菊池 上半期の総決算、宝塚記念が終わりました。振り返っていきましょう。
京介 今週の阪神は、金曜日には確かに雨が降っていたはずなんだよね。
菊池 降りましたね。東京も金曜日から降ったので、週中の予報より早めに雨雲が東へ移動しました。
京介 土曜日の馬場は重馬場発表、土曜阪神メインのグリーンSは末期の阪神らしいズブズブの馬場になっていたよね。良馬場並みのペースだったかも知れないけど、ラスト3Fが37秒9。最後のゴール前接戦したあの1Fが13秒2だから、もう全馬脚が止まってる、と言う流れだった。
菊池 上がり最速馬でも37.1秒でしたからね。バタバタのバテ合いの競馬でした。
京介 そして日曜日は、朝一番に馬場発表が良馬場になる。曇り空だったけれども阪神はそれなりに日照があったようだね。そして馬場はというと、明らかに路盤からボロボロになっていて、ゴール前見ても内外関係なく土煙が飛んでいる状態。
菊池 発表こそ良でしたが、かなり芝が飛んでいて、いかにも雨の影響を受けた末期馬場でした。
京介 だけどそれよりも特徴的だったのは、4角で前にいないとほぼ勝負にならなかったこと。内側も悪いけど外も同じく悪くて、グリップが効かなくて速い上がりが全く使えない様子だったね。
菊池 キレが殺されてしまう馬場状態でしたね。
京介 それで近走着順が悪く、能力的に評価されてなくても 隊列が良かった馬が2列目までに行けて残せてしまう例が多かった。桜花賞の時の阪神のような、前残り状況だったと思う。サッとポジションを取れる素軽さがあったほうが、有利が大きかったはず、とは思うよ。
菊池 そもそも、差し馬には厳しい馬場状態だったということですね。
京介 そしてパドックだけれども、まずまずといった所かな。大敗続きの馬やオープン実績のない馬に上がり目は乏しかったけど重賞で戦えてる馬は、見所の多い造りの馬が多かったと感じた。
菊池 天皇賞(春)組から回避馬が続出した割にはGⅠ馬6頭の豪華メンツでしたもんね。
京介 ゴールドシップの動きは、少なくとも悪いという様子はなくむしろ評価できる水準だったと思うよ。昨年ジャパンカップまでで大敗してた所は、パドックでトボトボ歩いていたし、あれだけ周回でやる気が向かないのがゴールドシップだったはずで。それに比べれば今シーズンはまともに周回してくれるし、歩様だってキビキビして後肢も存分に伸びる。敗因は別に気配やデキじゃない、とは言いたいね。
菊池 うーん、それはどうでしょうね?赤木さんはパドチョクの電話で、「今まで一番良くない」って言い切りましたよ。
京介 そうだったのか。モニター映像だけでは分からなかったなぁ。春はここまで2戦を見ている赤木さんにしか分からないものがあったのかもね。週中のフォトパドックでは厩舎の芝生で蹄が隠れてたけど、右前脚の裂蹄テープとエクイロックスはあったみたいだね。改善できてはいなかったってことか。
菊池 そうですね。断然の実績馬、断然の1番人気馬の評価を3番手まで下げていたんですから。
京介 そのあたりはさすがだね。その情報を生かせた人も多かったでしょう。
菊池 そういう声も、多数いただきましたよ。
京介 そして、前回前哨戦を勝って臨んだ2頭は言わずもがな、見所があると感じたのは牡馬よりも牝馬だったね。この時期でも体のラインが崩れずシャキッとしていたし、パワー優位と言えない馬場状態であれば宝塚記念は牝馬でも十分通用するから、こういうパドックのムードになるのか…というのは少し感心する所があったよ。
菊池 結果にも現れたとおりということですね。
京介 個人的に期待してたトーセンスターダムは、もうちょっと関節が柔らかくならないとな~。
菊池 まだ経験を積んでいる最中ですね。道中は上手く運べていましたが…。
京介 そして問題の、レース前からゲートまでの話をしとこうか。返し馬までは特に問題ない様子だったと思う。馬場の外を軽く流していて、脚元から土が飛ぶのはよっぽど馬場荒れてるんだな…とは思ったけど。
菊池 ゴールドシップは、確かに大人しすぎる…という感が伝わってきていましたが。
京介 そしてまずゲート入り。最初に前回問題があったゴールドシップからだね。目隠しをしてゲートに入れる。ここまで意外なほど問題なし。
菊池 そうそう。まさに心配になるほど大人しかった。
京介 奇数枠番の馬がどんどん入って、ここまでもジッとしてる。そして12番のレッドデイヴィスが入った後に、13番ラキシスと14番トーホウジャッカルがワサワサしだしてちょっと伝染したらしいね。
菊池 古馬でも、さすがにスタンド前で大歓声ですからね。
京介 そして最後、ラブリーデイが入ると同時に大歓声が起こり、これでゴールドシップがカッカ来ちゃって急に立ち上がる。最初立とうとしたそぶりを見せて静まり、ラブリーデイの係員が下がってさらに大きく立ち上がったのが2回目。ここまではスターターも待っていたんだ。そして一度着地して体勢を直したか、と思った時にまた3回目。
菊池 この時にスタートが切られてしまって、大きく出遅れてしまいました。少しゲートにも引っかかっていたようで、一瞬、ラガーレグルスがフラッシュバックしましたよ。
京介 1秒どころか2秒近い出遅れになってしまう。有馬記念や天皇賞春のような長距離でもなし、これはさすがに万事休すの内容だったね。
菊池 あぁ~…でした。
京介 その他はラキシスが少し出遅れ、内の方でカレンミロティックとデニムアンドルビーが挟まれて後退。行き脚がよかったのは好調教だったレッドデイヴィス、大外枠のラブリーデイ。
