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メルマガ165号~「遺伝子」の利己主義と利他主義に連動する
 引用文です。




1964年イギリスの生物学者ハミルトン(1936~2000年)が
提唱した「血縁選択説」

ハミルトンは、自分の子孫が育つ可能性がほとんど無い時には、同じ群
れの自分と同じ遺伝子や自分の遺伝子と非常に近い「血縁的な遺伝子」
を子孫に伝えるという仮説を打ち立てた。


 『遺伝子のそろばん勘定』


◆遺伝子からみた有利・不利

ハミルトンの利他的行動説が注目されたのは、ダーウィン進化論と違い、
淘汰の上で有利か不利かの基準は、個体でなく遺伝子だという点である。

自分を犠牲にして血縁を助ける利他的な行動は、そうした行動をとる個
体にとっては不利だが、その個体の遺伝子からみると有利になるという
わけである。

つまり個体が行う利他的行動は、遺伝子にとっては利己的な行動という
ことになる。もちろん実際に遺伝子が「行動する」わけではない。

しかしハミルトンは、個体に「血縁を助ける行動を起こさせる遺伝子」
は、集団の中で着実に増えていくとした。それは次のように考えるとわ
かりやすい。

ある個体がもっている遺伝子は、母親からのものと父親からのものがペ
アになっている。このことを遺伝子の立場からみると、子どもは両親の
遺伝子を二分の一ずつもっているということである。

したがって親が子どものために自分を犠牲にした行動をとるということ
は、遺伝子としては自分と同じ遺伝子の二分の一を残すことになる。
もちろん子供を犠牲にして自分が生き延びても当面は同じだ。

しかし、子どもは親より余命が長く、それだけ子孫を残す可能性が高い。
したがって遺伝子としては、子どもを残す方が長期的には有利である。

親は愛情にもとづいて子供を救ったつもりでも、じつは「血縁を助ける
行動を起こさせる遺伝子」を持っていたために、犠牲的な行動をとった
にすぎないということになる。

こうした利他的な行動を起こさせる遺伝子は、そうでない遺伝子よりも
生き残るチャンスが大きいので、集団の中に定着し、増えていくという
わけである。

つまり、遺伝子は自分とよく似た遺伝子をもつ親子や兄弟、すなわち血
縁である個体が危険にさらされたときに、自分を犠牲にしても助けるこ
とによって、自分に近い遺伝子を残そうとすると考えるのが、ハミルト
ンが唱えた「血縁選択説」である。

    
  「新・進化論が変わる」 より
    ブルーバックス  著者 中原英臣・佐川峻
    http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=257594