菊池 いよいよ今年もダービーの週を迎えました!
京介 有馬記念とはまた違う意味で、自分たちの仕事の上では1年の締めくくりと捉えているんだけど、キレイな形でまとめられるのか。ビシッと決めたいねえ。
菊池 では、展望していきましょう!
京介 さて、まずダービーの基本的なところからおさらいして行こうかな。
====
・前走勝った馬が1番人気になっていたら、ほぼ鉄板。
(1番人気になるとむしろダメなのは、前走負けていた馬。)
・皐月賞組も、4着以内じゃないとかなり確率が下がる。
G2以下の前哨戦から来た馬は、1着じゃないと連対できない。
巻き返せる前走大敗馬は、今年重賞勝ち馬で且つ、前走皐月賞 or NHKマイルC。
・今年未勝利の馬は、年明け緒戦で1番人気+当日5番人気以内が条件。
・鞍上が連続騎乗と言うのが本当に大切。
・最近の高速馬場では、内枠有利と8枠不利が顕著。
====
菊池 割と、気にしないといけないデータは色々あるんですよね。
京介 そして逆に、そこまで重要ではないというのは…
====
・4勝馬どころか5勝馬でも案外負けるので過信は禁物。
・今年の騎手リーディング順は全く関係なし。
====
菊池 勝ち数が多いことは重要ですが、コロっと負けてしまうこともあると。そして、騎手に関しては、06年のメイショウサムソンなんかが良い例でしょうか。
京介 パドック的な出来事としては…
====
・カリカリ、ギリギリの造りの仕上げはむしろ推奨。
・直前軽めの追い切りは軽視でOK(特に関東馬)。
・ある程度の脚元悪化は許容すべし。
====
京介 といったところかな。
菊池 昨年のエピファネイアと、一昨年のディープブリランテ。パドック的によく見せないほどギリギリまで仕上げた場合は割引過ぎに中位という話になりましたね。
京介 2つ3つ当てはまりそうな馬はどんどん下げて行って、少点数で取りに行くレースではあるんだよね。主に1番人気が安定しているし、これまでのダービーの法則というものが本当に強固で、相手もそこまで大穴と言うわけにはいかないから。3桁配当を2点で取るか、中穴の馬単を5点でまとめるか。先にある程度アテをつけておくイメージ。
菊池 やっぱりダービーは絞って獲るイメージですね。さて、それが今年どうなのかと。
京介 そうなんだよね。こういった方法論がそこそこ決まっているレースだと言うことを覚えた上で、今年の趨勢はこんな感じだという流れを見直してみよう。
菊池 まずは、混戦ムードが濃いです。
京介 最初に、皐月賞の1着2着馬があまり信用されてない。ダービーでの好走馬がなかなか出ていないフジキセキ産駒&キングカメハメハ産駒だったし、イスラボニータがハープスター相手に完敗していることもあって、本当に皐月賞ってレベル高かったのかな?と言われている。
菊池 指数の面でも皐月賞が桜花賞を下回りました。
京介 レース内容、フォーム分析からも違和感があるから、2400mになってどうか?とも思われているよね。
菊池 イスラボニータには距離不安が。トゥザワールドには東京コースへの不安がつきまとう印象です。
京介 そして、強力牝馬からレッドリヴェールが出走してくるんだけど、こちらは数を使えずローテーションがトビトビになりがちで、おまけに今回は初騎乗の福永祐一騎手にスイッチ。桜花賞後にダービーにすぐ行くと決めたわけでなくタイムラグがあった(4月27日、皐月賞終了後)から、戸崎騎手を確保し切れなかったのかなと。調教後の時点で420kg、もっと減るのは確実と言う話もあるし。
菊池 そこですよね。レッドリヴェールにも突っ込みどころが満載なのが、ちょっと悩ましくなっちゃう。
京介 さらには、この皐月賞組&レッドリヴェール以外の有力路線、青葉賞・京都新聞杯・NHKマイルC・プリンシパルS組。このどれもが、思ったよりも指数が伸びてこなかった。これも悩ませる原因の一つになっているね。
菊池 そうなんですよ…。トライアルには期待したのに、指数面でどれも皐月賞トライアル以下の内容。
京介 王道路線の皐月賞組相手に、前走1着でバシッと並ぶほど、成長力が足りていれば何も悩まずに済むことがあるけれど…。今年はどのレースも、IDM55にすら届いてないと。指数のモノサシで測ると、上位は皐月賞組だらけで、それにレッドリヴェールが割って入ると言う相手関係。
菊池 そして、そのあたりが総じて人気。結局、指数が低いこともバッチリばれていて、ダービートライアル組も人気してくれない。
京介 おおよそビシッと「距離OK、能力OK、ローテーションOK、騎手OK」とキレイに答が出る、1番人気で当然と思える中心馬や、このダービーと言うレースを勝つにふさわしいと思える馬がいないように見える。大きな粗が見えてしまう馬ばかりなのが悩ましいんだよね。
菊池 実は今年ここまでのGⅠの中で、一番難しいという印象…。
京介 自分も、前日に用意された材料だけで答を捻り出すのは避けて、もっと大きいパズルピースが必要なんじゃないの?とは思っているんだ。
菊池 ある程度のリスクは割り切って背負うしかなさそうだ…というのが僕の見解です。
イスラボニータ
京介 やっぱりこれまで3着しかないフジキセキ産駒、そして栗田厩舎というのがなあ…。これ、馬体写真見ていると前脚のポツポツが何か怪しくない?