菊池 すぐ隣でゴールドシップの大出遅れを見た川田騎手は色めきだっているかのような表情が見て取れました。
京介 この2頭が後続を先導する形だけれども、おそらく妙な大歓声とスタンド前モニター、そして場内アナウンスで1コーナー通過時には松若騎手も川田騎手もゴールドシップの出遅れは察知できていたんじゃないかな。
菊池 人気薄に騎乗の各騎手を含め、そうだったでしょうね。
京介 1コーナーまで流した後のコーナー周りで、4F目13秒4、5F目13秒1と相当ペースが落ちる。これはもう前に行った組が全く争わず、納得ずくで脚を溜める動きに徹してたからでしょう。この展開で最後尾のゴールドシップは、エンジンがまだ暖まりもせず大きく離れた最後尾。
菊池 1000mを通過したのが、先頭が62秒5。これもかなり遅いですよ。
京介 ゴールドシップが1分4秒4ぐらいかな?前が脚を溜めて楽をしている方の展開なのに、この2秒アドバンテージは絶望的だったよね。
菊池 ただし、特に横山典弘騎手が促したわけでもなく、最後方から馬群に追いついていきました。
京介 宝塚記念のクラスのメンバーでこの流れなら、当然先団は馬群が凝縮する。だけどゴールドシップが馬群に追いついて来たから仕掛けに悩むのか、差し追い込み馬は動いていけない。3コーナーでレッドデイヴィスは2番手を離してスパートするんだけど、舐めている様子もあって2列目3列目の動きは慎重。
菊池 いくらゴールドシップと言えども、あの出遅れではマクリきれないだろうと思っていたでしょうしね。まして、横山典弘騎手ですから、もう無事に馬を戻すモードだろうと確信していた騎手もいたんじゃないでしょうか。
京介 レッドデイヴィスに続く好位勢は、放置したものの実際4角でアッサリ追いついているしね。なのでこの3~4コーナーで、好位勢は周りを見て持ったまま、中団より後ろの差し追い込み馬が追い通しという流れだった。超スロー展開で差し馬が慌ててる時に良く起こる現象だね。
菊池 そうですね。「時既に遅し」ってやつで。
京介 そして4角は、画面一つに全馬収まるぐらいに馬群が凝縮してる。直線入口で余裕だった2番手ラブリーデイが先頭に出て、2列目が横一線。ここはもうスピードに乗って惰性比べになってる場面だから、ここでまだ馬の後ろにいて捌けず詰まってたり、進路を迷ってる馬ではもう圏外だね。
菊池 弱い先行馬もいた影響で、それなりに渋滞も起こりました。道悪の競馬は馬群がバラけやすいですが、ここまでスローだと別ですね。
京介 最内で道中我慢してて直線でも僅かな隙間を通したショウナンパンドラ、そして道中インベタから4角詰まらず大外に出せたデニムアンドルビー。このディープ牝馬2頭が突っ込んできた。だけども展開・隊列の利が大きくて、ラブリーデイが僅かに最後凌ぎきってゴールと。
菊池 川田騎手は終始ミスのない完璧なレース運びでしたね。
京介 実はレースラップは昨年と似たような中身だったんだよね。2コーナーで展開がグッと緩んで、前に行った組が楽々押しきってしまうと。今年はゴールドシップが最初から最後までレース展開に寄与せず、おまけに隊列有利と見込まれていたカレンミロティックも不利で後方。ラブリーデイはホント、京都記念の時と同様な展開でしっかり脚を溜めて押し切る理想的な形だった。
菊池 カレンミロティックはデキの面で不安があった分もあるんでしょうね。レッドデイヴィスの逃げはともかく、やはり逃げ馬不在が大きく響きました。
京介 デニムアンドルビーは昨年の宝塚記念の時もいたはずなのに前付け5着、今年の競馬の方がよかったということなのかな。
菊池 デキや臨戦過程の分もあったでしょうね。結果として、適性があるはずのないヴィクトリアマイルに付き合わず、天皇賞(春)でゴールドシップの作った激流に巻き込まれなかった位置取りがダメージを残さなかったとも言えそうです。
京介 果たして底力勝負と言える内容だったか?は疑問があるし、馬群が固まっての速力勝負だったと考えるべきでしょう。こうならないと宝塚記念で牝馬が来ないしね。
菊池 そうそう。同意見です。特に、好走したのがデニムアンドルビーとショウナンパンドラだったあたりにも、それが現れていると思いました。
京介 路盤が緩いとは言え、馬場が乾いてこのスローだったのならディープ、キンカメ有利に働くということだろうし瞬発力特性に寄ったタイプが走れるようになったと。
菊池 1着がキンカメ×サンデー系、2着がディープ×キンカメ、3着がディープ×フレンチデピュティ。
京介 ゴールドシップはまたやらかした。そのやらかした時に、何も抵抗できず負けてしまう上に、レース展開が標準よりもさらに軽い質になってしまうのも同じ。今回は週末の雨予報、そして見た目にボロボロの馬場。
菊池 そして外枠。
京介 ゴールドシップにここまで条件が揃えば…と期待させて、全く違う負け方をしてしまうんだからホント憎たらしい所だよ。
菊池 ゲート再審査後っていうのをもっと重く考えないとダメでしたね。前走が、かなりゲートでごねた後に、長時間の駐立を何とか凌いで出ていただけに、そこに気が回らなかったけど。オルフェーヴルが調教再審査後の天皇賞(春)で大ゴケしたことの教訓を生かせなかった。これには大いなる反省です。
【 ラブリーデイ 】
菊池 京介さん、コラムで◎でした。そして奥野さんも!お見事でした!
