金子京介・菊池グリグリの重賞回顧トーク・サウジアラビアRC回顧

菊池 土曜に東京で行われたサウジアラビアRCも回顧していきましょう。




サウジアラビアロイヤルカップ回顧



展望トークはコチラ
https://regimag.jp/blog/kyo_guri/view/detail/entry/289423

<当日の馬場状態について>

菊池 東京は土曜から「芝=良」・「ダ=重」で開催が始まりました。気温は高かったものの土曜未明に降った雨の影響が残った感じでしたね。木曜深夜にも短時間に強い雨が降っていました。土曜は30℃オーバーで暑かったですが、蒸す感じではなく、カラっとしていましたね。

京介 日差しは強かったよ。おまけにパドックで全くいい風が吹いてくれなくて熱が溜まりまくり。さすがにこの日は過ごしにくかったし、しんどかった。

菊池 開幕週の東京芝、秋の開催らしく良い状態で始まっていますね。Aコース使用時はフラットで差しも利くのが特徴的。

191005サウジアラビアRC馬場

京介 そして芝が深くて、すぐ馬の手先が芝に埋まるから、脚抜きはかなり悪かったと思う。最内から大外まで芝自体は絶好だけれども、この日はどちらかというと内差しというよりも外差し優勢ではあった。別に4コーナーで最内を確実に通ってから外に持ち出さないといけない、という様子でもなかったね。

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<パドックについて>

菊池 9頭立てでした。1番人気サリオスがずっと1倍台を推移しており、上下差の大きいメンバーでしたね。

京介 なんせ新馬や未勝利を勝ってからデキが落ちている馬やら、使い詰めで馬体が減るばかりなんて言う馬もいたからね。さすがにこんなメンバーになるのなら、もうちょっとこの番組を狙う陣営が増えてもいいはずだし、頭数が多くてもいいんじゃないか、とは思ったよ。

菊池 個々の細かい話は後ほど…として、妙な波乱が起こるムードは皆無だったなというのが個人的な感想です。

京介 東京マイルを乗り越えられないようなキャラばっかりだったのは確か。逃げてもバテるだろうし、控えても別に溜めも効かないだろうし…と思わせる非力な馬ばかりだったので。

<レース展開について>

京介 今回、何に気を使ったのか知らないけど奇数番枠からだいぶ慎重だったなあ。まあ頭数も少ないし、ゆっくり入れてもそんなに掛からないけれども。43秒程度でのスタートとなった。もうちょっと時間詰めても良かったような気はするけど。

スタート

菊池 少頭数ながらバラついたスタート。4番カップッチョ、2番ジェラペッシュ、9番エンジェルサークルが出遅れ。

191005サウジアラビアRC01

京介 ジェラペッシュ出遅れるのかよ!とは思ったわ。もともとスロー想定なのに、前はさらに楽になりそう。

菊池 まずは好スタートを切った7番シコウが出かけますが、外から8番アブソルティスモが並んで行き、交わしてハナに立ちました。この動きを見ると戸崎騎手はキレ勝負では分が悪いという意識があった感じがしますね。

191005サウジアラビアRC02

京介 しかもスタートでシコウが右へブレていて、アブソルティスモを邪魔しているんだよ。そこで怯んでもおかしくないのに、よく強気に行ったなあ。しかもその後、超スローに下げるわけでもなく、ついてくる側が脚をなくすなかなかのペースで行ったのも、頭の中に描いていた作戦通りだったんだろうね。

2F目~4コーナー

菊池 7番シコウが2番手に収まって、3番手に3番サリオス。直後の外に6番クラヴァシュドールが続きました。内に1番イロゴトシ。

191005サウジアラビアRC03

京介 序盤は2馬身離れた3番手にサリオス。ラチ側に寄せて絞るということはしなかった。他の馬は、追走ペースの基準としてサリオスにぴったりついて行った感じだね。

菊池 全体で見て中団後ろあたりが2番ジェラペッシュ。5番ロードエクスプレスと4番カップッチョ。最後方に9番エンジェルサークル。

京介 エンジェルサークルは少頭数ながら大外枠で出遅れ。向正面では、隊列的に挽回するのが難しい形がずっと続いてしまった。

菊池 引っ張って頭を上げていたのは後方の馬くらいで、全体としてはまずまず流れているように見えましたが、実際に600m35秒1、800m47秒2、1000m通過が59秒2と、少頭数の2歳戦にありがちなスローペースではなかったですね。

