金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・新潟2歳S編

菊池 日曜の新潟では新潟2歳Sが行われました。こちらの回顧をしていきましょう。

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大谷 清文 (著), 奥野 憲一 (著), 互當 穴ノ守 (著)

新潟2歳ステークス回顧



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<天候・馬場について>

菊池 先週の新潟ですが、土曜は芝・ダともに良馬場で始まり。土曜メイン頃から天候発表が小雨になっていました。現地の天候はどんなものでしたか?

京介 どんよりした曇り空で、土曜日はチラッと晴れ間ものぞいたけれど、基本的にはすぐ雲に覆われてしまう状況だったね。風は出ていたけれど生ぬるくて、あんまり涼しくなかったな。まだ残暑だなと感じる気候だったよ。そして、メイン~最終レースの合間ぐらいからしとしとと雨が降り始めたんだよね。

菊池 日曜は「芝=稍重」・「ダ=重」でスタートして、終日馬場発表は変らなかったですね。

京介 夕方から夜中にかけて雨が止まなかったようだし、新潟の芝がやや重になるほどなら結構降った印象だよ。それと、日曜日は全体に西風が強く吹いていて、直線向かい風がずっと出ていた。季節の変わり目に差し掛かった雰囲気は感じたね。

京介 新潟はサンマが豊漁って話もあるし、最終週を前にして夏が終わりつつあるという雰囲気が出てきたね。それと同時に、馬場も荒れて軽い芝ではなくなってきた印象もある。今週の新潟芝で連対する馬の傾向が、瞬発力のいいガッチリしたタイプではなく、非力な脚長スタミナタイプばかりだったもの。

京介 それと渋った馬場をかなり意識してのものなのか、あるいは新潟は札幌と違って荒れるに任せていて馬場の内側をあまり直していないためか、日曜日の後半から騎手が極端に馬場の大外へ向かうシーンがチラホラ出てきた。メインレースも一斉に横に広がり、外ラチ沿い近くにまで張り出した馬の追い込みが決まっていたね。先週はそうでもなかったのに、急に末期新潟のようになってきたなあ。雨でここまで変わるかと。



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<パドックについて>

菊池 11頭立て。頭数はかなり寂しかったですが、パドックの印象はいかがでしたか?

京介 新潟2歳Sは毎年パドックを見る前にある程度狙い目をつけられるレースなんだけども。いや~、今年は迷ったねえ。これでしょうと思わせる馬もいなかったし、良く整えてきているけど後肢に良いキレを見せる馬がいなくて…。馬場とレースの流れが合う合わないで負けた馬も多かったはずだよ。

京介 直前の新潟9R、10Rを当てられて「今の新潟はこういうタイプ」とイメージしながら臨んだんだけれども、そのレベルに見合う性能の馬がいなかったかもね。今年のメンバーは、古馬1000万下にはちょっと届かない水準かな。ケイデンスコールもアンブロークンも、脚付きというか姿勢の角度がよろしくなくて、ちょっと嫌だったなあ。でも他の馬もお察しというところだったし…。

<レース展開について>

京介 新潟芝外回り1600mのゲート位置は、向正面の半ば。そこまで人が多かったわけではなくスタンド前はまばら、だけども今回は慎重なゲート入りになった。ファンファーレが鳴り終わってから各馬1頭ずつ、丁寧なゲート入りだったね。

京介 とは言え頭数自体は少なく、暴れる馬がいないようならすぐにみな収まる。30秒もしないで残り大外のジョディーのみになり、ゲートが開いたのは40秒ほど。大分スンナリしたゲートだった。

菊池 1番エンパイアシュアーと9番アンブロークンが目立つ出遅れ。2番エルモンストロはロケットスタートでしたね。その勢いのままハナへ。あっという間に2~3馬身のリードになりました。

京介 エルモンストロはルーラーシップ産駒の割に、結構腰つきがしっかりしていてかなり脚が速い。今の新潟外回りは合わないんじゃないかとは思っていたんだけど、随所に良さを見せていたし、このスタートも素晴らしい。ただ、スピードが勝ち過ぎているかな。

