金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・キーンランドC編

菊池 日曜に札幌で行われたキーンランドカップも回顧していきましょう。

オッズの大家が集結!必読の一冊



大谷 清文 (著), 奥野 憲一 (著), 互當 穴ノ守 (著)

キーンランドカップ回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/190163

<天候・馬場について>

菊池 札幌は台風が2発一緒に接近していて、開催も危ぶまれていましたが無事に開催できて何よりでしたね。雨量も思ったほどではなかったようで。

京介 そうなんだよ。あんまり雨が降っていなかったみたい。現場で過ごすのにあまり苦労はなかったみたいだね。

菊池 馬場発表は土曜が「芝=稍重」、「ダ=不良」で開催スタート。日曜は「芝=稍重」・「ダ=重」でした。土曜はさすが水はけの良い札幌!稍重で済んだか!と思いきや、芝1200m(1000万下)が1分11秒1、芝2000m(1600万下)が2分4秒4。時計はしっかり掛かっていましたね。

京介 そうだね。他場の重か不良か…と感じるぐらいの、体力勝負になる芝だったのは確かだね。

京介 先週も指摘していたけど、下級条件では時計・上がりが掛かると道中で消耗してしまうから、4コーナー先頭の馬が圧倒的に有利。なので、一見前残りっぽく見える。だけども上のクラスになると道中でバテる馬が少なく、馬群一団で直線に向くから、内の馬が伸びあぐねて外を回る差し馬が届く、という形だった。

菊池 日曜も稍重のまま変わらなかったですが、8Rの芝2000m(500万下)が2分4秒2。同じ稍重でも時計からは徐々にマシになっていた印象で。

京介 うーん、どうだろう。2分3秒を超える水準の比較だと、マシになったと言えるのかどうか。流れ次第でいくらでも変わっちゃいそうで。結局土曜日と、レースの上がり水準はずっと変わらなかったしね。

京介 風が出ていて乾燥したかもしれないけれど、日が差さずずっと曇りのままだったし、発表もやや重のままだった。札幌は重になりにくくやや重の幅が広いとはいえ、あくまで渋った状況の中で重めとも言いにくい方、という程度でしょう。


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<パドックについて>

菊池 フルゲート16頭が揃いました。オッズも割れていて5番人気馬が8倍台、9番人気まで30倍未満でしたね。

京介 別路線の馬が多数参戦してきたこともあって、パドックの気配はなかなかに良かったと思うよ。それに今年の北海道は涼しかった。疲れがたまるというほどでもなかったかも。むしろ、単純に北海道で3戦4戦と連戦していた馬の上がり目が物足りなかったぐらいで、結構どの馬も歩様に勢いがあったし、いい気配だったよね。これだけ人気が割れるのも、デキの良さから考えると納得の部分はあった。

京介 CBC賞もアイビスSDも北九州記念も、かなり暑さに祟られたムードだったから、その対比で今回のパドックはかなり良く見えた。このキーンランドCをステップにして臨む馬は、この後の調整過程がだいぶ有利なんじゃないかな?

<レース展開について>

京介 札幌の芝1200mスタートは、2コーナー引き込み線。今回はファンファーレが鳴ると同時に奇数枠馬が一斉に入って、かなりテンポの良いゲート入りだった。オールインワンが何だかちょっとゴネていたけれど、入る時はスンナリ。16頭立てなのに、スタートまで50秒もしなかったね。

菊池 まずまず揃ったスタートでしたね。そんな中でスタートを決めたナックビーナスがあっという間に先頭に立って逃げの手に出ました。コメントを読むと、モレイラ騎手は予め決めていたワケではなさそうでした。

京介 スタートを出たなりの様子なのに、あそこまで素晴らしい一歩目が出るとは驚いた。その後は促してリード、2馬身差をつけての先導だったね。ワンテンポ置いて、その外から先行馬が追いついてくるけれども。

