FullSizeRender 212月度の例会テーマは「事業承継税制」でした。
発表者の亀岡氏は後継者育成に長年携わっていらっしゃいます。
今回は、これまでに氏が関わってきた企業への事業承継に向けた取り組みについてのヒアリング結果を紹介していただきながら、経営承継の現状と課題について大いに議論しました。

ヒアリングの内容には、多様な中にもいくつかの共通点を容易にくみ取れる「承継模様」が展開されています。 人と人の交わりをベースに事業を展開し、バブル経済、リーマンショックなどを潜りぬけてきた経営者が、高齢化してもなお実質的な経営権を手放せずに奮闘を続けている姿がアンケート資料から透けて見えてきます。 アンケートからわかる事業承継の留意点として、以下のようなことがあげられます。
事業承継への取組アンケート
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  • 事業承継とは自分のやり方の無理強いではうまくいかない。
  • 「明日からお前は社長だからしっかりやれ」と、役職を譲るだけでもない。
  • まして、手持ち株式を税金のかからないように贈与することでもない。
承継円滑化法創設の背景には以下のように書かれています。
日本経済の基盤となるべき中小企業の経営承継は、雇用の確保・地域経済活力維持の観点 からきわめて重要です。 この中小企業が経営承継されないと、中小企業の持つ貴重な技術 力・ノウハウの散逸が懸念されます。 そこで、中小企業の円滑な経営承継を支援する中小 企業経営承継円滑化法が成立しました。
承継円滑化法は平成20年、まさに戦後生まれ第一世代による創業や経営がいよいよ次世代に承継されようとするタイミングで創設されました。 この間、おおよそ半世紀の間に社会や経済の成り立ちは大きく変化しました。 このような変化に対する自覚の度合いが、経営承継における経営者の葛藤にも比例しているのではないかとも思われます。

一方で、創業経営者には、自分が手塩にかけた事業を、自分以外の誰かに預けることへの不安や、頭では分かっていても、目の前で起こる後継者の行動に対して一言も二言も言いたくなる現実があります。 そんな中で、相続を含む経営承継税制の話をするなどというのは、「自分を殺す気か」とかっとなるのもわかります。

創業者の経営承継は、規模の大小を問わず難しいものです。
偉大な経営者であるユニクロの柳井さんも、経営承継には失敗して再登板した口です。これで、次の承継タイミング、人材選びはますます難しくなったものと推測します。

次世代にゆだねるからには一旦引退したら二度と試合にでることのないスポーツ指導者のように、新たなスタートを切る選手である後継者と伴走する気持ちでやるのはどうでしょうか? 自分がゴールした競技(事業)でなくても、後継者がより能力を発揮できる競技スタイル(事業方針)や競技(新規事業)があれば、一緒に挑戦するという方向もあろうかと思います。

さて、話は尽きないので、ここらで例会での議論も踏まえてまとめたいと思います。
  • 承継予定者には自分の未挑戦のチャレンジをさせることで、経営者としての資質の見極めや育成を図る。
  • 創業者はその挑戦をアドバイザーとしてまた同志として補佐する(創業者自身も新しい事業環境を肌で感じる)。
  • 創業者自身の意思が固まったところで、現経営者自身の意思で経営権(議決権=保有株比率)を含めて、承継対策をしたうえで経営を引き継ぐ。
経営権を何としてでも承継者に集めることは、承継上きわめて大切で、経営者としての資質と経営権(最低51%できれば67%以上の議決権)の集中は不可分の関係と言えます。 そのうえで、税制も含めた経営承継円滑化法の活用は有効な側面があると言えます。

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ただ、テキストにもありますように、その使い勝手はかなり悪く活用が進んでいないのが実態のようです(左のサムネイルクリックでダウンロードできます)。

先ずは、経営承継のための法律・制度があるということをきっかけにして、承継計画つまり当社の次世代事業の方向性について会話を始めるのはいかがでしょうか。

万一の時のために、仲裁者(コンサルなど両者と利益が対立しない存在)を常に会話に含めることをお忘れなく。 (2015.12.20 山下記)