もし自分が、予算がつかなかった時点で全てを諦めていたら、今日この空間には誰もいなかったし、この350人ほどの人の心にこの笑いや感動は発生しなかったのだと、この人々を泣き笑いさせることができたのは、一応自分の努力の結果だったのではないかと、ちょっと誇らしい気分になれたのでした。これでよかったんだと。この目の前の出来事を起こせてよかったと。この舞台を見て自分の教えている学生たちが、これまでの自分から少しでも成長してくれたのなら、それこそがまさに自分の仕事なのだと。ちょっとうれしかったのです。
それを、今日は、書いておきたかったのです。
でも、来年またITCLはジャパンツアーをやるでしょうけど、また予算がつかなかったらどうするか、今は何とも言えないというのが正直な所です。

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県立広島大学国際文化学科主催による、イギリスのロンドンのプロ劇団インターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン(ITCL) による広島公演:ウィリアム・シェイクスピア作『十二夜』(Twelfth Night)の公演が明日に迫りました。詳細は以下のとおりです。
日時:5月19日(金曜日)18:30開場 19:00開演(約2時間半、途中休憩あり)
場所:県民文化センター・大ホール 電話:082-254-2311
チケット(全席自由席)
チケットはまだあります。
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チケットは各種プレイガイド(インターネット上で購入可能)とITCL事務局にて販売します。また全国のセブンイレブン、ファミリーマート、サークルKサンクス、ぴあ店舗にて販売します。
各種プレイガイド: チケットぴあ:電話予約0570-02-9999、ぴあPコード458294、e+(イープラス)、Confetti(カンフェッティ):0120-240-540(受付時間:平日10:00~18:00
インターネットで上記のプレイガイドを検索していただき、ITCL、「十二夜」などのキーワードで検索していただければ見つかるはずです。当日券も販売予定です。
 またとない機会ですので、ぜひ多くの学生に来場していただき、本場のシェイクスピア劇を間近で見ていただき、演劇の本場イギリスの雰囲気を味わっていただきたいと思います。
この公演は、シェイクスピアの原語で行われるもので、日本で本格的シェイクスピア劇を楽しめる貴重な機会です。本来の台詞が持つ響きの美しさと、役者たちの発声の迫力をご堪能ください。日本語字幕が付きますので、英語に自信が無くても大丈夫です。
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昨年のITCL公演『テンペスト』の好評にお答えして、今年もITCLの公演を実現することが出来ました。今年の出し物『十二夜』(Twelfth Night)はシェイクスピアの喜劇作品として最高傑作の呼び声高い作品であり、異性装、性別の逆転といった仕掛けにより複雑なジェンダーの問題や、微妙な人間心理を描いています。

『楽の調べが恋の糧になるものなら、そのまま奏し続けるがよい』
これは十二夜の最も有名な行であり、音楽は愛を生み、愛は、誰も抵抗できないくらいの大きな力に成長し、しかし、腐敗の可能性もあることを表現しています。
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私達は、人間であり、そして世の中には女性と男性がいて、そして女性の中にも男性的な部分があり、またその逆もある人間性を享受すべきなのです。このことを否定することは、私達自身の性質を否定することであります。これは、シェイクスピアが、この最大の喜劇に埋め込んだ糧であり、私達に課題を叩き付けています。(演出監督ポール・ステビングズのノートより)