菊池 2番手は7番ダノンスマッシュ・14番タマモブリリアン・16番オールインワンが並んで、内の4番ペイシャフェリシタは5番手に収まっていく方針。並んで8番デアレガーロ・13番キャンベルジュニアも思ったより位置が取れましたね。

京介 オールインワンは馬なりで出ていて、どうやらあんまり積極主張する様子ではないんだよね。並んだなら競り合うと思っていたから奇妙に感じた。

京介 ペイシャフェリシタはスタートを比較的楽に出ていたから驚き。田辺騎手が完全に手の内に入れている様子。道中全く負担なく追走している。

京介 デムーロ騎手は目の前の2列目3頭の動きがブレているので、3コーナーでは若干様子見をしている感じ。

菊池 この後ろから中団グループは、1番クリーンファンキー、1馬身半後ろの内に6番レッツゴードンキ、並んで10番キングハート。その後ろは12番トゥラヴェスーラ、2番スターオブペルシャと9番ティーハーフ。

京介 馬場がやや緩んでいる影響もあり、馬群が通ると土煙が上がるようで、後方の馬はちょっと追走を躊躇している様子があるね。

菊池 後方に3番ヒルノデイバロー、15番ユキノアイオロス。最後方が5番ムーンクエイクでした。

京介 ヒルノデイバローは、前走はスタート追っ付けて前に出せたのに、今回は同じく追っ付けても行き脚が全然つかず。内枠なので進路を他馬に閉められ、追い上げることもできずにこんな位置。

京介 ムーンクエイクは確かにルメール騎手でもこれまで出負けぐらいはしている馬。今回も出遅れは微妙なぐらいなんだけど、馬群もあるし行き脚が微妙に劣るだけでここまで下がってしまった。

菊池 前半600m通過は33秒7、800mが45秒7でした。乾きつつあったかもしれませんが、稍重と考えるとやや速い水準ですね。

京介 そうそう。これはちゃんとした重賞のペースだよ。先頭が競りになっていたら、確実に厳しかったはず。1列控えて追走する側も決して楽ではない。

京介 そして3コーナーから馬群の形が徐々に変わりつつある。もう残り600mを切っているし、差し馬はこの辺りでトップスピードに乗せていないといけない。

菊池 3コーナーから中団~後方グループも徐々に接近。逃げている11番ナックビーナスは余力十分の手応えに見えますが、外から浮上してきた12番トゥラヴェスーラが抜群の手応えに見えました。

京介 札幌芝1200mの仕掛けとしてはこれで良いはず。トゥラヴェスーラは軽量もあって、他の56kgの馬よりかなり反応が良かったね。一切追わない様子で押し上げているし、WASJ第1戦のような流れなら、これは伸びてきたなと思ったんだけど。

菊池 先週の札幌記念にも近いような、横に大きく広がりながらの態勢で直線に向いて来ました。ここで、コーナーワークもありつつ再び内の馬が優勢。逃げた11番ナックビーナスは詰め寄られずにリードを保ったまま残り200m。コーナーで内を通った7番ダノンスマッシュと4番ペイシャフェリシタが接近。

京介 そう。馬群で外を回った馬が、何だか直線で勢いが続かなくなってしまう。むしろ、インベタ内で詰まりそうと思えた馬がみんな盛り返してくるんだよね。

京介 逃げたナックビーナスは手応えが抜群に良いし、4コーナーで一旦後退したかのように見えたペイシャフェリシタが伸び返してくる。

菊池 完全に振り切った11番ナックビーナスが突き放してリードを拡げる態勢。2着争いに一瞬加わりかけた13番キャンベルジュニアは良い脚が一瞬で、7番ダノンスマッシュと4番ペイシャフェリシタの2着争いがゴールまで続きました。

京介 キャンベルジュニアの勢いが止まってしまったのはびっくり。フォームも良かったと思うんだけど…。結局、馬場が乾いて行く過程で、この4コーナー内ラチ沿いが明らかに良かったということだね。

