菊池 日曜日に中京で行われた東海Sを回顧していきましょう。

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東海ステークス回顧



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<天候・馬場について>

菊池 先週も無事に雪は回避することができて何よりでしたね。寒かったのは寒かったと思いますが。

京介 少なくともパドックの最前列は、ガッチリ防寒している人ばかりだったね。ただ中京11Rのパドックが回っている時間帯は、西日がいい角度で差し込んでいて風も穏やかだったようで、空は晴れていたようだね。まあ、中山に比べて暖かかったとは到底思わないけれど。

菊池 さて、中京ダートは土曜日が終日「稍重」の発表。これは週中の雨が残ってのものでしたね。そして日曜日は「良」でした。

京介 凍結防止剤を今週は入れなかったからか、意外と乾燥が進んだというのはあるよね。

京介 平均的に逃げ馬の連対率が3割を超す中京ダートを前提にして考えると、今週は案外差しが決まったし、人気の逃げ馬や2番手の馬が苦戦していた方だと思うよ。差し馬が足りるという意味でのフラットな状況だったかと思う。

京介 やや重だった土曜日は内枠ばかり、逆に良馬場になった日曜日は馬群の外から被せて進められる外枠、2桁枠番の馬が土日ともずっと勝っていた。だけどさすがに、メインレースでは力の差が大きく展開が歪んだためか、この傾向とも言いにくい流れは覆されてしまったけれども。


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<パドックについて>

菊池 フルゲートの16頭立てでしたが、単勝オッズはテイエムジンソクが確定1.3倍の断然人気。その他の15頭は、何とも言えないメンバーでした。そのあたり、モニターパドックからはいかがでしょうか。

京介 前走で好走していた馬は、この冬場でも確かに好調をキープしていたと思うよ。それに対し、前走大敗馬はやはりというか仕上がりはまちまちだった。歩様のバランスを大きく崩していた馬もいたし、前走の甘さが想像以上に改善していた馬もいたよ。

京介 ただ、重賞を獲るレベルの馬はテイエムジンソク以外いなかったとは思った。どの馬も絞れたとて馬体が薄いし、馬力不足のために腰も弱い。冬場に狙って仕上げようとしても、噛み合わないよなあというのが正直な所。

京介 オープンでうだうだしている甘さのある馬は、普段手先や背中にしっかり力がこもらないから、いい仕上げをしてもセンスが低い。今回上手く仕上げられてレースも流れが向いたとして、勝つまでにはやっぱり開きがあるよなと改めて感じたよ。

<レース展開について>

京介 中京ダート1800mのスタートはスタンドの真ん前だけれど、比較的幅員のある芝コースを挟むから、歓声のプレッシャーはだいぶ軽減される。これだけ寒いのにこちらが思ったより人は入っていたけれど、今回もそれほど影響はなかったようで、ファンファーレが鳴っている最中からゲート入りは始まっていた。

京介 奇数番枠もサクサク入って、最後大外のショウナンアポロンも他馬を待たせずアッサリ入った。テイエムジンソクも他馬の動向を見ながら遅めに入っていたね。16頭で50秒ぐらいならだいぶ早い方でしょう。

菊池 スタートですが、展開に関与する馬は概ね発馬を決めていたといったところでしょうか。

京介 そうだね。まず一歩目はほぼ横並びで出ていた。3番モルトベーネが挟まれて若干躓いたかな。5番サンマルデュークは他馬に影響なく躓いていて、14番ゴールデンバローズは少し挟まれた。

菊池 まずは8番テイエムジンソク。内から4番サルサディオーネも押してハナを獲りに行こうとしましたが、結局1コーナー入口ではテイエムジンソクが単騎先頭になりました。

京介 相手が押し押し、こちらが持ったままというスピードの差もあったとはいえ、一切他の馬に隙を見せない競馬だよね。この強気はいいと思う。他馬の僅かなチャンスも積極的につぶしていくという。

菊池 9番ディアデルレイが徐々に2番手へ浮上。内に4番サルサディオーネは押し込まれ気味。控える構えに見えた3番モルトベーネは掛かり気味に浮上して3番手から2番手で2コーナー。

