菊池 日曜日の札幌ではキーンランドCが行われました。こちらの回顧をしていきましょう。

札幌記念で京介がサクラアンプルール(6番人気1着)を推奨!
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170820札幌記念穴推奨

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キーンランドカップ回顧



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<天候・馬場について>

菊池 徐々に暑さが和らぎつつある札幌競馬場ですが、この土日は久々に暑さが戻ったようです。

京介 日曜日は強い日差しが戻って、場所によっては30℃近く上がったそうで、しかも西日が非常にキツかったようだね。

菊池 札幌はCコース2週目。とは言え、Cコースとなった当初から時計の掛かる馬場でしたが、今週も変化はなかったようですね。

京介 今週は特に、差し馬有利がさらに顕著だったように思うよ。ただ単に時計が掛かるというだけでなく、4コーナーで毎レース馬群が密集する展開になりがちだった。スパート地点が早くてスタミナが問われ、外を回る差し馬がかなり有利だったね。

京介 その結果、土日ともに半分より外の枠の方が有利で、日曜日はほぼ5~8枠で決着していたようなもの。土曜日の札幌10R、WASJ第1戦の芝1200mは、1~4着馬がみな前走芝1500mからの距離短縮馬だった。ちょっと距離適性が長めにズレていた馬の方が走りやすいということは、脚を溜める能力の方が必要だったということだね。


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<パドックについて>

菊池 春先や近走で不振にあえいでいる3歳・4歳馬が、今回の人気の中心でした。先週の札幌記念のパドックがみな仕上がり一息という話でしたし、やはり当日に怪しい所はあったのでしょうか?

京介 どちらかというと、じっくり間隔を空ければ立て直せるだろうと期待されていた馬が、その思惑ほど良くなっては来なかったんでしょう。この日に限って怪しいというよりは、どの馬も変わり映えせず、が本音だね。

菊池 1番人気となったモンドキャンノは、映像で見ていかがでしたか?キンシャサノキセキ産駒は、スランプから脱するのに時間が掛かるタイプが多いですし、世間も恐る恐る評価しているんじゃないかというオッズでした。

京介 モンドキャンノなあ…。デビュー時は若干腹ボテの形に見えるぐらいフックラ見せて、ゆったりしたストロークで歩く馬だったのに、今回はだいぶお尻が小さくなって、腰の支えが弱くなってクタクタだったね。同じ3歳のメイソンジュニアも、春より腰の緊張感が落ちていたと思う。

京介 というか、大幅な成長や馬体の充実が全く感じられなかったんだよね。この3歳世代の牡馬はホント眉唾で考えた方がよさそうだなあ。

<レース展開について>

京介 今回は、赤旗が振られてファンファーレが鳴りだしたところから、すぐゲート入りが始まっていたね。偶数枠の馬をほぼ一斉に入れた時間短縮もあったし、そもそもがたったの13頭。およそ40秒弱でスタートとなったから、かなり早い方だよ。

菊池 一歩目はほとんど横並びで出ました。しかし、行き脚が良くなかったのが1番ブランボヌールと4番ヒルノデイバロー。7番フミノムーンは控えて下げました。

菊池 スタートして少しばかり4~5頭ほどの横並び状態が続きましたが、ジワッと先頭に立ったのはなんと6番ナックビーナス。外から2番手で並んできた11番ソルヴェイグ。その2頭の間に10番シュウジが割って入ります。

京介 だけどもモレイラ騎手は、グッと肘を引いて1.5列目待機。やっぱり控えるようだね。

菊池  その後ろは3番ネロ。中野騎手は折り合えているように見えます。その左に12番ライトフェアリー。その後ろに13番メイソンジュニアと続きます。

京介 ここまでで隊列の真ん中。先頭は4頭雁行などになっていないし、競り合うような隊列でもない。短距離重賞だからペースは序盤速いにしても、単独先頭で最初のカーブに飛び込めたし、そこまで厳しくはないんじゃないかと。

菊池  ここからは4列目ですね。内に2番イッテツ、その外に9番モンドキャンノ。一つ後ろの列に、7番フミノムーン、1番ブランボヌール。その後ろが最後尾になり、外から8番エポワス、5番ノボバカラ、4番ヒルノデイバローですね。

