菊池:この秋、東京で初のGⅠ天皇賞(秋)。今日も朝からお疲れ様でした。
ということで、回顧をしておきましょう。
菊池:週中の予報では、曇りのち雨だったのが、朝から雨でしたね。
京介:2~4R頃が一番雨が強くて、「傘買いに行かなきゃ」と思ったけど、
結局そんな時間もなくて、上半身ずぶ濡れになりました。
その結果、月曜日は風邪をひいて一日ダウン…
菊池:いや、それは予め傘持って来て下さいよ(笑)
雨予報だったんだから。
京介:そうだったね(苦笑)
午前中の未勝利戦の頃は滑る馬も結構いて、みんな差せなかったという状況。
補正は土曜日の内にされていて、内が伸びるし前が残る競馬が続いていた。
ようやく雨が収まったのは8R頃だったかな。
菊池:晴れ間は無かったから、渇きはしなかったものの馬場状態はその後、
平行ないし回復傾向という印象でしたね。
京介:全体的に馬群が外に広がらない傾向があったから、
騎手から見れば内が良いという意識だったんだろうね。
だけど現場では、午前中からさんざん雨に降られて気持ちは萎え気味だったけど、
良馬場発表のままでなかなか変わらないなあと不思議だった。
菊池:僕は、“稍重に限りなく近い良馬場”みたいな感じかと思っていたんですが・・
京介:レース結果を詳しく見て行くと、こりゃ良馬場発表で正解だったってことだね。
直前の紅葉Sは、1分32秒台の時計で先行馬が楽に押し切っているし、
天皇賞秋も差した馬が軒並み33秒前半の上がりを叩き出している。
芝が渋っていたと思えるのは、7Rの時までかな。
菊池:あの天候だったから、回復はないと思っていたのが大間違い。
京介:内ばかりが伸びた馬場とは言え、やっぱり府中競馬場の水捌けはホント凄い。
何だか、微妙に変わっていく馬場に騎手が翻弄されっぱなしだった
毎日王冠の時とそっくりだね。一番翻弄されたのは自分だったけれども。
菊池:レース展開も、シルポートこそ飛ばして逃げたものの、
全体で見れば昨年のようなハイペースにはなっていなかったですね。
京介:シルポート自身は、ハイペースの通過タイムとなったけど、
離れた2番手追走のカレンブラックヒルとダイワファルコンは追いかけず。
3コーナーの時にだいたい1.8秒、4コーナー通過の時には2.4秒、
残り400m標識の時は1.8秒ぐらいの差があるから、離れた2頭の通過は59秒台ぐらいかな。
そこから4番手の通過は半秒ぐらいあるし、まあスローペースと言っていいね。
菊池:そうなんですよね。結果、シルポートが刻んだラップが速いだけで
後ろの集団は縦長にならず横に膨れてほとんど団子状態。
トータルで見ればスローなんだよなぁ。
京介:カレンブラックヒルや4番手のフェノーメノに届くような位置にいなかった騎手は反省した方がいいでしょう。
もちろん33秒台前半の上がりを出せなかったり、体調の問題があってバテた馬は別にせよ。
菊池:シルポートとその他を分けて考えると、カレンブラックヒルは人気を
背負いながら後続の目標になる逃げ馬の役割だったんですね。
京介:秋山騎手は、乗り方が非常に難しかったね。
まず父ダイワメジャーと違って、2000mの距離が初めて。
おまけに前が飛ばし過ぎたし、後ろとの距離も測らなければいけない、
適当な仕掛けどころが分からなかったレース展開だと思う。
菊池:そんな中で、1分57秒7走破は、歴代で見ても優秀なタイムですし、良くまとめたと言えますよね。
京介:この馬なりに伸びてはいるけど、やっぱり追ってみると上がりは34秒台しか出せない。
後ろからの馬の目標となったしこの敗戦は仕方ないね。
菊池:にしても、今回は展開読み・状況把握が足りていなかった。
しっかり反省しないといけないなぁと考えています。
京介:結果的に、いつもの良馬場、かつ速い上がりが必須の天皇賞秋になって、
府中の大舞台で結果を残している馬が上手く行ったという結果だったね。
それにしても長い間結果を残せてないエイシンフラッシュが、
“ここでこそ!”というのは、馬柱から強気になれる理由が見当たらないなあ。
強い馬なのはもちろん知ってても。これはずっと強い馬だと追いかけてる人が
買って正解の、長いスパンでの確率の話になりそうな気もする。
