金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・函館2歳S編

菊池 日曜に函館で行われた函館2歳Sも回顧していきましょう。

オッズの大家が集結!必読の一冊



大谷 清文 (著), 奥野 憲一 (著), 互當 穴ノ守 (著)

函館記念はエアアンセム(5人気1着)を穴推奨に指名!
180715函館記念穴推奨

函館2歳ステークス回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/184005

<天候・馬場について>

菊池 函館も晴れて良いお天気で最終週を迎えました。今年は雨が少なかったですね。

京介 重賞が続く後半2週間を、いい天気で行えたのは良かったね。函館地方は30℃を上回りはしなかったけれど、その付近まで行ったらしいね。馬場悪化を気にせず予想ができる函館は助かる。

菊池 Bコース2週目、雨が少なかったこともあり、最後まで内の傷みは軽微でしたね。

京介 土日の芝レースラストを飾るこの日曜メインで、直線ラチ沿いを進んだ馬が好走できたほどだったからね。荒れ馬場をこなすタフさやらは、事実上考えなくても良かったと。レースに出走する馬の関係者も、予想する側も助かったと思う。

ブログランキング
↑他の競馬ブログもチェック!(ブログランキング)↑







<パドックについて>

菊池 16頭立てでした。レベルは概ねこんなところでしょうか。悪くはなかった気がしますが。

京介 一つレースを使うと、やはり差は出るね。一つ叩いてもっと馬体が引き締まる馬なのか、一つレースを消化すると反動が出て痩せてしまい、ガタッと落ち込む程度の馬なのか。今年も半数を超えるぐらいの馬が馬体のボリュームや腹構えが寂しくなっていたよ。

京介 馬体や歩様に柔らかみがあって良い馬、という視点ではなく、このレースに向けてしっかり整えていい緊張をしている馬ということなら、アスターペガサスとカルリーノは良かったと思うよ。ナンヨーイザヨイは痩せてきていた。ラブミーファインはハッキリ短距離馬とは思わなかったけれど、トモ落ちがなくて馬力がしっかりしている馬だったね。

京介 追い切り指数が全体ダントツ1位だったアスターペガサスが勝ったから言うけれど、やっぱり直前でビシッと追えるのは、前回の勝ちっぷりに余裕があって、まだ馬を調教でいじめる余裕があるからだよね。

菊池 他は地味だっただけに際立ちましたね。これは引き続き注目の傾向。札幌2歳Sや、その他のオープンでも気にしましょう。

京介 この中間ずーっと軽めで流しただけ、なんていう馬に大幅上積みがあるわけない。ナンヨーイザヨイはそういう部分でおかしいんじゃないか、と見咎めるべきだったのかな。なかなか強くは出来ないのが実情だけれど。

<レース展開について>

京介 函館芝1200mのスタートは2コーナー引き込み線の奥。気温のピークから徐々に下がっていただろう時間帯で、風もサーッと出ていたようだね。静かな位置だし、ファンファーレが鳴り始めている時からもうゲート入りは始まっていた。

京介 それにしても、2歳戦の2戦目ぐらいだからゲート入りには手こずるのかと思いきや、誰もゲート前で淀んだりしなかったね。全く問題なし。この時期にデビューしてすぐ勝てる馬は、ホント気性的に前向きなんだなあ。ものの40秒ぐらいでスタートが切られたのなら、だいぶ早いよ。

菊池 9番ロードワンダーが大出遅れ。6番アスターペガサスもあまり良い出ではなく、ダッシュが付かずに後方からとなりました。逆に、2頭以外は良いスタートでしたね。

京介 アスターペガサスに釣られてしまったのか、その両隣5番カルリーノと7番イチゴミルフィーユも、一歩目は悪かった。だけどその後の行き脚は問題なかったね。カルリーノは馬群の内をグイグイ挽回している。

菊池 先行争いは互いに様子を見合った後に、最内の1番ラブミーリッキーが先頭へ。8番エムティアンが2番手、その外に10番ラブミーファイン、13番レコードチェイサーらが続きました。

京介 エムティアンは他よりも一歩抜けた好スタート。ラブミーファインはこの大幅距離短縮で出遅れるよね?と思っていたら、追っ付けて流れに乗れてしまう。3番手に取りついてからは丸山騎手が手綱を引っ張るほどの行きっぷり。

菊池 直後、3番スズカカナロア、16番ニヴィアン、7番イチゴミルフィーユ、内に5番カルリーノ。

京介 ニヴィアンは最初スタートこそ良かったのに、枠の差があったかな。先ほども触れたけどカルリーノとイチゴミルフィーユは行き脚がちゃんとついてのこの位置。だけどスタートミスは少々痛かったかな。

