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8月31日付 読売朝刊に、サッカー元日本代表監督に関する記事が載りました。

岡田氏は、今年のW杯での西野監督率いる日本代表チームの飛躍を西野監督の功績と称えています。加えて、日本サッカーの更なる飛躍のためになすべき事についての、岡田氏自身の学びを、日本古来の武道における「守破離」を基に述べています。

FCバルセロナのコーチとの会話で、「スペインにはプレーモデルがある。日本にはないのか」と聞かれたことに、はっとしたと言う話から始まっています。

当コーチの話は、自由奔放にサッカーをするスペイン(私は、あまり分かっていませんが...)のサッカーには、一種の共通原則があるという話だったそうです。スペインでは、16歳までに、スペインサッカーのその原則スタイルを学ばせ、その後は自由を与えるということだそうです。サッカーというのは、一旦試合が始まると、攻守交代も一瞬、作戦タイムもない、そういった中では選手一人ひとりがもつ価値基準・行動原則のような共通のものを持っていないと、高い能力に裏付けられた自由なインスピレーションのプレーの中で、ここぞというときの「攻」または「守」のチーム内のベクトルの向きを合わせることができないということだと理解しました。

逆に言うと、「規律なき自由」はいざというときにチーム力を発揮できないということです。

まだ味方選手がいないスペース、そこに走ってくれるはずの選手にパスを出すといったことです。その場の状況において、一人一人がある感情をもってする反応や行動が一つのベクトルに向くかどうかが勝負に対する決定的な違いになるということではないでしょうか。

そういわれてみると、2018ワールドカップで起きた、キーパーのスローを起点にした9秒35のカウンター攻撃こそ、そういった共通原則がベルギー選手にはあったということとして合点がいきます。西野監督は、「何が足りなかったんでしょうね」と、試合後のインタビューで自問していましたが、こういう一朝一夕では作り出せないシステム「価値基準、行動基準、人材育成手法」が、これからの日本には必要だということです。

岡田氏は、現在はFC今治のオーナーとして、この「行動原則」を「岡田メソッド」として、3年間かけて作り上げたうえで、これをコーチに伝えことから始めているそうです。それは、岡田氏が考えたフィールド上におけるプレー原則です。例えば、ある領域にボールがあるときは、別のある領域に選手が二人以上いてはいけないなどというものだそうです。

岡田氏は、この成果が出るのは10年後と言っています。
大いに期待したいものです。

ところで、「守破離」の精神には、師を越えて新たな世界を作るという思想が入っています。

武道などでは、師の教えを守り、師を越えて視野を広げ、師を離れて独自のものを確立することが、道を究める人のあるべき姿とされてきたわけですが、このことの意味を広い分野に応用すべき時が来ているようにも思います。

産業界においては、トヨタ生産方式を学び、その本質をIT技術の形でサプライチェーンに応用し、新たなビジネスモデルを作ったDELL社は、見事に「守破離」を成し遂げています。このような例はほかにも多いのではないでしょうか。

一方で、我々は、あまりに基本にこだわり過ぎて、基本を繰り返し過ぎる(「守」にこだわり過ぎる)ために、「破離」の段階にいつまでも進めないでいるようにも思えます。「守破離」はある意味、スパイラル型の成長型の循環性を持っている言葉です。「守」にこだわりすぎると、同じところをぐるぐる回る回転木馬のような循環になるため、成長の側面が弱くなります。

一つを学び、それを成長につなげるスパイラル型の行動スタイルこそ、あらたな競争力を生む力にります。

岡田氏の「メソッド」については、そのテクニカル側面(メソッドの定義・表現方法)にも、個人的には大変に興味がありますので、いつの日かそのテクニカル側面にも、知る機会があれば触れてみたいと思います。(2018.9.4 山下)