菊池:今回はエイシンフラッシュを強気で買った人がもちろんエライですけど、
シルポートをちゃんと追いかけない2番手以降は馬群が離れて結果スロー。
そこをちゃんと考えれていればエイシンフラッシュは買えたし、
僕はちゃんと反省する派です(苦笑)
今週の注目馬は?→
【 エイシンフラッシュ 】
京介:さっきも触れたけど、なぜ今回?というのはいろいろあるよね。
・2000mは非常に強い馬だけれども、いろんな距離を使われてそれが隠れていた
・実は距離延長ローテだと対応力がかなり高くて、距離短縮の時よりも反応がいい
(1800mはエンジンの掛かりが遅くて下手なので、今年は一変可能なローテ)
・(いつも追い切りタイムは非常に良い馬だけれど)今回も追い切り好タイム、
ちなみにここ2週はデムーロ騎手が続けて追い切りに騎乗して出したもの
菊池:「追い切りはいつも良いから」…とか、それでも走らなかった時のことを
ついつい引きずってしまったかなと思いました。
京介:とにかく馬体はずっといいし追い切りタイムも常に良いものを見せるのに、
どのレースに行っても掛かってダメだったりフワフワしてタメを作れなかったりと、
見映えの良さに比べると全く持って安定感のないタイプだから、
買い続けてる人でも心が離れてしまうのも当然だと思う。
宝塚の負け方を見ると、雨馬場や平均的なペースも良くないのか?と考えちゃうしね。
菊池:やはり天皇賞(秋)と言えば、“近走成績”が重要なので、
そこで大きく割り引いた人も多かったと思います。
京介:そう。何より、リズムが絶対重要な天皇賞秋で、今年掲示板入りがないという成績が、
ほとんどの人の買う気を失わせた影響があるよね。
菊池:同時に、藤原英調教師が、「もうピークは過ぎていて、後はいかに今の状態を
維持しながら結果を出すか」という主旨の発言を見てしまいました。
僕はここで、「あぁ、そうなんだなぁ」と見切る気持ちが大きくなった。
やっぱり「デムーロにやられた!」って気持ちは強い。
京介:騎乗内容を見ると、改めてデムーロ騎手は凄いよね。
あまりにもハマりすぎたように見えるから、馬の評価そのものが難しい。
今まででもデムーロ騎手が乗ってたらどうだったのかまで考えると、
何も考えられないよ。天皇賞(秋)は外人を買うべきって結論になっちゃうのは、
いろいろ悲しい所もある。
菊池:まぁそれは良いじゃないですか。両陛下へのパフォーマンスも
想像を超える感動的なシーンでしたし。
さて、次走以降ですが、どうしましょうか。
京介:ひとまず引き続き、タフな本番型と言うことと、
G2だと斤量面で不利になるのは間違いないところだから、
G1で上位混戦の高レベル戦では端っこに押さえておくという扱いは必要なのか。
今までの激走も、絶妙な神騎乗がハマった時ぐらいしか来ていないから、
そう言う扱いがいいんじゃないかとしか個人的には言えないなあ…。
菊池:JCでこの馬向きの流れになることも、今回のようなドハマりも
さすがに考えづらいとは思っています。なので、次走は引き続き評価しない…
でも、そもそも人気しなそうだから、こんなこと言っても負け惜しみにしか
ならないのが残念なところ。
【 フェノーメノ 】
京介:これはもう、ベストの隊列だったんじゃないかな。
内枠で包まれるのが不安と思ったんだけど、大きく飛ばす逃げ馬がペースを混乱させ、
その後ろに有力馬含む2頭がいて、その後ろで集団を先導する4番手。
全く揉まれない形で、自分本位の仕掛けが可能な隊列。
カレンブラックヒルを悠々交わすように乗ればいいから、
今回のレースの流れはこの馬に向いたと言っていいでしょう。
菊池:蛯名騎手は完璧な騎乗ですよね。直線はカレンを捕えてから、
外から来るであろうダークシャドウやルーラーシップに併せるように
外に向かって追っていた。最内からエイシンフラッシュなんて思っても
いなかっただろうし、本当に「デムーロにやられた!」でしょう。
京介:距離OK、府中得意、斤量も2kg軽い。内枠から距離損なし。
腰は甘いけど歩幅も大きくパワー十分で、スケール感もあるいい仕上がり。
これで勝てなかったのは本当に痛恨だろうね。
自分は戸田厩舎のランクが低いから、勝ってくれなくて助かったと感じてるけど、