菊池 厩舎のことは、気にしすぎない方がいいんじゃないでしょうか。皐月賞終わりで、結局は外厩仕上げだから関係ないっていう結論になりましたし。ただ、脚のことは当日の情報が欲しいですね。
京介 ここ一番の勝負どころで「いつも通り調整」をしていると、ロゴタイプの二の舞になりかねないのがダービーだからね。
菊池 なるほど、そういう意味ですか。確かに、ダービーを勝つ仕上げができるのか、できないのかと。実は調教系の指数は皐月賞ほどではなかったりします。
京介 蛯名騎手はこと東京芝2400mの別のG1ではそれほど問題ない。蛯名騎手も今年はG1を2勝、重賞合計6勝していて絶好調にいる。そして何より、皐月賞は他の馬にキチンと差を付けて勝った内容。IDMの伸びしろを考えると、やっぱり信用しそうになる。だけどそこをグッとこらえて他の馬を探したい、と考えているけども。
菊池 無理に逆らおうとしすぎるのはいかがなものでしょうか。展開がこの馬に向いてしまえば、勝っちゃうシーンは全然あると思います。厳しい流れにならず、むしろ瞬発力が生きる流れなら、やっぱり東京重賞2勝は、大きな強みでしょう。戦歴も文句なし。結局は、"フジキセキ"と"栗田厩舎"の2点が大きな不安というところで。
トゥザワールド
京介 足腰がビシッと決まっている馬なんだけれども、イスラボニータのようなしなやかさがない。飛節や繋のクッションが足りないから、脚の回転は速いのにもう一伸び出来ないように見えるね。距離延長を能力でカバー、とは行かないかも?と思うのはその点。
菊池 京介さんとしては、距離延長も不暗視しますか。僕は兄トゥザグローリーやルーラーシップのような、ややスケール押しに寄ったタイプのキンカメ産駒は上がり勝負に不安があるなぁと考えていましたが。
京介 だけどこれは、良い意味で裏切ってくれないかなと思う。中間の乗り込み量もかなりあるようだし、直前追い切りも本当に良く動いていた。川田騎手もオークスの反省を活かせないものかな。
菊池 どうでしょう?川田騎手の心理状態はちょっと心配ですね。レースが上手い馬なので、極端な瞬発力勝負にならなければ大崩れはしないと思いますが、勝ちきるイメージがもう一つ。厩舎はダービーという意味では頼りになりますけども。
ワンアンドオンリー
京介 皐月賞直前のあの追い切り内容で、それでもまだ馬体がベストには仕上がって来ない。やっぱり古馬か、あるいは秋なのかなあ…と感じさせる。
菊池 ハーツクライ自身が完成は4歳秋。ジャスタウェイも同様。しかし、ヌーヴォレコルトが産駒初のクラシック制覇。これをどう見るかですね。牡馬・牝馬の差はありますが、ワンアンドオンリーは母系が短距離馬という意味では、ヌーヴォレコルトと共通点があります。
京介 追い込みなのが分かっている馬を、ハイペースになる根拠なしにダービーで買うのは下策。前走皐月賞のレース振りは一番だったし、この距離もいいけど、もうちょっと何か一味欲しい。内枠も良くないよね。
菊池 ハーツクライ産駒の東京芝2400m成績はもちろん良いのですが、この馬は稍重のラジオNIKKEI杯、荒れ馬場の春の中山で結果を残してきました。仕上がっていなかった新馬戦を除くと、掲示板を外したのが東京の舞台。そのあたりがちょっと気になります。
レッドリヴェール
京介 この馬のアピールポイントは、レース履歴が単純に少ないのに、もう牡馬のトップレベルと並ぶ水準のIDMが出ていること。
菊池 超スローになった新馬戦を33秒3の上がりで差し切ったかと思えば、極端に上がりの掛かる札幌2歳Sでも勝ち、阪神JFでは叩き合いの接戦をモノにする根性も見せました。この3戦は凄いと思います。桜花賞でも皐月賞勝ち負け水準のIDMでしたね。