京介 モルトベーネはスタートで完全に劣勢だったのによく持ち直したわ。秋山騎手のバランス感覚の良さだよね。

菊池 その後ろに3頭いて、最内が1番ローズプリンスダム、間に2番シャイニービーム、外が11番アスカノロマン。

京介 2番シャイニービームは1コーナーで狭くなって後退する不利があった。ローズプリンスダムは向正面からずっと手応えが悪い。

菊池 この後ろにいた6番コスモカナディアンが外から動いて行きました。向こう正面の半ばあたりだったでしょうか。

京介 でも、コスモカナディアンは外から早くも仕掛けるというより、1列目との差を詰めるという動きだけだね。

菊池 中団以降は人気薄の各馬が形勢。15番クインズサターンが後方3番手、7番タガノエスプレッソがいて、最後方に10番オールマンリバー。

京介 クインズサターンやタガノエスプレッソなど1コーナーで進路がブレて下がった馬と比較すると、オールマンリバーはどう見ても下げすぎだし、道中の工夫も何もなかったね。

菊池 前半1000mが61.5秒。チャンピオンズCとほぼ同タイムでの逃げでした。テイエムジンソクにとっては楽なペースだと思いますが、メンバーレベルも低く、馬場も当時よりは力が要る状況なので、この流れで音をあげた馬もいましたね。

京介 追走途中から追っ付け通しとなっている馬はいくらかいたものね。

菊池 6番コスモカナディアンの小マクリ以外には大きな動きもないまま直線へ。8番テイエムジンソクは楽な手応えでリードを拡げる構えでしたが、これに唯一ついて行ったのが6番コスモカナディアンでした。

京介 そうそう。テイエムジンソクの逃げにくっついていた先行馬が、3コーナーに進入してから徐々に手応えが怪しくなり、馬群自体もどんどんバラけ始める。捲るどころか追い縋れないという手応えになっていて、消耗しているのがハッキリわかる。

京介 もう脱落するな、という先行馬と対照的に絶好の手応えで直線に向かえたのが6番コスモカナディアンのみ。いや正直、とんでもない馬が来たなとレースを見ながら思っていたよ。

菊池 前の2頭が止まらないまま3番手以下はついていけなくなってグングン離されてしまいました。9番ディアデルレイも11番アスカノロマンも3着に粘ろうとするのが精いっぱい。そこに、一旦は控えていた3番モルトベーネが、外に出して3着争いに参加。

京介 モルトベーネも4コーナー通過時点での手応えはかなり怪しかった。インベタを通って何とか消耗を少なくした乗り方をして、直線でのバテ具合が少なかったために後半盛り返したという脚。

菊池 8番テイエムジンソクは6番コスモカナディアンがしぶとく追ってくるので最後まで気を抜けませんでしたが、差は詰めさせずに逃げ切り勝ち。離れた3着争いは、3番モルトベーネが、内から追い込んだ5番サンマルデュークを差し返すように制しました。

京介 残念だったのはこの離れた3着争いに、手応え良く伸びて来る馬が複数いたこと。こりゃどう見ても、テイエムジンソクが他馬を蹴散らした後のおこぼれを狙う入着狙いだったよねえ。人気薄ならばその乗り方も仕方ないけれどね。

京介 こういう意図で騎乗していた馬が半数近くいたのなら、レース全体のプレッシャーも低くなるし、テイエムジンソクに楽々行かれても仕方のない所だったね。

<結果を受けて…>

180121東海S結果

菊池 勝ち時計は1分51秒8。昨年よりは速い時計ですが、グレープブランデーやコパノリッキー、ニホンピロアワーズら、このレース前後でG1を勝った馬と比較すると、少し物足りない時計だったのは、相手が弱かったという面もあったでしょうか。

京介 何とも表現の難しい所かな。3着以下が大分弱かったのも確かだし、テイエムジンソク自身も一定の強さは証明できている。ただ、この馬の強さは以前から証明されているし、新たな強さを見せたかどうかだよね。みやこSと同じ水準で走ったと捉えれば良いのかなと、今は思っているけれども。

