金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・函館スプリントS編

菊池 日曜の函館で行われた函館スプリントSも回顧していきましょう。

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函館スプリントステークス回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/251983

<当日の馬場状態について>

01_馬場状態


菊池 週中の展望時点では土曜の雨予報がまずハズレ。これが日曜にズレ込むかと思いきや、夜に多少降った程度だったようで朝イチは稍重発表。日曜の競馬開催中も、わずかな雨があった程度。この天気読みハズレは痛恨でした。

京介 北海道は気圧の谷間を読んでも全然当たらないからなあ…。この土日も曇り空でどんよりした天候だったけれども、雨まで行かなかったというのが実情っぽいね。

菊池 話の順番は前後しますが、例の件で大量の出走取消し。この件については、僕らが憶測やらでワーワー言っても意味がないので、きちんとした取材や公式見解が出るのを待ちたいところですが、個人的には本命・2~3番手が相次いで取消しになって、まぁどうにもなりませんでした。

京介 正式に発表されたのが土曜日の朝だったものね。しかも今回の函館スプリントSは、ユニコーンSとは違って、出走馬のおよそ半分が取り消し。完全にちゃぶ台返しを食らったような状況。こればっかりはしょうがない。週中にかなり詰めてきた予想的なネタが吹っ飛ばされたような気持ちだけれども。

菊池 我々はあくまで“馬券”を楽しんでいるだけであり、情報を発信する身としても二次・三次なわけで被害と呼べるほどのものですらないですが、中で実際に“競馬”をされている方々には死活問題ですから。早く原因が分かって、再発防止策がきちんと出て、このようなことがもう起こらないことを祈るのみです。

京介 その通りだね。被害が及ぶ範囲が大きかっただけに衝撃は大きいけれども、原因は特定できているしすぐに静まるものと信じたい。

京介 ただし今回のレース、有力馬が軒並み減って、平凡な人気通りの決着になってしまうだろうなと安易に考えていたんだよ。まさかそれなりに回顧しがいのある決着になろうとは、正直思っていなかった。こんな状況でも新たな発見があるとは。

02_馬場分析
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<パドックについて>

菊池 元々13頭立ての予定が7頭立てになりました。パドック映像を改めて見直してみていかがでしょう。

京介 北海道シリーズは、平凡な調教施設と滞在調整が続くから、本州での競馬と比べても、どうしても体つきが甘くなる。上のクラスの馬だと、なぜか腰ブレがかなり酷くなるんだよね。サクラオリオンが現状維持っぽくできていたぐらいで、やっぱりどの馬もイマイチに思えた。

菊池  人気は上位2頭に集中するかと思いきや、2番ペイシャフェリシタが4.7倍の3番人気。ダイメイフジも10倍を切るオッズでした。みんな色々展開やらで結果の紛れを予想したんですね。

京介 開幕週でもあるし、逃げ馬推測はかなりみんな試みたんだろうけれど、かなり意見が割れたんだろうなという印象。人気2頭と目される馬は一応外の枠だし、内枠引いたことを活かせば…という考えだったんだろうね。

<レース展開について>

京介 函館芝1200mのスタートは、2コーナー引き込み線。スターターは雨具を着て赤旗を振ったけれども、スタンドの方に目をやると、スタートのタイミングで傘をさして観戦していた人は全くいなかった。屋根でそんなにきれいに隠れるのかな?そして天候が微妙だったとはいえ、土日で結局雨足が弱かったわけだし、意外とスタンドに人はいっぱい入っていたね。まあ、拍手はあっても歓声はあんまりなかったけど。

京介 ちなみに今回、取消は前日時点で分かっているので、取消した馬の枠を内に詰めています。大外13番タワーオブロンドンは、事実上7番枠の位置。

03_スタート前ゲート


京介 ファンファーレが鳴っている途中から既に1番サフランハートはゲート入りしていた。ゲート入りはほとんど内から順番にというぐらいで、奇数偶数関係ない入り方をしていたけれども…。たった7頭、30秒か31秒ぐらいでのスタート。

スタート

04_スタート


菊池 まずまず揃ったスタートで、目立った出遅れもありませんでしたね。

京介 30秒ぐらいだったら、ほとんど待たないでいられたようなもの。短距離のオープン馬なら、これぐらいのスタートは切れる。ホントこういうスタートをいつも切って欲しいね。

