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菊池 日曜日の東京では日本ダービーが行われました。こちらの回顧をしていきましょう。

日本ダービー回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/174502

<天候・馬場について>

菊池 水曜日に雨が降ったのを最後に、府中市は晴れ続き。好天のうちに土曜日の競馬を終えて、日曜日も朝から絶好の競馬日和になりましたね。

京介 ちょっと曇りっぽくなって涼しいという予報だったのになあ。朝一番から思ったよりも雲が晴れて、強烈な日差しが降り注ぐ1日になった。何だか例年通りの蒸し暑いダービーデイだったよね。いや暑かったけれど半袖で行くんじゃなかったわ。日焼け対策でサマージャケットでも着ていくんだった。

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菊池 芝は土曜日の芝2400mが少頭数戦にも拘わらず2分24秒4。同日8Rの青嵐賞が2分22秒9という好タイム決着。ダービーレコードまであり得るか?という、速いタイムの出る馬場状態でしたね。

京介 一応、馬場を上から見ると内ラチ沿いはところどころ蹄跡多めに残っているんだけれど、芝が剥げるほど荒れた部分は、仮柵移動できれいに隠れたからね。特に、道中中盤の荒れている部分がほとんどなくなったのが大きい。

菊池 Cコースへの仮柵移動もあり、内有利だったと見ていいでしょうね。

京介 今週は土曜日の途中から日曜日午前のレースにかけて、逃げた馬が5連続で連対していたぐらいだし、かなり内が良かったのは間違いない。

京介 さすがにあそこまで露骨だとジョッキーも意識しだして、日曜日の午後はレース前半から絡むレースが増えたけれども。それでもCコースで芝が内外フラットだと、結果的に内外の差でラチ沿い有利になるからね。

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<パドックについて>

菊池 フルゲート18頭が埋まりました。パドックでは、12番エポカドーロがしばらく登場せず、途中から出てきたと思ったら誘導馬に内を帯同してもらうかたちでの周回でしたね。暴れて出てこられなかったのかと思いきや、出回った情報だと地下馬道で硬直してしまった、ということのようで。

180527エポカドーロ

京介 そうそう。ああいう大舞台で精神的な弱さを出してまともにパドックも歩けない、というのは本来「パドック目線で消し」だよね。大注目、大歓声を浴びるG1なんだから。誘導馬が横についてフォローする、というのはかなり甘やかしすぎだと思うんだよな~。

京介 いやもちろん、無事ダービーに駒を進めてきた皐月賞馬が当日の変な挙動で出走取り消しになるなんてことになったら売り上げに致命的なダメージだから、主催側としてなだめすかして何とか出させる、までは分かるよ。だけど、精神面で不安を出した馬を丁重に扱って立ち直るところまでリードしたのは、それは過保護過ぎるんじゃないの、ズルいわと思ったよ。こっちはあの目つきの悪さで結構自信もって消したのに…。これも皐月賞を勝ったからこその特別恩恵ということなのかねぇ?

菊池 確かに冷静に考えるとちょっとズルいですね。誘導馬の帯同が許可されるなら、パドックで暴れるような馬なんて減って当たり前なわけで。ダービーを台無しにしないための措置とは言え、公正競馬??という見方もあるのかも。その視点はなかった…。

京介 ちなみに、騎手が騎乗してパドックを出て行くまでずっと誘導馬が真横でリード。返し馬は馬番通り出てきて、スムーズに行えていました。この時点で冷静さを取り戻せていたんだね。

菊池 今年は、1・2番人気馬がともに3月以来の出走。そして、対するは皐月賞組。大まかに言えばそんな構図でしたが。パドックで、そのあたりはどのような印象を受けましたか?

京介 ありていに言えば、連勝で出てきた馬は「形として高レベル、非常にまとも」という仕上げ。皐月賞組はどの馬も小ぢんまり映るぐらい、ギリギリに研ぎ澄まされた形というように感じたね。特に顕著に変わったと思ったのは緩みの全くなかったキタノコマンドール。ワグネリアンも元々薄い馬体だけど、もう痩せこけているぐらいに感じた。サンリヴァルもエポカドーロも、ジェネラーレウーノもスカッとしつつトモ周りにいい張りがある。だけど、緊張しすぎに思えるぎこちなさだった、というところ。

180527ガチンコ1番人気

京介 自分はダノンプレミアムはやはり良い馬、と素直に思ったのと、ブラストワンピースは「腹袋が大きく骨太すぎる」ように映ったね。スタミナ自体は足りるけれど、軽すぎる馬場でどうかなと。なので、ブラストワンピースはバッサリ評価を下げました。

