金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・天皇賞(春)編

菊池 日曜には京都で春の天皇賞が行われました。こちらの回顧をしていきましょう。

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天皇賞(春)2019回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/241311

<当日の馬場状態について>

菊池 京都は開催のなかった土曜のうちに「芝=稍重」から良馬場へ回復。日曜の開催は「芝=良」・「ダ=稍重」で始まりました。

京介 京都競馬場は雨さえ降っていなければ、曇りでもどんどん回復するコースだからね。日曜日にちゃんと晴れたのなら、メインになるまで馬場がすぐ乾くなとは思っていた。

菊池 開幕週にはレコードが出る馬場でした。極端な馬場だった感じではないものの、概ね引き継いでいたと見て良いでしょうか。

京介 そうだね、意外と超高速というよりは適度に速い、という程度の決着が多かった印象だね。先行馬が基本止まりにくく、スパート地点が早めで、総合的に平均スピードの持続力が問われたような馬場状態だったね。


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<天皇賞(春)・パドックについて>

菊池 13頭立てと少頭数でした。全体の印象としてはいかがでしたか?

京介 さすがにみんなキッチリ仕上げてきたな、と思ったよ。チェスナットコートやケントオーですら、体つきスッキリ見せて後肢の捌きがキレイに整っていたもの。メイショウテッコンが前走の方がマシだったかな…と思ったぐらいで、全体に一叩きで上向いてきた馬の方が多かった。

京介 エタリオウもあの細身の体つきでどっしりとしていたし、休み明けのグローリーヴェイズとフィエールマンも見事な仕上がりだったよ。

菊池 もう最近はずっとそうですが、ノーザンFの馬はみんな間隔が空いても問題のない見た目で出てきますね。

京介 輸送の影響を気にしたりもなさそうだしね。グローリーヴェイズは渋滞にハマって時間が掛かったという話を目にしたけれども、全然問題なさそうだし。厩舎にある程度置いて本番にピークを合わせるやり方が、各厩舎ともに十分浸透してきた印象がある。このやり方に早くから対応できていたのが、関東厩舎だったということだね。

<レース展開について>

京介 天皇賞(春)メインレースが始まる頃は、ちょっと空には薄く雲が掛かっていたかな。あんまり綺麗な青空というわけにはいかなかったようで。

京介 京都3200m外回りのスタートは向正面の中腹。G1らしく、スタンドには観客が密集していてかなりうるさかったけれども、今回はファンファーレが鳴り終わってすぐ静まったね。あまり輪乗りに時間をかけず、すぐにゲートを入れた方だと思う。

京介 最初に入ったのは11番ケントオー。ちょっと13番ロードヴァンドールが尻っぱねするけれどもすぐに入った。今回はゲートの最後が12番のクリンチャーだったようだね。おおよそ50秒弱程度でのスタートになった。

菊池 各馬良いスタートでしたね。長距離戦としては珍しい水準で揃っていました。

京介 スタートで横にブレる馬もいなかったし、ホントいつもこうだったらいいよね。

菊池 まずは、押して押して4番ヴォージュ。5番メイショウテッコンもスタートを決めていましたが、和田騎手の様子を見て福永騎手はスッと引いて2番手を確保する方針。大外枠の13番ロードヴァンドールは3コーナーでようやく2番手に追い付きました。

京介 ロードヴァンドールぐらいの位置でも、サッと先頭を奪う態勢に持ち込むのが難しそうに見えたなあ。13番枠はそんなに遠いのかと。

菊池 4番手は意外にも6番カフジプリンス。内から1番チェスナットコートとここは矢作勢2頭。そして8番パフォーマプロミス、この後ろに7番グローリーヴェイズ。このあたりが中団でしょうか。

京介 ここまで折り合いを欠いている馬はいなさそうだね。グローリーヴェイズやパフォーマプロミスは、ガッチリ引っ張ってのこの位置。

菊池 この後ろ、いつの間にかラチ沿い確保は12番クリンチャー、その外に10番フィエールマン。直後で9番ユーキャンスマイルの岩田騎手は有力馬をマークするように。

京介 クリンチャーはこの位置は良くないような…。馬群の内でずっと包まれる位置になってしまうと思う。いつ仕掛けるんだろう?