菊池 2番手が並んで4番エイシンゾーンと5番ロードアクア。そして、その後ろの列に8番スティルネスと7番エイカイキャロル。

京介 ロードアクアは出負けしたのを、押して挽回しての2番手。そもそも他の馬が行き脚急いでいないので楽に取り付ける。エイシンゾーンはスタートで立ち上がったけれども出遅れではなかった。前に行ったというよりも、他の騎手がガッチリ抑えて引っ張りきりだったね。

菊池 もう一列後ろに掛かりながら浮上してきた9番アンブロークンと、11番ジョディー。そこに内から1番エンパイアシュアーが浮上して、外の6番ケイデンスコールが後方3番手。3番オーパキャマラードと10番ヤサカリベルテが最後列。

京介 アンブロークンは癖の悪さを新馬戦でもここでも出しているね。だいぶ折合に苦労している。

菊池 600m通過は36秒3、800mが49秒0でした。少頭数でもあり遅い流れで推移していますね。

京介 見た目にも先頭のエルモンストロは4馬身以上リードしているのに、この通過ラップ。後ろの組はかなり遅い方だと思うよ。馬場がまともなら、エルモンストロが完全にレースを支配していたはず。

京介 エルモンストロは内ラチ沿いを常に3頭分ほど空けて逃げていたし、ラチ沿いを通った馬の脚元は結構掘れていて、土が飛ぶぐらい緩んでいたようだね。外回りコースのコーナー内目は、確かに良くなさそうだった。

菊池 コーナー区間でも2番エルモンストロは4~5馬身のリードを保って直線へ。ただし、残り400m地点あたりではリードがなくなっていました。

京介 これはちょっとびっくり。「いや、楽なペースだよね?」と思っていたから。鞍上がおいでおいでの逃げを決めようと息を入れていたのかもしれないけど、後続はあっという間に差を詰めてきたよね。

京介 エルモンストロ自身、馬場の最内はちゃんと避けているし、後続が通ったルートはその真後ろから外を通った馬ばかり。だけど6頭ほどが同時に詰めているから、エルモンストロが微妙にガス欠していたと見た方がいいのかな。

菊池 横一戦の中から、5番ロードアクアは追っての伸びが一息。一気に9番アンブロークン、8番スティルネスが外から追い付いて来て、その後ろから大外に出した6番ケイデンスコールも接近。内に切れ込みながら11番ジョディー。

京介 直線後半にもう一伸びした馬は、みんな3~4コーナーで馬群の外を回っていた馬ばかり。当然、馬群なりに4コーナー出口から直線入口でも、早くから大外へ振っていた。

京介 ジョディーが内に切れ込んだのは、この馬に脚色で勝る3頭が優勢になり始めてからだから、どのみち後半の伸びで負けていた印象だね。バテてはいないんだけど。

菊池 残り200mあたりからは、外を通った3頭の争い。外から伸びた6番ケイデンスコールが差し切り、2着争いは9番アンブロークンと8番スティルネスが差のない態勢で入線。

京介 ケイデンスコールは直線でどんどん斜めに向かって行って、ゴールを通過したのはハッキリ馬場の8分所。途中はあのまま外ラチに触れるルートまで行くんじゃないかという場面もあったほど。

京介 上位3頭は確かに、あんまり蹄跡がなさそうに見える荒れ方がマシなラインを通ってのものだったね。そして、新潟2歳Sでは不利と言われている前走1800m新馬勝ちのアンブロークンが、今回のようなスタミナレースになって踏ん張りを見せた。道中はあれだけ掛かっていて、折り合っている様子でもなかったのに。

<結果を受けて…>

180826新潟2歳S結果

菊池 勝ち時計は1分35秒5。稍重だったにしても、過去10年では最も遅いタイム。新潟は稍重だからといってそこまで時計が遅くならない、という面もあると思いますが。

京介 一応、時計が遅くたって問題はないレースだし、むしろ速い時計で勝ったら故障が心配なレース。馬体甘めの現状、難しい馬場ならこういう結果になってもしょうがない所はあるよ。ただ、抜きんでてレベルが高い!とほめるほどの馬はいない、と柔らかく捉えておくぐらいでいいはず。