京介 今年に入ってこれで重賞4勝。2014年までは重賞勝ちなし、オープンたった1勝のイマイチ君だったから、文句なしの充実期に入っていたと認めて良い内容。ゴールドシップがコケるコケないよりもこの馬が当日6番人気だったことがちょっとおかしいんだよね。
菊池 そうですね。明らかに変わりましたからね。
京介 まあ、明らかにスピードタイプだったから雨降り馬場では評価を下げられがちで、おまけに今年負かしたメンバーが怪しかったという人もいたけど。
菊池 勝った3走は、ともに内容が良かったですからね。記録面こそ大したことがなかったですけども。
京介 あと馬柱近3走だけで区切ると、格下扱いされやすい見た目だったかな。阪神大賞典と天皇賞春で先着された馬が3頭いたからね。
菊池 その2戦は「距離」で片付けられたとは思いますが、今年6走目ということ、大外、馬場で割り引いた人が多かったんじゃないかと。僕も一度は◎を考えましたが、あまりにも陣営が馬場状態不安をコメントすることと、大外枠で少し下げて3番手にしてしまいました。弱い!!(泣)
京介 それを考えると、この馬は3000m超級がとことんダメで、2000m前後の距離になると全然違う、と気づくかどうかだった。その2戦に引っ張られてイメージを落とし、おまけに天皇賞春とこの宝塚記念の流れが同質だと思ってた人がかなりいたってことだろうね。
菊池 そういうこともあるでしょうね。
京介 この馬は後肢がやや短めのハコ型ピッチ走法タイプで、3000mクラスの間延びした距離が全然ダメなんだよね。母父ダンスインザダークだけれども、全然そういった伸びやかさがなくてカチッと決まってる。
菊池 ザ・小回り中距離馬。GⅠ好走なら宝塚記念しかない。ダメなら有馬記念。そう思っていた馬です。
京介 もちろん今回勝てたことは、ゴールドシップがまるで働かなかった上に隊列有利が大きかったと考えてOKだけれども、今年に入ってからの充実振りは認めるべきだと思う。
菊池 そうですね。全くの同意見です。
京介 下半期の天皇賞秋で足りるタイムは数回出しているし、最近のG1戦線でそれだけスピードのいい馬がいるかな?と。
菊池 天皇賞(秋)はどうでしょう。また考えたいと思います。僕は、次は有馬記念かなと思っております。あ、あとアレですね。池江厩舎のソフト仕上げ。堀厩舎ともども、この春は凄かった。この人気でGⅠ勝つんですから。
【 デニムアンドルビー 】
京介 2014年度の体たらくを考えると、今期は明らかに復調してる。それと、450kg台に馬体が増えたのはやっぱり大きいんじゃないかと。
菊池 そうですね。昨年はやっぱり、ヴィクトリアマイルを使ったのが良くなかったと。さらに遡れば、ドバイに連れて行ったことが良くなかったとも言えるんじゃないでしょうか。
京介 それにこの馬も、早熟と言うよりは好走のツボが狭すぎるタイプなんだよね。勝ち馬と同じくピッチ走法の馬で、馬群が短く詰まってる時の方が差してこれるタイプ。スローペースの方が動ける追い込み馬、というもの。昨年の宝塚記念の時に走ってほしかったけどなあ…(苦笑)
菊池 昨年はやっぱりローテだったと思いますよ。
京介 勝ち馬と同じく、馬場の質がかなり回復して、レース展開もこの馬に向いたものになっていた。というか、G1レースばかりぶつけるローテーションが正直どうなのか?と思ってるし、斤量有利で出られるようならタイトルを獲る意味でもG2~G3辺りに出てほしいんだけど。
菊池 今回の差し脚を見ていると、そう思っちゃいますね。13年ジャパンCもそうだったけど、超スローで唯一、後方から伸びてこれたように。
京介 そうなんだよ。軽い質のレースの方が動く馬だと思うから。
【 ショウナンパンドラ 】
京介 自分が想定しているレース展開上は、十分アリな馬だった。比較的非力な中距離ディープ牝馬で、能力発揮できたピークの内容が秋華賞。軽い芝での持続力勝負でタイトルを獲れた馬だからね。
菊池 あの時もラチ沿いを上手く伸びてきたように好走パターンは同じでしたね。
京介 おまけにここ数戦は外枠ばかり引いていて隊列不利も結構多かったし…。週中の馬場が悪すぎたことで評価は一気に下がったけど、今回のように軽い質のレース展開ならチャンスはあったと。それにしても隊列も良かったし、良くあの最内が開いたよ。
菊池 そうですね。僕も馬場悪化で評価を下げました。あの内が開いたのは、人気薄で一か八かの競馬ができたことも大きいですね。ノンプレッシャーでしたから。
京介 この馬も典型的なディープ牝馬として扱えばいいと思う。体が徐々に徐々に増えてるのはいいことだと思うし、もうちょっと体格に見合う馬力がつけば…460kgぐらいかな…。
菊池 3歳秋にようやく大レースに出られたように、完成自体は遅い馬ですからね。
京介 G1タイトルホルダーだから、どのレースに出るにも不利で、今後なかなか人気の中心になることはないけど、相手が強いと思わせる場面で激走するタイプだと思うよ。
【 その他 】
