金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・エルムS編

菊池 日曜に札幌で行われたエルムSも回顧していきましょう。

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エルムステークス回顧



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https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/187569

<天候・馬場について>

菊池 予報どおり金曜から雨で、土曜は「ダ=不良」でのスタート。日曜はやや回復しましたが、メインレースも発表は「ダ=重」でした。

京介 土曜日の札幌競馬場はだいぶ薄暗くて、思った以上に降った様子には驚いたなあ。あれはさすがに日曜日も残っちゃうね。日曜日もピーカン照りというほどではなく、急激回復は望みにくい微妙な空模様。ただ、エルムSのレースをみていると、ダートの表面が乾いている部分も若干あったみたいだけど。一応重馬場だったわけね。

菊池 昨年ほどではないですが、スピード勝負は必至でした。

京介 毎年、良馬場であってもハイラップでも先行馬が残りがちなレースなのに、重~不良馬場で決着時計が良馬場とは明らかに違う水準になると、とにかく前有利になってしまう条件。スタートダッシュが効くアドバンテージがどこまで通じるか、という勝負になった。


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<パドックについて>

菊池 14頭立てはこのコースのフルゲートです。58キロを背負う実績馬は不在でしたが、ソコソコ…というメンバー構成だったでしょうか。

京介 現地に長らく滞在しているわけでもないのに、このタイミングで大幅な馬体重増減があった馬は、どうしてもトモの張りや胴回りの緊張感が物足りなく映るね。そして、この場面になってここまで平凡だった馬が急激に良化した、という馬も正直見当たらなかった。全体にはそこそこ能力ある馬はいたんだけれども。

京介 いい状態をキープして最近も結果が出ていたハイランドピーク、ミツバの2頭は抜群に良かったけれども、その他は「ベストとは違うな…」という印象。リッカルドもこのメンバーに入れるとあんまり良さが分からない。少なくてもスピードタイプという感じではないし、バネがいいわけでもなかった。

京介 事前の想定よりも、直前のパドックを見るとダメ出しがどんどん出てくるようなムードではあったね。

<レース展開について>

京介 札幌ダート1700mのスタートは直線入口ちょい過ぎに切ってある。観客はまばらではないけれどもそれほど多くもなく、拍手が多少出たぐらいで歓声もなかったので、ファンファーレ途中でも気にせずゲート入りは始まっていたね。

京介 時間が掛かったわけではないんだけど、2番ドリームキラリがゲート前で何だか微妙な反応。でもまあ、上手くやりすごしてその間に他の馬を入れていたし、全体では1分弱ほどしか掛かっていない。いつもより気持ち長かった程度。

菊池 スタートを決めた2番ドリームキラリが先頭へ、8番ハイランドピークもちゃんと出て番手へ。そして外から12番ブラゾンドゥリスも押して押して前へ行きました。

京介 この3頭が行けるのは、完全に想定通りだった。他は二歩目からがモッサリした馬ばかりだったね。

京介 出遅れたのは当日大幅増だった5番ノーブルサターン、長距離向き気質の10番メイショウスミトモ。あと3番のミツバが反応悪くて、出足を急がず後方に下げた。

菊池 1コーナーでは2~3番手が入れ替わって先の3頭が先行、その後ろに11番ディアデルレイ、内に4番アンジュデジールでその間を9番ロンドンタウン。

京介 ロンドンタウンは鞍上がビシバシ押したわけじゃなく、1コーナー手前は意外と持ったままなんだよね。よっぽど脚抜き良い馬場での反応がいいタイプなんだろうと。

菊池 その1馬身半後ろに1番リッカルドがいて、並んで13番モルトベーネ。さらに半馬身後ろに14番モンドクラッセ。これらの後方に10番メイショウスミトモがいて、外から5番ノーブルサターン。さらに6番リーゼントロック。そして最後方に3番ミツバと7番アルタイル。

京介 個人的にノーブルサターンはもっとやれると思ったけれど、出遅れて挽回も効かずにこの位置とは…。リーゼントロックも、テン争いで負けていてここまで後退してしまう。