京介 上位3頭は54kg、53kg、54kg。最内か内2頭分を回ってきた先行軽量馬がそのまま残ってしまったレース。

<結果を受けて…>

180826キーンランドC結果

菊池 勝ち時計は1分9秒4。力の要る馬場で外を通った馬はなし崩しに脚を使わされたという面もあったでしょうか。ラチ沿いを通った馬同士での決着でした。

京介 馬場が乾いて行く過程だった影響もあったのか…。手応えを細かく見直しても、インベタ断然有利の馬場だったように見える決着だよ。今年の皐月賞と同じく、外を大回りしすぎた馬の見直しが必要なレースだよね。

菊池 モレイラ騎手は意外にもこれがJRA重賞初勝利でした。

京介 下級条件から全力で騎乗してくれている姿を見せていただけに、変なジンクスが続いているなあと思っていたけれどね。一つ勝てば来週以降どんどん勝てるようになるんじゃないの。

菊池 では、上位馬について。

ナックビーナス

菊池 函館スプリントS好走からという理想的なローテで増減なしの522キロ。理想的な仕上がりだったでしょうか。

京介 飛節の角度やトモのバランスが悪く、だいぶ腰が甘いように見える歩様で、だけど馬格と馬体の幅があるからスピードが出るというタイプ。馬体としてはそれなりだったね。今日だけ緊張感が凄かった、というわけでは決してない。ここまで競り合いで弱いのは、後肢の回転の悪さも影響していたと思う。

京介 なので、ペースを抑えずに逃げて直線もうひと粘りさせるというのは、この馬の強い部分を引き出す騎乗だったように思うね。

菊池 速いスタートから逃げて上がりも35秒7(6位タイ相当)では、後続もなすすべナシですね。スピードとパワーの両面が活きて、この馬の好走条件がこれ以上なく揃いましたか。

京介 メンバー中上がり3F最低だったりしたら、単に後ろから追走した組がペース音痴だっただけと言えるけど、この馬自身は上がり上位の方。後ろから追走した組が、妙にバテてしまう流れでもあったわけだね。肉を切らせて骨を断つ、ような強気の競馬をした方が、この馬が勝つには良かったのかな。

菊池 例年ならこれでサマースプリントシリーズ優勝も見えてくるのですが、今年はそうも行かず。さて、スプリンターズSですが。モレイラ騎手は短期免許でスプリンターズSの週から来日予定。美浦が拠点ということですから、連続騎乗もあり得ますね。(もう確約済み?)

京介 そこまで抜きんでたポテンシャルがある馬だとは、個人的には思っていないんだけれど、今年の高松宮記念3着があることでアピールできたのかなあ。今回はモレイラ騎手が引き出せたうえで、馬場も有利だった影響がデカいと思うんだけどね。

ダノンスマッシュ

菊池 2キロ増えて472キロ。前走のデキはキープ出来ていたと見ていいでしょうか。

京介 いや、むしろ前走よりも良くなった印象はあるよ。まだ経験の浅い3歳だけに、使って痩せずむしろいい緊張感を引き出せているように思う。

菊池 2番手追走で的確なレース運びでしたが、ナックビーナスには突き放されてしまいましたね。

京介 3コーナーでは2番手だったけれども、外からオールインワンが被せてきたのに対して素直に一歩引いたよね。結果オールインワンが垂れたから、邪魔されないように乗ったのは事実だけど、53kgなのを信じて突っ張って欲しかったなあ。現時点ではまだ成長過程にある馬で、そこまで自信を持てるほどじゃなかったということかな。

菊池 スプリンターズSではナックビーナスとの斤量差がもう1キロ増えますが、この差を詰められるかどうか。

京介 まだまだ若い馬だし、いいスピード経験を経て上向いてくる可能性の方があるからね。今度は栗東坂路で調整できるし。

ペイシャフェリシタ

菊池 サマースプリントシリーズ3走目というローテですが、2キロ減の490キロ。意外と堪えていなかったんでしょうね。

京介 気配は前走よりも良かったと思うね。前走アイビスSDはいい馬が他にいなさ過ぎてこの馬を評価したけれど、他に実績上位馬が多数出てきたこの番組でも、イキイキした歩き方が出来ていて、馬体も良く見えたもの。

