金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・プロキオンS編

菊池 日曜の中京で行われたプロキオンSも回顧していきましょう。

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1906月競馬大予言・夏競馬号

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プロキオンステークス回顧



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<当日の馬場状態について>

01_馬場状態


菊池 中京も週中の雨が影響して「芝=稍重」・「ダ=重」で開催がスタート。土曜の競馬終了後に少し雨もあったようですが、大きな影響はなく、日曜は芝・ダートともに稍重でした。

京介 そうそう。夜中の雨が心配だったんだけども、ほぼ悪化はなかったと見ていい水準だったね。

菊池 土曜も速いタイムの出る馬場状態でしたが、日曜もかなり速い時計の出る馬場状態で推移していて、9Rの大府特別(3歳以上2勝クラス・ダ1200m)では1分9秒7のレコードが出ました。

京介 オープンクラスならともかく、1000万下のレベルで、不良馬場じゃないのに1分9秒台とか出ちゃいけないでしょ(笑)。さすがにそれはどうなの?と思うぐらい速い馬場だと思っていたよ。

京介 ただし、中京のダート1200mは実は高額条件がない。一番レベルの高いレースで1000万まで。なのでコースレコードが出たとしても、実はそこまで驚くべきレベルではなかったという。今回のプロキオンSと同じ、ダート1400mならオープン戦もいろいろ行われているんだけれども。でもまあ、それにしてもそのタイムは速いけどね。

菊池 ただ、気温が上がって馬場の乾燥も急だったようで、メインにかけての小一時間でも馬場状態は変わっていた感がありますね。

京介 そのレコードが出てしまうほど!という馬場だと認知した後で、プロキオンSが思ったよりも超高速決着ではなかったことには、確かに疑問があった。多少風も出ていたようだし、馬場の変わりしなだったのかもしれないね。

02_馬場分析

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<パドックについて>

菊池 フルゲートは埋まらなかったものの15頭立てでした。パドック映像の印象はいかがでしたか?

京介 あまりトップレベルの馬も出ていないダート路線だからね。まあこんなものでしょう、という印象だった。前走好走馬は引き続き馬体の張り艶、メリハリが順調で、前走大敗馬はいろいろどこかおかしくしたまま、改善が見られないというメンバー。

菊池 1番人気のマテラスカイは海外帰りの一戦でした。

京介 マテラスカイ自体は、仕上がりをまとめてきたと思うよ。腰つきもブレておらず、いつもの硬い脚捌きのまま。これで通用するかどうかという問題はあるけれど。

菊池 単勝2~4番人気がそこそこ拮抗していましたね。

京介 このレースはいつもそうなりがちだと思う。実績のある馬と、勢いがあって「これは重賞級だろう」と世間が思える馬とでせめぎ合い、圏外と思える馬はオッズが大きく下がるという。なので戦前は、いつものプロキオンSらしいムードだと思ったよ。また適度に上位人気同士で決着するのかな、と。

<レース展開について>

京介 午前中は確か曇り空だったはずの中京競馬場も、昼過ぎから晴れ間が見えるようになり、確かに急激に乾いてきているのかな…とチラッと感じるぐらいの馬場状況にはあった様子。スタンドの方もだいぶ混雑が目立っていた。

京介 中京ダート1400mのスタートは、2コーナーの引き込み線で待避所のすぐ近く。最初のゲート入り途中で、11番オールドベイリーが突進してゲートを飛び出してしまう。ゲートが破損したために外枠発走となった。おそらく小崎騎手にも少し原因はあったかもしれないけれど、よくゲート飛び出した時に落馬せず堪えたなあ小崎騎手は。

京介 仕切り直しのゲート入りは、基本的に時間を掛けない。ファンファーレが鳴る前からサクサク入っていたし、とてつもなく早いと感じるほど、みなおとなしく進む。馬の緊張も解れるのかもしれない。ちなみに最後入れになるのは、外枠発走の11番オールドベイリー。おおよそ40秒程度でのスタートになった。

スタート

03_スタート


菊池 バラついたスタートになりました。目立つ出遅れはなかったものの、半数くらいは半馬身ほど出遅れていましたね。

京介 どこぞの条件戦のように、緊迫感のないスタートになってしまった。まあ、仕切り直しがあったために、全ての馬が合計1分以上ゲート内で待たされているしね。前走差し&追い込み馬で、今回ビシッとゲートを出た馬はいなかったと思う。