菊池 中団より後方には12番ラブリロンリロンス、11番ナンヨーイザヨイが10番手付近。内に4番トーセンオパール。並んで追い上げてきている6番アスターペガサス。2番ガイセン、14番ヒストリコ、15番ホールドユアハンドは後方2番手。ようやく追い付いて来て9番ロードワンダー。

京介 ラブリロンリロンスは若干追走で置かれ気味だね。ナンヨーイザヨイはスタート後から周りがごちゃごちゃしすぎるので慎重に進めている感じ。一応先頭まで3馬身半ぐらいの射程圏ではある。

京介 トーセンオパールは序盤の位置取り争いからして、何だか消極的だった。足元に何かあったのかな?アスターペガサスは馬群の後ろ、進路を見つけつつ。

京介 ホールドユアハンドは別に出遅れていなかったのに、ルメール騎手が追っ付け通しでどんどん遅れてしまう。こりゃモロにダートの馬だね。

菊池 前半600m通過が33秒9。800mが45秒6。毎年同じようなペースになるレースで、今年は平均程度の流れでしょうか。馬場も良かったですし。

京介 前半が34秒台を切ってきたのはちょっとドキッとしたね。だけど2番手以下の馬は手応え良好、向正面から一杯になるような様子もない。おまけにこのペースながら、先団10頭ぐらいが固まって3コーナーに進入しているし、縦長になっていない。追走性能はどの馬もそれなりにあった。

菊池 4コーナーで、先頭は8番エムティアンに交代。その外から並んで10番ラブミーファイン。直後まで5番カルリーノ。この後ろまで追い上げてきていた6番アスターペガサス。11番ナンヨーイザヨイは7頭分くらい外を回っていますか?岩田騎手も本意ではなかったと思いますが…。

京介 馬群の後ろで構えていたナンヨーイザヨイは、16番ニヴィアンの外を回っていた時に、その内にいた7番イチゴミルフィーユが外に張ってきて、ニヴィアンの進路をカット。その影響でだいぶ外に振られてしまったんだよね。追い出し始め、ぐらいのタイミングだったから結構これは痛い。4コーナー途中とは言え7頭分も外に振られたら。

菊池 直線に向いて一気に10番ラブミーファインが先頭。5番カルリーノがこれを追い、3番スズカカナロアはラチ沿いを狙うも進路なく切り替えて追い直すロス。

京介 スズカカナロア、これは確かにやらかしたね。三浦皇成騎手は隊列なりだし、優先権はエムティアンにある。外のカルリーノ藤岡祐介騎手がきれいに回っていて、ラブミーファインとの隙間がなさそうに見えたからか。脚がなくなりそうなタイミングだったからこれも痛恨。

菊池 10番ラブミーファインが残り100mでも5番カルリーノ に1馬身のリード。振り切ったかにも見えましたが、外に出してようやく勢いに乗った6番アスターペガサスの追込み。

京介 4コーナーで反応が渋く置かれそうになっていたから、小崎騎手は意を決して狭い所を割ってきた。けど完全に差し損ねだと思ったよ。余力がたっぷりあったようで、エンジンが掛かってからはとんでもない脚色。

菊池 ラストもグングン加速して、6番アスターペガサスが並びかけたところがゴール。差し切ったようにも見えるし、10番ラブミーファインが残ったようにも見える、かなり際どいゴールでしたね。僅かに届いていました。

京介 アスターペガサスは最後首を下げたタイミングでゴールだったね。

<結果を受けて…>

180715函館2歳S結果

菊池 勝ち時計は1分9秒4。16年にレヴァンテライオンがマークした1分9秒2に迫る、過去10年で2番目のタイムでした。

京介 馬場状態が良かったのは確か。そして、道中の馬群の形を見ても、4コーナー辺りまで馬群がずっと密集し、緻密な競馬を要求された方だと思う。4コーナー途中の手応えの差で「これはこの馬とこの馬で決まりだな」とわかっちゃうのが低レベルの年の函館2歳Sで、それは大半が直線入口でバテてしまう流れになる。今年は道中で脱落した馬がチラホラいたけれど、食らいつく馬の方が多かったし、直線で不利もあった。確かにまあまあのレベルはあったと考えたいね。

菊池 では、上位馬について。

アスターペガサス

菊池 新馬戦から6キロ絞れて490キロでした。仕上がりは良さそうでしたね。

京介 何より直前の追い切りタイムが抜群だったね。函館にはもう高額条件の滞在馬が残っていなかったと思うけれど、函館Wのダントツ一番時計ぐらいじゃないのかな?