180527ガチンコ印

菊池 1番ダノンプレミアムは蹄に傷がありましたね。縦ではないので裂蹄ではなく、外傷なのでしょうか。

<ダノンプレミアムの右前蹄>
180527ダノンプレミアム蹄3

180527ダノンプレミアム蹄2

180527ダノンプレミアム蹄

京介 でも爪先から蹄の裏、蹄底まで見たけれど、蹄そのものが割れた、欠けた傷には見えなかったなあ。蹄冠部の横傷がチラッとあったぐらい?周回中の歩様の乱れもなく、変な蹄鉄を噛ましているわけでもなし、パドックを周っている間では補正痕も全くわからなかったよ。

京介 むしろ蹄が露骨にギリギリだったのは、17番ワグネリアンの方でしょう。厳しく追いきりで攻めて体も枯れ気味だったけど、今回初めて接着装蹄を使用していたし、同時に爪先にも微妙に補正をしていたように思う。ダービーはここまでギリギリに作り込んでこそ勝ちに繋がる、というシーンを過去何度も見かけたけれど、「うわ大丈夫かこれ…」という危険信号は、ダノンプレミアムではなくワグネリアンの方に感じたよ。

<ワグネリアン両前蹄>
180527ワグネリアン蹄

京介 あと最後に、ダノンプレミアムの返し馬の話を。馬場に出た時は誘導馬の真後ろにいたはずだけれど、川田騎手は現場の大歓声の雰囲気に慣らそうと、しばらく待っていた。他の馬が行くのを見やり、結果的に他の17頭が返し馬をし終わった最後に返し馬を始めていた。その時は場内が一番の大歓声に包まれるんだよみんな興奮して。だけども、ダノンプレミアムはその歓声の圧を受けても非常に落ち着き払って、全く淀みのない走りをしていたし、精神的に立派な所も見せていた。プレッシャーやダービー独特の雰囲気に負けそうになったムードは、全く感じられなかったよ。敗因は別の部分としたいね。

<レース展開について>

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京介 東京芝2400mは先週のオークスと一緒でゲートはスタンド前やや4コーナー寄り。見た所、反抗するような仕草を見せる馬は全くいなかったね。最初に入ったのはキタノコマンドールかな?この馬が入ってから、ものの30秒ちょいであと1頭となり、スタートが切られたのは48秒ぐらい。これだけしんどい場面ながら、かなり速いゲート進行だったと思う。

菊池 8番ブラストワンピースが出遅れ。1番ダノンプレミアムは今回も好スタートを決めました。

京介 ダービーは大歓声が近すぎる7枠8枠の馬が出遅れがちなんだけど、外の方で14番エタリオウ、18番サンリヴァルも出遅れていた。サンリヴァルはこの枠で出遅れ、メチャ不利だな…。

菊池 促して外からハナを奪いに行ったのは12番エポカドーロ。そして、16番ジェネラーレウーノも内に切れ込みながら前へ。1番ダノンプレミアムは外から来る2頭を待ちつつ、この後ろの3番手を狙っていた感じですね。出遅れた8番ブラストワンピースも押して挽回を図っていました。

京介 ダノンプレミアムは予想通りだね。オークスで川田騎手が騎乗していた1枠リリーノーブルの焼き直しという競馬でしょう。

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京介 ブラストワンピースは、よくあんなルートに進路があったなあ。馬群の内側2頭目、ゴーフォザサミットを追うようにジワッと進出。1コーナーを回る時には、3列目半ぐらいまで押し上げていた。

菊池 1コーナー手前で先頭に立った12番エポカドーロ。2番手が16番ジェネラーレウーノで、3番手に1番ダノンプレミアム。そして4番手に7番コズミックフォースが続いて行きました。この後ろが内に3番テーオーエナジー、17番ワグネリアンが意外と前の位置を獲っていました。その間に8番ブラストワンピース。

京介 今回のダービーは、1コーナーを回る時に変な挙動を見せた馬が全くいなかったね。横ブレや衝突などはなく、みんな1コーナーを落ち着いて、スンナリ進入できた。横の馬と当たってもコツーンというぐらい。

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京介 6番ゴーフォザサミットの蛯名騎手が、1コーナーで3番テーオーエナジーに狭くされたと主張しているけれど…。これはスペースが空くような隙間を作って待っている方が悪くないか?1コーナーカーブに入る前に3列目を確定させておくべきでしょ。確かに寄られて1列後退はしているけれど。

