菊池 春の東京開催が始まりました!今週はフローラSを振り返っていきましょう。
フローラステークス 回顧
京介 やっぱり府中の芝はいいね。土曜日のメイン付近で少し雨は降ったけれども、あまり長くは降らなかったし、夕方にはすぐ止んだ。夜中に降り続いたわけじゃなし、これは全く影響なかったと思っていいよ。
菊池 なかったでしょうね。気にしてすらいませんでした(笑)。まぁこの時期ですし、あの程度はすぐ乾きますね。
京介 見た目にもかなり芝丈が長いとは感じたけど、やっぱり開幕Aコースでの距離ロスはだいぶキツイ。前半・道中とコースロスなく運べる内枠が優勢で、先行馬でない限りは、しっかり差す馬は内枠の馬ばかりだったね。
菊池 日曜日の東京芝レースは、4Rこそ断然人気馬が17番から勝ちましたが、それ以外の勝ち馬は5番より内枠で、2着以下も含めて一桁馬番が圧倒的に有利だったようですね。
京介 まだ馬群の外を全部回して伸びるには、もっと馬場の真ん中から外の芝が踏みこなれないと。
菊池 ですね。土曜日に勝った二桁馬番も人気馬ばかりでした。
京介 また、やはりというかこの1週目はあまり究極の上がりが必要という展開にはならない。先行馬がそこそこのペースで行く影響もあるけど、芝が柔らかすぎて多少はパワーが要るから。
菊池 最近の東京はその傾向が顕著ですね。
京介 府中にしては若干上がりが掛かる状況だったよね。小柄すぎる馬では、直線で脚が持続しきれず厳しい1日だったかな。
菊池 そこまで偏りは感じなかったですが、非力な馬には厳しかった印象ですか。
京介 それとちょっと気になったのは、意外に芝コースを補正する作業員の人が土曜日から多かったこと。こんな初日から気にするものなのかな? 案外、馬場を柔らかく作りすぎたかも。レースを見ながら路盤が剥げるのが早いようだったら今後は気をつけたい。
菊池 そのあたりはどうなんでしょうね。何か明確な変化があれば…でしょうか。
京介 そしてフローラSのパドックだけれども、ビッシリ仕上げた影響なのか、細すぎる馬が多いと感じたね。トモが寂しく映るだけでなく、脾腹も背腰も細すぎでパワー不足。根詰めて仕上げたという馬がかなり多かったなあ。
菊池 確かに、フローラSもスイートピーSも、現場で見るとそういう感想になる気がしますね。でも、例年以上ですか。
京介 君子蘭賞組もミモザ賞組も、連戦してさらに減る馬ばかりでここ一番で厳しく仕上げたけど、横比較やオークスに向けて考えるとう~ん?という馬が多くてね。ナガラフラワーも条件に全然ハマらないな…という体だったし、関東馬もほとんど上がり目なし。
菊池 そうでしょうね。特に今年は、桜花賞組が強いし。
京介 これは!と思う馬はいなかったよ。おそらく今回だけの結果となりそうだな、ということと、今回のレースも厳しい流れになりそうにない、とは感じ取れたね。
菊池 概ね予想どおりのパドックだったって感じですかね。
京介 そしてレース。ゲートはほぼ横一線、大外のレッドカーラが出遅れたぐらい。おそらくこの瞬間、行く気を見せさえすればおそらく前に行けたと思う。
菊池 フロレットアレーは前を見ながらポジションを取りに行く構えを見せましたが、逃げようという動きではありませんでした。
京介 その中から内枠のシングウィズジョイが押して抜け出して、外枠からは2走前に逃げて勝ったグリシーヌシチーがサッと出てきた。2コーナーを回る瞬間は2頭が抜け出しているんだけど、この時点で2F目が12秒0。全然競って速まった様子がないんだよね。どの馬も距離が不安なのか、引っ張り引っ張りの様子で押し上げる馬がいない。
菊池 ペースを上げて逃げたいような馬はいませんでしたから。
京介 2コーナーの馬群密集で控えた馬がさらに下がっただけ、という隊列で、向正面に入る前から前はほぼマイペース、1000m通過が62秒6。全くせめぎ合いがなく、遅くなりすぎた方で、先団が脚を溜められる展開。
菊池 明らかなスローでしたね。
京介 3~4コーナーも同じく押し上げがなく、直線入口で馬群がまだ縦長。直線で前がもうスパートを始めているのに、中団の馬がようやく外に持ち出しているんじゃ間に合わない。2番手3番手の馬が34秒前半の上がりでまとめているのに、2桁通過順の馬なら33秒フラットぐらいじゃないと届かない、そういう3~4角の隊列だったと思うよ。