黄色ぐらいの水準だったら絶対軸だったろうなあとは思ってる。
菊池:勝ち切れなかったあたりが厩舎ランクなのかもしれませんね。
にしても仕上がりも含めて馬は本当に良かったと思います。
京介:あと一つ指摘するなら、この4回東京芝はステイゴールド産駒が調子悪くて、
21頭走って(0‐1‐3-17)とまだ誰も勝ってなかったんだよ。
どちらかというと、前残りスローペースが頻発する傾向で、
ステイゴールド産駒がバンバン好走するほどスタミナには寄らなかったのはある。
天皇賞(秋)ぐらいタフなレースになれば通用、と言う考えもできるけど。
菊池:さて、次走はおそらくJCでしょうね。オルフェーヴルがいる分、
楽なレースにはならないと思いますが、当然有力でしょう。
京介:このままJCに進むとは思うけれど、
今回はかなり流れが向いて勝ち切れなかった、と言うことは覚えておくべきだね。
瞬発力勝負で古馬一番になるほどの馬ではない、と解釈しつつ。
【 ルーラーシップ 】
京介:蹄や繋の質や、可動域の広さなどは、評価出来るのは重馬場の方。
スピード必須の良馬場だと知ってたら、このタイプの評価はやっぱり下げたと思う。
午前中から重馬場の傾向を示していたから、パドックではタフな馬場だと確実な
この馬を中心としたんだけど、思いのほか馬場が回復した分、違ったね。
菊池:ちょっと全体時計が速かったこと、上がりが速かったことが堪えましたね。
自身も上がり最速タイで追い込んでるけど、さすがにあの位置からは届かない。
京介:あの出遅れはダメでしょう!
そう言う予兆は、パドックや返し馬ではあんまり感じさせなかったけれども…。
メンディザバル騎手は、この日の府中は可もなく不可もなくといったところ。
正直、4Rと10Rの2つを見て悪影響がありそうかどうかは、読めない感じだね。
この出遅れに影響があったかどうかは不明。
菊池:ソツはないけど、デムーロ騎手のような意外性はない人っていう感じですよね。
少なくとも今回は、プラスアルファまではなかった。
京介:この馬自身が、中央でどうやってもG1勝ちに手が届かないのは、
馬のタイプ以外の所にも原因はありそうだね。
気性的なものだったり、走りが大味すぎるところだったり。
菊池:あと、いつも恵まれない。というのは、やっと今回雨が降って、
ついにルーラーシップが大得意の重馬場でGⅠを戦えるかと思いきや、
結果良馬場。前哨戦では恵みの雨が降るのにねぇ(苦笑)
京介:そこから大外を回ってあれだけ追い上げたんだから、
ロスし過ぎで一番強い競馬をしたのはこの馬だったと誰しもが認めるでしょう。
JCに出てくるのなら、オルフェーヴルに続いて人気になりそうだけれど、
香港に行くとすればパスなのかな。
【 その他 】
京介:昨年はピンナ騎手が相当東京開催のG1に向けて準備してた様子があって、
それで外人騎手の本気度があったら絶対に注意だと評価したけれども、
木曜日の展望で今年は正直、外人騎手の勝負気配は弱いんじゃないかと言ったよね?
そんなに早くから呼んで乗っている様子がないし、当日だけの騎乗だからと。
菊池:だけどそんな中でも、デムーロ騎手とメンディザバル騎手が1着3着でしたね。
京介:外人騎手が1人だけじゃなく3~4人が同時に登場して、
そのどれもが関西上位厩舎の有力馬に優先で乗れるようなムードがあるなら、
好走する確率が上がるのはそりゃあ当然と言えるかもしれないけど、
もうすっかり様相が変わってしまったね。
単純には言えないけれど、日本人-日本人の馬連を買ってる場合じゃない。
菊池:それは一理あるかもしれませんね。僕はダークシャドウを軸に買いましたが、
福永騎手はマズイ騎乗はしていないと思うけど、工夫は見られない。
昨年のように“動かないことで”バッチリ展開がハマれば勝ち寸前くらいは
いけるけど、今年のようにフラットなヨーイドンではさすがにキビシイ…
京介:ハイペースの先行勢総崩れならともかく、スローペースの上がり勝負に
なる展開だと、外人騎手は外せないと決めるべきなのかな。
この日初めて府中にやってきて、いきなりあの騎乗ができるのなら、
格の違いを本当に実感しちゃうよ。ずっと府中で乗って見ているはずの
日本人騎手は、ああいう騎乗ができないものなのかな?