京介 3コーナーカーブ通過時は、全体に隊列が縦に伸びて、2頭ずつ続く縦列と変わった。後続が押し上げる前に、先団中団で追走している馬が先にバテていきそうな怪しい手応え。

菊池 そして4コーナー出口に差し掛かり、馬群が一気に横に広がります。逃げるナックビーナスは最内、2番手ソルヴェイグは3頭分ほどやや外。2列目が横一線で、前を行く2頭の間を突く10番シュウジと3番ネロ。ソルヴェイグのさらに外を狙う12番ライトフェアリーと13番メイソンジュニア、もう一つ大外からモンドキャンノですね。間違いなく勝負所となっています。

京介 この開催はこういう形で4コーナー手前から仕掛けているから、4コーナーで馬群が圧縮しがち。ここでロスが大きかったり、内で詰まったりしてスピードダウン要因を抱えると、もうアウトということだ。

菊池 しかし直線に向くと、4コーナー2列目にいた5頭がみな伸びあぐねます。逃げるナックビーナスもなかなか止まりませんし、ソルヴェイグは脚捌きが怪しいながらも粘りが効いて、この馬だけがナックビーナスを捉えられるかという態勢。ここまでだと、行った行ったの展開がハマったかのように見えました。

京介 直線入口の地点だと、1列控えていた好位勢がみんな頭を上げて苦しがっているんだよね。自分もこれは、もうみんなの脚が止まったなと感じた瞬間があったよ。

菊池 そして直線半ば、ラスト1Fを残し、何やら馬群の真ん中を縫ってじわじわと伸びてくる緑帽がいます。ルメール騎手騎乗のエポワスが、4コーナーでバラけたこと幸いと馬群の内3頭分辺りを突いて、猛然と追い上げてきました。

京介 このエポワスからわずかにテンポ遅れて、大外をフミノムーンが追い上げて来るんだけども、内外の差が響いたのか先頭2頭には間に合わなさそうな勢い。だけどエポワスは、鋭い脚色ではないけれども、前の2頭を追い詰めてきた。

菊池 そしてゴール前。ナックビーナスもソルヴェイグも、決して止まりそうな脚色ではないのですが、その間を割くように伸びてきたエポワスが、クビ差ソルヴェイグを凌ぎ切りました。ソルヴェイグ、ナックビーナスの間もクビ差。そして遅れて大外、フミノムーンが続きました。

京介 ほとんどは前に行った2頭の展開となって、逆転が起こりそうにない流れだったけれども、唯一エポワスが差し込んで来れたね。馬群の外を回った馬の末脚を引き出す流れにはならなかった。

<結果を受けて…>

170827キーンランドC結果

菊池 勝ち時計は1分9秒0。例年はもっと速い決着となるのですが、時計の掛かる開催どおり、この辺りに落ち着いた印象です。

京介 これは開催通りに馬場差計算をすれば、それなりに内容があるレースだったと判明するはず。例年の時計速い馬場とは別の性質が求められはしたけれど、決してレベルの低いレースではないよ。

菊池 そうですよね。今の馬場で前半3Fが33秒5となりましたし、前後半3Fのラップの差は2秒もあります。譲ってもらってぬるいペースになったわけではありません。

京介 なかなかに序盤速い流れからの消耗戦ラップ。この展開自体は前の組に楽に見えなかったけれど、結局は逃げ馬と2番手の馬が最後まで踏ん張っていた。好位勢はそれ以上の脚を使えずに脱落。レース展開を見れば競り合いが起こっていなかった。これは、ナックビーナスが自分の潜在スピードを発揮できた内容だと捉えた方がいいだろうね。

京介 そして、他に人気を集めていた実績馬が、能力ピーク時の力を全く発揮できなかったと捉えた方がいいだろうね。同時に、エポワス騎乗のルメール騎手は、あの動きのある4コーナーで馬群がボロボロにバラけると見定め、ロスせず内を回った選択も見事だったと思う。フミノムーンと同時に外を回っていたら間に合わなかったでしょう。

菊池 では、上位馬を振り返りましょう。

エポワス

菊池 当日は+20kg。さすがにこれを見て不信感を持った人は多かったと思います。前日時点で単勝7~8倍だった時間帯もあったのですが、ブービー人気の単勝21.2倍となりました。