京介 ゴールドシップの出遅れに関しては敢えて上で触れたけど、そういう負け方がありますか!と言う感想だよね。
菊池 そうですね。うん。そう…。
京介 いつも「実力で負けたわけじゃない」と言う例が続くし、能力査定では絶対一番上になってしまうから、いつも取り扱いが難しすぎる。おまけに今回は、雨まで降ってて馬場もボロボロ。舞台設定まで整ってるんだから、と思わせていてのこの大出遅れだからね。
菊池 これでまた、発走再審査。今後にも大きな不安を残すことになりました。僕も、敢えて上でラガーレグルスの再審査についてコメントしたのですが、一度、こういうことになると復調はけっこう難しいですよね。続けざまに古い名前で申し訳ないですが、晩年のセイウンスカイなんかも、天皇賞(秋)のゲート問題のあとはサッパリでしたし。
京介 大きなレースで負けた責任も大きいからレース後、緊急に採決委員との審査会があって採決委員の説明があったそうだけれど。
菊池 これですかね。http://sports.yahoo.co.jp/sports/other/horse/2015/columndtl/201506280007-spnavi
京介 横山典弘騎手も須貝調教師もバツが悪そうに苦々しい言葉を搾り出すのがやっとだったようだし。
菊池 あのシーンで、ゴールドシップに合わせてゲートを開けるわけにもいかなかっただろうし、難しいところではあるんですけどね。
京介 大きな金額が動くレースで、レース前にも出遅れに触れるアナウンサーはいても、馬場状態を見極めてゴーサインが出せる状況だったし、過去との比較をしてもここまでレースにならない出遅れがホントここ一番で出るとは思わないしねえ…。
菊池 大出遅れというかたちで現れるかどうかはともかく、前走の反動。ゲート再審査によるストレスなどなど…。まともに出ていたとしても、怪しい部分はあるような。そんな精神状態だったとは思わされました。
京介 でもね。日本で今一番強いと言われてる馬が、こういう致命的な悪癖を持っているという現状はやっぱり看過しがたい問題だと思うよ。世間の評価が下がった時に素直にコケる馬だったらなんぼか可愛げがあるのに…。
菊池 競馬なので、こういうこともあるのですが、最近、競馬に興味を持ち始めたばかりの人が、ゴールドシップのハズレ馬券を握りながらこういうレースを見てしまったのか?と想像すると、少し胸が痛いですよ。
京介 でもゴールドシップが居なくなった時のレース展開は、おおよそ想定どおりではあったんだよね。そのシーズンで好調な馬が自分の流れに持ち込む、むしろ底力勝負になりにくい、むしろパワーでは劣るタイプの方がちゃんと脚を使う。
菊池 その読みはお見事でしたね。
京介 当日の馬場状態比較ではラキシスやヌーヴォレコルトらの「重馬場で牡馬相手に勝った馬」が評価アップされてたけど、実際はレース展開も影響して急加速に対応できるタイプの方が好走した。
菊池 逃げ馬不在=スロー VS 何だかんだで宝塚記念らしい底力勝負 という2つの展開読みがあったと思うのですが、前者の正解となりました。
京介 これは馬場状態回復というよりも、ゴールドシップがどこにもいないことでレースの質そのものが予定より急変したことが大きいと思うんだ。
菊池 そうですね。京介さんが最初に言ったように、“先行馬に騎乗の騎手が、場内アナウンスでゴールドシップの件を察知する”ということには気付いていなかったので、ひとつ勉強になりました。
京介 だけどやっぱりレースを終えてみると、予想や馬券が当たってそれなりに痛快ではあるけれど、それでも苦々しいイメージが残ってしまうんだから、断然人気の出遅れ⇒圏外はやめてほしいわ。
菊池 そうですね。残念でした。
京介 やっぱそれなりにレースの流れに乗った上で、力負けに見えるような格好だったらゴールドシップにも弱点はあった、ラブリーデイ偉い!ってなるしね。
菊池 うんうん。ギャンブルとしては、こういうこともあるんだけど、スポーツとしての競馬を考えると残念です。でも、本当に色々なことを考えさせられて。印象には強く残る宝塚記念になりました。
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菊池 では回顧はここまで!今週からは3場ともローカル場に開催が移る、夏競馬本番です。福島のラジオNIKKEI賞を展望していきましょう。
宝塚記念回顧
京介 今週の阪神は、金曜日には確かに雨が降っていたはずなんだよね。
菊池 降りましたね。東京も金曜日から降ったので、週中の予報より早めに雨雲が東へ移動しました。
京介 土曜日の馬場は重馬場発表、土曜阪神メインのグリーンSは末期の阪神らしいズブズブの馬場になっていたよね。良馬場並みのペースだったかも知れないけど、ラスト3Fが37秒9。最後のゴール前接戦したあの1Fが13秒2だから、もう全馬脚が止まってる、と言う流れだった。
菊池 上がり最速馬でも37.1秒でしたからね。バタバタのバテ合いの競馬でした。