菊池 11番ケントオーがいて、離れた最後方に2番エタリオウ。

京介 フィエールマンが後方に下げたから、エタリオウのデムーロ騎手はここでもいいだろうと判断したんでしょう。1頭だけに対しての徹底マークを考えていたら、目標の馬がサーッと下がってきたと。

菊池 正面スタンドに向いてくるまでに13番ロードヴァンドールが2番手に浮上。最初の1000m通過は59秒8でした。スタンド半ばで10番フィエールマンは前にいた7番グローリーヴェイズを交わして前に出ています。

京介 ここのフィエールマンは、特に目に付くほどの脚を使ったというわけではない。たかだか2列分ぐらいをジワッと押し上げただけ。ただその流れから、先団後ろに取りつく辺りまでは惰性で伸ばした。

菊池 スタンド前のゴール板過ぎあたりから4番ヴォージュの和田騎手は急激にラップを落として、8F目は突然13秒台。2コーナーもそのまま回っていき、この区間でだいぶ馬群が詰まって行きました。

京介 馬群は詰まったけれども、2頭ずつ縦列になる縦長は変わっていない。ここから一気に先頭を狙うよう動いた馬もいなかった。

菊池 向正面に向いて2列目に5番メイショウテッコンと6番カフジプリンスが並んで来ました。徐々に馬群が詰まって行く過程で、向正面後半、3コーナーの上りが始まるあたりから、最後方の2番エタリオウが徐々に浮上。

京介 エタリオウは後から逆算すると、序盤の追走をサボり過ぎて相当置かれていた形になるね。ここで押し上げて行きはしたけど、先行集団が脚を溜めつつ行っているので、他馬がバテたりしていない中、無理気味のスパートになる。

菊池 上り坂の頂点あたりで先頭は5番メイショウテッコンに交代。さらにその外の6番カフジプリンスが並んで前に出ますが、4コーナーでは10番フィエールマン・7番グローリーヴェイズがあっという間に交わして行く勢い。

京介 結構押して逃げたヴォージュが脱落するのはまだしも、2列目内に控えたロードヴァンドールが何もしないまま後退するとは。メイショウテッコンも、カフジプリンスにつつかれてイヤイヤ前に出たような格好。

京介 カフジプリンスも出来れば一気のスパートと見えるぐらいに動いてもらいたかったけれども、この時点でフィエールマンとグローリーヴェイズの手応えが良すぎる。

菊池 カフジプリンスに関しては、騎手の仕掛け云々より馬のスピード性能の問題でしょう。さて、3~4コーナーで一気に先行した各馬が軒並み失速し、2頭の直後まで2番エタリオウが浮上して直線へ。

京介 この時点でエタリオウの真後ろ3列目に、ユーキャンスマイルやチェスナットコートが忍び寄っているんだけれども、いかにも反応が悪い。おおよそフィエールマエンの周辺の馬で決着するな、というムードだった。

菊池 直線は2頭のマッチレースムード。10番フィエールマンと7番グローリーヴェイズが叩き合いとなり、その後ろに置かれて2番エタリオウとその内に8番パフォーマプロミス。

京介 自分はもうここでグローリーヴェイズが行ったな、と思ったよ。まさか道中ちょろっと脚を使っていたフィエールマンが、この体勢から差し返すとは。

菊池 2頭の叩き合いと5馬身後方の2頭の叩き合い。この2セットがずっとゴールまで続きましたが、最後まで10番フィエールマンが凌いで1着。惜しくも2着はグローリーヴェイズ。

菊池 離れた3着争いは8番パフォーマプロミスが制しました。

京介 パフォーマプロミスは道中フィエールマンが接近してくる前後でかなりガチャガチャしていた気配だったんだけど、この3着争いには何とか脚を残せたね。エタリオウが無理して押し上げていた分もあった。

<結果を受けて…>

190428天皇賞(春)結果

菊池 勝ち時計は3分15秒0。中盤の2Fがガッツリ緩みましたが、レース上がりの4F46秒2・3F34秒5は優秀ですね。中団から進んだ上位馬たちは、ややスローの上がり勝負の競馬をしたと見ていいでしょうか。