菊池 遅い流れになって、シンプルに直線での脚比べになりましたね。

京介 エルモンストロが、ラップ的にはあそこまでいいペースで行けたのに、単調なラップを刻んで押し切るタイプは、この新潟2歳Sには合わないんだねえ。改めてメリハリの利くタイプが有利なんだなと思わせる決着だった。

京介 今年はどちらかというと、馬場の荒れ方が普通で、雨に祟られてスタミナがもっと要求された、という面もあって、追い込みに回った馬に分があったね。事前にどの馬が差しに回るか読めない状況だったけれども、レースを終えてみれば馬場の良い外枠を引いた馬が上位に並んでいる。

菊池 では、上位馬を振り返りましょう。

ケイデンスコール

菊池 +4キロの462キロでした。前走との比較ではどのような印象でしたか?

京介 一旦しがらきに戻してのものだったけれど、中3週だし、そこまで大きく変わったというところはないね。いい形のトモ幅で肩の出はスムーズ。それなりに良い馬だった。右前にソエ傷と球節の緩さがあって、しっかり踏んでいないところはあったけれど、今日の馬場では些細な部分だったかな。

京介 毎年、新潟の開幕週外回りマイル勝ちの馬が新潟2歳Sに出走して来るけれども、いつも伸びしろに限界があって通用していなかった。今回通用したのは、別路線の馬がそれほど強くなかった、という差はありそうだね。

菊池 後方から上がり最速33秒1で差し切りという、新潟2歳Sの勝ち方としてはお手本のような競馬でしたが、次走が試金石になりそうですね。

京介 未勝利を勝った時がとんでもない猛暑日だったから、ここを勝ったとてまだ中期的なダメージが心配なんだよね。良い馬だから、適当に休ませてほしいんだけど…。

菊池 距離はどれくらいもちそうですか?

京介 うーん…このまま成長しないならマイルが限界、あるいは距離適性も縮むタイプ。見るからにボリューム増やしてくるなら1800mも大丈夫。という感じかな。

アンブロークン

菊池 ヴィクトワールピサ産駒で馬体重も500キロ。このメンバーだといかにもスピード感で見劣りそうな字面ですが、パドックの印象はどうでしたか?

京介 まだお尻が薄くて、四肢の長さに筋力が追いついていないように感じるんだけれども、脚捌きはぎこちなくなかったね。現状ではこの造りでもそれなりに動ける、という仕上がり。太くはないけど甘いなあ、だけどこのメンバーならこれでも…というところかな。

菊池 出遅れた上に掛かっていましたね。それでも直線では上がり最速と0.1秒差の33秒2。負けて強しの内容でした。

京介 これ、新馬戦も似たようなレースなんだよね。ペースが落ち着き始めた個所で掛かり始めて何とか我慢させて、直線は馬場を大回りしつつ荒れていないルートに向かってジワジワと。新馬戦と同じ質の競馬を繰り返すパターンで好走できた、という印象もある。とぼけるタイプではなく、掛かるだけのスピードがあったというのも、距離短縮で戸惑わなかった部分かな。

菊池 この馬に関しては、連続騎乗だったことも良かったかと思いました。馬場オーナーは石川騎手のことを買っているようですね。コンビ継続にも期待。

京介 掛かる部分はあるけれども、体が柔軟なのかセンスが高いのか、競馬としてまとめてくる能力は確かに高いからね。今回も馬群で壁を作って何とかしてからは、脚が溜まっていたわけだし。

スティルネス

菊池 422キロの小柄な牝馬ですね。2キロでも増えていたのは良かったですか。ロードクエストの半妹という血統でありながら、人気はなくこの馬が馬券のカギとなりました。パドックではどのような印象でしたか?

京介 数字こそ420kg台だけれども、新馬戦はずん胴に見えるぐらい余裕があった馬。今回は多少引き締まっていたし、腰が整っていて良かったよね。ロードクエストの妹というのは知っていたんだけど、消耗戦ラップの時計遅い1200m勝ちだし、あまりに足も短いし…という部分で取捨が難しかったよ。新馬戦を圧勝しているというのは大事なんだなあ。

菊池 最後までしぶとく上位争いに加わっての3着。見た目以上に走ってきた印象でしょうか。

京介 あんまり抜きんでた瞬発力や、目立ったスピードはないんだけど、体の使い方が上手くて我慢強さがあるよね。距離延長ローテーションの今回、新潟外回りで最後まで脚が続くというのは、バラついた走りなどがなく、きれいなフットワークができるという証拠でもある。