京介 そして日曜日は、朝一番に馬場発表が良馬場になる。曇り空だったけれども阪神はそれなりに日照があったようだね。そして馬場はというと、明らかに路盤からボロボロになっていて、ゴール前見ても内外関係なく土煙が飛んでいる状態。
菊池 発表こそ良でしたが、かなり芝が飛んでいて、いかにも雨の影響を受けた末期馬場でした。
京介 だけどそれよりも特徴的だったのは、4角で前にいないとほぼ勝負にならなかったこと。内側も悪いけど外も同じく悪くて、グリップが効かなくて速い上がりが全く使えない様子だったね。
菊池 キレが殺されてしまう馬場状態でしたね。
京介 それで近走着順が悪く、能力的に評価されてなくても 隊列が良かった馬が2列目までに行けて残せてしまう例が多かった。桜花賞の時の阪神のような、前残り状況だったと思う。サッとポジションを取れる素軽さがあったほうが、有利が大きかったはず、とは思うよ。
菊池 そもそも、差し馬には厳しい馬場状態だったということですね。
京介 そしてパドックだけれども、まずまずといった所かな。大敗続きの馬やオープン実績のない馬に上がり目は乏しかったけど重賞で戦えてる馬は、見所の多い造りの馬が多かったと感じた。
菊池 天皇賞(春)組から回避馬が続出した割にはGⅠ馬6頭の豪華メンツでしたもんね。
京介 ゴールドシップの動きは、少なくとも悪いという様子はなくむしろ評価できる水準だったと思うよ。昨年ジャパンカップまでで大敗してた所は、パドックでトボトボ歩いていたし、あれだけ周回でやる気が向かないのがゴールドシップだったはずで。それに比べれば今シーズンはまともに周回してくれるし、歩様だってキビキビして後肢も存分に伸びる。敗因は別に気配やデキじゃない、とは言いたいね。
菊池 うーん、それはどうでしょうね?赤木さんはパドチョクの電話で、「今まで一番良くない」って言い切りましたよ。
京介 そうだったのか。モニター映像だけでは分からなかったなぁ。春はここまで2戦を見ている赤木さんにしか分からないものがあったのかもね。週中のフォトパドックでは厩舎の芝生で蹄が隠れてたけど、右前脚の裂蹄テープとエクイロックスはあったみたいだね。改善できてはいなかったってことか。
菊池 そうですね。断然の実績馬、断然の1番人気馬の評価を3番手まで下げていたんですから。
京介 そのあたりはさすがだね。その情報を生かせた人も多かったでしょう。
菊池 そういう声も、多数いただきましたよ。
京介 そして、前回前哨戦を勝って臨んだ2頭は言わずもがな、見所があると感じたのは牡馬よりも牝馬だったね。この時期でも体のラインが崩れずシャキッとしていたし、パワー優位と言えない馬場状態であれば宝塚記念は牝馬でも十分通用するから、こういうパドックのムードになるのか…というのは少し感心する所があったよ。
菊池 結果にも現れたとおりということですね。
京介 個人的に期待してたトーセンスターダムは、もうちょっと関節が柔らかくならないとな~。
菊池 まだ経験を積んでいる最中ですね。道中は上手く運べていましたが…。
京介 そして問題の、レース前からゲートまでの話をしとこうか。返し馬までは特に問題ない様子だったと思う。馬場の外を軽く流していて、脚元から土が飛ぶのはよっぽど馬場荒れてるんだな…とは思ったけど。
菊池 ゴールドシップは、確かに大人しすぎる…という感が伝わってきていましたが。
京介 そしてまずゲート入り。最初に前回問題があったゴールドシップからだね。目隠しをしてゲートに入れる。ここまで意外なほど問題なし。
菊池 そうそう。まさに心配になるほど大人しかった。
京介 奇数枠番の馬がどんどん入って、ここまでもジッとしてる。そして12番のレッドデイヴィスが入った後に、13番ラキシスと14番トーホウジャッカルがワサワサしだしてちょっと伝染したらしいね。
菊池 古馬でも、さすがにスタンド前で大歓声ですからね。
京介 そして最後、ラブリーデイが入ると同時に大歓声が起こり、これでゴールドシップがカッカ来ちゃって急に立ち上がる。最初立とうとしたそぶりを見せて静まり、ラブリーデイの係員が下がってさらに大きく立ち上がったのが2回目。ここまではスターターも待っていたんだ。そして一度着地して体勢を直したか、と思った時にまた3回目。
菊池 この時にスタートが切られてしまって、大きく出遅れてしまいました。少しゲートにも引っかかっていたようで、一瞬、ラガーレグルスがフラッシュバックしましたよ。
京介 1秒どころか2秒近い出遅れになってしまう。有馬記念や天皇賞春のような長距離でもなし、これはさすがに万事休すの内容だったね。
菊池 あぁ~…でした。
京介 その他はラキシスが少し出遅れ、内の方でカレンミロティックとデニムアンドルビーが挟まれて後退。行き脚がよかったのは好調教だったレッドデイヴィス、大外枠のラブリーデイ。
菊池 すぐ隣でゴールドシップの大出遅れを見た川田騎手は色めきだっているかのような表情が見て取れました。
京介 この2頭が後続を先導する形だけれども、おそらく妙な大歓声とスタンド前モニター、そして場内アナウンスで1コーナー通過時には松若騎手も川田騎手もゴールドシップの出遅れは察知できていたんじゃないかな。
