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 またまた、長いことブログを更新しておらず、申し訳ありません。色々書くことがたくさんあるのですが、とりあえず、一番最近のことから書きます。
 まずは昨日、山口市の山口情報芸術センターで行われた森山開次さんプロデュースの『不思議の国のアリス』の舞台についてです。このイベントについては直前までしならなかったので、チケットが手に入るかどうかもわかりませんでしたが、すでに売り切れてはいたものの、当日券があるということで昨日の朝10時に電話したらなんとかうまく買うことができたのであります。山口の自宅から山口情報芸術センターまで車で30分弱なのですが、今回自由席ということで早めに行った方がよかろうと、4時前に着くように出たのですが、もう数名の行列ができていました。
 観客はやはり小さい子供さんを連れた家族連れが圧倒的に多く、特に女の子がたくさん観に来ているのはまあ当然だろうなと思いました。やはり『アリス』は日本でも結構読まれているのではないかと思うのです。その観衆の中にあって、私のようなおっさんが一人で見に来ているというのは、やはりちょっと目立ってしまうのですが、デカイ体で後ろに迷惑なのはわかっているものの、桟敷席の一番前に陣取って見ることができました。
 舞台は6人のダンサーによる、非常に斬新かつユニーク、そして刺激的かつエキサイティングな舞台でした。いきなり出て来たホワイトラビットのウサギの仕草や動きを見て、近くに座っていた小さな女の子が「怖い」と言って、泣きそうになっていました。
 しかし、その後の展開はなかなか凝っていて、原作の重要なシーンを、ダンス、というか独特の身体表現で表して行くその発想力に唸らされました。会場からはしばしば笑い声が湧き上がって、受けている様子がわかりました。アリスのうさぎ穴での落下の表現なんかも、みんなでアリスを空中に持ち上げながら様々なポーズを決めて、その合間にアリスのセリフに合わせた動きを混ぜたり、ダンスそのものも振り付けがすごく凝っていて、見るものを飽きさせない工夫が随所にあるのです。子供達は大いに楽しんでいるようでした。
 コスチュームも良くできていて、芋虫を4人で表現しているところなんかは、本当に面白かったですね。圧巻はハートの女王の衣装で、大きく広がったスカートの中に風船が仕込んであって、ものすごーくふわふわした巨大な姿を演出しており、女王の怒りの雰囲気がよく表現されておりました。首を切るシーンが本当に演じられたのは、子供達がたくさん見ている状況としてはちょっと驚きでした。
 ダンサーの動きが本当に面白く、そして技術的にも優れていて、見とれてしまいました。これまで色々アリスの舞台表現というのは見たことがありますが、これほどまでに身体だけで工夫を凝らした表現というのはなかったかなあ、と思った次第です。2年前くらいに見た、ロンドンのロイヤルバレーでのアリスの舞台にも匹敵するような迫力があった気がします。もちろん舞台装置とか音楽とかでは、ちょっと比較にならない部分はありますが。
 とにかく、6人だけでこんなにすごい舞台が作れるということに感嘆しました。いい舞台でした。
 これからまだ、九州とか色々回るみたいです。みなさんも機会があれば見てください。
山口情報芸術センター[YCAM]に来るのは久しぶりでしたが、ここは山口市とは思えない、モダンな空間で、なかなか面白い施設です。図書館も付いてるし。ちょっと蔵書はそれほど多くないかもしれないですが。県庁所在地なのに映画館がないという文化不毛の山口市にあって、唯一の誇れる施設かもしれません。