菊池 やけに上がりが掛かりましたが、これは当日の馬場傾向に寄るところが大きいでしょうか。全体的に上がりの掛かるレースが多かったですね。

京介 これだけ寒くて晴れてもいたし、例年東海Sは冷たい北風が吹くんだよ。向正面の勝負所で向かい風を、直線で追い風を受ける形に、今年もなったのではないかと思うけれど。

菊池 では、上位馬について。

テイエムジンソク

菊池 断然の1番人気でした。今回は次を見据えたステップレースでしたが、仕上がりはどんなものでしょう。

京介 いつも通りという気配、いつも通りという馬体ではあった。パドックでずっとチャカつく馬で、今回も入れ込みはせず同じ気配を保っていたね。腹構えが夏場よりもしっかりしているんじゃないか、とは思うけど、はた目にそれほど毛艶良く見せないのも一緒だった。

京介 次走はフェブラリーSだろうけれども、一度目の前でちゃんと見てみたいね。なんだかモニターだと全然良く見えない形なんだよ。

菊池 この相手だと馬なりでハナに立ってしまいましたね。見ていて終始ヒヤヒヤするところのないレースぶりでした。

京介 コスモカナディアンの爆走には驚いたけれど、その迫る影を見てちゃんと坂で振り切ろうとしていたし、その差がグングン詰まるかというとそうでもない。コスモカナディアンのピッチに対してテイエムジンソクのトビの方が大きく、それでいて体をちゃんと使っていて動きの余白もあった。

菊池 フェブラリーSに向けては、いかがでしょう。今回、思ったより楽に勝てなかったのは、パワー&スタミナ馬場に思ったより手こずった結果かなと思っていて、本来この馬はスピード勝負の方が得意だと思っているのですが。

京介 馬場云々がというよりも、7~8歳G1級の先行馬が続々引退、あるいは不調に陥っているのは大きいんじゃないかな。コパノリッキーはもういないし、インカンテーションは好調が切れたのか東京大賞典で大敗。アウォーディーも不振。ケイティブレイブは現段階で十分対応できる。

京介 短距離路線から変な馬がやってこない限り、自身のペースに悠々持ち込める強みが活きるんじゃないかと見ているけれども。もちろんスピード勝負の方が得意だろうとは思うけれど、最近のフェブラリーSは凍結防止剤をあまり撒かないし、極端な差し有利馬場に変わる要素も少ないんじゃないかと思うんだ。

コスモカナディアン

菊池 13番人気、単勝100倍超えの人気薄でした。改めてパドック映像を見た印象はいかがですか?

京介 前回目の前で見た時より、明らかに整っていると思ったわ。トモの造りと後肢の捌きの軽快さが違ったね。前回は言われてみれば、微妙な差ではあるけど生涯最高馬体重だったんだよ。冬場得意なはずの馬なのに、前走はどうしたことかと思ったんだけれど…。前回甘目で今回キッチリ、というのは間違いないと思う。

菊池 道中で積極的に動いたのも好判断だったと思いますが、唯一テイエムジンソクについていけましたね。

京介 昨年同時期に川崎記念で3着した時も、サウンドトゥルーやケイティブレイブ相手に紛れ込めた馬。なかなか勝ち切れない弱みがあるわりに、強敵相手に見せ場を作っての好走が数多いんだよね。頭で来てほしい時に勝ってくれないんだけど…。

菊池 エルムSで0.5秒差4着。前走の大敗で目が行かなくなってしまっていましたが、今回は人気を落としすぎでしたね。自分も評価を見誤ったと反省しています。

京介 そこは自分もそうなんだけど、前回がパドック悪い→2桁大敗で、完全に不振に陥ったと思ってしまった。重賞で巻き返せるレベルまで仕上げられるとは思わなかったなあ。

菊池 次はフェブラリーSに行くのでしょうか?佐賀記念あたりも選択肢としてありますし、こっちかもしれませんね。となると有力かな。

京介 この馬はどちらかというと蹄&繋が立っていて特殊な形で細い蹄をしているから、最後に他が止まる坂コースの方が浮上できる余地が大きいと思う。なんせ全然指数通り走ってくれない馬だからね…。