京介 昨年のキーンランドC出走時も、UHB賞を激走した後に+12kgと増えていたんだよね。ただでさえ+20kgはびっくりするわ。昨年のパターンと比べても評価しにくいし、これで激走するんだから藤沢和雄厩舎が裏で一体何しているのか分かったもんじゃないな。

京介 とはいえ、UHB賞の時に、モニター判断でもわかるぐらい背中の肉が落ちていて、相当体が硬くなっていたからね。そこから全体のメリハリ、動きの柔らかみを急に取り戻していたのは事実。自分は今回の方が良く見えたなあ。翻って言えば、前走UHB賞であんな落ち目の体つきだったから、もう高齢だしあの状態からすぐ復調することはないだろう、間隔の詰まったローテーションだし…ということで目を切っていたんだけど。

菊池 藤沢厩舎のルメール騎手騎乗時って、本当に凄い結果ばかりが続いていますよね。下級条件だとお試しやついで騎乗の馬も多くて確率半分ほどになるんですが、準メインやメインレース、準オープン以上のクラスになるとほぼ来る、ぐらいになります。今年はレイデオロやソウルスターリングが記憶に新しい所ですが。

京介 人気ばかりになってしまうけれども、ざっくり抽出して重賞だと勝率6割・複勝率で8割超えるものね。物凄い絆で結ばれているんじゃないかと思うほどだよ。今回のような微妙な馬であっても、ポジティブになれる仕上げをしてくるんじゃないか、とチラッと疑うべきだった。

菊池 今回の1着でエポワスは、サマースプリントシリーズのポイントランキングで堂々トップに躍り出ました。3着と1着ですから、内容としては文句なしです。その意味でも、走られてその勝負気配に納得…というところでした。そして、例年のローテーション通り来年無事に走らせるという意味でも、この夏はココでお終い。スプリンターズSは使わないそうですね。

京介 今回のように出走メンバーの大半が休み明けでの有力馬ばかり、という時は、サマーシリーズで1着を狙う理由がある馬を必ず注目しないといけない。改めてそう感じさせた激走だったよ。

ソルヴェイグ

菊池  間隔を空けて調整し、滞在でじっくりと調整しての+4kgでした。あまり馬力があるようには見せないタイプですが、いかがでしたか。

京介 基本的にかなり細く見せるタイプだから、今回の仕上がりで全く問題なかったと思う。腰に甘さがあるのはいつもで、後肢を柔らかく歩幅広く捌けていたのは非常に良かった。この馬を縦に見ても、今日は動けている日だったんじゃないかな。これは人気で当然と思ったよ。

菊池 レース運びは万全でしたね。一旦先頭に出掛かるぐらいにスタートを決めて、周りの様子を窺いながら前付け。逃げ馬を目標に、そこを交わせばよいという押し切り。ルメール騎手の激走がなければ…という内容でした。

京介 真後ろにいた馬の足をなくすのを確認して仕掛けていたし、川田騎手はこの日の馬場傾向も良く見えていたと思う。今日の札幌遠征はこのレース1鞍だけだったんだよね。集中して騎乗できていたと思う。

京介 そして、前日の想定と比べて、他の先行馬の状態がかなり悪かったのもあるでしょう。こちらは自分のリズムで騎乗できたのが大きかったね。あとから隊列を考えれば、外枠を引けたのを最大限生かしたレース運びだった。

菊池 まだローテーションには余裕があるはずですし、他の不振の4歳馬と比べて好調アピールしているのは大きいです。スプリンターズSに向けて、いい状態で出られるのではないでしょうか。

京介 いやまさかここからセントウルSに向かう、なんてことはないと思うけれど…。確かここ1年1着がないから賞金が足りないけれど、過去1年のうち、スプリンターズS3着のレーティングがあるから出走できるのではないかな。

ナックビーナス

菊池 いやはや、快速馬がこれだけ出ている中で、この馬が先導するとは思いませんでした。レース内容もなかなかでしたし、やはり良い状態だったのでしょうか。

京介 張り艶は非常に良かったと思うよ。そして飛節の折りがかなり深く、腰が相当甘い馬なんだけれども、後肢を非常に大きく捌くのが特徴。今回はこれがちゃんとできていた。

京介 だからむしろ、馬本位の考え方をするなら、絶対に揉まれたくないタイプ。相手がどうであれ、毎回強く主張したい理由がある馬で、今回はわがままが通ったという解釈をしたいね。