菊池:そのあたりについては何とも…日本人騎手を責めるのではなく、
外人騎手を褒めることにしておきましょう(笑)
京介:それと、エイシンフラッシュに見るように、
前走必ずしも好走していなくても勝ててしまう…というのは、
久々に傾向から離れた激走例だったね。
今年に入って掲示板に載ってない馬でも来れてしまうとなると、
来年以降のこのレースの取り扱いが難しくなってしまうけど…。
これはやっぱり、追い切りの好調さと外人騎手のコンボで解決していくべき問題かな。
菊池:そうですね。“このデータがあるから消し!”ではなく、
他のセールスポイントがあって、それで相殺できる可能性は考えておかないと。
データはいずれ例外が出て当たり前なんですからね。
京介:あとは、3歳クラシック上位馬の強さ。
決して世代一番手ではなかったフェノーメノでも、ここで1番人気になって、
ちゃんとレースで強い内容を見せた。
今年の下半期のG1戦線は、常に3歳馬の取捨が問題になって来るんでしょう。
何より、タフなレースじゃなくて33秒台の上がり勝負になるなら、
斤量が軽いことが相当大きなアドバンテージになっていくだろうし、
今年の4歳世代は谷間扱いで軽視してもいいわけだからね。
菊池:やはり3冠馬が出た年の2番手以下ってダメだよなぁ。
~~~~
菊池:と、まぁこんなところでしょうか。
さて、今週はGⅠこそお休みですが、土日で重賞が3つあります!
展望トークもやりますので、お楽しみに!!

ということで、回顧をしておきましょう。
~~天皇賞(秋)回顧~~
菊池:週中の予報では、曇りのち雨だったのが、朝から雨でしたね。
京介:2~4R頃が一番雨が強くて、「傘買いに行かなきゃ」と思ったけど、
結局そんな時間もなくて、上半身ずぶ濡れになりました。
その結果、月曜日は風邪をひいて一日ダウン…
菊池:いや、それは予め傘持って来て下さいよ(笑)
雨予報だったんだから。
京介:そうだったね(苦笑)
午前中の未勝利戦の頃は滑る馬も結構いて、みんな差せなかったという状況。
補正は土曜日の内にされていて、内が伸びるし前が残る競馬が続いていた。
ようやく雨が収まったのは8R頃だったかな。
菊池:晴れ間は無かったから、渇きはしなかったものの馬場状態はその後、
平行ないし回復傾向という印象でしたね。
京介:全体的に馬群が外に広がらない傾向があったから、
騎手から見れば内が良いという意識だったんだろうね。
だけど現場では、午前中からさんざん雨に降られて気持ちは萎え気味だったけど、
良馬場発表のままでなかなか変わらないなあと不思議だった。
菊池:僕は、“稍重に限りなく近い良馬場”みたいな感じかと思っていたんですが・・
京介:レース結果を詳しく見て行くと、こりゃ良馬場発表で正解だったってことだね。
直前の紅葉Sは、1分32秒台の時計で先行馬が楽に押し切っているし、
天皇賞秋も差した馬が軒並み33秒前半の上がりを叩き出している。
芝が渋っていたと思えるのは、7Rの時までかな。
菊池:あの天候だったから、回復はないと思っていたのが大間違い。
京介:内ばかりが伸びた馬場とは言え、やっぱり府中競馬場の水捌けはホント凄い。
何だか、微妙に変わっていく馬場に騎手が翻弄されっぱなしだった
毎日王冠の時とそっくりだね。一番翻弄されたのは自分だったけれども。
菊池:レース展開も、シルポートこそ飛ばして逃げたものの、
全体で見れば昨年のようなハイペースにはなっていなかったですね。
京介:シルポート自身は、ハイペースの通過タイムとなったけど、
離れた2番手追走のカレンブラックヒルとダイワファルコンは追いかけず。
3コーナーの時にだいたい1.8秒、4コーナー通過の時には2.4秒、
残り400m標識の時は1.8秒ぐらいの差があるから、離れた2頭の通過は59秒台ぐらいかな。