モルトベーネ

菊池 チャンピオンズC以来でした。デキに大きな変化はなかったでしょうか。

京介 いや、この馬は残暑が残るシリウスSの時がかなりグダグダで、使われつつようやっと良くなってきたというムードだね。この日が一番歩様に機敏さがあったと思う。

京介 この馬もやけに1~2月冬場の成績が良い馬なんだよね。

菊池 勝負どころでの反応が鈍かったですね。一応、今回は3着ですが褒められる内容でもないような。ちょっと能力の底は割れてしまった感と言いますか…。

京介 それは認めないといけないね。狙ったレースに対してキッチリ仕上げて来れた、厩舎を褒めておこう。それとあれだけ手応えの悪い馬を何とか持たせた秋山騎手も。

その他

菊池 クインズサターンは3着からクビ・クビ差の5着でした。向いているとは思えない状況でしたが、末脚そのものは堅実でしたね。

京介 外枠で出遅れたし、1コーナーの進入がかなり悪くてそこでさらに後退。これも良くなかった。全くもって流れには乗れずの5着だったと思う。機動力が全くないな…。展開さえ向けばと思わせるんだけれど。

菊池 ディアデルレイは9着でした。自分の形に持ち込めなかったですが、そもそもテイエムジンソクにマークされる逃げだったとしても厳しかったかな?という印象が。

京介 向正面でテイエムジンソクが1ハロン12秒0に引き上げる場面があるんだけど、そこでもちょっと苦しくなっているものね。直線は完全に脚捌きが硬くなってしまった。

京介 単純に、近走オープンを連勝している勢いだけで通用するようなシーズンではないということだね。

菊池 先週の中京ダートは内枠の好走が目立ちましたよね。

京介 湿っていた土曜日はそうだったね。でも、乾いた日曜日は違ったでしょ。今回は道中のせめぎ合いがほとんどなくて、テイエムジンソクに自由自在にやられてしまったから、他の馬にテイエムジンソクにサーッと並びかける手立てがなくなり、馬群の外を回る馬不利のように見えるだけだと思う。

菊池 記録面が平凡だったのは、相手が弱かったのと馬場のせい、と片付けていいのでしょうか?フェブラリーSに向けては、テイエムジンソクにとってこのステップがどうだったかを考えるべきかと思います。

京介 前半で引っ張りそうな馬ですら、テイエムジンソクにとっとと片付けられてしまったから、序盤のペースはあまり上がらなかったよね。自分は「そこまで致命的なほど平凡じゃない」と見たいけれども。ひとまず東海Sは、勝ち切ることが次走に向けて大事だから。

<教訓まとめ>


・毎年条件クラスからの昇級馬が壁に跳ね返され、G1帰りあるいは近走不振だった馬が大穴で巻き返してくるレース。タフなG1で入着した経験が大きな財産となって、ここで生かされることが数多い。コスモカナディアンのような1年前の実績が生きる例は珍しいが…。

・チャンピオンズカップとは大きくメンバーが様変わりしやすいのが東海Sの常だが、実績不足でもこの条件を狙って仕上げてくる陣営がいる。過去、1月に勝ち星がある、中京競馬場の実績が抜群など、大幅な変わり身を期待できるとポジティブになれる材料を探したい。

・オープンでやっと勝ち負けできる程度の性能の場合、夏馬と冬馬では、馬体の造りや得意なダートの質などがかなり違う。夏場や秋口のダートでの好走を馬柱で見つけて、叩き2戦目で期待してもほぼ実らない。馬柱にない、1年前の履歴をちゃんと見直すべき。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・クインズサターン
…外枠で出遅れ、1コーナーでも外に振られつつ後退。4コーナーを脱出する時も進路を迷っていて、総合的に追走でかなりのロスがあった。それでラストの坂上はしっかりした伸び脚。いかにも「ハマれば」というタイプ。追走下手は致命的だが、どこかでいい条件はあるはず。

<菊池> 
・オールマンリバー
…自分のかたちで競馬はできていた。オープン・重賞でも通用する場面はあるはず。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週はシルクロードSと根岸Sの2重賞ですので、ともに京介さんと展望していきます。よろしくお願いします。