京介 そして外国産馬の強みもあるとは思うけれど、腰つきがバシッと決まって脚運びが素早かった。この機敏さが現状の持ち味ではあるね。

菊池 陣営もスタートは懸念していたようですが、中竹調教師の詳しいコメントによると、ゲートが開いた瞬間に後ろに下がってしまうとのことですね。たまにそういう馬はいますが。今後はゲートの克服が課題となりそうです。

京介 どうだろうなあ。多少硬さがあるタイプだから、出遅れがちだからこそいい脚を使える、というキャラかもしれないし…。克服できれば上向くのかは悩むな。

京介 馬場が重たくなって1分11秒台ぐらいの決着ならば、出遅れたことがプラスになったりもするけれど、1分9秒5よりも速い好時計決着だから、この末脚には価値があるよ。

菊池 最後の伸び脚を見ていると、距離はもう少し延びても走れそうですよね。ゆくゆくはダートでも潰しが利きそうな印象も。

京介 レース前には結構馬格がありすぎることを懸念したけれど、「早い時期から大きなものが楽に素早く動く」というのはアドバンテージが大きい。しばらくは短い距離の連戦でもいいんじゃないかな。

ラブミーファイン

菊池 1800mの新馬勝ちということもあり、この馬には意識が届きませんでした…。当日の状態をモニターで振り返ってもらっていいですか。

京介 筋肉の繊維がしっかりしているというか、筋力が強い。無駄なくカチッと整ってちゃんと緊張しているタイプだね。なんだか、全然晩成系統らしくない仕上がり方をしていたよ。

京介 母のヤマノラヴは函館のラベンダー賞でレコード決着の3着があったし、2歳戦のスピード勝負で実績があった血統。それが良く伝わっていた、ということなのかな。

菊池 1800mを勝ち上がってきた馬なのに、ここでも楽に追走できるスピードを見せて、最後まで脚もしっかり。丸山元気騎手のコメントにあるように、勝った馬を褒めるしか…でしたね。

京介 レース運びは文句なしだったね。もちろん1800mを逃げではなく好位から押し切れる気の良さがあるから、中盤から我慢が効くスタミナが生きるけれど、基本的にこの大幅距離短縮のローテーションはスタートでロードワンダーみたいにやらかしがち。ここまで上手く運ぶスピードがあるとはね。

京介 おまけにここは、小林祥晃氏(ラブミー)の2頭出しだったんだけれど、最内のラブミーリッキーが速い流れで引っ張っているのに、その3番手追走でしょ。共倒れするんじゃないかと心配だったけれど、ラブミーファイン自身が強くて後半しっかり残せた形だよね。

菊池 この臨戦過程で単勝オッズ21.1倍だったということも、改めて驚きがあります。ちなみに、中距離でデビュー勝ちのあとに1200mの2歳Sで連対なんて記憶にないので調べて見ました。札幌3歳S(芝1200m)や、新潟3歳S(芝1200m)なども含めてTARGETでいけるところまで。その結果、2001年の小倉2歳Sを勝ったタムロチェリーだけ。(前走が小倉芝1800mの未勝利1着)。

京介 あのタムロチェリーも、馬場が荒れやすい小倉2歳Sの大外一気。馬場の内側が全く使えないようなら、ああいう差しも決まるけれど、楽々追走できるのは話が違うよ、と思っちゃうね。

菊池 この先の見通しはいかがでしょう。牝馬で1800m→1200mで賞金加算。次走以降は折り合いがカギでしょうか。

京介 タムロチェリーがその後もポテンシャルを示して見せたように、早い時期に距離への柔軟な対応力を見せたことには注意したいね。マイルのそこそこレベル高いレースでも対応できちゃうのかな。

カルリーノ

菊池 前日1番人気、最終オッズは3番人気でした。パドック映像を振り返っていただいて、どのような印象でしょうか。

京介 それほどいい上がり目、というのはなかったと思う。けど個人的にはあそこまでスッキリカチッと整えば、準備として申し分のない状況だよ。本来ならこれぐらいの造りで、函館2歳Sは勝てたりするんだけれども。

京介 これで一応、自分の持ち時計分は目一杯走っていると言えるし、藤岡祐介騎手のレース運びも素晴らしかった。特に向正面で躊躇なく内に入り、コーナーでも内を回って隙間を埋めるように接近。スズカカナロアの池添騎手と対照的に、内にも外にも出せるルート。イチかバチかじゃない、安定した捌きだったと思うよ。