菊池 前半1000m通過は59秒6とでました。馬場状態も踏まえると、そこまで厳しい流れではないですかね。2番ドリームキラリのマイペースという感じで。

京介 結果的にはその通りなんだけど、これは重賞レベルで、なおかつ脚抜き良いダートで後半上がりが違う馬場でのもの。1コーナーまで最初つばぜり合いを繰り広げているし、後ろの組はどうしても自分の馬がテンについて行けないペースだけに、勘違いしちゃうものだよねえ。1000m通過の手前で「ペースが甘い!」と思って押し上げられる騎手はなかなかいない。

菊池 3コーナーからは、先行3頭が雁行状態。その中で12番ブラゾンドゥリスが後退して、4コーナーから早くもマッチレースの様相でした。

京介 後ろの組は集団で固まらず若干バラけ気味、しかも2列目の3頭は追い通し。追い上げづらいペースになっているのは確か。それに対して、1列目外のハイランドピークは、かなり手応えがいいね。

京介 1番人気のミツバが仕掛けたら動こうと思っていた騎手が多かったのかもしれないけど、まさかの最後尾追走。ルメール騎手騎乗の1番リッカルドは3列目の内で、ダートでは動かしにくい位置取り。この2頭を目標にしていたら完全に見込み違いだったろうね。

京介 先頭のドリームキラリとハイランドピークはずっと雁行。前が厳しそう、このままやり合って共倒れしてくれ~!というのが後ろの組の願いだけれども、この日の馬場ではオーバーペースになってない。共倒れどころか、4コーナー出口では2頭が後続を引き離す手応え。

菊池  直線に向いて、2頭の叩き合いですが、残り200m地点で8番ハイランドピークが前に出ます。2番ドリームキラリは苦しい態勢ですが、懸命に食らいついて2着は確保。

京介 ハイランドピークはラストまで強かった。ドリームキラリの脚色が怪しいっぽいんだけど、惰性で残してしまえるのがこの日の馬場状態。また、オープンに上がって来れる逃げ馬の性能、とも言えるね。

菊池 離れた3着に、追い込んで届いた3番ミツバ。

京介 1列目の真後ろ3頭で横並びだったロンドンタウンが、ジリジリ脚を使っているんだけれど、外を回って追い込んだミツバの末脚の方が断然だった。

<結果を受けて…>

180812エルムS結果

菊池 勝ち時計は1分42秒0。昨年が驚愕のレコード更新でしたが、更新される前のレコードと同タイム。このメンバーで重馬場ならこれくらいは出ると言うことだと思いますが。

京介 重賞を何勝もしている馬ではなく、重賞未勝利の馬が前で行って粘れてしまったわけだし、オープンに上がって来れる程度の先行馬ならこの時計は出せる、ということだね。

菊池 この展開では後続は届くはずもありませんね。今年も前で決着しました。上位人気での決着でもありました。

京介 今年に関しては、指数的に足りるとは言え「この馬をよく上位人気させたよな」という印象だけれども。現場での評判が高かったわけだし、事実能力を示せたしね。まあ、世間に評価されやすい性能がそのままレースで活きたということ。

菊池 では、上位馬について。

ハイランドピーク

菊池 8キロ減で458キロ。あまり大きな馬ではありませんが、スッキリ見せる仕上がりでしたかね。

京介 張り艶は相変わらず良く見せた。ブライアンズタイム系統の馬なので脚が短めだけれども、四肢を広く捌いて姿勢よく歩けている。前走よりも気持ち馬体が上向いていた印象もあった。

菊池 このスピード勝負は歓迎でしたかね。逃げ馬をマークできる展開も理想的でした。

京介 外から被されなかったから、あまり神経を使わない強気の勝負に出られたのもあるでしょう。他の騎手のマークが後ろ寄りだったものね。

菊池 横山和生騎手は嬉しい初重賞制覇になりました。

京介 ハイランドピークの持ち味は十分に活かせたと思うよ。速い流れになりそうだった時に引かず、強気で前並びにして正解。当人は若干謙遜しているけれども。

菊池 賞金を獲得しましたが、今後はどうでしょう。秋の大舞台に向けては、もう少しパワーアップが欲しい印象ですが。

京介 もちろんその部分は欲しいけれども、控えてあまり味気のある馬ではない。東京コースもそんなに向いていない。1700~1800m辺りで逃げに近い先行馬として、他の馬の能力を測るボーダー馬として君臨しそうだね。

