猛烈な台風15号が首都圏の交通網を麻痺に陥れるなか、私もまた"会社の犬"として幸いなことに通常通りに出勤。仕事を完了し、後楽園に向かった。グローバルリーグ戦から改称したN-1 VICTORY 2019 のA、Bブロック双方の決勝戦進出を懸けた戦いは必見だからだ。風雲吹き荒れた(午前中)この日の夜、観衆1103人を動員。平日ながらほぼ満員となった。

第1試合:
○ヨネ、ストーム対×ソニコ、熊野:
3分59秒 ファンキーバスターボム → 片エビ固め

ファンキーバスターボムの前に、ソニコ轟沈。この試合、熊野が注目点で、エルボーに力強さとキレが備わりつつある。ヘビーのヨネをラリアットで吹っ飛ばしたり、蟹挟みでストームを冷静に倒したりも良い。ベテラン勢やシングル王者にもっと噛み付くべし、乱入もありだとさえ考える。もっと貪欲になってほしい。

第2試合
北宮、○稲村VS齋藤、×井上
6分59秒 オクラホマスタンピード → 片エビ固め

不敵な笑みで対峙する稲村に対して、マサオは姑息な足踏みからタックル、巻投げ。稲村はスリーパーホールドで逆襲。北宮、齋藤は肉弾戦を展開。齋藤はタックルで襲いかかる稲村にニールキック!

しかし、ベテラン二人の猛攻を耐えた稲村が北宮とともにセントーン、ボディプレスで重爆の競演。うまい具合にニーリフトにマサオを捉え、助走なしでアバランシュ・ホールドで抑え込み、金星!キャリア2年にもかかわらず、立派なもんだ。9/16にはなんと藤田和之との対戦の機会も与えられており、抜擢のほどから大器の片鱗が伺えて楽しみだ。
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第3試合
ラーテルズVSスティンガー 8人タッグマッチ:
○原田 (10分11秒 片山ジャーマンスープレックスホールド) ×小峠
原田と小峠が間を置かずやり合い、鼓太郎が洗練された動きで翻弄、タダスケは交通事故タックル、小川、リッジウェイとハヤタ、ヨーヘイは業師の応酬。小峠はヨーヘイに布石のタランチュラ式首4の字固めからマグザム!8人タッグながら、凝縮された攻防で盛り上げる。

元気なタダスケは小川のバックドロップの餌食に、しかしリッジウェイに打撃で打ち勝ち、リッジウェイはハヤタをアンクルに再三捉える。小川、鼓太郎の円熟連携肉専するも、華麗にハヤタは延髄斬りで脱出。原田と鼓太郎は互いにエルボーコンボやローリング式、の目まぐるしい攻防。頬だけでなく、みぞおちや背中にも叩き込み、見る方も肺から酸素が蒸発しそうな痺れる戦いだ。

小峠は原田の攻撃を要所で回避するも、タダスケのラリアットを被弾、4人同時のトラースキック。攻め込むも避けられ、顔面に合体ジャンピングハイキックをさらに被弾!高角度な片山ジャーマンの前に3カウントを聴いた。

ヘビーからジュニアに出戻りの小峠は、"対原田という観点のみ"ではリング上を見る限り、責められる要素はなかったように感じる。むしろ原田の技やムーブをしっかり先読みしており、隙きを見せない戦いをしていた…のだが、これはチームとチームのタッグマッチ。まんまとラーテルズの息のあった連携のなかにはまり込んでしまったようだ。

試合後は、GHCジュニア王座をめぐり、元サヤのハヤタ・ヨーヘイがイチャつくなか、大原、論外が乱入で大乱闘に陥り、混沌状態。誰と誰がぶつかっても、いつ見ても面白いノアジュニア。そのなかで小峠が存在感を出すには、なんといってもベルトの獲得以外ににはないだろう。一層の奮起に期待したい。

第4試合:
丸藤× (12分35秒 ペンデュラム・ナイトメア → 片エビ固め)  ハマーストーン

大型ながらも身軽な面も持ち合わせる強豪・ハマーストーンだが、今日の試合はタフネスを試され、ノアファンに真に認められる試合になったことだろう。ハマーストーンは丸藤の逆水平を受けまくる。エプロンでは丸藤の十八番を奪うパイルドライバーを狙うが、トラースキックを被弾。しかし、カナディアンの体勢からエプロンでニークラッシャー!リング上に戻ては、豪快ショルダースルー!その後もパワー殺法で圧倒し、エルボー、コーナーでスピア連発からベアハッグで丸藤を攻め立てる。

丸藤は局面打開のため珍しく頭突きでベアハッグを脱出した。トラースキックのコンボ、タックル躱して虎王が炸裂!しかし、ハマーストーンも負けじと凄まじい飛距離のフロントスープレックス!雪崩式ブレーンバスターを着地した丸藤が、なんとここで雪崩式ジャーマン!さらに非人道的な腕極め式の後頭部虎王を連発!