菊池 ちょうど中団あたりには6番ゴーフォザサミットと18番サンリヴァル。2馬身後ろに2番タイムフライヤーと10番ステイフーリッシュ。その後ろに9番オウケンムーン、11番ジャンダルムは後方。この後ろに13番グレイルと14番エタリオウ。そして5番キタノコマンドールと15番ステルヴィオ。離れた最後方に4番アドマイヤアルバ。

京介 ステイフーリッシュが全然主張しなかったのは残念。サンリヴァルもあの出遅れで無理しにくかった。むしろ1馬身前にワグネリアンだね。

菊池 前半1000m通過が60.8秒。当日の馬場状態を考えると遅い流れでしたね。青嵐賞より1.2秒のスローでした。

京介 しかも隊列に動きがなさそうで、このあと1200m、1400m通過もかなり遅そうなムード。後ろの組は遅い流れで上手く折り合いをつけられず、慌てている様子はあるんだけれど…。

菊池 この遅めの流れでしたが、有力馬は概ね好位を固めていたので、道中では大きな動きもないまま。3角手前の坂がある区間でも、12番エポカドーロの戸崎騎手はペースを緩めず。むしろ、少し上げているくらいで徐々に後半のラップを速めていましたね。

京介 本当に今回の戸崎騎手は逃げる呼吸が見事だったね。向正面のストレート部分でも遅いペース、そして3コーナー進入して後続が追い上げ難しい場面でジワッと上げていく。当日のエポカドーロは激しい展開だったら耐えられない精神状態だったと思うけれど、迷わず逃げて上下ブレのない淡々としたマイペース。これは非常に良いリズムだったと思う。

菊池 4コーナーでも大きな動きはないままですが、8番ブラストワンピースの池添騎手は外に出そうと試みていましたね。しかし、外にいた17番ワグネリアンの福永騎手はこの動きをブロックすべく、スペースを作らないようにしていました。

京介 福永騎手からは、ブラストワンピースとダノンプレミアムが離れていないから見やすい位置関係だったよね。ブラストワンピースは馬群の中にいたのでこれは対処できるし、ダノンプレミアムの動きにも瞬時に反応できる位置。外枠の距離損不安もあったけれど、ここまでそれほど目立ったロスもない。しかも3コーナーでは2列目外という高い位置。

菊池 直線に向いて決め手比べですが、12番エポカドーロは早めのスパート。直後にいた16番ジェネラーレウーノはついて行くのが苦しくなってか後退。8番ブラストワンピースは内にも進路を確保できず、外に切り替えています。

京介 ジェネラーレウーノは完全に上がり勝負適性のなさだろうな…。それにしても負け過ぎだけどね。この馬も外の8枠の大歓声プレッシャーで舞い上がっていたのかも。

菊池 これで前は4頭の争いに変わって坂上。12番エポカドーロがなかなか止まらず、直後の7番コズミックフォースがジリジリ接近。外から17番ワグネリアン。内にいた1番ダノンプレミアムも進路を確保しきれず、間を割るほどの脚色でもなく、残り100mあたりでは振り切られてしまう構え。

京介 ダノンプレミアムは、逃げた馬がアッサリ垂れるならベストポジションなんだけど、目の前の逃げ馬も粘って微妙にフラつくし、右前のコズミックフォースも垂れず、すんなり出させてもらえない。

菊池 残り100mでも12番エポカドーロが1馬身リードしているものの、これに懸命に迫るのが17番ワグネリアン。際どく追い詰めると、ラスト30mほどで前に出て半馬身差のゴール。

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京介 いやー、ワグネリアンはここまで17番枠からなのにロスがほとんどない。お見事という進路取り。しかも最後、ブラストワンピースとダノンプレミアムを外から閉じ込めているしね。

菊池 3着争いに、後方から追い込んできた14番エタリオウ、もう一度エンジンが掛かって8番ブラストワンピースが迫りましたが、7番コズミックフォースが粘り切って3着に残りました。

京介 結局、逃げと3番手が2着3着。勝ったワグネリアンも4コーナー5番手ぐらい。皐月賞とは流れが違ったスローだけれど、ここでも追い込みに徹した騎手はアテが外れまくったわけだね。

<結果を受けて…>

180527ダービー結果

菊池 勝ち時計は2分23秒6。オークスより0.2秒速いタイムではありましたが、青嵐賞より0.7秒遅いタイムでした。

京介 うん。確かにオークスよりも速い馬場だったと思うんだよね。時計の価値そのものは?という結果ではある。それでも、青葉賞の決着時計より明らかに速かったのは、ひとまず良かった。