菊池 スムーズなレースで2着馬に迫りました。この2戦は残念な競馬が続きましたが、ようやくここで巻き返し。

京介 三浦皇成騎手騎乗時は、ちょっと合ってない騎乗が続いたのかなあ。スタートもすんなり出るし序盤押して急がせてないし、非常にリズムの良い競馬だった。

菊池 次はどうでしょうね?上積みという点ではさすがに厳しそうですが、今回のように内枠を引いて枠なりの競馬ができれば3着の可能性??

京介 というか、短距離路線で出世してきたハーツクライ産駒という難しさがあるんだろうね。バチンと直線弾ける性能が必要な条件だったら、持ち味を活かせてもいいかも。あんまり高いスピード持久力を要求されると、脚が溜まらないんでしょう。

その他

菊池 4着はキャンベルジュニア。意外と追走できていて、直線も一瞬オッと思わせる場面がありました。

京介 いや自分は、もしまともに外回し有利の状況ならば、この馬が勝てていたと思うんだけども。内を通る馬の有利が大きすぎたように思うなあ。大トビだからとは言え、1400mがいいとは思わない。短距離も走れる馬だと思うよ。パワーが生きる状況の方がいいね。

菊池 2番人気レッツゴードンキは5着(同着)でした。叩き良化型ですし、今回はナックビーナスより重い55キロ。次走に向けての評価を下げる必要はないかな?

京介 馬群の捌きは見事だったし、相変わらず操舵性のいいタイプだよね。力は決して衰えていないし、この場面では外が伸びない状況だったと考えれば、この内容は何も悪くないよ。

菊池 3番人気ムーンクエイクは9着。今回は初のスプリント戦で流れに乗れませんでしたね。

京介 初めて尽くしだったし58kgだから。このレースはホント背負う馬には不利な条件だね。まあ、次走に向けていい叩きになれば。また、ここまで内容の薄いレースをしたのに、次走ルメール騎手のままでスプリンターズSに出走してくるようなら、むしろ期待したい。陣営がスプリント性能があるものと見抜いているならね。

<教訓まとめ>

・キーンランドCは牝馬の好走比率が非常に高いレースで、また5番人気以内に支持された牝馬が勝利。パワータイプだとより信頼できる。というか、実績上位で評価されやすい人気の牡馬が全くダメと言えるほど不利。直線が短すぎカーブが長い札幌で、隊列有利が生きやすいため。

・軽量が生きる条件なので、昨年好走してから斤量そのまま、という馬の方がリピート好走しやすい。

・昨年優勝したエポワスのような特殊な差し馬を人気薄で狙いたくなるが、ナックビーナスのような軽量の先行馬の安定感を重視した方が、このレースは的中に近づく。追い込み一気が決まるシチュエーションになりにくく、展開もあまり先行総崩れにならない。台風接近などいろいろあって、土曜日は外が伸びるような馬場に見えても、開催中の馬場補正で結局は内有利に戻りがち。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・キャンベルジュニア
…最後伸びあぐねたのは内外の馬場差の分ではないか。短距離に対応できる押し上げ方はできているし、1200mでパワーを持て余すようなことはなさそう。そのままスプリンターズSに登場するなら注目したい。斤量不利だったムーンクエイクも同様。

<菊池> 
・レッツゴードンキ
…叩き良化型タイプでこの馬なりには走っている方。今回は斤量や馬場状況を含めて色々と不利が重なったのでノーカウントでOK、次は順当に良化してくるはず。馬群を突ける強みを活かせる枠順ならチャンス。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。今週は久々に3重賞なので、新潟記念と札幌2歳Sを京介さんと、小倉2歳Sはオクノさんと展望していきます。よろしくお願いします。