菊池 好スタートから気合いを付けると、10番カイザーメランジェがハナへ。11番アスターペガサスが2番手。2番ペイシャフェリシタが3番手で、隊列はアッサリ決まりました。

京介 ちょっと最初、7番ダイメイフジは左にヨレて、9番ユキノアイオロスが挟まれる。ちょっと10番カイザーメランジェも馬体を擦ったかな。けどカイザーメランジェは押して行ったね。

京介 こんなにあっさり外の馬に前行かれると、先行を期待されていた内の3頭は何をしているんだ、という感じになるけれど…。

向正面~4コーナー

05_向正面


菊池 4番手外に7番ダイメイフジ。13番タワーオブロンドンがは5番手ですが、馬群全体としては後方。内に1番サフランハート、最後方が9番ユキノアイオロス。

京介 サフランハートは消極的だなあ。先頭が2~3頭雁行となるかと思いきや、アスターペガサスは若干抑え気味に半馬身下がっている。隊列はすぐに固まったから、最初の2F過ぎに至る前に落ち着いているように見える。

06_600m通過タイム


菊池 前半600m通過は34秒3と出ました(公式は34秒4)。稍重発表にしても、少頭数でスローペースでしたね。

京介 ちょろっとは雨が降った影響もあるのかな。アスターペガサスの52kg斤量有利を自覚している小崎騎手は、カイザーメランジェなら差せるだろうというつもりか、あんまり先頭を削って競り合う気配がない。

菊池 13番タワーオブロンドンのレーン騎手は3角あたりから促していこうという動きはありましたが、馬はなかなか反応しきらず。道中の隊列はあまり変わらないまま直線に向いてきました。

京介 全体に遅いとはいえ、2F目から11秒0→11秒1→11秒3。こういう変化のないラップで通過している時に、コーナーで外を回りつつ加速していこうというのは結構難しいんだよね。しかもタワーオブロンドンは58kg。ここらあたりで、江田照男騎手の逃げが上手く行っている様子と、D.レーン騎手が後手を踏んだかな?と感じさせる気配がある。

07_4コーナー


直線入口~ゴール

菊池 4コーナーから手を動かしていた11番アスターペガサスも、なかなか前との差を詰められず。10番カイザーメランジェの方が楽な手応えのまま直線へ。

京介 逃げ馬が56kg、2番手が52kgの3歳。これぐらいの手応えの差がないと逃げ馬は粘れないし、3歳馬は古馬合流初戦でこういう渋い手応えとなりがち。だけど後半は斤量の差が効いてくるから、まだ勝負あった…とはならないよ。

京介 しかしここまで最初の入りが遅かったのが徐々に効いてきたのは間違いない。

08_直線入り口


菊池 コーナーワークで10番カイザーメランジェが2馬身のリード。これが詰まらないまま残り200m。

京介 コーナーワークできっちりリードを広げたのは偉い。僅か1馬身とは言え、脚色十分出回ってきてからのリードは、後ろの組からしたら絶望感がある。上手く勢いに乗せつつまわってきた馬がいなかったからね。

菊池 11番アスターペガサスを挟んで内から追う2番ペイシャフェリシタも、外の7番ダイメイフジも伸びはイマイチ。そうこうしている内に13番タワーオブロンドンが接近。

京介 ペイシャフェリシタはインベタロス無し、進路もあるのにこれは情けないね。4番手外にいたダイメイフジも、持久力足らずで伸びてない。タワーオブロンドンのD.レーン騎手は、コーナー途中からちゃんと追い上げようとしていたんだけど、馬が反応するのが鈍かった。

菊池 しかし、前は遠く、10番カイザーメランジェが悠々逃げ切り濃厚ムード。

京介 最後まで走りのピッチが変わらなかったね。手応えは最後ギリギリになっていたけれども。

09_決勝線


菊池 離れた2番手争いは11番アスターペガサスが守り通して、13番タワーオブロンドンは3着に上がるのが精一杯。

京介 アスターペガサスは手応えがかなり渋い方だった。52kgがあってこそここまで何とか、という粘り。タワーオブロンドンは条件も悪かったけれど、全体通してみるとD.レーン騎手の函館初騎乗というのが影響したかな。