菊池 全体時計が速かったのは馬場の恩恵が大きかったとして、前半はゆったり入って徐々にペースアップの上がり勝負。前残りなんだけど、早めに脚を使い切るスパートで最後の1ハロンは前に行った馬たちも止まっていますね。なかなか難しいペースだったという感じでしょうか。

京介 そうだね。直線まで脚を溜めて馬群一団横並びからだと、こういうラップにはならない。3~4コーナーの下りからスパートを仕掛けている流れで、坂下でトップスピードにある。おまけに馬場も内側が良い。先行馬に有利というよりは、後続が「前はどうせ止まる」と思って待ち過ぎた感じかな。先行馬の流れに付き合って、それで追い込み届くほどの実力馬がいなかったということではあるけれど。

菊池 軽い馬場とスローペースで、距離適性やスタミナは問われない、中距離のスピード勝負になりましたね。

京介 それはあるよね。2000mで先行して良いタイプが、自身の力を目一杯使い切って上手く運べたレースという印象。そして、2400mで破壊力のある追い込み馬はついぞ現れなかったと。

菊池 では、上位馬を振り返りましょう。

ワグネリアン

180527ワグネリアン

菊池 2キロ減で450キロでした。馬体はどのような印象でしたか?

京介 もともと後肢の管の細い馬だけれど、腰角が尖り加減でトモも寂しく映った。歩様もぎこちなさがあったね。それだけ厳しくギリギリの仕上げだったということだけれども。そして何より、前脚がちょっと短すぎるんだよね。これが一番気掛かりだったんだよなあ。

菊池 両前は新エクイロックスでの補正が広範囲にわたって施されていました。皐月賞の頃よりも少し広がっていたんですかね?

京介 自分は接着装蹄も気になったけれど、両蹄とも部分的に補正してきたのは今回が初めて。やっぱり釘を打ちにくいぐらい薄くなってしまったのでしょう。

菊池 レースでは外枠から積極的にポジションを取りに行きましたね。ブラストワンピースを内に見ながらの5~6番手で立ち回るというのは意外でした。福永騎手の戦略もペースも全てが合致したという勝利だったように思います。

京介 ダービーの外枠は本当に不利なんだけれど、スタートで落ち着いていたし、今回は「外枠だからこそできること」を最大限生かしたレース運びだったよね。まず、ブラストワンピースが果敢にダノンプレミアムを捉えようと動くのならば、外枠の馬はその有力馬2頭が見えるポジションで対応するのが良いと。その後も外に振られることなく運べたこと、そして意識しながら早めの動き出しが可能だったこと。これがデカいね。

菊池 秋は中距離路線でしょうか。毎日王冠は凄く合いそうな印象があります。

京介 うーん…まずは、今回のローテーションが厳しすぎたからダメージ回復が先かな。やっぱりちょっと後に響く究極仕上げだったように思うから。

京介 それと皐月賞は馬群外を回る差し比べで圧倒もできず、今回はスローを見事に良い位置で運んだギリギリの勝利。古馬になって実際、持ち味をどう生かすのか…。

エポカドーロ

菊池 パドックは遅れての登場でした。個人的にはその分でまず割り引いてしまいましたが、それ以前にも今回は「皐月賞後に疲労が出た」というニュアンスの情報や、直前の追い切りの軽さなどの不安情報も錯綜しました。それらを抜きにして、馬体そのものはどのような印象でしたか?

京介 この馬は本当に胴回りがガッチリしていて、腹構えの強さが凄い。3歳でお腹周りが寂しくもないのに、腹筋の張りが出る馬なんてなかなかいないよ。そこは確かに褒められるところなんだよ。

京介 いやでも、3歳のクラシック挑戦しているシーズンから、もう既にここまで追い切り嫌いだとは…。他のオルフェーヴル産駒を手掛ける厩舎も、「走る馬こそ父譲りの気性の悪さに手を焼く」シーンが多いんだろうね。