菊池 人気薄に騎乗の各騎手を含め、そうだったでしょうね。
京介 1コーナーまで流した後のコーナー周りで、4F目13秒4、5F目13秒1と相当ペースが落ちる。これはもう前に行った組が全く争わず、納得ずくで脚を溜める動きに徹してたからでしょう。この展開で最後尾のゴールドシップは、エンジンがまだ暖まりもせず大きく離れた最後尾。
菊池 1000mを通過したのが、先頭が62秒5。これもかなり遅いですよ。
京介 ゴールドシップが1分4秒4ぐらいかな?前が脚を溜めて楽をしている方の展開なのに、この2秒アドバンテージは絶望的だったよね。
菊池 ただし、特に横山典弘騎手が促したわけでもなく、最後方から馬群に追いついていきました。
京介 宝塚記念のクラスのメンバーでこの流れなら、当然先団は馬群が凝縮する。だけどゴールドシップが馬群に追いついて来たから仕掛けに悩むのか、差し追い込み馬は動いていけない。3コーナーでレッドデイヴィスは2番手を離してスパートするんだけど、舐めている様子もあって2列目3列目の動きは慎重。
菊池 いくらゴールドシップと言えども、あの出遅れではマクリきれないだろうと思っていたでしょうしね。まして、横山典弘騎手ですから、もう無事に馬を戻すモードだろうと確信していた騎手もいたんじゃないでしょうか。
京介 レッドデイヴィスに続く好位勢は、放置したものの実際4角でアッサリ追いついているしね。なのでこの3~4コーナーで、好位勢は周りを見て持ったまま、中団より後ろの差し追い込み馬が追い通しという流れだった。超スロー展開で差し馬が慌ててる時に良く起こる現象だね。
菊池 そうですね。「時既に遅し」ってやつで。
京介 そして4角は、画面一つに全馬収まるぐらいに馬群が凝縮してる。直線入口で余裕だった2番手ラブリーデイが先頭に出て、2列目が横一線。ここはもうスピードに乗って惰性比べになってる場面だから、ここでまだ馬の後ろにいて捌けず詰まってたり、進路を迷ってる馬ではもう圏外だね。
菊池 弱い先行馬もいた影響で、それなりに渋滞も起こりました。道悪の競馬は馬群がバラけやすいですが、ここまでスローだと別ですね。
京介 最内で道中我慢してて直線でも僅かな隙間を通したショウナンパンドラ、そして道中インベタから4角詰まらず大外に出せたデニムアンドルビー。このディープ牝馬2頭が突っ込んできた。だけども展開・隊列の利が大きくて、ラブリーデイが僅かに最後凌ぎきってゴールと。
菊池 川田騎手は終始ミスのない完璧なレース運びでしたね。
京介 実はレースラップは昨年と似たような中身だったんだよね。2コーナーで展開がグッと緩んで、前に行った組が楽々押しきってしまうと。今年はゴールドシップが最初から最後までレース展開に寄与せず、おまけに隊列有利と見込まれていたカレンミロティックも不利で後方。ラブリーデイはホント、京都記念の時と同様な展開でしっかり脚を溜めて押し切る理想的な形だった。
菊池 カレンミロティックはデキの面で不安があった分もあるんでしょうね。レッドデイヴィスの逃げはともかく、やはり逃げ馬不在が大きく響きました。
京介 デニムアンドルビーは昨年の宝塚記念の時もいたはずなのに前付け5着、今年の競馬の方がよかったということなのかな。
菊池 デキや臨戦過程の分もあったでしょうね。結果として、適性があるはずのないヴィクトリアマイルに付き合わず、天皇賞(春)でゴールドシップの作った激流に巻き込まれなかった位置取りがダメージを残さなかったとも言えそうです。
京介 果たして底力勝負と言える内容だったか?は疑問があるし、馬群が固まっての速力勝負だったと考えるべきでしょう。こうならないと宝塚記念で牝馬が来ないしね。
菊池 そうそう。同意見です。特に、好走したのがデニムアンドルビーとショウナンパンドラだったあたりにも、それが現れていると思いました。
京介 路盤が緩いとは言え、馬場が乾いてこのスローだったのならディープ、キンカメ有利に働くということだろうし瞬発力特性に寄ったタイプが走れるようになったと。
菊池 1着がキンカメ×サンデー系、2着がディープ×キンカメ、3着がディープ×フレンチデピュティ。
京介 ゴールドシップはまたやらかした。そのやらかした時に、何も抵抗できず負けてしまう上に、レース展開が標準よりもさらに軽い質になってしまうのも同じ。今回は週末の雨予報、そして見た目にボロボロの馬場。
菊池 そして外枠。
京介 ゴールドシップにここまで条件が揃えば…と期待させて、全く違う負け方をしてしまうんだからホント憎たらしい所だよ。
菊池 ゲート再審査後っていうのをもっと重く考えないとダメでしたね。前走が、かなりゲートでごねた後に、長時間の駐立を何とか凌いで出ていただけに、そこに気が回らなかったけど。オルフェーヴルが調教再審査後の天皇賞(春)で大ゴケしたことの教訓を生かせなかった。これには大いなる反省です。
【 ラブリーデイ 】
菊池 京介さん、コラムで◎でした。そして奥野さんも!お見事でした!