ドリームキラリ

菊池 12キロ増の494キロ。連戦ですが、元気ですよね。今が充実期、暑さも堪えないタイプなのでしょうか。

京介 ここ最近は結構使われていて、皮膚感が落ちた時もあったんだけれど、持ち直している印象はある。前走はハイラップすぎてたまたま引いたけれど、常にスタートで集中しているし、前向きさが衰えていない。いいよね。

菊池 きっちり逃げて、昨年をなぞるような競馬でした。この馬の力は出していますね。

京介 その通り。この枠だからごまかしようもないし、世間が望む通りの競馬をしてくれたと思うよ。強い馬に競られて敗れたのなら、それは仕方のないこと。

菊池 これ以上の伸びしろがあるかというと?ですが、相手関係や展開ひとつで重賞は勝てそうですかね。

京介 逃げ馬にしては二枚腰がしっかりしている馬なんだよね。地方重賞の交流戦にもしどこか出られるのなら、すぐに勝てそうだけれども。

ミツバ

菊池 前走と変わらず、安定したデキをキープといったところでしょうか。

京介 見映えや脚運びは非常に良いと感じたし、ここ1年ぐらいはいつも目を惹く歩様をしているんだよね。実際にレースで末脚が安定するようになってきたし、松山弘平騎手ともリズムが合っているんでしょう。

菊池 展望トークでも話したとおり、追走は難しく道中は最後方。それでも3着に来るんですから、地力は上ですし目下の充実ぶりも確かですね。

京介 デキが良かったとしても、これで来るのは驚きの方が大きいよ。かなり不利な条件だと思っていたから。

菊池 次はどこに出ても、今回よりは状況が良いんじゃないかと思ってしまいますね。

京介 でも勝つなら少頭数か、あるいは外枠が欲しいのはある。途中で捲って動けそうな相手関係なら。

その他

菊池 4着はロンドンタウン。久々に馬券に絡みそうなところまでは来ました。

京介 脚抜き良いダートが本当に良いんだろうね。あとは1700mという距離も、結構ちょうど良さそう。蛯名騎手が馬群なりに、相手に合わせつつの乗り方でも押し上げられるとは。

京介 こういう強気の主張がない乗り方では勝ち負けに絡めない状況だと思っていたので、4着に来れたのなら大したものだと思う。

菊池 4番人気になったリッカルドは6着でした。

京介 馬場を考えると位置取りが後ろ過ぎだし、最内枠で外に出す隙が無いままならこういう展開も仕方ない。根本的には、スピード馬場に対応する性能が思ったよりも足りなかったというところ。ま、予測は出来ていたけれど。

菊池 今年も4角4番手以内の4頭が掲示板のうち4席を確保。やはり前有利が顕著な重賞ですね。

京介 そうか、4着5着も2列目で追走していた馬だったか。さすがに今年は前有利の状況に寄りすぎたけれどもね。

<教訓まとめ>

・2000mダートで十分見せ場を作れることが持ち味になる馬では、中央勢が揃う1700mでは短い。ミツバが3着に届いた事実だけでも物凄いこと。要求される資質が違うので、基本的には消しぐらいの扱いでもいいほど。

・ダート1700mの重賞は年間でここだけ。なので、この条件でこそ光るリピーターが数多く発生しやすい。昨年のドリームキラリは枠や馬場、隊列など条件が向いての3着だが、「この条件を生かすことができる適性の高さ」がある。「改めて今年も注目」が通用しやすいレース。ロンドンタウンも脚の使い方が札幌ダート1700mに合っていて上手く伸びたし、3着僅差だった。

・近走大敗続きの馬は、夏場に体調が急に上向いたりしない。基本的に馬柱4走全部大敗続きの馬がここで巻き返すことは皆無に等しく、このレースで好走した履歴のあるリピーターでない限り、上手く反応できない。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・リーゼントロック
…昨年もこのレースに出走していたが大敗、今年も流れに乗れず全然ダメ。しかしリピーターがかなり強い、適性重要なレースでもある。腹構えがしっかりして広く後肢を伸ばして歩けていて調子はなかなか良さそうだったが、この条件はダメというだけ。1カ月後の中山ダート1800mに出てくるようなら一変期待。

<菊池> 
・リッカルド
…ミツバと同様にこのスピード勝負はさすがに分が悪かった。JRA重賞でもシリウスSあたりなら勝負になっても驚けない。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週は札幌記念と北九州記念を京介さんと展望していきます。よろしくお願いします。