菊池 ゲート直後の動きからも、逃げは予め決めていた戦略だったと見えますね。藤原英調教師は枠順を見て決めたんじゃないかという印象を受けますが。

京介 この馬の気性をもとに考えると、馬群で我慢させる手が一番ノーチャンスだったと思うよ。確かに、他の皐月賞先行組が外枠に追いやられたのも助かったよね。

菊池 積極的に逃げることはしない戸崎騎手ですが、武豊騎手が踏むような正確なラップでしたね。お見事としか。

京介 こればかりは、手に入れている戸崎騎手が見事というべきだよね。当日は悪い材料が出揃っていた中、本当に素晴らしいリードでした。

菊池 前走に続いての軽め調整を徹底。これはJRDB橋浜さんのコラムにあった情報ですが、この中間からエイシンフラッシュの助手さんが担当されていたようで。

京介 いやあやっぱり、そういう部分こそ人の功もあるよねえ。S級厩舎は必ずそういった背景が大レース後に出てくる。

菊池 距離不安説も含め、逃げの手を考えているからこそ、あえて舐められるようなコメントを出していた?という面もあるのかなと思ってしまいました。

京介 それはもうほんと、お互いに何度も意見を出し合ったよね。レース前もレース後も。何度走っても地力が評価されないキタサンブラックもそうだけど、逃げに近い先行馬はむしろあんまり分析されすぎないことが大事なのかな、と考えつつあるよ。

京介 抜群に弾けるディープインパクト産駒の勢いも落ちつつあるし、上がり最速連発キャラがいなくなっている。だからこそこれからは、先行馬の時代だと思うんだよね。それに関連して、「不当な評価」という構図を見直していきたいと思った。

コズミックフォース

菊池 プリンシパルSから2キロ減でした。パドックでの印象としては良かったですよね。ただ、今年は印を回す馬が多かったのでさすがにこの馬は他の理由でふるいにかけてしまいましたが…。

180527コズミックフォース

京介 いやー、どう見積もってもこの馬までは無理だなあ。自分はまずレース展開もジェネラーレウーノが我を主張して、速い流れに仕向けるまで考えていたもの。すみれSぐらいの条件でも話にならなかったこの馬を、2400mで評価するのは無理。この馬こそ、今年はレース展開に紛れが起きた象徴と言える激走だよね。

菊池 ダービー初騎乗の石橋脩騎手は積極策。見せ場十分に、最後までよく頑張りましたね。この馬の激走には驚いた。ただ、結果として輸送で大幅に体を減らしたすみれS以外では崩れていなかったんですよね。

京介 確かに…。前走はだいぶ蹄が怪しい様子だったんだけれど、短期間で回復したのも良い兆候だったのかな。それだけ関東圏だとパフォーマンスが大幅上昇するタイプなのかも。

菊池 母ミクロコスモスは阪神JF3着馬。この馬も、母がスピードタイプという意味では1・2着馬と同じでしたね。

京介 そこは今回のダービーで、改めて注目される要素だね。母方がスタミナではなく、マイル以下で活躍したスピードタイプということが。

その他

菊池 4着はエタリオウ。届いたか?という脚で前に迫りましたね。この馬だけが後方から唯一、伸びて来ました。

180527エタリオウ

京介 友道厩舎としては、ワグネリアンで勝ちに動く競馬。実績の足りないエタリオウは、展開崩れの後方待機待ちという作戦だったのかな。仕上げは素晴らしかったよ。背を高く見せていたし、スタミナ勝負なら突っ込んで来れたのは間違いないと思う。

京介 ただ、直線で若干斜行して玉突きを起こし、サンリヴァルの不利を生んでしまった。ボウマン騎手が騎乗停止となってしまったのは残念。今回のレース展開からすると、さすがに進路的に無理を通す騎乗だったと言えるかな。

菊池 ブラストワンピースは5着。やっぱり少し余裕がありましたかね、今回の馬体は…。

180527ブラストワンピース

京介 というか骨太すぎなんだよね、ハービンジャー産駒の巨体馬というのが。背丈はあるのはいいけど、馬体のメリハリも「いつ完成するのこれ?」という見た目。骨量があり過ぎ、柔らかすぎるというのは、鈍さを出してしまう。

京介 ちなみにダービーを過去20年ぐらい遡って連対した馬の最高馬体重は、2002年に2着したシンボリクリスエスの520kgが最高。ブラストワンピースは前走比+10kgの532kgだった。

菊池 ダノンプレミアムは6着に敗れました。2.1倍と直前までしっかり売れましたね。

京介 最後の返し馬が凄く印象良かったものね。いやあれだけ堂々した立ち振る舞いをしていたら売れちゃうよ。馬体のバランスからは、距離絶対ダメという風には見えなかった。