京介 今年が叩き2戦目、2000m以上の経験なし、そして初騎乗の福永騎手なのは不安が大きいけれどもね。
菊池 ダービーのテン乗りはマイナスというのは、もうずっと続いている傾向ですもんね。2000m初めてはどうでしょう。ウオッカも1800mまでしか経験がありませんでしたから、気にしすぎなくてもいいような気がしますが。
京介 もう一つ、馬体が小さすぎる方なのも不安点。先週サングレアルのような例があったから、直前までちゃんと待って馬体も見てから判断を下したい。好走に条件がいろいろついてしまう時点で、扱いを一段下げるのが正解かもしれないけれど。
菊池 全てがスッキリ買えるかと言えばそうではないですよね。確かに嫌な部分は多数あります。しかし、今年は誰ひとりスッキリ買えるぞ!って馬もいないので何とも…。テン乗りの減点、馬体重の減点をどの程度重く見るかですね。
トーセンスターダム
菊池 皐月賞が案外の敗戦でした。
京介 この馬はまだ発展途上だと思うんだよね。池江泰寿厩舎にいてトモが薄く腰もかなり甘いなんてのは、厩舎の序列の中で後回しにされているように感じてならない。
菊池 3戦目までの3連勝は、すべて少頭数・上がり勝負ばかりでした。皐月賞で初めて厳しい競馬を経験したかたちなので、ローテ的にも今回は上積みがあると思いますが。
京介 でも、その皐月賞のパドックで全然目立たなかったんだよなぁ。きさらぎ賞→皐月賞の間に何かあったんじゃないかと勘繰るほど。現時点では、大幅巻き返しは厳しいかな…と思っている。
菊池 早い段階からダービー狙いのローテを歩んできたことは、評価されてもいいのではないかとも思います。鞍上がデビュー戦からずっと手綱を取っていることも強みでしょう。それでも、関西のトラックマンがソコソコの評価しかしなそうな雰囲気が、不安要素だと思いますが…。
~~~~
菊池 では、穴馬を挙げましょうか。
ベルキャニオン
京介 一時期調子落ちがあって、負けて仕方ない条件を歩んでいる、情状酌量余地のあるローテーションと言えるのはこの馬かな?
菊池 年明け5走目というのは、結構使っている方で、レース間隔でいうとデビューからほぼ休みなく競馬をしていますね。
京介 最初の考えで、ダービーで優先的に評価したいのは脚長ディープ。この馬はまずそれはクリアしているよね。堀厩舎なのもOK。この馬は年明け緒戦を共同通信杯からスタートしたんだけど、その共同通信杯は順延競馬となった週に突っ込んだ登録でしょ。まだ馬体が万全でない時に無理して出た、と言うフシもあったんだ。そこで激走したと同時に、勝てなかったダメージが尾を引いたのかも。
菊池 そのせいもあってか、スプリングS・皐月賞と掲示板の下に敗れました。
京介 それに福永騎手も中山芝とのピントが合ってなかったし、ディープインパクト産駒も中山開催は絶賛全滅中だったよね。持ち前の瞬発力が全く活かされない展開・馬場だった上で、スプリングSは酷い競馬だったし、皐月賞は完全に下げたのがミス。今考えると、あのペースの皐月賞で4角16番手って何か大きな思惑を抱えて乗ってないと、あんなのやらないよね。体調下降か、脚元の不安が実はあったんじゃ…と怪しくなる騎乗だった。
菊池 その割に7着はよく頑張っているとも言えなくはないですね。
京介 だけど、プリンシパルSをちゃんと勝てたことで、「中山開催を使ったダメージが残ってない、これでリズムを取り戻せた」・「福永騎手から戸崎騎手にスイッチできたこと」・「得意な条件に変わればちゃんと力を出せるタイプ」と言うのを同時に証明できたでしょ。元々前脚に大きな骨瘤があった馬だから、ちゃんと勝ち切る競馬が出来たことも大きい。
菊池 堀厩舎がクラシックシーズンにこれだけ使い込むのも珍しいですね。