京介 前回阪神大賞典で大逃げをし、穴の立役者となったロードヴァンドールが、ここにきて全然競馬をしなかったのが大きいね。疲れなのか反動なのか。それでメイショウテッコンの仕掛けから上がり性能で差す流れに切り替わったと。

菊池 上位2頭以外、この時計で走りきれる馬が少なかった、ということですかね…。

京介 4コーナーではほぼ馬群は一団だったわけで、そこから上がりを記録した順に入線し、その通りの着差が開いている。全体の走破タイムというよりは、3000mの距離を超えて上がりを使えた馬の順番、というレースになったということでしょう。中盤で全然消耗がなかったから。事実上上がり4Fのレースになったけれども、菊花賞とほぼ同質だったと見ていいんじゃないかな。

菊池 では、上位馬を振り返りましょう。

フィエールマン

菊池 増減なしの480キロでした。金曜に京都競馬場入りで、菊花賞当時と同じ馬体重ですから、陣営としては輸送を万全の態勢でクリアした感がありましたね。

京介 いろいろ心配したけれども、全く仕上がりは問題なかったよね。この馬は無事に出走できればほとんどOK、というタイプで考えるべきかと。

菊池 スタンド前で位置取りを上げても掛からず。鞍上の意のままに動けますね。それでいて掛かることもなく、スパートからも長く良い脚を使い、グローリーヴェイズに交わさせず。強かったですね。

京介 その通り。展開を動かす起点になったようにも思うし、レース途中で多少は動かしているわけで。それなのに、ラストの上がり勝負で競り勝ってさらに一伸び。グローリーヴェイズとパフォーマプロミスは、途中で仕掛けている様子が全くなかったことと比較すると、これは強いという他ないなあ。

菊池 ちょっと長距離路線では国内に敵なしムードを感じます。菊花賞を勝った次の春に天皇賞(春)を制しているのはキタサンブラック以来で、その前はディープインパクト。実は、これをできるのって相当強いステイヤーの証でもあり。

京介 ホント体質の弱さだけがネックだよね。残念ながら宝塚記念へは出走しないとのことで…。

グローリーヴェイズ

菊池 2キロ増で458キロでした。こちらも抜かりない仕上がりだったと見ていいでしょうか。

京介 この馬はそこまで筋力がなくて、薄くスカッと仕上がるタイプ。この馬もだいぶいい緊張感を見せていたね。

菊池 川田騎手の騎乗停止で、週明けに騎乗が決まったテン乗りの戸崎騎手でしたが、完璧な騎乗でしたね。

京介 難しいタイプではないにしても、不利を絶対に受けない外ロスもしない位置で競馬して、ちょうどいい場面でフィエールマンが動いてくれて良い目標になったのが幸い。もちろんそれがなくても自力で動いていたと思うけど、ラストまで全く申し分のない脚を使っていたね。

菊池 三代母がメジロラモーヌというメジロ血統で、平成最後に相応しいとも思える血統馬ですが、惜しくも2着。しかしながらこちらも今後も長距離戦では期待が持てますね。

京介 自分はこの馬、決して長距離戦だけの馬ではないと思うよ。宝塚記念に向かって、どこまで戦えるのか示してほしい。重馬場でなければ、掲示板以上があると思うんだけど。

パフォーマプロミス

菊池 8キロ減って452キロでした。状態はどう映りましたか?

京介 背中がビシッと決まって緊張感を見せているなら良い仕上がりの馬なんだけど、やっぱり高齢もあってかだいぶお尻の幅は減ってきたな、と思った。それでも腰ブレがなくて、今回はいい形で臨めていたと思う。ただ、対応できる適性の幅はますます狭くなっているかもしれない。

菊池 好位直後を追走して、3~4角は仕掛けをギリギリまで待った感がありましたね。北村友一騎手は着狙いの騎乗としては上手に乗った印象を受けます。

京介 4コーナーでフィエールマンが外から接近し先頭に並びかけた時、内で結構窮屈にしていたけれども、暴れず持たせて我慢させたのが最後の一伸びに出たのかな。流れとしては、超スローで脚を使うのが理想というタイプなんだろうね。