そこから4番手の通過は半秒ぐらいあるし、まあスローペースと言っていいね。
菊池:そうなんですよね。結果、シルポートが刻んだラップが速いだけで
後ろの集団は縦長にならず横に膨れてほとんど団子状態。
トータルで見ればスローなんだよなぁ。
京介:カレンブラックヒルや4番手のフェノーメノに届くような位置にいなかった騎手は反省した方がいいでしょう。
もちろん33秒台前半の上がりを出せなかったり、体調の問題があってバテた馬は別にせよ。
菊池:シルポートとその他を分けて考えると、カレンブラックヒルは人気を
背負いながら後続の目標になる逃げ馬の役割だったんですね。
京介:秋山騎手は、乗り方が非常に難しかったね。
まず父ダイワメジャーと違って、2000mの距離が初めて。
おまけに前が飛ばし過ぎたし、後ろとの距離も測らなければいけない、
適当な仕掛けどころが分からなかったレース展開だと思う。
菊池:そんな中で、1分57秒7走破は、歴代で見ても優秀なタイムですし、良くまとめたと言えますよね。
京介:この馬なりに伸びてはいるけど、やっぱり追ってみると上がりは34秒台しか出せない。
後ろからの馬の目標となったしこの敗戦は仕方ないね。
菊池:にしても、今回は展開読み・状況把握が足りていなかった。
しっかり反省しないといけないなぁと考えています。
京介:結果的に、いつもの良馬場、かつ速い上がりが必須の天皇賞秋になって、
府中の大舞台で結果を残している馬が上手く行ったという結果だったね。
それにしても長い間結果を残せてないエイシンフラッシュが、
“ここでこそ!”というのは、馬柱から強気になれる理由が見当たらないなあ。
強い馬なのはもちろん知ってても。これはずっと強い馬だと追いかけてる人が
買って正解の、長いスパンでの確率の話になりそうな気もする。
菊池:今回はエイシンフラッシュを強気で買った人がもちろんエライですけど、
シルポートをちゃんと追いかけない2番手以降は馬群が離れて結果スロー。
そこをちゃんと考えれていればエイシンフラッシュは買えたし、
僕はちゃんと反省する派です(苦笑)
今週の注目馬は?→

【 エイシンフラッシュ 】
京介:さっきも触れたけど、なぜ今回?というのはいろいろあるよね。
・2000mは非常に強い馬だけれども、いろんな距離を使われてそれが隠れていた
・実は距離延長ローテだと対応力がかなり高くて、距離短縮の時よりも反応がいい
(1800mはエンジンの掛かりが遅くて下手なので、今年は一変可能なローテ)
・(いつも追い切りタイムは非常に良い馬だけれど)今回も追い切り好タイム、
ちなみにここ2週はデムーロ騎手が続けて追い切りに騎乗して出したもの
菊池:「追い切りはいつも良いから」…とか、それでも走らなかった時のことを
ついつい引きずってしまったかなと思いました。
京介:とにかく馬体はずっといいし追い切りタイムも常に良いものを見せるのに、
どのレースに行っても掛かってダメだったりフワフワしてタメを作れなかったりと、
見映えの良さに比べると全く持って安定感のないタイプだから、
買い続けてる人でも心が離れてしまうのも当然だと思う。
宝塚の負け方を見ると、雨馬場や平均的なペースも良くないのか?と考えちゃうしね。
菊池:やはり天皇賞(秋)と言えば、“近走成績”が重要なので、
そこで大きく割り引いた人も多かったと思います。
京介:そう。何より、リズムが絶対重要な天皇賞秋で、今年掲示板入りがないという成績が、
ほとんどの人の買う気を失わせた影響があるよね。
菊池:同時に、藤原英調教師が、「もうピークは過ぎていて、後はいかに今の状態を
維持しながら結果を出すか」という主旨の発言を見てしまいました。
僕はここで、「あぁ、そうなんだなぁ」と見切る気持ちが大きくなった。
やっぱり「デムーロにやられた!」って気持ちは強い。