京介 中3週と間隔が詰まっているのに、直前の追い切りの様子がかなり良かったのを見て、「このシーズンになってからの急上昇ぶり」の手応えを得たのもある。皐月賞もプリンシパルSも、明らかに直前軽めだった。それと比べると段違いの動きに見えるからね。
菊池 ずいぶん入れ込みますね!こりゃ京介さんは…いや、やめておきましょう(笑)。
ワールドインパクト
菊池 青葉賞の時計が平凡だったことに加えて負けたので、案外人気になりませんね。前走は確実に権利を獲るために、早め早めの競馬をしました。本当はあれを押し切って欲しかったですけど、最後捕まったのは直線一気に懸けていた穴馬の強襲。まぁ許容範囲と言えば許容範囲ですね。今回は白帽→ピンク帽と、枠の引きの流れはあまりよくありませんが、腹を括って直線勝負に徹することができるという見方もできます。2走前の大寒桜賞は、京都新聞杯勝ちのハギノハイブリッドを、豪快に差し切りました。皐月賞組・桜花賞組を除けばトップはこの馬でしょう。つまり、そのあたりの上位組にほころびがあれば出番が回ってくる可能性も…。
整理すると…。
<買い材料>
・意外と経験した競馬パターンが多い。
・今回はベストパフォーマンス時と同じ競馬をしそう。
・連対率100%維持。
・コース経験あり(ダービーではやや意味薄いけど)。
<割引材料>
・鞍上がコロコロ変わりすぎ。(ダービーで勝ち負けする馬を、みんなそんなに簡単に降りるのか?)
・大外枠。
・青葉賞の指数(それまでも)が低い。
・一線級と未対戦(青葉賞に皐月賞組の出走が無かった)。
~~~~
菊池 では、こんなところにしておきまして、最終結論はコラムとガチンコ予想でチェックしていただきましょう!
※最終結論は、それぞれのコラムでチェック!!
京介 有馬記念とはまた違う意味で、自分たちの仕事の上では1年の締めくくりと捉えているんだけど、キレイな形でまとめられるのか。ビシッと決めたいねえ。
菊池 では、展望していきましょう!
ダービー 展望
京介 さて、まずダービーの基本的なところからおさらいして行こうかな。
====
・前走勝った馬が1番人気になっていたら、ほぼ鉄板。
(1番人気になるとむしろダメなのは、前走負けていた馬。)
・皐月賞組も、4着以内じゃないとかなり確率が下がる。
G2以下の前哨戦から来た馬は、1着じゃないと連対できない。
巻き返せる前走大敗馬は、今年重賞勝ち馬で且つ、前走皐月賞 or NHKマイルC。
・今年未勝利の馬は、年明け緒戦で1番人気+当日5番人気以内が条件。
・鞍上が連続騎乗と言うのが本当に大切。
・最近の高速馬場では、内枠有利と8枠不利が顕著。
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菊池 割と、気にしないといけないデータは色々あるんですよね。
京介 そして逆に、そこまで重要ではないというのは…
====
・4勝馬どころか5勝馬でも案外負けるので過信は禁物。
・今年の騎手リーディング順は全く関係なし。
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菊池 勝ち数が多いことは重要ですが、コロっと負けてしまうこともあると。そして、騎手に関しては、06年のメイショウサムソンなんかが良い例でしょうか。
京介 パドック的な出来事としては…
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・カリカリ、ギリギリの造りの仕上げはむしろ推奨。
・直前軽めの追い切りは軽視でOK(特に関東馬)。
・ある程度の脚元悪化は許容すべし。