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映画T2 Trainspottingをサロンシネマに観に行きました。今週で終わってしまうらしいので、今日あたり行っとかないと見逃しそうだったので。
どうしようもない薬中毒の悪ガキどもが繰り広げる、どうしようもない悪行と復讐劇と友情の物語。前作で最後に仲間で手に入れた大金を一人で持ち逃げした主人公マーク・レントンが20年ぶりにエディンバラに戻ってくるという設定で幕が開けるのです。前作を見てないとよくわからないでしょうが、まあ見てない人は見に来ないでしょうね。前作の『トレインスポッティング』はイアン・マクレガーの出世作であり、センセーションを巻き起こして大ヒットしたわけで、この続編はみんな待ち望んでいたと思うのです。
麻薬中毒者の幻覚を映像化したことも前作が話題となった要因でしたが、スコットランドのイングランドに対するコンプレックスみたいなものも織り込まれていましたね。そういう所をネタにするために授業でこの映画を取り上げたことも何度かあります。この映画を見れば、麻薬に手を出すなんてことを考えなくなるのではないかという意図もあって。
前作が公開されたのが1996年。そして今年、話の中と同じ20年が経過しているわけで、あの映画に出演していた全てのメンバーがそれぞれ20歳年をとって出演しているわけで、見ている方も20歳年をとっているわけで、そこがほんとになんというか、感慨深い所です。
1996年と言えば、私が姫路で勤め始めた年であります。そしてその翌年にはイギリスに一年研修に行ったのでした。20年を経て、今自分の人生もかなり変わりました。小さかった子供たちは二人とも家から居なくなってしまったし。なんか懐かしくてさびしいです。一作目のシーンが所々に出てくるのですが、それらのシーンが自分の人生にもあったそういう過去の回想というのを思い出させるのです。
この映画の中の四人も、それぞれ20年を経て、いいおっさんになっているわけだけど、なんか思考回路はあまり変わっていないのが、悲しいというか、かっこいいというか。まあそこが面白い所なんだけど。それぞれに家族がいて、見捨てられてたり、迷惑がられたり、子供に見放されたり。見ながら自分も20年前の自分と今の自分を比べていろいろと考えてしまいました。
やはり一番印象的なのは、『フル・モンティ』で主役もやっていたロバート・カーライル演じる所のベグビーですね。この強烈な悪役がいなければこの二つの映画は全然面白くないわけで、彼がいてこその「トレスポ」って感じですね。
スパッドにそのような才能があったのか、というのが一番面白い展開でした。
前作を見た方は、是非見た方がいいですよ。
前作を見てない方は、まずDVDででも見てからの方がいいでしょう。

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今回の渡米の際、ロスアンゼルスからサンフランシスコへの移動日に、アップルの本社とグーグルの本社を見ました。最初のこの写真は飛行機の中から撮った写真です。左上の方に見えるでっかい輪っかがお分かりでしょうか。これがAppleの新社屋なのです。まだ建設中なので見に行くことは出来ませんでしたが、空から見たらその大きさがわかるでしょう。こんな広大な土地を、住宅地の真ん中に買って立ててるんだなあとびっくりしました。それにしてもまんまるの輪っか。これって反対側に行く時結構遠回りじゃないと思ったり。まあ真ん中の庭を突っ切って行けばいいんだろうけど。
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サンフランシスコの空港から、知り合いの夫婦が住んでいるサニービルという町まで行く途中に、Googleの本社があり、見物に連れて行ってもらいました。結構な観光スポットになっているそうです。敷地内に、グーグルのマスコット、アンドロイドをイメージしたフィギュアが飾ってある公園があり、皆写真を撮りに来るようです。このフィギュアは有名な、ジンジャー・ブレッド・マンです。
グーグル・グッズを売っているショップもあって、お土産物を買いました。家族にTシャツやお弁当入れの袋、ステッカーなどを買いました。スマホを殺菌してくれる装置とか、おもろいものもいろいろありました。
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グーグル本社内はみんな自転車で移動しているそうです。そこら中に赤、青、黄色に塗られた自転車が並んでいて、どれを使ってもいいようになっています。敷地内にはおもしろいモニュメントがいろいろあって、ティラノサウルスの化石がでーんと置いてあったりします。社屋内にはいろいろなレストランがそろっていて、社員はどこで食べても無料だそうです。
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シリコンバレーがアメリカを引っ張っているわけですが、このアップルとグーグルは二大ビッグ・カンパニーということで、まあ今のアメリカを象徴していると言っていいでしょう。どちらかの社員になるのが夢という若者も多いらしいですね。シリコンバレーにあるスタンフォード大学はこの二つの企業を作り上げた人材を多数輩出していて、今年の世界の大学ランキングの中で世界第三位(一位はオックスフォード大学、二位がケンブリッジ大らしい)で、それはアメリカで一位ということです。スタンフォードは元々西海岸まで鉄道を敷いたスタンフォードという人物が作ったそれほど大きくない私立大学だったそうですが、今やアップルとグーグル、あるいはヒューレット・パッカードなどの企業のおかげで世界第三位のすごい大学になったわけです。
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最後の写真は、グーグルマップのストリート・ヴィユーを撮影して回っている車です。
無人自動車も走り回ってました。
時代の先端をゆく空間は、とても静かな環境でした。