菊池 そうですね。しかも、前に行っていたり内の絶好位を取っていたのが人気の有力馬でしたから。
京介 結局、2番手で併走していたシングウィズジョイがキッチリ上がりをまとめ、4角で1馬身後ろだったディアマイダーリンが迫るのを半馬身封じてゴール。3着は3列目最内で距離ロスなく回れたマキシマムドパリ。4着も内枠を引いて同じ位置にいたウインアキレア。
菊池 ほとんど隊列のまま決まっています。それも内枠ばかりで。
京介 また、実質3Fのみの瞬発力勝負勝負となったことで、ロングスパート戦だったミモザ賞組は誰も上手く脚を使えず、君子蘭賞組が上位を独占したという流れだったね。IDMが高いということもあったけれど。
菊池 そのあたりは枠順と展開に寄るところもありますが、まぁ人気馬がしっかり力を出せたレースってことですね。
京介 というわけで、事前のレースでIDMが高かった馬がそのままワンツーして、ほぼ新味は生まれなかったというレース。今回のパドックを見て改めて思ったけれども、やっぱり今年のオークスは桜花賞組に期待を賭けたいかなあ。
菊池 その点に関しても例年どおりってことですか。うーん、少し違う意見かも。スローで勝ち時計も平凡ではありましたが、桜花賞が超スロー。そして、ここでも速いペースで逃げるような馬は現れずスロー。恐らくオークスもスロー。僕は前で折り合って力を出せた馬を評価しようとは思いますけども。
シングウィズジョイ
京介 飛節の折りがかなり深い馬で、あまり姿勢のバランスは良くないけれど、今は腰周りの筋肉の支えがしっかりしていて脚捌きが安定してる。上がり勝負が得意と言い切れる体つきではないけれども、他が痩せこけた馬ばかりだったからね。いい仕上がりをキープできたアドバンテージだったかと思う。
菊池 IDM上位馬で状態も評価できる水準だったということになりますか。
京介 野路菊賞で連対したときも前走の君子蘭賞も1800mで1分48秒台。未勝利を勝ったのが荒れ馬場中京。現時点では時計の速い決着では厳しいと思える脚回りだから、このレース展開は助かったと思う。
菊池 そうですね。しかも開催前半で、東京とは言え芝が深め。
京介 ただ、関東馬で4頭も5頭もいい馬が現れるレースではなかったから、事前にこの馬に流れが向くことは想定できたかもね。展開予想でも◎だったし。
菊池 人気で逆らいたいのはこの馬だったんですが、しっかりと状況が揃っていましたね。
京介 そういう意味で、オークスは当日の馬場状態と相手関係次第、ということになると思う。ただやっぱり厳しいだろうなとは思ってるよ。いい状態で送り込んだ友道厩舎の勝利だったというレースだね。
菊池 短期間に2度の輸送はね…。今回上手くいったとは言え、次はどうでしょうね?それにしても、今年のマンハッタンカフェ牝馬は凄いなぁ。これで重賞勝ちが3頭目ですか。
ディアマイダーリン
京介 馬体は一番良かったけど、まだ腰が甘いな。背中が薄くて、凹む形にたわんでしまうのが良くないと思う。トモ周りにいい筋肉はついているし、まだいい形になりきらず柔らかすぎる、という評価だね。
菊池 そうか、馬体評価はもう一つですか。
京介 オークスに向けてまだ上昇余地があるのはこの馬だと思うけども。
菊池 その点はありがたいコメントですね。
京介 そして画面で映っていない時なのか、鞍上は抑えるのが大変だったと。現状はまだ難しさ、弱さを抱えながらの戦いだと触れてるね。しかしとにかく内枠で出遅れなかったのは今回大きかった。レース展開を考えればなおさらに。
菊池 そうですね。この流れで後方からでは厳しかったでしょうから。
京介 仮にオークスに出るとしたら戦略は変わると思うけど、中間ビシッと追い切り強化できるかどうかだろうね。
菊池 今回も勝負仕上げだと思いましが、上積みがありそうというのは気にしたいですね。実はこのフローラSはハーツクライ産駒が不振でしたが、初の連対。距離延長はプラスですから、次走に向けて少し気にしたいですね。オークスに繋がるフローラS好走馬は好位で競馬をした馬ですから。