菊池 一気に抜け出したのは9番マテラスカイ。芝の切れ目を待たずに1馬身抜け出しました。やはり初速が段違いですね。

京介 ダートに入ってから、ではないものね。武豊騎手が騎乗した時が特に速いんだこれが。テン争いをするためにガシガシ追っている馬の目の前を、芝の地点で既に斜めに横切って行くんだから、他の馬からしたらたまったもんじゃない。

04_先行争い


2F目~4コーナー


菊池 2番手は内から1番サクセスエナジー・4番ヴェンジェンス・8番ウインムートと並んで行き、10番アルクトスが控えて5番手外。

京介 ウインムートは58kgを背負っている。横に並んでの鍔迫り合いをするならともかく、完全に1馬身以上芝で置かれたところから並び返しに行くのはさすがにしんどい。2番手に上がってちょっと様子を見たけれども、やっぱり前に出て行くのはやめたという感じ。

京介 アルクトスは半端な5番手になりそうだったけれども、前を行く2番手集団3頭を見ながら、徐々に内に切り替えていく。

京介 ダートに進入した時、4番ヴェンジェンスが頭を上げながら外へヨレて、6番ワンダーサジェスの進路が狭くなる場面があった。大きくは後退していないけれども。

05_先頭アップ


菊池 直後の外に12番ミッキーワイルドと外枠発走の11番オールドベイリー。7番アディラートが内にいて、さらに6番ワンダーサジェス。ここまでが中団より前のグループ。

京介 アディラートはこんなに後ろになっちゃうのか。ワンダーサジェスはちょっと耐えて、何とか中団ラチ沿いで我慢。

06_後方馬群


菊池 5馬身ほど離れて、15番プロトコル、2番ダノングッド、14番キングズガード、3番ドンフォルティスといて、5番サンライズノヴァは後方から2頭目。最後方に13番アードラー。

京介 展開として、なぜここまで後方集団が置かれたのかはよくわからない。ただ、スタートでモサッと出てから挽回しに行く意欲が、これら後方の馬になかったのは確か。3コーナー時点でここだと、かなりコーナーで追い上げておかないと…。

07_600mタイム


菊池 前半600m通過は33秒3。この馬場を考えても、速いペースで行っています。

京介 マテラスカイは確かに昨年、これぐらいの水準で飛ばしていたね。武豊騎手の感覚からしたら、肉を切らせて骨を断つぐらいの気持ちでいたのかな。2番手に上がったサクセスエナジーが、コーナー途中でだいぶ横並びしてきてしつこかったからね。

京介 昨年と違い、今年は食らいついてくる馬がいるし、馬場の質も変わっている。これはマテラスカイにとって戸惑う要素だね。

菊池 快調に飛ばす9番マテラスカイがハイラップを刻んだまま4コーナーへ。序盤の流れが速かったので全体的に縦長のまま直線に向かっていきます。

京介 見ていると後方集団の馬は泡食って置かれているだけ。全くコーナーで差を詰められていない。こりゃ前から7番手辺りの馬で決着するかな…というムード。

08_4角


直線入口~ゴール

菊池 9番マテラスカイが1馬身強のリードを保って直線へ。その後ろから追うのは1番サクセスエナジー、内から10番アルクトス、外から4番ヴェンジェンス。間に12番ミッキーワイルド。

京介 サクセスエナジーには、もっと競り掛けを期待していたんだけど、コーナーを回り切ってからマテラスカイと1馬身開いてしまい、さらには手前も替えられず余裕がない。これは厳しい感じ。

京介 そして直線は、ちょうど良い感じで1~3番手がバラけている。しかも脚色も怪しい。少し後ろから差す馬にとっては、外を回さずに済むしいい目標になっている格好だね。

09_坂手前


菊池 しかし、ハイラップで飛ばした分か、9番マテラスカイも昨年のようには突き放せず。直後のグループがジリジリと差を詰めていきます。

京介 「直後のグループ」というのも、4コーナーで内を回った馬と、コーナーで外を回りつつさらに直線大外へ持ち出した馬とで、だいぶ差が開いてしまう。内を回ったミッキーワイルド、アルクトスは明らかに余力ありつつの接近。

