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日本経済にとって大きな課題として、企業の99.7%, 雇用の70%を占める中小企業にとっての、事業継続(事業承継)環境づくりが取り上げられています。 特に、平成30年度は、事業承継税制の特例措置により、一層の後押しが計画され、注目されています。

6月度の例会では、事業承継支援の方向性について取り上げて議論しましたので、簡単にご報告します。
事業承継については、前記した税制の特例措置に呼応して、中小企業支援機関による事業承継塾や、Webの活用など、多面的に情報を取得する方法がありしますので、ここではその細部に渡る解説は割愛します。

中小企業における経営交代率の低下とその理由について

事業承継:経営者交代率と平均年齢
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色々な事情はあると思いますが、右のグラフのように日本の中小企業における経営者交代率は年々低下傾向が顕著と言われています。「もともと自分の代でやめようと思っていた」「後継者がいない」「事業の将来性がない」などが大きな理由として挙げれていますが、これらが、原因なのか結果なのかが、今一つはっきりしません。

先日、私が所属する法人会の事務局長と話をする機会がありました。彼は、多くの経営者には悩みがあると言います。それは、事業承継はしなければならないことは理解しているが、「会社経営」という車のハンドルを離すことに躊躇があるというのです。それは、今まで馬車馬のように働いてきて、ここまで事業をやってきたのに、ハンドルのグリップを緩めたり、ハンドルを渡したりするとどうなるか、自分の将来も不安だし、大切な会社の将来も不安... だから、ハンドルをついつい握り続けてしまうというような話です。正直なところ、このメンタリティが交代率低下の根本理由として最も合点がいきます。

事業を承継するということは、自分としてその事業に区切りをつけるということでもあるはずなのに、日本の文化には、古代より「院政」という態様が脳裏に浮かんでくる場合もあるでしょう。このような場合、後継者には自由度がなく、特に自立心の高い後継者(候補)の場合は、精神的負担が大きいばかりか、会社経営の魅力を失わせてしまいかねません。

事業承継の方向性の一つとして「創業者規制の緩和」

このブログでも、ヤマト運輸の創業者である故小倉昌男氏の言葉として「老害とは過去への囚われ」として、「創業者規制」「私的規制」」について取り上げました(こちらの記事を参照)。

過去の成功への囚われが、新しい時代への変わり身を妨げ、事業としての魅力を磨き上げることの妨げに繋がっている可能性があり、これが経営交代が進まない理由である、「後継者不在」や「事業の将来性に疑問符」という状況を生んでいる可能性もあるのではないでしょうか。

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↑ 6月度テーマ資料
このような観点では、誤解を恐れずに言うと、経営者はどこかの時点で自分の将来設計をまず行い、そのうえで、それを明言することなく、後継者候補(複数の場合もある)とともに、将来的な事業の方向に会社を導いていく必要があるように思います。そうした活動の中で、頭角を現す後継者候補やその事業について、新たな当社の事業の方向であるかどうかを判断し、後継者を決めていくという方法もあるように思います。

こうした考えを、一つの方向性として持ちつつも、現実的には多様な事業承継を、できるだけ効果的にサポートするための切り口の一つとして、シンプル過ぎるかもしれませんが、右のようなファイルにまとめてみました。(2018.6.19 山下記)