フックキック、虎王、次々と打撃を受け、ハマーストーンの巨体が前のめりに崩れ落ちる…しかし、丸藤のえげつない攻めに対し、ハマーストーンの闘志は死なず。虎王受け止めからラストライド、二段蹴り連発、ペンデュラム・ナイトメアで大逆転の勝利!

超高レベルな消化試合を拝ませてもらったとしか言いようがない。感謝。タイトルマッチ級の濃厚な消化試合を戦い抜いたハマーストーンは再参戦に意欲を示しており、外国人ヘビー級戦士の大将格がいないノアにとっては、引き続き楽しみな逸材だ。丸藤はなんと4戦全敗だが、すべて紙一重であり、表面の結果ほど驚くには当たらない。何か次の一手を虎視眈々と狙っていることだろう。

2020/1/4、1/5において、後楽園2連戦が発表されたことは大いに注目すべきだ。リスキーでもあるが、チャレンジングな取り組みでもある。また、これはプロレスファンにとって、令和2年は1/4、1/5とプロレス三昧で、プロレス初めが出来ることを意味する。新日本プロレスが目と鼻の先で東京ドーム大会を行っているからだ。

両方見たい人は1/4は二者択一、1/5はハシゴとなる。ここで、ノアは面白いマーケティング上の実験が可能だ。1/4の興行は、広義のプロレスファンないし新日本プロレスとの兼任のファンを除く、ロイヤリティの高いNOAHのコア顧客を炙り出すことになるからだ。天下の新日本プロレスと大イベントを差し置いてでも、いざ鎌倉とばかりにNOAHの試合を見に行く観客はどのくらいいるのか?後楽園ホールを平日でもガッチリ埋めることから、日本武道館への道を模索する新生NOAHにとって、重要な試金石だ。

第5試合:
杉浦軍・ワグナーJr. VS 清宮、宮脇、ベテランとフリー混成軍の10人タッグ
○カズマ・サカモト (9分49秒 ポップアップパワーボム → エビ固め) ×宮脇

ワグナーJr. と清宮が丸め込み・飛び技交え目まぐるしい攻防でスタート。ワグナーJr. はその場式風車式バックブリーカーを披露、パワーもある。宮脇、ヒロキ、稔、諸橋が岡田をかわるがわる蹂躙。ハイパーフォトジェニックタワー建立にも成功した。
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大原、論外が息のあった連携攻撃で諸橋を攻め立てるが、諸橋はカズマの奇声攻撃をなんとか回避する。宮脇はカズマに対して、得意の一本背負いからブレーンバスター。しかし、トラースキックを被弾後、5人がかりのストンピングという戦慄の暴行現場が現出するも、彼はめげない。宮脇は様々な丸め込みを連発、あわやの場面を作り出した。カズマは決め手のトラースキックを放つが、宮脇は自力で返し、さらに丸め込むもカウンター式の超高度パワーボムに轟沈!。これまた引き締まった10人タッグだった。

第6試合
×中嶋 (15分03秒 右ハイキックによるKO勝ち) ○拳王

Bブロック、勝ち点3同士の戦い。是が非でも勝利で2点をもぎ取りたい二人。緊張感ある立ち上がりから、中嶋は逸る拳王を巧みにすかし続ける。攻撃を中々当てられない拳王は、場外の中嶋にスライディングキックをお見舞いし、その後は互いに鉄柵攻撃の応酬に発展。

中嶋はエプロンでのフェイスクラッシャー、エプロンを走り込んでの胸板蹴り。拳王はエルボー、首投げ、背中蹴り。背中へのサッカーボールキックの応酬を経て、拳王がとんでもない音のミドルキックからさらに蹴り、蹴りで攻め込む。

中嶋が全コーナーを悪用し足で首を痛めつけ、顔面蹴り。拳王はオーバーヘッドキック、PKで応戦。フロントキックが相打ちになること数度。胸板の蹴り合いと意地の張り合いが横行し、後楽園に破裂音が響き渡る!大歓声が巻き起こる。

だが、人間は太鼓ではないが、万雷の拍手のもと、ソバットを交えた中嶋が競り勝ち、バックドロップ、PK、ヴァーティカル・スパイク。しかし、拳王はこのフルコースを跳ね返す!アンクルホールドから蹴り!PK、フットスタンプ投下!観客席もフットスタンプで重低音ストンピング!

中嶋がトラースキック3連打、胸・背中蹴り連打。張り手合戦から、拳王のハイキックが炸裂!中嶋ダウン!しかし、続くフットスタンプは中嶋が両足で迎撃!張り手連発がさらに拳王を襲うが、再び中嶋を戦慄ハイキックでノックアウト!凄絶な一戦を制した拳王が勝ち点5に達し、谷口の勝ちまたは引き分けに望みを託す。

第7試合
○谷口 (10分39秒 ワイバーンキャッチ) ×望月
拳王、中嶋と同じBブロックで3点の谷口対4点の望月の一戦。谷口は最序盤にソバット痛打もパワーで望月を圧倒。しかし望月はエプロンでの三角蹴りでペースを奪い、谷口が場外戦でラリアットを鉄柱誤爆した機を逃さず、蹴り、アームブリーカー、キーロックで望月は追撃へ。苦しい時間が続くが、谷口はパワースラムで応戦。