10_1番挟まれ


菊池 なお、この2番手グループの中で1番サクセスエナジーが苦しくなるところ、ラチ沿いで進路が苦しいけど手応えはある10番アルクトスが、やや強引に外へ。さらに、サクセスエナジーとヴェンジェンスの間を割ろうとした12番ミッキーワイルドもいて、結果的に1番サクセスエナジーが挟まれて後退。

京介 これは明らかな不利ではあったけれども、サクセスエナジーがもう耐えられなさそうな脚色だった時だけにね。

11_残り100m


菊池 残り100mあたりで9番マテラスカイが一杯になったところ、勢い良く迫った10番アルクトスと12番ミッキーワイルドの叩き合いに。この競り合いを制して10番アルクトスが半馬身リードでゴールへ。3着は4番ヴェンジェンスが踏ん張りました。

京介 ヴェンジェンスが意外と直線で内を空け過ぎて、2頭に進路を譲る格好となったけれども、コーナーをタイトに回っていたら、不利を受けたのはこの馬だったかもしれないね。

京介 アルクトスとミッキーワイルドは、どちらもキレイに回ってきた上での終いの伸び。ミッキーワイルドが前に出た瞬間が一瞬あったはずだけれども、あそこから引き離せたのはアルクトスの地力の高さあってこそだったと思う。

12_決勝線


<結果を受けて…>

13_結果


菊池 勝ち時計は1分21秒2。9Rの勝ち時計を考えると案外ではありましたが、速い水準ではありますね。良馬場寄りの稍重だった、という感じでしょうか。

京介 ほぼ乾きかけともなると、意外と時計が掛かることはあるよね。確かにもうちょっとで良馬場ゾーンに差し掛かっていた可能性はあると思う。

菊池 中京1400mで前半600m33秒3は速いペース。しかし、後続も追い上げられず、好位にいた上位人気馬での決着でした。

京介 中京は本当に先行総崩れがなかなか起きにくいコースだよね。今回は事実上1列目追走の3頭がちゃんと止まったのに、それでも4列目以下の馬には出番なし。

菊池 では、上位馬について。

アルクトス

菊池 2キロ増の548キロでした。巨漢馬ですが、映像を見直して仕上がりはどう映りますか?

京介 ずんぐりした土管体型というか、あんまりスカッと見せない腹構えをしているタイプ。だけども直飛節で、かつ後肢の股関節がかなり柔軟。推進力はかなり感じたね。ポリトラックコースでの追い切りでホントに大丈夫なの?と思っていたから、想像以上に良い仕上がりだったのは驚いた。

菊池 好位内を追走して、前走をなぞるようなレース振りでしたね。

京介 決め手に安定感が出るようになってから、いつの間にか大トビ馬の弱点、揉まれ弱さを克服するようになってきている。あんな狭い所を通せる馬には全然見えないけれどもね。田辺騎手があんなところを通すぐらいだから、操舵にかなり自信があったのでしょう。

菊池 3連勝で重賞制覇。これからも楽しみですね。

京介 オープン戦の勝ちっぷりを見ていたら、そりゃ重賞ぐらいすぐ手が届くなという感じだったしね。まだまだいけるはず。

菊池 そして、つくづくアドマイヤオーラの早世は惜しい・・・。

京介 ホントそう。連勝してオープンまで上がってくる馬が毎年1~2頭出ていたような。やっぱりいい血筋だったんだろうね。

ミッキーワイルド

菊池 2キロ増の510キロでした。こちらも充実一途、連勝で一気に重賞挑戦でした。

京介 この馬はちょっとどころではない、結構腰の甘さが目立つタイプだけれども、後肢の捌きのキレで走るタイプ。なので東京向きじゃないの?と確かに思うんだけれども、このパドックに入れても総合力で上回った印象だった。

菊池 速い流れでも好位勢を見ながら追走し、直線も手応え十分。条件戦で足踏みをする馬には、昇級で一気にパフォーマンスを上げる馬もいますが、まさにそんな感じで厳しい流れになって強いですね。いきなりここまでやれるとは、完全に見誤りました。

京介 自分も、条件戦上がりの4歳馬がこんなにすぐ通用するとは思っていなかった。でも馬にも高いポテンシャルはあるんだろうけれども、ちょっと短距離ダート部門の6歳以上古馬の側にも問題があるんじゃないか、とは思ったよ。

菊池 この後はしばらく適鞍がなさそうなのが勿体ない印象・・・。

京介 おそらくは秋の東京開催まで待つんだろうね。一応マイルは我慢できるから。

ヴェンジェンス

菊池 2キロ減で490キロでした。こちらも連勝馬ですが、映像を見直してパドックの印象は?