菊池 昨年の宝塚記念は58キロを敗因に挙げていましたが、当時とは異なり今回は勝ちに動かなかったのが、3着争いを勝てた要因という印象で。

京介 まあ、競り合っていたエタリオウは絶対に勝ちたいと思って工夫した結果だったし、それよりははるかに脚を使っていないからね。3着狙いの仕掛けが見事にハマった、とは言える。

その他

菊池 4着はエタリオウ。M.デムーロ騎手の目下の不調ぶりを示すような結果となってしまいましたが、序盤から見直しても、ゲートを出て鞍上が促しても全く進んで行かなかったですね。

京介 いや、でもまあ序盤はどちらかというと抑え込んでいるよ。横に出負け気味のフィエールマンを見ながらの進ませ方だったし。ただ、前回早捲りで上手く行かなかったから、思い切った策に出るというのは十分考えられた。

菊池 向正面も、押して押してようやく馬が納得して動き出したのが上り坂の手前という感じ?乗り難しいとは前からコメントがありましたが、より気難しくなってしまっているのでしょうか。

京介 どんな騎手が乗っても、ゴール前に伸びがちょうど合うように動いてくれない馬だからなあ。ビシッと追うと反抗するし。まだまだ難しさを抱えながらの競馬になるんだろうね。

菊池 ユーキャンスマイルは5着でした。この馬はこれから、という感じで。ただ、ステイヤーでサウスポーとなると番組選びが難しくなりますね。

京介 いやあ、この馬は使いながら良くなると思うよ。かなり弱い相手の番組ばかりじゃなければ、という感じ。もっと強敵相手にぶつけていいと思うんだよね。

菊池 4番人気クリンチャーは10着でした。昨年の時計分も走れておらず、やはりメンタル面なのか?ちょっと深刻な印象ですね。

京介 中団後ろのラチ沿いに収めたあと、追っ付けても全然動かなかったからなあ。今回の速い上がり勝負なんて全然ダメだし。ラストもまともに伸びていなかった。

京介 スランプというような気配ではないんだけど…。そろそろダートにチャレンジしてみてもいいんじゃないかな?目線を切り替えてみてほしい。

菊池 2頭しかいなかった関東馬(ともにノーザンF天栄)によるワン・ツーでした。ノーザンF天栄≧ノーザンFしがらき>栗東>美浦、みたいな感じで見るべきなんでしょうね。

京介 ディープインパクト産駒を手掛ける上では、ノーザンF天栄が確かに一歩抜けている印象があるなあ。別の系統だと、まだまだどこも横並びのように思えるんだけど…。

<教訓まとめ>

・ロードヴァンドールが全然競馬をしなかったことにガッカリしたが、長距離重賞をハイペースで先行する馬は、二番が効かないことがほとんど。レース後の回復が遅れがちで、前哨戦を使った馬がそれを再現できなかった、というのが今回の超スロー要因として大きい。前哨戦でも本番でも、逃げか2番手で連続好走できるステイヤーは、もう中央には存在しない。

・栗東や美浦でまっとうなステイヤーを鍛え上げることができないからこそ、天栄の独擅場になってしまうという背景もある。

・ディープインパクト産駒が、それまで対応できなかった条件に出走し、ことごとく挽回し始めているが、どのレースも超が付くスローペースを背景にしたもの。「逃げ先行馬が弱すぎる」という文脈の中で、ディープインパクト産駒が好走範囲をどんどん広げていると言える。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・チェスナットコート
…海外遠征でグダグダになっていたところから、急激に馬体が復調気配にある。だいぶ戻してきた。今回も至極順調にきていたユーキャンスマイル相手に食い下がる反応を見せていたし、日本に帰ってきて次が3戦目。そろそろ注意したい。栗東坂路調教で先着するようなら。

<菊池>
・カフジプリンス
…このメンバーでもスタートを決めて先行出来た。さすがに上がり性能・時計対応力で劣ったものの、バテない強みは発揮できての7着だったと見ています。今後は番組次第になりますが、目黒記念あたりでも道悪になるようならチャンスが出てくるし、ステイヤーズS・ダイヤモンドSといった、相手が墜ちる超長距離戦では活躍できそうです。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。次の週末は2重賞なので京都新聞杯・NHKマイルCともに京介さんと展望します。よろしくお願いします。