<結果を受けて…>

10_結果


菊池 勝ち時計は1分8秒4。函館で行われた過去9年全てが良馬場での施行ですが、稍重の今年はそれらと比較して7番目の時計。良なら7秒台だったでしょうね。

京介 芝自体は絶好だったものね。このレースのチョイ手前に少しばかり雨は降ったけれども、そんなに悪化の影響はないと思う。

京介 ただしこの開幕週、雨が降っていないのに意外と逃げ馬より好位差しの方が好走していて、差し馬の激走も多かった。その影響もあってか、少しタイミングを一つ遅らせても差せるはずだと、みんなが高をくくっていたのでは。

菊池 ただ、今年は明らかにイレギュラーな回なので、今後の参考にはなりにくいですね。

京介 もちろんそうだと思う。今年はもっと他にダッシュのいい馬が出走していたはずだったし、カイザーメランジェが逃げようとする前に、取り消しした馬がもっといいダッシュを利かせていたはず。

菊池 では、上位馬について。

カイザーメランジェ

菊池 4キロ減で472キロでした。パドック映像を見直しての印象はいかがでしたか?

京介 肌艶は元々良く見せるタイプだけれども、今回もスカッとまとまって、いい姿勢だったよ。比較的飛節が真っすぐな馬なんだけど、後肢をきれいに伸ばして歩けていた。

京介 函館入りしたのが1週前だけれども、直前の追い切りが良好で、この7頭の中では結構意欲的な追い切りタイムを出していた方なんだよね。

菊池 前走の新潟芝1000mで楽に先行出来ていたのに驚きましたが、その流れもあってか今回もスンナリとハナへ。この一連については3度目の騎乗となった江田照男騎手の好判断もありましたね。

京介 こういう事例は、やっぱり継続的な騎乗あってこそだよね。乗り替わりではほぼ発生しないスタンドプレーだったと思うし、前走かその前辺りで、少し工夫してみて良さを感じたからこそ、今回強気に行ってみたと。ホップステップがあってこそジャンプが実った形。

京介 また、13頭立てだった時にここまで果敢に主張しようとは、江田照男騎手自身も考えていなかったはず。ここまで大量の除外があり、有力馬の取り消しが起こって、ボーダーラインが下がったからこそ、「何かやってみる価値がある」と思わせた。アクシデントで状況が大幅に変化したことを、プラスにして見せたのが偉い。

菊池 マイペースで余裕たっぷりの逃げ切り。今後、再現性があるかはともかく、オープンでもやれる馬ですからどこかでチャンスがあるかもしれないですね。

京介 その通りだね。操舵性がいいのだから、「急に穴を出すタイプ」というのは記憶しておくべき。

菊池 江田照男騎手は2012年日経賞のネコパンチ以来、7年ぶりの重賞勝ちでした。

京介 ここまで重賞の好走はほとんど逃げか先行だったはず。こういう大チャンスを見逃さなかった、鞍上のここ一番の集中力は褒めてしかるべきだよね。まだ江田照男は終わってないよ。

菊池 カイザーメランジェ自身、父サクラオリオン×母父サクラプレジデントというマイナー血統。取引価格は分かりませんが、かなり安価だったと予想されます。これが重賞を勝って本賞金6840万円!凄いですね。

京介 サクラオリオンもほとんど函館&札幌の北海道シリーズで出世して、函館記念を勝ったことがある洋芝巧者。母父のサクラプレジデントも、札幌2歳S+札幌記念を勝っているように北海道の洋芝が得意。まあ、だからってそんな要素で評価する気はあんまりないんだけど、北海道の気候が合う+洋芝でちょっと能力UPの根拠はあったかもしれないね。

アスターペガサス

菊池 6キロ減って、494キロでした。状態はどう映りましたか?

京介 いや、ぎこちないと思ったよ。あんまりトモの張りは良くないよな…と。胴回りもちょっと寂しく感じたかな。他の馬がもっと悪く見えたし、手先にバネがある方だから評価できる方だけど。

菊池 前走は追込みの競馬でしたが、今回は出たなりに2番手を確保。小崎騎手の判断は悪くなかったように思います。ただし、気分良く行かせすぎましたね。もう少しプレッシャーはかけないといけなかったでしょうか。

京介 これは悩む所なんだよね。前に行ったとて、まずマークすべきはタワーオブロンドン1頭だろうし、後ろを凌いで勝ったのは一応事実だから。カイザーメランジェが逃げた際の粘り腰なんて、若手の小崎騎手だと想像だにしてないでしょう。

京介 レースが終わってみると、上位人気2頭に騎乗している騎手は、D.レーン騎手と小崎綾也騎手。どちらも経験が乏しかった、とは言えるんだよなあ。

菊池 最後まで伸びずバテずの流れ込み。2着は確保できましたが、斤量有利と隊列有利があっての結果と考えると、あまり評価できる内容ではないかなと。

京介 まあそうだね。結構な部分、52kgに助けてもらったところがある。

タワーオブロンドン

菊池 増減なしで518キロでした。映像を見直してパドックの印象は?