菊池 ソツのないレース運びでしたが、直線ではもうひとつ弾けなかったですね。

京介 連戦で使っている馬はさすがに仕方ない、と言えるのかな。ポテンシャルがメチャ高くて上積みが大いにあり得るという馬なら、ここで大幅に時計を詰めるんだろうけれど、今年は速い時計に対応してビシッと走った馬が、他に2頭もいたという解釈だね。

菊池 今後の見通しはいかがでしょう。

京介 自分は正直、物足りなさも感じている。これだけうまく運んだからこそ、底が見えたね。ここで目一杯仕上げたようにも思うし、若干反動が続きそう。

その他

菊池 4着は道営馬のエムティアンでした。早め先頭からよく頑張っていますね。次は札幌のオープンに挑んで来そうです。

京介 スタートが抜群に良かったね。あと、門別のあの坂路で好時計を連発していたのは注目したい。3Fを35秒台でまとめてきたのはかなり偉いよ。ホッカイドウ競馬所属馬はなかなかレベルが高く、中央挑戦一発目で結果を出せるようになってきたね。今年は時計が速すぎたけど。

菊池 1番人気のナンヨーイザヨイは8着でした。スムーズなレースが出来なかったですね。

京介 細かく見れば、4コーナーで大外へ振られる不利と、直線で接触を食らって体勢を崩す不利があった。これはさすがにキツイよ。勝ったアスターペガサスが鮮やかすぎたから、追い込みでも良かったんじゃないかと勘違いしそうだけれども、函館2歳Sは中団より後ろに回るパターンはやっぱり不利だよ。ごちゃつく可能性が増えるわけだし。もうちょっと仕掛けを早めるか、3コーナー3列目以内にいるべきだった。

菊池 ホールドユアハンドは14着でした。ルメール騎手が乗るというだけでここまで売れたか、という5番人気でしたね。

京介 これは今後も気を付けたいよね。父エスポワールシチーのダート新馬勝ち馬なのに…。ルメール騎手が乗るということに何かしら意義を感じてしまう勘違い。何か根拠がないとこういう無駄騎乗はしないんじゃないか、と思ってしまうのは良くない。いやいや、偶然や筋違いが重なることもあるし、たまにはこういうことも起こりえるんだって。

<教訓まとめ>


・ここまで外国産馬の勢いが微塵も感じられないレースだったが、2年前のレヴァンテライオンも今年のアスターペガサスも、直前にビシッとしっかりした追い切りを見せて、当日3番人気以内に高く評価される対象だった。既に高いレベルで仕上がっている早生まれ&外国産馬は、現地の取材で上位の対象なら評価すべきだろう。

・毎年ナンヨーイザヨイのような馬がレース振りと持ち時計で評価されるものの、実際に激走するのはラブミーファインやエムティアンのように、芝1200mとしての性能をまるで示していない馬の方が上位に来たりする。新馬1着の内容が優秀でもそこで燃え尽きる、上がり目がない馬では頑張れない。新馬1着は叩きのようなレースで余力があり、前向きで大幅に時計を詰めてくる馬を評価すべき。むしろ馬柱は見ない方がいいのか?

・アスターペガサスの中竹厩舎は、1回+2回函館開催のリーディング争いをしていた。過去の函館2歳Sも、こういう事情が絡んでくると「前走と比べて気配一変」の追い切りを施してくることが多い。

・また今年も、福島新馬勝ちから短い期間で輸送を経て挑戦してきた馬では勝負にならなかった。イチゴミルフィーユなどはただナンヨーイザヨイの邪魔をするためだけのレース振りでもあったし、一体何をしに来ていたのか?函館コースに慣れていない騎手とのコンビは特に最悪。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・ラブミーファイン
…ジャスタウェイ産駒、良いのかも。新馬戦も甘い造りで激走している馬が多く、レースを経て上向いてくる。ラブミーファインも全く短距離馬に見えない体型バランスながら、追走は楽々だった。この馬自身も1400~1600mでもう一丁があるのではと感じるし、その他のジャスタウェイ産駒にも期待してみたい。

<菊池> 
・ロードワンダー
…大出遅れからよくここまで来たという7着。もしかしたら次走で人気になるかもしれないが、既に4戦も走って上積みは?次走は危険視したいという意味合いでの注目。

~~~~

菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週はアイビスSDとクイーンSを京介さんと展望していきます。よろしくお願いします。