しかし、踵落としなど多彩な蹴り、徹底した腕殺しが谷口を襲う!さらに、ハイキックが炸裂。三角蹴りはノド輪に捉えられたが、腕ひしぎ!しかし、谷口が意地を見せ、怪力でパワーボムに切り返して叩きつける!ここからは怒涛の勢いで連撃。ラリアット、パワーボム、コーナーパワーボム、チョークスラム、マイバッハプレス(ワイバーンプレス?)、ワイバーンキャッチの恐るべきフルコースの前に、望月は無念ギブアップ…とはいえ、49歳・ジュニアの体格ながらその活躍には心からの称賛が送られた。

第8試合
×潮崎(23分10秒 オリンピック予選スラム → 片エビ固め )○杉浦

Aブロックは潮崎が2勝1敗の4点、杉浦が3連勝の6点。潮崎は同点・直接勝利による決勝進出を狙いたいところだ。最序盤はロックアップからのねじりあい、静寂から、エルボー躱して潮崎がチョップ一閃!アームドラッグの攻防などを交えながら、隙のない杉浦にチョップを強引に連打し、早くも杉浦の鍛え抜かれた胸板から血が噴出!。さらにはコーナー上の杉浦にドロップキック後、場外では鉄柵の応酬、杉浦はさらに打撃、絞め技で追撃する。序盤からどちらも容赦ない引き締まった攻防だ。

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万力フェースロックが潮崎を襲うが、なんとか耐えて脱出。打撃戦から、投げ技の狙いあいを双方阻止。ショルダーアタック後の、チョップ地獄に場内に悲鳴が響き渡る。逆水平チョップは格闘ゲームにおける弱パンチに相当する技ではまったくないのだ。

しかし、杉浦のヒザが潮崎の顔を捉え、雪崩式ブレーンバスターから逆エビ固めの鉄板コンボに捉える。基本技はそのまま拷問技である。潮崎は粘り、辛うじて脱出に成功。杉浦の丸藤風をアレンジしたロープワークは一度は潮崎に読まれるも、今度はスピアに切り替えて潮崎をふっとばす。エプロンサイドの攻防では、潮崎がリバーススープレックスかと思いきや、杉浦が反動活用で奈落式サイドスープレックスへ!なんとかリングに戻れば、杉浦の追撃ニーアタック、コーナーに追い込んでのエルボー地獄が続く。だが、エルボーを受け続けながら潮崎がそのまま立ち上がるという異様な光景に場内は驚愕する。
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なおもエルボー、チョップが交錯、潮崎がトラースキック、左ラリアット、パワーボム!しかし、杉浦がラリアット撃墜エルボーから左ラリアット!ハイクラッチジャーマンからヒザ連打!五輪予選を食らってはまずいと抵抗する潮崎に、エグい側頭部エルボー連打!ゴーフラッシャーを狙う潮崎を杉浦がフロントネックロックに捕獲するが、これをどうにか耐え抜いてそのまま抱え上げ潮崎がゴーフラッシャーを完遂へ!死力を尽くす納得のダブルダウンに万雷の拍手。

エルボー、チョップ合戦から、張り手の応酬も続き、20分。ここでついに杉浦が潮崎の豪腕を被弾!さらに追い打ちのリミットブレイク(現在はリストクラッチ式のバックドロップ風スラム)!更なるチョップがなおも襲うが、杉浦は顔面ヒザ連打から続けてランニングニー!続く五輪予選スラムからのフォールを潮崎はキックアウト!重低音ストンピングが鳴り止まない。

杉浦は投げ捨てジャーマンや戦慄の左ストレートを放つも、腕を取られたままラリアットで潮崎が必死の抵抗。しかし、杉浦が打撃でダメ押してから、急角度の2発目五輪予選スラム!これを食らってはさすがの潮崎も返せず。

杉浦対潮崎、さすがの黄金カード。過去のGHCでの激闘に勝るとも劣らぬ戦いだった。なんと素晴らしい決勝戦だった…と恍惚とするのもつかの間、Aブロックの予選だったことを思い出す。驚愕の4戦全勝の決勝進出で、杉浦対拳王へ!拳王は目標とする杉浦越えがかかり、まさに未来を占う一戦だ。

リーグ戦の最終結果の星取表は感慨深い。N-1 VICTORYはその名前が示唆する初期G1のごとき少数精鋭によるリーグ戦として、この時点で相当なインパクトを、少なくとも見た人には残した。杉浦と拳王の勝者を迎え撃つことになる若きチャンピオン・清宮のハードルはとんでもない上がり方になってしまった。

もう1つ嬉しいことがあったが、そんな神通力までもこのN-1 VICTORYにあるとしたら、なんとも霊験あらたかなことだ。それはさておき、さっそく妻の分と合わせ11/2両国国技館のマス席2枚を購入した。丸藤の20周年興行のような大舞台の戦いの熱狂をまた味わってみたいものだ。





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