京介 脚運びはスンナリ。肩の出も悪くはなかった。ただ背中、腰の緊張感は前回の方があったよ。58kgで出るならもっとしっかりしてほしかったなあ。ちゃんと間隔を空けて、1週前に強い追い切りを美浦でしていたのに…。輸送が絡んでしまうと、ベストの状態でレースに出すのが本当に難しいのが北海道シリーズ。

菊池 道中の追走で置かれるのは想定できましたが、スローでも位置取りが悪くなりました。これは、ペースが速ければもっと厳しかったのでは?

京介 正直、そう思う。レースを見直すと、追走性能がやや怪しい印象を持ってしまうね。藤沢和雄厩舎は2017年のキーンランドCをエポワスで制しているけれども、芝1200mの重賞は本当にアテにならない。

京介 東京向き、あるいはせいぜい1400m向きの馬は多数輩出するけれども、スプリンターとして1200mに向く馬を鍛えて出していないのでは?昨年のムーンクエイクもそうだし、陣営が期待するほどには、1200mに対する準備が甘いと言えるかもしれない。

菊池 外を回すと辛い馬場だったことは確かですが、それでも今回は3着が精一杯だったところを見ると、やはり1200mは忙しいでしょうね。

京介 自分は馬の体型的に、1200mは絶対に問題ないと思うんだけど…。「1200m向きの馬につくっていない」のであれば評価は別になる。全然ビビッドに反応してくれないキャラだぞ、とは念押ししたいね。

その他


菊池 4着以下はさして見所もなかったと思いますが、いかがでしょう。

京介 ペイシャフェリシタってかなり過剰人気しがちなキャラなんだな、とは思った。この馬は本当に腰が悪いので、前傾ラップ消耗戦というより、スピードタイプが苦戦する荒れ馬場にならないとキツイようだね。また、6歳牝馬ということもある。スランプからなかなか脱し切れていないと思う。

菊池 兎にも角にも大量の出走取消しが全て。個人的にこのレースで得られたことは、「タワーオブロンドンに1200mは忙しい」ということと、「小崎騎手の判断力は甘いかな」ってことくらい。

京介 あと、何らかの奇跡を起こすのは、結局若い馬じゃないか、というのは感じた。使い詰めであっても、パドックでまだ肌艶の良さをキープしているし、ある程度の仕上がりの良さを維持できる。ペイシャフェリシタが唯一の牝馬54kg+内枠ということで人気になったけれども、レースで集中力を見せたのは3歳~4歳馬だったね。高齢で近走不振の馬は、ホントどうしようもないじゃないか、ということ。

<教訓まとめ>


・栄枯盛衰激しい短距離路線のことを思えば、過去に重賞でやっと3着がある程度の高齢馬より、オープン好走の履歴がなくても若い馬の方が、未知の性能を引き出して好走する可能性がある。予想に取り組む姿勢として、「指数(過去に叩き出した最高値)よりも新味」を重視すべき路線。

・江田照男騎手の唐突な逃げのような、チャレンジスピリッツは本当に素晴らしい。この状況打開力を、他の騎手も見習ってほしい。現場の実感として、小崎綾也騎手やレーン騎手が前に行くわけがない、という雰囲気をいくらか感じていたのだろう。

・個人的には抜群の追い切り時計を記録していたライトオンキューが取り消したのは本当に痛恨だったが、今回の7頭の直前追い切りを比較して一番まともだったのがカイザーメランジェだった。改めて、「現地入りしてからの追い切り内容」を高く評価する手はまだ使える。ちなみに13頭がスンナリ出走していたら、ライトオンキュー、トウショウピストに次いでの追い切り内容3番手だったために、目を切ってしまったが…。



<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・ダイメイフジ
…馬体全体の張り、トモの厚みは出ていたが、妙にバランス悪かった。休み明け苦手というか、放牧帰りだと全然動かず、使いつつ良くなるタイプ。今回、アスターペガサス辺りとそんなに差がなかったことに注意したい。

<菊池> 
・なし

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。次の週末は宝塚記念を京介さんと展望します。よろしくお願いします。