京介 でも、折り合いの面ではシングウィズジョイの方が上でしょう。
菊池 そこだなぁ。横山典騎手が4角まで引っ張り通しだったからなぁ…。
マキシマムドパリ
京介 ここまで減るのは驚いたね。パドックも少し気落ちはしてたと思う。
菊池 そうですね。今回の輸送は堪えたんでしょうね。1週前にビシっと追いきった分もあったのかなぁ。
京介 それでも後肢がシャンとしてトモの送りがスムーズ、全体のバランスも良くうねって歩いてはいなかった。厳しい仕上げをしてパドックで入れ込んで台無しにならなかったのは良かったと思うよ。距離は持つ形だから、評価はしておいた。
菊池 なるほど。
京介 だけどレース運びは、おそらく積極的には行けなかったんでしょ。ディアマイダーリンの真後ろでマークする流れで、4角直線とディアマイダーリンの真後ろを狙い、壁が開いてからワンテンポ遅れて仕掛ける格好。ディアマイダーリンにちゃんと迫る脚を見せただけでも偉いね。
菊池 武豊騎手が、とにかくラチ沿いを守って消耗をギリギリまで抑えましたよね。これで権利を獲るんだから凄いと思います。
京介 でもやっぱり、これ以上のパフォーマンスを望むのは?と思う。おそらくこの中間は、馬体維持に懸命ということになるだろうし。上がり目を考えられそうな感じではないなあ。
菊池 そうですね。資質は上位2頭と互角だと思うけど、次走に向けては馬体回復が最優先。しかもまた輸送。キツイかなぁ。でも、秋に向けて覚えておきたい1頭ですね。
その他
京介 端的に言って、重賞経験馬のワンツーで、新味がほぼ現れなかったと言っていい結果だったね。
菊池 そうなりますね。まぁ、これはこれで次に使いようのあるレースだとも思いますが。
京介 実質ほぼ最後のオークス前哨戦でメンバーの割りに賞金の高いG2戦だから、序盤のテン争い、途中の大捲りなどの突飛な競馬をする馬がいるはずと思ったけどそういう馬が全く現れないままだったのが残念でもあり、展開的には不満でもあった。
菊池 うーん、そうですか。
京介 ただ、桜花賞組やフラワーC組が多数登場しないと、そういうはっちゃけた戦略にも出られないということかな。未勝利の勝ちあがり直後だったり、ミモザ賞で追い込んで好走した馬ばかりだったりだとそういうチャレンジをしてみようという馬も少ないのかも。
菊池 もっと低い水準の話をしちゃうと、掲示板とか8着以内狙いも多いのでは。今年くらいのメンバーになると、もう2度と重賞に出るチャンスはないっていう馬もいたでしょうから。
京介 あと、3月以降気温が上がってきてから内田博幸騎手が完全復活してるんじゃないの、という意欲的な騎乗が目に付くよね。下級条件戦でもウチパクだから良い競馬が出来た、と言う馬が多い。ここ1年の重賞での好走は、逃げや番手の競馬ばかりだけれど。
菊池 固め打ちが目立ちますね。あと、何故か?この人はフローラSが大得意で4勝目ですよ。全成績を見ても、さして牝馬が得意ってわけでもなさそうなんですけどね。
京介 それと今回のレースも、差してきた馬が上がり33秒後半で止まってしまってることや、桜花賞でも結局いい差し脚を示したのはディープだけ。サンデーの孫世代の差し馬の瞬発力性能がちょっと前の時代と比べて全体に衰えてないか?と思うんだよ。
菊池 ???
京介 だからこそ、前で受けて折り合える性質の馬や、逃げ番手でピタリ折り合わせることが出来る騎手がいい目を見る。今後もこの話が回顧でちょくちょく出る流れになるかも知れない。
菊池 競馬の質が変化して、極限の上がりが求められると誰もディープインパクト産駒には叶わないってことですかね?そのディープインパクト産駒がどの世代にも満遍なくいるようになってきているから、相対的に他の種牡馬の株が奪われてるってことですかね?ちょっとまた詳しく聞かないと分からない話も…。
京介 今回のように微妙と言えるメンバーの場合、差し馬に過度な期待をしない、と言う予想で入るのは重要なポイントになるかもね。
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菊池 では回顧はここまで!今週の展望トークは天皇賞(春)でお願いします。