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京介 といったところかな。
菊池 昨年のエピファネイアと、一昨年のディープブリランテ。パドック的によく見せないほどギリギリまで仕上げた場合は割引過ぎに中位という話になりましたね。
京介 2つ3つ当てはまりそうな馬はどんどん下げて行って、少点数で取りに行くレースではあるんだよね。主に1番人気が安定しているし、これまでのダービーの法則というものが本当に強固で、相手もそこまで大穴と言うわけにはいかないから。3桁配当を2点で取るか、中穴の馬単を5点でまとめるか。先にある程度アテをつけておくイメージ。
菊池 やっぱりダービーは絞って獲るイメージですね。さて、それが今年どうなのかと。
京介 そうなんだよね。こういった方法論がそこそこ決まっているレースだと言うことを覚えた上で、今年の趨勢はこんな感じだという流れを見直してみよう。
菊池 まずは、混戦ムードが濃いです。
京介 最初に、皐月賞の1着2着馬があまり信用されてない。ダービーでの好走馬がなかなか出ていないフジキセキ産駒&キングカメハメハ産駒だったし、イスラボニータがハープスター相手に完敗していることもあって、本当に皐月賞ってレベル高かったのかな?と言われている。
菊池 指数の面でも皐月賞が桜花賞を下回りました。
京介 レース内容、フォーム分析からも違和感があるから、2400mになってどうか?とも思われているよね。
菊池 イスラボニータには距離不安が。トゥザワールドには東京コースへの不安がつきまとう印象です。
京介 そして、強力牝馬からレッドリヴェールが出走してくるんだけど、こちらは数を使えずローテーションがトビトビになりがちで、おまけに今回は初騎乗の福永祐一騎手にスイッチ。桜花賞後にダービーにすぐ行くと決めたわけでなくタイムラグがあった(4月27日、皐月賞終了後)から、戸崎騎手を確保し切れなかったのかなと。調教後の時点で420kg、もっと減るのは確実と言う話もあるし。
菊池 そこですよね。レッドリヴェールにも突っ込みどころが満載なのが、ちょっと悩ましくなっちゃう。
京介 さらには、この皐月賞組&レッドリヴェール以外の有力路線、青葉賞・京都新聞杯・NHKマイルC・プリンシパルS組。このどれもが、思ったよりも指数が伸びてこなかった。これも悩ませる原因の一つになっているね。
菊池 そうなんですよ…。トライアルには期待したのに、指数面でどれも皐月賞トライアル以下の内容。
京介 王道路線の皐月賞組相手に、前走1着でバシッと並ぶほど、成長力が足りていれば何も悩まずに済むことがあるけれど…。今年はどのレースも、IDM55にすら届いてないと。指数のモノサシで測ると、上位は皐月賞組だらけで、それにレッドリヴェールが割って入ると言う相手関係。
菊池 そして、そのあたりが総じて人気。結局、指数が低いこともバッチリばれていて、ダービートライアル組も人気してくれない。
京介 おおよそビシッと「距離OK、能力OK、ローテーションOK、騎手OK」とキレイに答が出る、1番人気で当然と思える中心馬や、このダービーと言うレースを勝つにふさわしいと思える馬がいないように見える。大きな粗が見えてしまう馬ばかりなのが悩ましいんだよね。
菊池 実は今年ここまでのGⅠの中で、一番難しいという印象…。
京介 自分も、前日に用意された材料だけで答を捻り出すのは避けて、もっと大きいパズルピースが必要なんじゃないの?とは思っているんだ。
菊池 ある程度のリスクは割り切って背負うしかなさそうだ…というのが僕の見解です。
イスラボニータ
京介 やっぱりこれまで3着しかないフジキセキ産駒、そして栗田厩舎というのがなあ…。これ、馬体写真見ていると前脚のポツポツが何か怪しくない?