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アメリカから帰国してすぐに大学の授業が始まりバタバタしていてめまぐるしく日々が過ぎ、おまけに妻の高齢のお母さんが病院通いをするために田舎の実家から広島の方へ来てもらっていて、それもあって、ブログ記事を書く余裕がありませんでした。
とりあえず、今回の渡米のメインイベントの一つである、マーク・バースタインのアリス・コレクションについてです。
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マーク・バースタインは北米ルイス・キャロル協会の主要メンバーで、最古参の一人です。彼のコレクションはおそらく世界の5本指に入るようなすごいコレクションで、アリス、キャロル・ファンにはたまらない資料の宝庫であります。マークはサンフランシスコから車で1時間半くらいのナパ・バレーの結構人里離れたところに住んでいて、写真のような白亜の家屋の一つに、アリス・タワーとも呼べるようなコレクション専用の建物を建てています。ここが彼の書斎、不思議の国なのであります。
写真左はバイロン・シューエル氏、真ん中がマーク。後ろに写っているのはラウル・コントレラス氏。
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コレクションは、世界中で出版された『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を始め、キャロル関係の本の、ありとあらゆるエディションを集めており、もちろん日本語のエディションのコレクションもとても充実していました。『アリス』は翻訳された言語が世界一と言われているわけで、それゆえ世界中で出版された版のの数も、ものすごい数になるはずですが、おそらくそのほとんどがマークのコレクションには揃っているようです。
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それに加えて、『アリス』やキャロルに関する研究書や関連本の数々が所狭しと並んでいます。
本棚の傍らには、アリスや物語に登場するキャラクターたちのフィギュアとか、グッズとかも数多く並んでいて、ほんとにもう、これはファンにはたまらない空間です。
以前、イギリスのアリスの権威であるエドワード・ウェークリング氏の自宅を訪問したことがありますが、彼のコレクションもすごいんだけれども、マークのは量的にはエドワードのよりすごいかもしれません。エドワードはキャロルの写真と日記という観点では最も重要な仕事をしている人で、コレクションもその分野が特に強くなっています。マークの場合はよりジェネラルな、本を中心としたコレクリョンになっているようです。
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彼は、会場で本のセールもやってくれて、コレクションで重複していたりする本をかなりリーズナブルな値段で売ってくれていました。勧められたので、『スナーク狩り』の100年めの記念エディションの真っ新な奴があったので、奮発して購入してしまいました。重いのでマークが後で郵送してくれるということになりました。私のコレクションもちょっと良くなったというわけです。その他、ロスアンゼルスから来たラウル・コントレラス氏は、独自の感覚でデザインしたアリスグッズを売っていましたが、彼の作品も4、5点購入させていただきました。現金をあまり持っていなかったので買えないかと思ったら、スマホにくっつけて使うクレジットカードのリーダーを持っていて、クレジットで買えたのであります。なんと便利な時代になったことか。
今回の調査のテーマである写真に関する本もたくさんあり、知らなかった本も発見できたので、収穫は大でありました。
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ナパバレーの鮮やかな緑の中の白亜の建物で、不思議の国の本とグッズに囲まれて優雅に暮らしているマークが、なんとも羨ましくなったのでした。