京介 この程度のペースだと、全馬が少しずつ徐々にスタミナを消耗してしまう。力の足りない馬をふるいに掛けるペースだね。一定レベルしかない馬にとっては平均早めに感じるし、ボーダーより上の力がないとスローとは言えない流れ。

菊池 逃げた8番アブソルティスモの戸崎騎手はコーナー区間で息を入れて馬群は徐々に凝縮。

191005サウジアラビアRC04

京介 ラップとしては確かにちょっと落ち着いたけれども、映像を見返すと馬群は間隔が空いたままで後続が詰め寄れていない。最後尾のエンジェルサークルは、仕方なく外を回るしかなくて、追い上げ方が不自然だったなあ。

直線入口~ゴール

191005サウジアラビアRC05

菊池 直線での上がり勝負になって、外から3番サリオスと6番クラヴァシュドールが差を詰めて行きます。8番アブソルティスモも手応えはあって決してバテてはいませんが、坂を登り切る前に外の2頭の勝負に。

京介 他の馬は瞬発力性能がないわけではなく、道中の追走でだいぶ体力を削られてしまって直線でペースが上がらない感じ。

菊池 坂の後半あたりで6番クラヴァシュドールが完全に並び、態勢的にはこちらが勝つかにも見えました。しかし、エンジンが掛かると再び3番サリオスが伸びて差し返し。

191005サウジアラビアRC06

京介 いやあ、何度見てもクラヴァシュドールの仕掛けは見事。直線のパトロールビデオを見ても一切ブレてない。それでも、坂上でサリオスの方が態勢有利になったのは、走りのストロークが広い分スピードの落ち込みが少なかった差だね。

菊池 最後は3番サリオスが1馬身1/4の差を付けてゴール。8番アブソルティスモも大きく崩れず離れた3着は危なげなく確保しました。
191005サウジアラビアRC07


<結果を受けて…>

191005サウジアラビアRC結果

菊池 勝ち時計は1分32秒7。先の中山開幕週のようにめちゃめちゃに速い馬場だったわけではないですが、ダノンプレミアムのレコードをあっさり更新しました。

京介 想定外の時計が出た、という感じだね。正直、昨年グランアレグリアが勝った時と同じ流れかなと思っていたんだよ。まさか、ダノンプレミアムが勝った年と同じぐらいのペースで行って、その年より上がりが優秀だとは。

菊池 少頭数ですが能力の誤魔化しがきくようなスローペースにはならず。結果的に上位は力どおりに決まった印象ですね。

京介 まあ、この時計で走れる馬がそもそもなかなかいないからね。その部分では走破力の差が出たんでしょう。

菊池 では、上位馬について。

サリオス

菊池 6キロ増の540キロでした。数字は増えていますが、初戦よりは幾らか動きは良くなり締まった印象を受けました。ただ、それでも緩い印象で。

京介 筋力はものすごくある馬だけど、後肢の支えがまだホント弱くて、飛節から後肢の踏み込みまでブレまくりなんだよ。これはまだ持て余すでしょう、と思ったけれどもね。

菊池 体重の割に背丈は高い方じゃないと思いますが、幅があって凄いボリュームですね。重心の低さと言い、母父ロミタスの影響なのでしょうか。可動域の大きさはハーツクライ譲りなのでしょうが、全体のバランスはサンデー系っぽくないと言いますか。サラキアとは全然違うタイプですよね。

京介 現場でもまだだいぶ緩いと感じたけど、映像でもブレがまだ目立つ。いやいや…とは思ったよね。この状態でも勝てる、と出走させた堀調教師の目利きはホントビックリするよ。ここら辺は流石だよなと思う。

菊池 あの体でスタートを決めて3番手追走から上がり最速でレコード決着を完勝。種馬だろ!っていう感想です…。

京介 まずハーツクライの仔でこんなにすごいボリュームを蓄える馬なんて、出てくるんだなあと感心するよね。そのうえでこの走破タイムは、自分の筋力を8割9割がたまともにうまく扱えている。直線で細かく見てもフットワークがブレていない。自分の体を生かすセンスが非常に高いと思うよ。