京介:騎乗内容を見ると、改めてデムーロ騎手は凄いよね。
あまりにもハマりすぎたように見えるから、馬の評価そのものが難しい。
今まででもデムーロ騎手が乗ってたらどうだったのかまで考えると、
何も考えられないよ。天皇賞(秋)は外人を買うべきって結論になっちゃうのは、
いろいろ悲しい所もある。
菊池:まぁそれは良いじゃないですか。両陛下へのパフォーマンスも
想像を超える感動的なシーンでしたし。
さて、次走以降ですが、どうしましょうか。
京介:ひとまず引き続き、タフな本番型と言うことと、
G2だと斤量面で不利になるのは間違いないところだから、
G1で上位混戦の高レベル戦では端っこに押さえておくという扱いは必要なのか。
今までの激走も、絶妙な神騎乗がハマった時ぐらいしか来ていないから、
そう言う扱いがいいんじゃないかとしか個人的には言えないなあ…。
菊池:JCでこの馬向きの流れになることも、今回のようなドハマりも
さすがに考えづらいとは思っています。なので、次走は引き続き評価しない…
でも、そもそも人気しなそうだから、こんなこと言っても負け惜しみにしか
ならないのが残念なところ。
【 フェノーメノ 】
京介:これはもう、ベストの隊列だったんじゃないかな。
内枠で包まれるのが不安と思ったんだけど、大きく飛ばす逃げ馬がペースを混乱させ、
その後ろに有力馬含む2頭がいて、その後ろで集団を先導する4番手。
全く揉まれない形で、自分本位の仕掛けが可能な隊列。
カレンブラックヒルを悠々交わすように乗ればいいから、
今回のレースの流れはこの馬に向いたと言っていいでしょう。
菊池:蛯名騎手は完璧な騎乗ですよね。直線はカレンを捕えてから、
外から来るであろうダークシャドウやルーラーシップに併せるように
外に向かって追っていた。最内からエイシンフラッシュなんて思っても
いなかっただろうし、本当に「デムーロにやられた!」でしょう。
京介:距離OK、府中得意、斤量も2kg軽い。内枠から距離損なし。
腰は甘いけど歩幅も大きくパワー十分で、スケール感もあるいい仕上がり。
これで勝てなかったのは本当に痛恨だろうね。
自分は戸田厩舎のランクが低いから、勝ってくれなくて助かったと感じてるけど、
黄色ぐらいの水準だったら絶対軸だったろうなあとは思ってる。
菊池:勝ち切れなかったあたりが厩舎ランクなのかもしれませんね。
にしても仕上がりも含めて馬は本当に良かったと思います。
京介:あと一つ指摘するなら、この4回東京芝はステイゴールド産駒が調子悪くて、
21頭走って(0‐1‐3-17)とまだ誰も勝ってなかったんだよ。
どちらかというと、前残りスローペースが頻発する傾向で、
ステイゴールド産駒がバンバン好走するほどスタミナには寄らなかったのはある。
天皇賞(秋)ぐらいタフなレースになれば通用、と言う考えもできるけど。
菊池:さて、次走はおそらくJCでしょうね。オルフェーヴルがいる分、
楽なレースにはならないと思いますが、当然有力でしょう。
京介:このままJCに進むとは思うけれど、
今回はかなり流れが向いて勝ち切れなかった、と言うことは覚えておくべきだね。
瞬発力勝負で古馬一番になるほどの馬ではない、と解釈しつつ。
【 ルーラーシップ 】
京介:蹄や繋の質や、可動域の広さなどは、評価出来るのは重馬場の方。
スピード必須の良馬場だと知ってたら、このタイプの評価はやっぱり下げたと思う。
午前中から重馬場の傾向を示していたから、パドックではタフな馬場だと確実な
この馬を中心としたんだけど、思いのほか馬場が回復した分、違ったね。
菊池:ちょっと全体時計が速かったこと、上がりが速かったことが堪えましたね。
自身も上がり最速タイで追い込んでるけど、さすがにあの位置からは届かない。
京介:あの出遅れはダメでしょう!
