大田区産業プラザ(PIO)
なんと言っても女性の戦力化については議論が活発でした。 

「社長が女性活用を分かっていない」「優秀な女性をマネジメントに登用しようと打診したが、中々首を縦に振らなかった」「でも、一旦OKすると仕事をバリバリやってくれている」「女性が活躍している企業では、女性のライフスタイルを念頭に置いた制度設計をしっかりやっている」などなど。

当たり前といえば当たり前ですが、その当たり前のことに中々踏み切れずにいるのが、多くの中小企業経営者の本音ではないでしょうか。「なかなか良い人材が来てくれない」とグチってみても、女性の戦力への登用や採用まで視野に入れた上での悩みではないのではないでしょうか。

今月は、女性活躍推進法、改正労働者派遣法、改正労働基準法について、労務を専門領域のひとつとする松井利夫先生に解説していただきました。詳細は当日のレジュメで

ここでは、「多様な人材の活用」について、思うところを書いてみたいと思います。
 
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ある地方の小企業の社長が、戦力になる男性社員がいないと言っているのを聞いて、私はこうアドバイスしたことがあります。「田舎に残っている数少ない男性より、地元で明るく頼もしく生活している女性を中心にして明るく爽やかな、女性が頑張る会社を目指した方が良いのでは?」

相変わらず社長が1人で細々した段取りをする状況は変わらず、右腕人材が欲しい状況は変わらないようですが、確実に明るくしなやかな会社に見えますし業績も順調です。女性が配送業務を担い、納品先で軽いおしゃべりをして、顧客店舗の様子を伺ってきます。店舗経営者にも「あの問屋の配送員は明るく、ちょっとした事にも気遣いがあって良い」と評判がいいのです。一方で、社長にとっては、女性の配送業務には体力や家事都合への配慮も必要になります。

今回の議論の中でも、それぞれの事情に合わせた働き方ができて、オープンかつ公平な「長く働ける職場制度」がポイントだが、その実現には経営者の意識付けが大切との認識で一致しました。「多様性受容」(ダイバーシティ)の時代に対する経営者の考え方です。社長の考え方や言動は社員にも伝染するものです。

日本では戦後に、雇用形態の「画一化」が進みました。終身雇用、年功賃金、そして新卒一括採用などです。いまどきは終身雇用も年功賃金も無くなりましたが、報道を見聞きするにつけ新卒一括採用だけは堅持したいようにも見えます。本来なら「画一化」の不合理に気づいたのですから、人材の「多様性」受容に舵を切るべきなのでは?と思う次第です。 

かくかくしかじか、職種による違いがあるのは当然として、外国人や女性、外国人管理職、女性管理職がいても当たり前という制度を目指してみるのはどうでしょうか。このときのポイントは、「人に仕事をつけるのではなく、仕事に人をつける」事です。そうする事で、仕事の特性が明確になり、人材に求めるスキルや教育訓練の方向もハッキリします。応募する側には自分のスキルとの相性や個人的都合との兼ね合いがわかりやすいですし、会社にとっても柔軟な人員配置や休暇の付与、在社時間の調整が可能で、場合によっては在宅での業務遂行を前提として自律性の高い人材を雇えるかもしれません。

 こうしてみると、人材活用は形(制度設計)から入って、実(人材確保)につなげるというのも、まんざら悪くないなと思うのは私だけでしょうか。いずれにしても、これもまた「社長の腹ひとつ」です。

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女性の活躍についての話が長くなりましたが、今回は長きの紆余曲折を経て成立した改正法として、労働者派遣法と労働基準法の解説もしていただきました。

労働者派遣法のポイントは、これまでの「専門26業種」が廃止され、これらの業種に認められていた上限期間のない派遣契約が、上限3年とされていた製造業や一般事務と同じ3年とされました。
roudou3その代わり、人を変えれば派遣受け入れは継続でき、派遣労働者も部署を変えて契約すれば働き続ける事が可能になります。この変更に付随する変更も併せて実施されます。
 
労働基準法については、政府の「時間ではなく成果で評価される」社会への第一歩として、「高度プロフェッショナル制度」と言われる働き方を定義した事が軸となるものと理解できます。今回はその対象が年収1075万円になっています。法律的には、この制度を適用する労働者には残業や深夜・休日手当を出さなくても良くなります。
← 詳しくは、レジュメを確認

(2015.11.21 山下記)