事業性評価融資とローカルベンチマーク

「事業性評価融資」とは、「日本再興戦略」改訂 2014 -未来への挑戦 - の中で、地域活性化のための重要な要素として、地域金融機関に求めた融資姿勢のことを指します。財務面だけではなく、持続可能性や事業性を重視した融資や専門的人材との連携を通して経営改善に取り組むめるように、融資判断の仕組みを変えることが含まれています。2015年版の「日本再興戦略」では、中小企業への支援や融資判断のための具体的なツールの一つとして、「ローカル・ベンチマーク(通称ロカベン)」という名称のベンチマーク指標の策定について、具体的に触れています。

経産省のホームページでは、ローカルベンチマークについて、以下のように紹介しています。
ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。
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ローカルベンチマークポスター
(経産省)
ローカルベンチマークが取り上げている注目指標値や実際にダウンロードして使用できる評価ツールも経産省のホームページに用意されていますので、是非活用してください。ローカルベンチマークは経営力強化法による認定を受けるための経営力向上計画の策定においても現状認識のための指標として活用が推奨されています。

地域金融機関はこれまでも、融資の際には銀行経営の観点では、財務数値以外の側面を見てきていたはずですし、融資先企業の経営者への取引上のアドバイスなどを通して経営力の向上に貢献してきているはずです。これを一段進めて、「日本再興戦略」の一つの施策に位置付けたことが、改めて「事業性評価融資」を掲げるポイントです。地域金融機関と地域企業の協力関係、地域における創業支援の取り組みなどが、国の施策の枠組みの中でより効果的にバックアップされるわけです。

ローカルベンチマークの活用の方向性 ~ 試験的導入事例を踏まえて

2月の例会では、亀岡先生に顧問先企業(仙台市)の経営状況を、経営者自らが実感を以て把握するツールとしてローカルベンチマークの手法を試験的に取り入れた事例を紹介していただきました。経営者自身に経営指標を入力してもらい、その分析結果をレーダーチャートの形で確認するという流れです。

発表後の議論の中心は、経営者自身の意識の有り様が最も大切で、「経営者意識の低い経営者への意識付けにロカベンは意味をもつのか?」などといった、ロカベンの活用の方向性について大いに議論しました。たしかに、現在の財務状況や企業の非財務指標が一定の基準で評価されることが持つ意味合いは、経営者の意識次第のことろがあります。当社はどうなりたいのかという目的(ビジョン)があって初めて、現状とのギャップを知ることができるわけです。

日本再興戦略の目的が、日本企業の「稼ぐ力」の回復と、企業の新陳代謝の促進、イノベーションに「挑戦する心」を取り戻すことで、「世界に誇れるビジネス環境」を実現することにあるとしていることからも、中小企業の日々の努力・精進と挑戦を前提にしていることが明らかです。

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3月度テキスト
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つまり、地域金融機関や支援専門家が躍起になっても、肝心の企業が目的やビジョンを描けないのでは意味がありません。やはり、各企業の経営者が持っている、「こうしたい」「こうなりたい」という小さな目標の実現を支援する中で、その先にあるビジョンを経営者自身が見出すお手伝いをするのが第一歩のように思います。これらの活動を支援をしていこうという枠組みを、国は「日本再興戦略」として示しているわけですので、地域金融機関を含む中小企業支援者、そして何よりも中小企業者は大いに活用すべきです。 

3月の例会で磯村先生が発表に使用した資料をシェアさせていただきます。

2016.6.1 山下記