そう言う予兆は、パドックや返し馬ではあんまり感じさせなかったけれども…。
メンディザバル騎手は、この日の府中は可もなく不可もなくといったところ。
正直、4Rと10Rの2つを見て悪影響がありそうかどうかは、読めない感じだね。
この出遅れに影響があったかどうかは不明。
菊池:ソツはないけど、デムーロ騎手のような意外性はない人っていう感じですよね。
少なくとも今回は、プラスアルファまではなかった。
京介:この馬自身が、中央でどうやってもG1勝ちに手が届かないのは、
馬のタイプ以外の所にも原因はありそうだね。
気性的なものだったり、走りが大味すぎるところだったり。
菊池:あと、いつも恵まれない。というのは、やっと今回雨が降って、
ついにルーラーシップが大得意の重馬場でGⅠを戦えるかと思いきや、
結果良馬場。前哨戦では恵みの雨が降るのにねぇ(苦笑)
京介:そこから大外を回ってあれだけ追い上げたんだから、
ロスし過ぎで一番強い競馬をしたのはこの馬だったと誰しもが認めるでしょう。
JCに出てくるのなら、オルフェーヴルに続いて人気になりそうだけれど、
香港に行くとすればパスなのかな。
【 その他 】
京介:昨年はピンナ騎手が相当東京開催のG1に向けて準備してた様子があって、
それで外人騎手の本気度があったら絶対に注意だと評価したけれども、
木曜日の展望で今年は正直、外人騎手の勝負気配は弱いんじゃないかと言ったよね?
そんなに早くから呼んで乗っている様子がないし、当日だけの騎乗だからと。
菊池:だけどそんな中でも、デムーロ騎手とメンディザバル騎手が1着3着でしたね。
京介:外人騎手が1人だけじゃなく3~4人が同時に登場して、
そのどれもが関西上位厩舎の有力馬に優先で乗れるようなムードがあるなら、
好走する確率が上がるのはそりゃあ当然と言えるかもしれないけど、
もうすっかり様相が変わってしまったね。
単純には言えないけれど、日本人-日本人の馬連を買ってる場合じゃない。
菊池:それは一理あるかもしれませんね。僕はダークシャドウを軸に買いましたが、
福永騎手はマズイ騎乗はしていないと思うけど、工夫は見られない。
昨年のように“動かないことで”バッチリ展開がハマれば勝ち寸前くらいは
いけるけど、今年のようにフラットなヨーイドンではさすがにキビシイ…
京介:ハイペースの先行勢総崩れならともかく、スローペースの上がり勝負に
なる展開だと、外人騎手は外せないと決めるべきなのかな。
この日初めて府中にやってきて、いきなりあの騎乗ができるのなら、
格の違いを本当に実感しちゃうよ。ずっと府中で乗って見ているはずの
日本人騎手は、ああいう騎乗ができないものなのかな?
菊池:そのあたりについては何とも…日本人騎手を責めるのではなく、
外人騎手を褒めることにしておきましょう(笑)
京介:それと、エイシンフラッシュに見るように、
前走必ずしも好走していなくても勝ててしまう…というのは、
久々に傾向から離れた激走例だったね。
今年に入って掲示板に載ってない馬でも来れてしまうとなると、
来年以降のこのレースの取り扱いが難しくなってしまうけど…。
これはやっぱり、追い切りの好調さと外人騎手のコンボで解決していくべき問題かな。
菊池:そうですね。“このデータがあるから消し!”ではなく、
他のセールスポイントがあって、それで相殺できる可能性は考えておかないと。
データはいずれ例外が出て当たり前なんですからね。
京介:あとは、3歳クラシック上位馬の強さ。
決して世代一番手ではなかったフェノーメノでも、ここで1番人気になって、
ちゃんとレースで強い内容を見せた。
今年の下半期のG1戦線は、常に3歳馬の取捨が問題になって来るんでしょう。
何より、タフなレースじゃなくて33秒台の上がり勝負になるなら、
斤量が軽いことが相当大きなアドバンテージになっていくだろうし、
今年の4歳世代は谷間扱いで軽視してもいいわけだからね。
菊池:やはり3冠馬が出た年の2番手以下ってダメだよなぁ。
~~~~
菊池:と、まぁこんなところでしょうか。
さて、今週はGⅠこそお休みですが、土日で重賞が3つあります!
展望トークもやりますので、お楽しみに!!