京介 今年に入ってこれで重賞4勝。2014年までは重賞勝ちなし、オープンたった1勝のイマイチ君だったから、文句なしの充実期に入っていたと認めて良い内容。ゴールドシップがコケるコケないよりもこの馬が当日6番人気だったことがちょっとおかしいんだよね。
菊池 そうですね。明らかに変わりましたからね。
京介 まあ、明らかにスピードタイプだったから雨降り馬場では評価を下げられがちで、おまけに今年負かしたメンバーが怪しかったという人もいたけど。
菊池 勝った3走は、ともに内容が良かったですからね。記録面こそ大したことがなかったですけども。
京介 あと馬柱近3走だけで区切ると、格下扱いされやすい見た目だったかな。阪神大賞典と天皇賞春で先着された馬が3頭いたからね。
菊池 その2戦は「距離」で片付けられたとは思いますが、今年6走目ということ、大外、馬場で割り引いた人が多かったんじゃないかと。僕も一度は◎を考えましたが、あまりにも陣営が馬場状態不安をコメントすることと、大外枠で少し下げて3番手にしてしまいました。弱い!!(泣)
京介 それを考えると、この馬は3000m超級がとことんダメで、2000m前後の距離になると全然違う、と気づくかどうかだった。その2戦に引っ張られてイメージを落とし、おまけに天皇賞春とこの宝塚記念の流れが同質だと思ってた人がかなりいたってことだろうね。
菊池 そういうこともあるでしょうね。
京介 この馬は後肢がやや短めのハコ型ピッチ走法タイプで、3000mクラスの間延びした距離が全然ダメなんだよね。母父ダンスインザダークだけれども、全然そういった伸びやかさがなくてカチッと決まってる。
菊池 ザ・小回り中距離馬。GⅠ好走なら宝塚記念しかない。ダメなら有馬記念。そう思っていた馬です。
京介 もちろん今回勝てたことは、ゴールドシップがまるで働かなかった上に隊列有利が大きかったと考えてOKだけれども、今年に入ってからの充実振りは認めるべきだと思う。
菊池 そうですね。全くの同意見です。
京介 下半期の天皇賞秋で足りるタイムは数回出しているし、最近のG1戦線でそれだけスピードのいい馬がいるかな?と。
菊池 天皇賞(秋)はどうでしょう。また考えたいと思います。僕は、次は有馬記念かなと思っております。あ、あとアレですね。池江厩舎のソフト仕上げ。堀厩舎ともども、この春は凄かった。この人気でGⅠ勝つんですから。
【 デニムアンドルビー 】
京介 2014年度の体たらくを考えると、今期は明らかに復調してる。それと、450kg台に馬体が増えたのはやっぱり大きいんじゃないかと。
菊池 そうですね。昨年はやっぱり、ヴィクトリアマイルを使ったのが良くなかったと。さらに遡れば、ドバイに連れて行ったことが良くなかったとも言えるんじゃないでしょうか。
京介 それにこの馬も、早熟と言うよりは好走のツボが狭すぎるタイプなんだよね。勝ち馬と同じくピッチ走法の馬で、馬群が短く詰まってる時の方が差してこれるタイプ。スローペースの方が動ける追い込み馬、というもの。昨年の宝塚記念の時に走ってほしかったけどなあ…(苦笑)
菊池 昨年はやっぱりローテだったと思いますよ。
京介 勝ち馬と同じく、馬場の質がかなり回復して、レース展開もこの馬に向いたものになっていた。というか、G1レースばかりぶつけるローテーションが正直どうなのか?と思ってるし、斤量有利で出られるようならタイトルを獲る意味でもG2~G3辺りに出てほしいんだけど。
菊池 今回の差し脚を見ていると、そう思っちゃいますね。13年ジャパンCもそうだったけど、超スローで唯一、後方から伸びてこれたように。
京介 そうなんだよ。軽い質のレースの方が動く馬だと思うから。
【 ショウナンパンドラ 】
京介 自分が想定しているレース展開上は、十分アリな馬だった。比較的非力な中距離ディープ牝馬で、能力発揮できたピークの内容が秋華賞。軽い芝での持続力勝負でタイトルを獲れた馬だからね。
菊池 あの時もラチ沿いを上手く伸びてきたように好走パターンは同じでしたね。
京介 おまけにここ数戦は外枠ばかり引いていて隊列不利も結構多かったし…。週中の馬場が悪すぎたことで評価は一気に下がったけど、今回のように軽い質のレース展開ならチャンスはあったと。それにしても隊列も良かったし、良くあの最内が開いたよ。
菊池 そうですね。僕も馬場悪化で評価を下げました。あの内が開いたのは、人気薄で一か八かの競馬ができたことも大きいですね。ノンプレッシャーでしたから。
京介 この馬も典型的なディープ牝馬として扱えばいいと思う。体が徐々に徐々に増えてるのはいいことだと思うし、もうちょっと体格に見合う馬力がつけば…460kgぐらいかな…。