菊池 他が来ても主張してやるという気合いを見せて、そうしたら他の馬が意外と競り合ってこなかったという所でしょうか。

京介 昨年このレースで5着に健闘している馬だし、今年は有力馬がほとんど一緒。自分本位の競馬ができるのなら、着順が若干上がる可能性があった、というところでしょう。

菊池 逃げることで穴を出すパターンは、今後どこでも起こりそうですね。

その他

菊池 前に行った2頭が粘ってしまったので、フミノムーンは自分の競馬をしていながらも4着という結果でした。

京介 改めて今週は、短距離でも外差しがビシバシ決まっていた週だった。フミノムーンの勝浦騎手は最初の先行争いを避けて、3コーナーに辿り着くまでに先頭と5馬身差以内に付けている。道中は固まった馬群のずっと外。ずっと手綱は引っ張り切り。でもこれだと、あまりに距離ロスしすぎの贅沢な位置取りになりすぎたかなあ。ラストはしっかり脚を使えていたのに間に合わず。今年はチャンスだったのに本当にもったいない…。

京介 でも予想していた時よりも先頭が競りにならず、前が総崩れの所まで読んでの追い込み期待だったから、他力本願だし重賞になると一歩足りなくなるのは致し方なかったのかな。函館ではなく、札幌での好走実績があるのならあと1馬身違ったかもしれない。

菊池 昨年キーンランドCで4・5・6着だった馬が、今年の1~3着を独占しました。そして、昨年連対した2頭も登場していたのですが、不振が深刻で大敗。3歳馬は新興勢力としては物足りなさ過ぎたと。その結果、9歳馬にも大逆転する余地が生まれたということですね。

京介 3歳4歳がどれも怪しかったよね。現4歳、昨年3歳時に勢いがあった馬が、どれも今年はスランプを脱し切れていない。スプリンターが気の悪さを出してしまうとホント深刻。今年の人気が怪しかった一番の背景は、「昨年好走した馬が適条件に出れば、再度好走してくれるはず」という世間の思い込みが強すぎたことだね。

菊池  シュウジは典型的ですものね。ガーッと行って止まる、が続き過ぎて、完全にレースに対して前向きさを失っているようにも見えます。そしてブランボヌールは、もともと小ぶりな体つきですし、シーズンを跨いで何度も活躍できるほどとは。

京介 微妙なメンバーが揃うG3になると、特にそういう「昨年は完敗に見えた馬の逆転」が起こり得る。「この馬は一昨年と昨年この着順だったので、この程度」という決めつけはホント良くないよね。当時勝った馬がいろんな理由ですぐ衰えてしまうから、地道に力をつけている馬の逆転が起こるわけで。

京介 だけど、それにしても前走悪い状態に見えたエポワスの逆転は驚いたわ。陣営の懸命な仕上げと、それに応えたルメール騎手の好判断。これに尽きるね。ルメール騎手はココで疲れたのか、最終12RでWASJ優勝のチャンスをモロに逃しているし…。

<教訓まとめ>

・およそ半年ほども大敗を繰り返していた馬の巻き返しを、このキーンランドCで期待するのはかなり酷。結局は函館スプリントS最上位馬が、今年も結果を出した形。サマースプリントシリーズを戦う上でも、函館スプリントSで掲示板に載っていた馬からまず評価すべき。

・今回の川田騎手のように、WASJの関連もなくこの鞍のために、新潟や小倉から遠征してくる騎手は注目すべき。

・今年は斤量が加算されるとしても挑戦してくる陣営が意外と多かったが、やはり勝ちきるのは斤量加算のない馬。3歳が強い世代でないのなら、重賞勝ちがなくても好調持続している馬を頭に置きたい。

<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・ヒルノデイバロー
~1000万下までダート中距離を走っていた胴長の大型馬。重賞の短距離で足りる能力はあると思うものの、信じられないほど四位騎手と相性が悪すぎる。馬体は良いのだがいかんせん鈍い。他の騎手と替わったタイミングだったり、1400mで楽に追走する形がベターか。

<菊池>
・なし

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菊池 では、今回はここまでです。今週末は札幌2歳S・小倉2歳S・新潟記念を京介さんと展望していきます、よろしくお願いします。