菊池 川田騎手は「ゴール後にすぐ止まってしまうほど目一杯だった」というコメントを残しています。順調ではなかった分が大一番で堪えましたね。

京介 その通りだねえ。やっぱり皐月賞には出てきてほしかった。皐月賞を勝った無敗馬ですら、ダービー出走にこぎつけることが難しく、勝つことはさらに難しい。順調さを欠いた無敗馬の1番人気、やはり扱いが難しすぎたよ。

京介 今回は1番枠から全く理想的な競馬をしての負けだから、競馬で不利を受ける云々ではないし、「肝心な場面で底力を発揮しようと頑張る集中力が足りなかった」ことになっちゃうね。

菊池 3番人気キタノコマンドールは12着に敗れました。状態は皐月賞当時より上向いていたはずですが、流れに乗れず後方のままでしたから、この結果も仕方ないですね。

京介 いやホント、当日はいい仕上がりに映ったんだけど…。直接的には展開が良くなかった負けではあるけれど、全く反応しないというのは…。難しい。自分はもうちょっと前に行けるキャラだと思っていたんだけど、レース消化数が足りない経験不足っっぽい部分が一番の敗因かなと思う。

菊池 改めて、皐月賞を使った馬とそうでない馬とでは、このダービーという舞台で大きな差が出ると感じさせられました。

京介 そこは全くの同意だし、どれだけレベルが低いように見えても、改めて皐月賞出走馬から考えるべきというのが正しかったのは良かったよ。

京介 それと皐月賞もある程度完成品で出てこなければだめなレースだけれど、ダービーはさらに厳しく仕上げてこそ、というレースになってきたね。「良い馬だなと感心させられる」馬ではまだ駄目で、さらにその上の「根を詰めた仕上がりで危なっかしい気配」に至るレベルにならないと最後のあと一歩は出ない。

京介 ここまで余分を削った渾身の仕上がりだからこそ、そういう手応えがあるからこそ、陣営もピリピリし始めるし、ジョッキーの顔色にも表れるし、「ダービーに賭けている」雰囲気が3週前ぐらいからわかるはずなんだよ。

京介 そういうムードに普段から触れていれば、騎手の側は条件戦で妙なレースで騎乗停止を食らっている場合じゃないし、一口の会員さんも「記念出走ができてうれしい」とかいう和やかなムードで迎えられないしね。厩舎の中に入れば、勝負陣営はあまりにも本気モードにすぎて雰囲気暗いほどなんだから。ダービーのパドックで馬を牽いている厩務員の靴を見るとか、そういう話に通じる。

<教訓まとめ>

・改めてダービーは特別な舞台だし、その前準備やローテーションに全く問題なく来れたことが大事と感じる年だった。ダービー予想は皐月賞出走→ダービーに直行できた馬からまず入るべきで、前走皐月賞組が連を外した年はない。

・今年ほどダービー馬はダービー馬から、という格言が生きた年はないのではないか。上位3頭ともに父がダービー勝ち馬、ワグネリアンのみならずコズミックフォースも父&母父がともにダービー馬。最近は母方がスピード寄りの血統の方がいい傾向ではあるものの、「実績豊富な父内国産馬」がかなり強力な時代になっていて、外来血統を蹴散らし続けている。

・逃げ馬、先行馬でも距離を持たせられる、折り合いをつけて粘れる時代になってきたため、相対的に追い込み馬の期待値が著しく低くなっている。もともとダービーは上がり最速の記録がもてはやされすぎで、一発に賭けるタイプが期待されすぎ。重賞勝ち実績のある先行馬が、舐められつつもまた似たような流れで粘るという展開が増えつつある。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・サンリヴァル
IMGP2441

…今回は何もかも条件が悪かった。追い切りは良かったのだが、藤岡祐介騎手が騎乗停止で急きょの乗り替わり。大外枠を引いてしまい、大歓声が凄すぎてゲートも素直に入れず出遅れ。隊列が悪いまま直線に向き、致命的な不利を受けて失速。おそらくすぐレースに使えるのでは?というぐらい、力を出していない。

<菊池>
・ジェネラーレウーノ
IMGP2411

…パドックではパシュファイヤーを付けているように、元々気性面の難しいタイプで、皐月賞以上に人の多いダービーの雰囲気、外枠は堪えた印象。また、皮膚が薄く代謝の良いタイプなので、気温が高いのも良くないかもしれない。皐月賞で見せた持久力から、菊花賞で期待したい。


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菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週は安田記念と鳴尾記念を京介さんと展望していきます。よろしくお願いします。

180527ダービーウイニングラン

下手くそな写真ばかりでスミマセン

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