菊池 このローテとなると次は朝日杯FSに使うのでしょうか。

京介 いやあ、こりゃ本命級の馬になるだろうね。まだ上昇しかない馬体に思えるし。

クラヴァシュドール

菊池 増減なしの450キロでした。パドックで見る限り輸送のダメージも無さそうな様子でしたね。

京介 この馬はハーツクライ牝馬らしい、お尻が薄くて後肢の管が細い、パーツ全体が軽いタイプだよね。仕上がりはこちらの方が進んでいると素直に思った。

菊池 軽くてバネもよく、良い馬ですね。同じハーツクライ牝馬という意味で比較すると、同時期のリスグラシューより完成度が高いように思います。

京介 リスグラシューはだいぶ寂しすぎだと思ったけれど、クラヴァシュドールは単純にそれより馬体重がある分、全体の安定感があるからね。

菊池 この結果なので人気になりそうですが、阪神JFでも有力ですね。

京介 なかなかこの走破タイムで走れる馬なんて出てこないでしょう。

アブソルティスモ

菊池 4キロ減で494キロでした。新馬戦当時と比較すると相当に良くなっていてビックリしました。かなり仕上げが進んでいましたね。

京介 確かに、まとまりはだいぶ高かった。後肢の捌き方がなかなか良かったね。

菊池 ただ、それでもサリオスを逆転するようには思えず。きょうだいではやはりティソーナ似だなという印象で、競馬に行ってもやっぱり…と。

京介 むしろ今回のレース、ラドラーダの仔としては非常に持ち味を引き出せた競馬だったように思うよ。馬群に入れて競馬のメリハリをつけるより、高いスピードの持久力を引き出す形の方がよさそうだね。

菊池 中山の方が良いでしょうね。或いは、1400mの京王杯2歳Sではチャンスがありそう。ただ、今後に大きな上積みがなさそうな気がします。

京介 そうだなあ、返し馬でもうちょっと手先のバネや推進力を見せて欲しかったなあ。

その他


菊池 4着以下に負けた馬たちは、今後のオープンで勝ち負けするのはちょっと難しそうですね。

京介 アブソルティスモの逃げは、オープンクラスの基準点といえる逃げだったよね。重賞勝ち負け級なら、せめてあのペースの逃げぐらいには追い付けないと。

菊池 1・2着が2歳G1でどっちも勝ち負けできそう、という印象を受けました。

京介 自分はクラヴァシュドールがちょっと怪しいかな、サリオスは勝ち負けでしょうという印象だけれども。ただ、アブソルティスモは今シーズン年末までに、もう一回激走するかな、とは思うよ。

<教訓まとめ>

・1勝目が早く、一度休みを取って、このレースに照準を合わせて仕上げてきた馬はやはり有利。1勝目からの成長度も大きく、使い詰めの馬をはるかに上回りがち。重賞に昇格してから4年連続で6月に初勝利した馬がここで勝ちきっている。

・堀厩舎の馬に石橋脩騎手が乗り替わって重賞を勝つというのも、NFからの信頼を得られたという証拠でもあるし、NFの有力馬が複数出走していたレースで、そこにデムーロ騎手が乗っていないというのも驚いた。今でもデムーロ騎手は波に乗ればハマる騎乗ができるものの、信頼感はだいぶ落ちているのかもしれない。

・やはり上がり3Fを33秒台で上がった経験がないと、東京競馬場でもう一つ伸びしろを見せるのは難しそう。


<次走巻き返し警戒馬>

<京介>
・アブソルティスモ
…馬場がどうであれ、レースぶりはかなり褒められる。1400mが理想ではあるが、もう一度マイル戦を使っても馬券になるかも?

<菊池> 
・アブソルティスモ
…上位2頭には劣ってしまったが、中山替わりや距離短縮で相手が弱くなれば威張れる。大幅な上積みは期待しにくいものの、春まではコンスタントに賞金を稼ぎそう。

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菊池 では、今回の回顧はここまでです。次の週末は秋華賞・府中牝馬Sをともに京介さんと展望します。よろしくお願いします。