菊池 次は500万下に使うという選択肢もあります。牝馬同士では人気になりそうですね。

京介 2歳戦のうちならすぐに勝ち負けすると思うよ。ただ、滅法時計の速い馬場では疑問もあるけれど。

その他

菊池 4着はジョディー。今回は差す競馬にチャレンジしましたが、及びませんでしたね。

京介 大外枠を引いてスタートも若干後手を踏んだ。ちょっと本来のリズムではなかった印象だね。また、前走逃げた馬だけれども、この週かなり好調だった池添謙一騎手は、外差しに回らせようと工夫して下げ過ぎた部分もある。先行させつつ大外へ、という騎乗だったら上手くいく可能性もあったかな?

京介 でも道中リズムが狂っていたアンブロークンの方が、後半足を伸ばせているし、折り合いがついたとて集中力を見せるかは難しい所があるね。

菊池 6着に敗れたエルモンストロは、次走どのような条件なら買えそうですか?

京介 この馬は2歳戦のうちなら距離はかなり持つと思うんだよね。軽い芝で2000mだったら、逃げてそのままが十分あり得ると思うよ。ラチを避けて逃げる形で、集中力が続かなかったかな。

菊池 個人的には穴推奨がロードHC違い!ロードアクアは掛かるしスピードはあるので、短距離の方がいいですかね。

京介 出負けから挽回しての2番手追走、逃げる馬が飛ばして仕掛けも難しい形になった。鮫島克駿騎手では、ちょっと仕掛け方が難しかったかな。ミスというより、上手く力を引出せてなかったように見えるね。

菊池 今後も、WASJが札幌で行われている間は新潟2歳Sにメンバーが揃わず、つまらない2歳Sと化していきそうな懸念が…。

京介 つまらないだけでなく、こちらにだけわかる好走のツボがある穴馬がバンバン走ってくれるならともかく、人気の決着ばかりになっているよね。これがちょっと辛いなあ。実馬を見ても信用に足る完成度が足りない人気馬が、毎度勝ち負けしているのが現状だから…。

京介 まあこの週は、騎手が足りないが故の条件戦の穴馬に期待、というところだね。今週の新潟を狙って遠征してきている地方騎手が、今年も結構大穴を演出してくれていたし、入れ替わりに新潟にやってきた池添謙一騎手は、土日で6勝。ちゃんとした人気馬を勝たせて、しかもなぜか結構いい配当が多かった。「地元新潟でなじみのない騎手が穴をあける」流れに注意したいね。

<教訓まとめ>

・新潟2歳Sの特性もあり、逃げて圧勝した馬よりは差して0.2秒差以上の圧勝を決めた差し馬の方が、この条件では期待値が高い。昨年のフロンティアのような例が非常に珍しいだけで、やはり基本的に差し馬を評価したい。

・ノーザンファーム生産馬が1~3番人気を独占し、1・2・4着。個人馬主ではなくサンデーレーシング所属の馬が今年も重賞を制した。

・WASJの影響で上位騎手をごっそり札幌に奪われ、このタイミングで重賞に挑戦するために普段新潟で乗り慣れていない騎手が遠征してくる例が今後も増えるはず。しかし、リーディングトップクラスの騎手でないと、新潟外回りの特殊な流れにうまく合う騎乗はできないのかもしれない。関東の有力騎手を確保できた陣営の方が勝利に近そう。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・ジョディー
…2歳6月の時は明らかに華奢に見えたが、それでスピード任せで勝てる馬はやっぱり性能が高い。大幅に馬体が増えて、胴回りの肉付きが明らかに良くなった。背丈も伸びている。今回は上手く乗りこなせなかったが、坂コースで我慢効くタイプでもあるし、おいおい通用しそう。

<菊池>
・ロードアクア
…17年1~2着馬のような走りに期待したが、前向きさが仇となってしまう結果に。距離短縮で見直したい。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週は久々に3重賞なので、新潟記念と札幌2歳Sを京介さんと、小倉2歳Sはオクノさんと展望していきます。よろしくお願いします。