京介 この馬もなんだかんだ、オープンの弱い相手とは言え連勝で来ているんだよね。それだけ腰周りに良い緊張感があったし、しっかりしたトモの送りだったよ。

菊池 速い流れを先行しての3着。ラップを見ればよく粘っている部類ですよね。充実期という感じで。

京介 この馬は足癖が悪い方なので、乾いた馬場だとパフォーマンスが落ちるし、脚抜き良い馬場で性能を上げてくるタイプ。だけど今回のメンバーで差しに回らず、強気の積極策で押し通すところまで行けたのは偉い。確かに充実していないと、ここまで来れないね。

菊池 この後はどうでしょうね。交流重賞を使えると良いのですが、賞金は足りない方で。

京介 難しいのは、脚抜きが悪くて時計が掛かる、タフなダートがプラスになるとも思えない点なんだよね。今後はオープン戦だと斤量が苦しい。ダート重賞の上位入線穴タイプになって行くんじゃないかな。

その他

菊池 4着はサンライズノヴァ。後方から唯一追い込んで来ました。やはり直線まで待って追い出せる中央場の方が良い馬ですね。

京介 馬自身もトモの頼りなさが抜けてきて、徐々にだけどもいい気配が戻りつつあると思う。スケール感良く見せる方なので、早く完全復調して欲しい。

菊池 マテラスカイは5着。不振の森厩舎でも、この馬なら・・・と思いましたが。

京介 マークされまくって粘れるほどではない、という性能なんだろうね。昨年は「こんなペースで行っていいの?!」と後続が戸惑いまくって、追いかけるのに難儀したけれども、今年は自滅覚悟で競り掛けて来る馬がいた。その差が出たと思う。

菊池 オッズが示すように能力差が大きく、概ね上位での決着になりましたね。その中で、連勝中の馬によるワン・ツー・スリーだったことは興味深いポイントでもありつつ。

京介 今回は連勝の勢いが大事というより、プロキオンSに出てくる2桁人気馬が弱すぎることに注目したいね。プロトコルやダノングッド辺りが重賞の枠を埋めちゃダメでしょ、と思うんだけれど、その水準の馬が3分の1ぐらい紛れ込んでしまうレース。おまけに後方追走の馬は用なしの傾向。これじゃさすがに、真っ当な馬にさらに注目を集めやすいし、実力のある先行馬が止まるわけがない。事実上、上位数頭しか勝負にならない地方交流重賞と、本質的な部分が似ているようにも思うよ。そりゃオープン連勝馬が崩れにくいのも当然だね。

<教訓まとめ>

・今年は2連勝中の馬が3頭馬券に絡み、勝ち負けしたのが4歳馬同士というあからさまな勢い重視の結果だったが、「勢いのある先行馬」をなかなか咎めにくいメンバー構成になりやすいのも事実。

・本当は前日基準オッズだと、アルクトスもミッキーワイルドも単勝10倍を超える想定だったが、蓋を開けてみると2&3番人気。世間のチョイスが正確すぎる。完全に「過去実績<<現状の勢い」のレースだと判断している証拠だと言えそう。

・美浦BWが閉鎖中で、いつもの調整過程を歩めていない関東馬が、関西圏に遠征して勝てるとは正直思っていなかった。最後根性を出す場面で競り勝ちしたのもなお驚き。ポリトラックコースの調整は、実はもうちょっと見直しても良いのかも。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・キングズガード
…8歳高齢馬だが、馬体は結構良い仕上がりだった。ちょっとここ最近のM.デムーロ騎手のぶっ飛ばし方は度が過ぎるレベルに見える。デムーロ騎手騎乗で前走4着以下の馬が、他の日本人騎手に替わって復調する例がかなり出ている。今回は条件が合っていなかったことは承知も、とぼけた追走しすぎだったように思う。最後は馬群の中に突っ込んで、脚を余していたような伸び方だった。

<菊池> 
・サクセスエナジー
…今回は最内枠、同型との兼ね合いも難しい並びになってしまったのもあるが、オープンに昇級後は平坦コースでしか好走していないという面もある。地方競馬場では安定、斤量増は苦にしないタイプなので、中~外枠かつ交流重賞ならすぐに巻き返しても。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。次の週末は函館記念を京介さんと展望します。よろしくお願いします。