菊池 3歳秋にようやく大レースに出られたように、完成自体は遅い馬ですからね。
京介 G1タイトルホルダーだから、どのレースに出るにも不利で、今後なかなか人気の中心になることはないけど、相手が強いと思わせる場面で激走するタイプだと思うよ。
【 その他 】
京介 ゴールドシップの出遅れに関しては敢えて上で触れたけど、そういう負け方がありますか!と言う感想だよね。
菊池 そうですね。うん。そう…。
京介 いつも「実力で負けたわけじゃない」と言う例が続くし、能力査定では絶対一番上になってしまうから、いつも取り扱いが難しすぎる。おまけに今回は、雨まで降ってて馬場もボロボロ。舞台設定まで整ってるんだから、と思わせていてのこの大出遅れだからね。
菊池 これでまた、発走再審査。今後にも大きな不安を残すことになりました。僕も、敢えて上でラガーレグルスの再審査についてコメントしたのですが、一度、こういうことになると復調はけっこう難しいですよね。続けざまに古い名前で申し訳ないですが、晩年のセイウンスカイなんかも、天皇賞(秋)のゲート問題のあとはサッパリでしたし。
京介 大きなレースで負けた責任も大きいからレース後、緊急に採決委員との審査会があって採決委員の説明があったそうだけれど。
菊池 これですかね。http://sports.yahoo.co.jp/sports/other/horse/2015/columndtl/201506280007-spnavi
京介 横山典弘騎手も須貝調教師もバツが悪そうに苦々しい言葉を搾り出すのがやっとだったようだし。
菊池 あのシーンで、ゴールドシップに合わせてゲートを開けるわけにもいかなかっただろうし、難しいところではあるんですけどね。
京介 大きな金額が動くレースで、レース前にも出遅れに触れるアナウンサーはいても、馬場状態を見極めてゴーサインが出せる状況だったし、過去との比較をしてもここまでレースにならない出遅れがホントここ一番で出るとは思わないしねえ…。
菊池 大出遅れというかたちで現れるかどうかはともかく、前走の反動。ゲート再審査によるストレスなどなど…。まともに出ていたとしても、怪しい部分はあるような。そんな精神状態だったとは思わされました。
京介 でもね。日本で今一番強いと言われてる馬が、こういう致命的な悪癖を持っているという現状はやっぱり看過しがたい問題だと思うよ。世間の評価が下がった時に素直にコケる馬だったらなんぼか可愛げがあるのに…。
菊池 競馬なので、こういうこともあるのですが、最近、競馬に興味を持ち始めたばかりの人が、ゴールドシップのハズレ馬券を握りながらこういうレースを見てしまったのか?と想像すると、少し胸が痛いですよ。
京介 でもゴールドシップが居なくなった時のレース展開は、おおよそ想定どおりではあったんだよね。そのシーズンで好調な馬が自分の流れに持ち込む、むしろ底力勝負になりにくい、むしろパワーでは劣るタイプの方がちゃんと脚を使う。
菊池 その読みはお見事でしたね。
京介 当日の馬場状態比較ではラキシスやヌーヴォレコルトらの「重馬場で牡馬相手に勝った馬」が評価アップされてたけど、実際はレース展開も影響して急加速に対応できるタイプの方が好走した。
菊池 逃げ馬不在=スロー VS 何だかんだで宝塚記念らしい底力勝負 という2つの展開読みがあったと思うのですが、前者の正解となりました。
京介 これは馬場状態回復というよりも、ゴールドシップがどこにもいないことでレースの質そのものが予定より急変したことが大きいと思うんだ。
菊池 そうですね。京介さんが最初に言ったように、“先行馬に騎乗の騎手が、場内アナウンスでゴールドシップの件を察知する”ということには気付いていなかったので、ひとつ勉強になりました。
京介 だけどやっぱりレースを終えてみると、予想や馬券が当たってそれなりに痛快ではあるけれど、それでも苦々しいイメージが残ってしまうんだから、断然人気の出遅れ⇒圏外はやめてほしいわ。
菊池 そうですね。残念でした。
京介 やっぱそれなりにレースの流れに乗った上で、力負けに見えるような格好だったらゴールドシップにも弱点はあった、ラブリーデイ偉い!ってなるしね。
菊池 うんうん。ギャンブルとしては、こういうこともあるんだけど、スポーツとしての競馬を考えると残念です。でも、本当に色々なことを考えさせられて。印象には強く残る宝塚記念になりました。
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菊池 では回顧はここまで!今週からは3場ともローカル場に開催が移る、夏競馬本番です。福島のラジオNIKKEI賞を展望していきましょう。