菊池 厩舎のことは、気にしすぎない方がいいんじゃないでしょうか。皐月賞終わりで、結局は外厩仕上げだから関係ないっていう結論になりましたし。ただ、脚のことは当日の情報が欲しいですね。
京介 ここ一番の勝負どころで「いつも通り調整」をしていると、ロゴタイプの二の舞になりかねないのがダービーだからね。
菊池 なるほど、そういう意味ですか。確かに、ダービーを勝つ仕上げができるのか、できないのかと。実は調教系の指数は皐月賞ほどではなかったりします。
京介 蛯名騎手はこと東京芝2400mの別のG1ではそれほど問題ない。蛯名騎手も今年はG1を2勝、重賞合計6勝していて絶好調にいる。そして何より、皐月賞は他の馬にキチンと差を付けて勝った内容。IDMの伸びしろを考えると、やっぱり信用しそうになる。だけどそこをグッとこらえて他の馬を探したい、と考えているけども。
菊池 無理に逆らおうとしすぎるのはいかがなものでしょうか。展開がこの馬に向いてしまえば、勝っちゃうシーンは全然あると思います。厳しい流れにならず、むしろ瞬発力が生きる流れなら、やっぱり東京重賞2勝は、大きな強みでしょう。戦歴も文句なし。結局は、"フジキセキ"と"栗田厩舎"の2点が大きな不安というところで。
トゥザワールド
京介 足腰がビシッと決まっている馬なんだけれども、イスラボニータのようなしなやかさがない。飛節や繋のクッションが足りないから、脚の回転は速いのにもう一伸び出来ないように見えるね。距離延長を能力でカバー、とは行かないかも?と思うのはその点。
菊池 京介さんとしては、距離延長も不暗視しますか。僕は兄トゥザグローリーやルーラーシップのような、ややスケール押しに寄ったタイプのキンカメ産駒は上がり勝負に不安があるなぁと考えていましたが。
京介 だけどこれは、良い意味で裏切ってくれないかなと思う。中間の乗り込み量もかなりあるようだし、直前追い切りも本当に良く動いていた。川田騎手もオークスの反省を活かせないものかな。
菊池 どうでしょう?川田騎手の心理状態はちょっと心配ですね。レースが上手い馬なので、極端な瞬発力勝負にならなければ大崩れはしないと思いますが、勝ちきるイメージがもう一つ。厩舎はダービーという意味では頼りになりますけども。
ワンアンドオンリー
京介 皐月賞直前のあの追い切り内容で、それでもまだ馬体がベストには仕上がって来ない。やっぱり古馬か、あるいは秋なのかなあ…と感じさせる。
菊池 ハーツクライ自身が完成は4歳秋。ジャスタウェイも同様。しかし、ヌーヴォレコルトが産駒初のクラシック制覇。これをどう見るかですね。牡馬・牝馬の差はありますが、ワンアンドオンリーは母系が短距離馬という意味では、ヌーヴォレコルトと共通点があります。
京介 追い込みなのが分かっている馬を、ハイペースになる根拠なしにダービーで買うのは下策。前走皐月賞のレース振りは一番だったし、この距離もいいけど、もうちょっと何か一味欲しい。内枠も良くないよね。
菊池 ハーツクライ産駒の東京芝2400m成績はもちろん良いのですが、この馬は稍重のラジオNIKKEI杯、荒れ馬場の春の中山で結果を残してきました。仕上がっていなかった新馬戦を除くと、掲示板を外したのが東京の舞台。そのあたりがちょっと気になります。
レッドリヴェール
京介 この馬のアピールポイントは、レース履歴が単純に少ないのに、もう牡馬のトップレベルと並ぶ水準のIDMが出ていること。
菊池 超スローになった新馬戦を33秒3の上がりで差し切ったかと思えば、極端に上がりの掛かる札幌2歳Sでも勝ち、阪神JFでは叩き合いの接戦をモノにする根性も見せました。この3戦は凄いと思います。桜花賞でも皐月賞勝ち負け水準のIDMでしたね。
京介 今年が叩き2戦目、2000m以上の経験なし、そして初騎乗の福永騎手なのは不安が大きいけれどもね。
菊池 ダービーのテン乗りはマイナスというのは、もうずっと続いている傾向ですもんね。2000m初めてはどうでしょう。ウオッカも1800mまでしか経験がありませんでしたから、気にしすぎなくてもいいような気がしますが。
京介 もう一つ、馬体が小さすぎる方なのも不安点。先週サングレアルのような例があったから、直前までちゃんと待って馬体も見てから判断を下したい。好走に条件がいろいろついてしまう時点で、扱いを一段下げるのが正解かもしれないけれど。
菊池 全てがスッキリ買えるかと言えばそうではないですよね。確かに嫌な部分は多数あります。しかし、今年は誰ひとりスッキリ買えるぞ!って馬もいないので何とも…。テン乗りの減点、馬体重の減点をどの程度重く見るかですね。
トーセンスターダム
菊池 皐月賞が案外の敗戦でした。
京介 この馬はまだ発展途上だと思うんだよね。池江泰寿厩舎にいてトモが薄く腰もかなり甘いなんてのは、厩舎の序列の中で後回しにされているように感じてならない。
菊池 3戦目までの3連勝は、すべて少頭数・上がり勝負ばかりでした。皐月賞で初めて厳しい競馬を経験したかたちなので、ローテ的にも今回は上積みがあると思いますが。
京介 でも、その皐月賞のパドックで全然目立たなかったんだよなぁ。きさらぎ賞→皐月賞の間に何かあったんじゃないかと勘繰るほど。現時点では、大幅巻き返しは厳しいかな…と思っている。
菊池 早い段階からダービー狙いのローテを歩んできたことは、評価されてもいいのではないかとも思います。鞍上がデビュー戦からずっと手綱を取っていることも強みでしょう。それでも、関西のトラックマンがソコソコの評価しかしなそうな雰囲気が、不安要素だと思いますが…。
~~~~
菊池 では、穴馬を挙げましょうか。
ベルキャニオン
京介 一時期調子落ちがあって、負けて仕方ない条件を歩んでいる、情状酌量余地のあるローテーションと言えるのはこの馬かな?