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すでにロスアンゼルスは離れて、サンフランシスコにいるんですが、順序として書いておきたいと思います。
ロスで二つ目の目的地はゲッティ・ミュージーアムです。この美術館/博物館の存在は、このたびの渡米の少し前まで、恥ずかしながら知りませんでした。このポール・ゲッティという大金持ちが作ったこのミュージーアムと、もう一つゲッティ・ヴィラというのがあって、ロスアンゼルスのアトラクションとしてはかなり有名な物だということです。今回は、ここにあるヴィクトリア朝期の写真のコレクションを見せてもらいに来たのであります。
ここにはヴィクトリア朝期の女流写真家ジュリア・マーガレット・キャメロンをはじめとするヴィクトリア朝期の写真家の作品の膨大なコレクションがあるのです。イギリスの資料なのにアメリカにあるというのが、まあ、不思議っちゃ不思議なんだけど、両国の歴史を鑑みた時に、アメリカで財を成した金持ちが、母国であるイギリスの文化的遺産を買い漁ってアメリカに持って来たというのは、まあ歴史の無いアメリカにとっては、一つの野望というのか、宿命というのか、そういう物だろうと思うわけです。
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このゲッティ・ミュージアムですが、ダウンタウンから相当離れた山の上にあるんで、行くのがかなり大変です。今回USCから電車に乗って、サンタモニカまで行って、そこからタクシーで行きました。全部タクシーだと高くなるんで。
到着した駐車場からミュージーアムまで、小さなモノレールみたいなので山を登って行ってやっとたどり着きました。あらかじめ予約しておいて、スタディー・ルームというところで資料を見せてもらったのだけど、頼んでいた資料の量に対して、たまたまその日の閲覧時間が2時間半しか無かったので、まったくもって消化不良で、順してもらっていた資料の3分の1くらい、見られないままにタイム・アウトとなってしまいました。
帰りはタクシーと思っていたら、一般客が大挙して押し掛けたのか、自分が行った時にはタクシー乗り場には一台もいなくて、これはどうしようと思って困っていたら、駐車場係のおじさんが、タクシー呼んでくれたんだけど、ラッシュアワーのせいでいくら待っても来なくて、ということで、かなりヒヤヒヤしてしまいました。
 なんとか、別のカップルでタクシーを待っていた人たちとシェアーして、ホテルまで戻ることが出来たのだけれど、まあそれはそれで面白い体験ででした。そのタクシーをシェアーした夫妻(実は塞いじゃなかったのだけど)は、ベルギーの出身で、レオポルド二世時代のコンゴに住んでいたというのです。あの独裁者レオポルド二世の治世がおわって、コンゴが独立しザイールになった時、そこを離れてアメリカに移住したそうです。レオポルド二世時代のコンゴといえば、あのコンラッドの小説『闇の奥』の舞台として知られ、『闇の奥』がフランシス・コッポラによって『地獄の黙示録』として映画化されたことは皆さんもご存知でしょう。この夫妻の話を聞けたのはラッキーで、タクシーの相乗りもいろいろ面白いことがある物です。その時のタクシーの運転手はジョージア(グルジア)出身だそうで、い彼の身の上ばなしもかなり面白かったです。
 ということで、駆け足のゲッティ・ミュージアムでした。

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本当に久しぶりにカリフォルニアにやってきました。久しぶりって、もう25年以上ぶりです。大昔、カリフォルニアのデイヴィスという町で2年ほど過ごしたことがあるのです。
今は、ロスアンゼルスの南カリフォルニア大学のそばのホテルに泊まっております。なぜ南カリフォルニア大学なのかというと、ここにルイス・キャロルとアリスに関連する書籍や手紙類など、の世界的なコレクションがあるからです。そのコレクションはCassady Collectionと呼ばれるもので、本が中心のコレクションですが、キャロル作品の初版本とかアップルトン版とかいわゆるレア・ブックスもたくさんあるけれども、世界中で出版され続けているアリスの絵本、というか世界中のイラストレーターが自分の想像力をアリスの世界に投影した独自のアリスのコレクションがかなりすごいのです。
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面白いのは、ここでは、このコレクションを利用して、学生がアリスの世界を芸術で表現するコンペAnnual Wonderland Awardが開かれていることです。アリスの魅力の一つは、このように様々な人の想像力を刺激して、自分ならばどうやって不思議の国を表現するかを考えさせる、そう言う所でしょう。
学生の作品をいくつか見せてもらいましたが、どれも秀逸で、このまま本にしたら結構売れるのではないというのがたくさんありました。
今回の主たる調査のテーマであるキャロルの写真については、このコレクションはあまり良いとは言えないのだけれど、キャロルの写真に関する本でまだ見たことがなかった本もあり、収穫はありました。
何よりサポートしてくれたソフィー・レシンスカ博士が、本当に懇切丁寧な対応で、いろいろと気を使ってくれて、たった一日の訪問なのですが、時間を有効に使えたと思います。
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それにしても、英米の大学の図書館って、おもむきがあっていいですね。空間としてすごく勉強したくなる雰囲気を作っているのが素晴らしい。この写真はDoheny Libraryというメインのライブラリーですが、この中にレア・ブックスの保管庫、Cassady コレクションだけのためのReading Roomもあるのです。やはり大学は図書館が勝負ですよねえ。すっごく座り心地の良さそうなソファーがいろいろな所にあって、静かで、快適で、いいねえ。
うちの大学も、改組とかしなくていいから、とりあえず図書館をもっと快適にして欲しいですね。

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