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おかげさまで、7月4日、経営法務研究会が一般経営者向けに開催したセミナー「これだけは知っておこう、中小企業のための経営法務」を無事終えることができました。

本記事では、当日の発表概要をご紹介します。
尚、本セミナー出張開催をご希望の企業または団体がございましたら、遠慮なくご相談ください。


第一部:紛争事例から学ぶ、中小企業のための予防法務の心得

木村弁護士には、中小企業運営において直面する代表的な法的問題を、具体的な紛争事例で紹介していただきました。
「債権回収」「会社内の人的なトラブル」「契約上のトラブル」の三つが代表的なものですが、これらのトラブルのそれぞれについて、問題解決に向けた、対応方針の検討から、具体的対応を進める中での選択可能な対抗手段または受容方針などについて、メリット・デメリットを解説いただきました。

債権回収の事例では、概ね右のようなフローを基にして、流れを説明していただきました。
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任意交渉にしても法的手続きにしても、段階的に手段を検討することと、交渉相手の資産状況や自分と相手との交渉経緯等を明確にしておくことがポイントと理解しました。

実際の状況に応じて、どの選択肢が最も効果的なのかについては、多くの事例から仮説を立てて、相手の出方を見る必要があるため、専門家のサポートが必要な場合も多いと思います。ただ、「ここが押さえどころ」というポイントを認識できるセンスを持つことは大切であると実感しました。

また、法的手続きは、強力な手段とはいえ、費用対効果が課題になる場合もあったり、提訴から判決までの期間(半年から1年)や、相手の資産特定や支払い能力などによっては、徒労に終わり場合もあるということで、「和解(≒妥協)」もビジネス的な選択肢の一つとして常に念頭に置く事も大切との印象です。このほうが精神衛生的にも良さそうです。

従業員解雇事例では、従業員解雇後のある日届いた、「解雇無効」の通知への対応について解説していただきました。労務問題は、内部の人的な問題はとにかく難しく、「証拠」をいかにして確保するかに尽きるとのことです。
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↑ クリックしてDL(抜粋編)


この「証拠」の中で、最も大切なものは就業規則とのことです。ここに、解雇の事由が記載されていることが前提になります。そのうえで、解雇の妥当性を「社会通念」という抽象的なもので判断することになります。この段階では、客観的な事実(証拠)を取り揃えて対応する必要があるとのことです。実は、こんなもの意味があるのかと思っていた「始末書」なども、本人が認めた証拠になるとのことでした。

労働審判は、実質上一発勝負の裁判のため、訴えられた側の会社にとってはテクニカルな難易度が高いこともわかりました。

そして、最後の契約の事例です。
契約は、だれしも大切なこととは理解していると思います。しかし、日本においては、いかに具体的な書面による取り交わしのない状態で、日常のビジネスが進められていることか。これは、ぜひとも改めるべきでしょう。

昭和生まれの企業にありがちな、義理と人情、人間関係による仕事・取り引きが、いつまで続くのかを考えてみるべきでしょう。これまで続いてきた取り引きの内容を書面化することは、難しい面も多々あると思いますが、相手先の購買担当の異動や、更には、これからの進展が想定されるM&Aによる事業・企業の売り買いにより、取引企業までが変わらないとも限りません。

第二部:「経営に活かす法務的センス」

こちらは、私が担当したセッションです。
今回は、時間が短かったので、細かい内容にまでは踏み込めませんでしたが、中小企業がリスクに強い経営基盤を持つための視点を以下の4つに集約して解説しました。
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↑ クリックしてDL(抜粋編)
  • 社会的責任を果たす(紛争予防)
  • 会社の信頼を確保する(経営戦略)
  • 会社や事業を守る(紛争予防)
  • 時代の変化をつかんで経営資源を活用する(紛争予防/経営戦略)
これらのそれぞれに対して、法務的要素のみならず、経営や認知学的な要素を含めながら、幅広く切り口と取組むためのヒントを提供させていただきました。

内容的には、かなり総花的なものですので、参加者のコメントでは、興味を持ったポイントは十人十色でしたが、それなりに広く受け入れていただいたように思います。

いずれも、レジュメのダイジェスト版をダウンロードいただけるようにしましたので、参考にしていただければと思います。

【参加者の声】
東京都中央区N氏「 経営法務協会セミナーには初めて参加させていただきました。おかげさまで勉強になるとともに楽しい時間を過ごすことができました。 今後とも勉強させていただきたいと思います。」

以上、セミナーの概要でした。

(2018.7.23 山下記)