菊池 年明け5走目というのは、結構使っている方で、レース間隔でいうとデビューからほぼ休みなく競馬をしていますね。
京介 最初の考えで、ダービーで優先的に評価したいのは脚長ディープ。この馬はまずそれはクリアしているよね。堀厩舎なのもOK。この馬は年明け緒戦を共同通信杯からスタートしたんだけど、その共同通信杯は順延競馬となった週に突っ込んだ登録でしょ。まだ馬体が万全でない時に無理して出た、と言うフシもあったんだ。そこで激走したと同時に、勝てなかったダメージが尾を引いたのかも。
菊池 そのせいもあってか、スプリングS・皐月賞と掲示板の下に敗れました。
京介 それに福永騎手も中山芝とのピントが合ってなかったし、ディープインパクト産駒も中山開催は絶賛全滅中だったよね。持ち前の瞬発力が全く活かされない展開・馬場だった上で、スプリングSは酷い競馬だったし、皐月賞は完全に下げたのがミス。今考えると、あのペースの皐月賞で4角16番手って何か大きな思惑を抱えて乗ってないと、あんなのやらないよね。体調下降か、脚元の不安が実はあったんじゃ…と怪しくなる騎乗だった。
菊池 その割に7着はよく頑張っているとも言えなくはないですね。
京介 だけど、プリンシパルSをちゃんと勝てたことで、「中山開催を使ったダメージが残ってない、これでリズムを取り戻せた」・「福永騎手から戸崎騎手にスイッチできたこと」・「得意な条件に変わればちゃんと力を出せるタイプ」と言うのを同時に証明できたでしょ。元々前脚に大きな骨瘤があった馬だから、ちゃんと勝ち切る競馬が出来たことも大きい。
菊池 堀厩舎がクラシックシーズンにこれだけ使い込むのも珍しいですね。
京介 中3週と間隔が詰まっているのに、直前の追い切りの様子がかなり良かったのを見て、「このシーズンになってからの急上昇ぶり」の手応えを得たのもある。皐月賞もプリンシパルSも、明らかに直前軽めだった。それと比べると段違いの動きに見えるからね。
菊池 ずいぶん入れ込みますね!こりゃ京介さんは…いや、やめておきましょう(笑)。
ワールドインパクト
菊池 青葉賞の時計が平凡だったことに加えて負けたので、案外人気になりませんね。前走は確実に権利を獲るために、早め早めの競馬をしました。本当はあれを押し切って欲しかったですけど、最後捕まったのは直線一気に懸けていた穴馬の強襲。まぁ許容範囲と言えば許容範囲ですね。今回は白帽→ピンク帽と、枠の引きの流れはあまりよくありませんが、腹を括って直線勝負に徹することができるという見方もできます。2走前の大寒桜賞は、京都新聞杯勝ちのハギノハイブリッドを、豪快に差し切りました。皐月賞組・桜花賞組を除けばトップはこの馬でしょう。つまり、そのあたりの上位組にほころびがあれば出番が回ってくる可能性も…。
整理すると…。
<買い材料>
・意外と経験した競馬パターンが多い。
・今回はベストパフォーマンス時と同じ競馬をしそう。
・連対率100%維持。
・コース経験あり(ダービーではやや意味薄いけど)。
<割引材料>
・鞍上がコロコロ変わりすぎ。(ダービーで勝ち負けする馬を、みんなそんなに簡単に降りるのか?)
・大外枠。
・青葉賞の指数(それまでも)が低い。
・一線級と未対戦(青葉賞に皐月賞組の出走が無かった)。
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菊池 では、こんなところにしておきまして、最終結論はコラムとガチンコ予想でチェックしていただきましょう!
※最終結論は、それぞれのコラムでチェック!!