先週9日にSBIホールディングによる新生銀行へのTOBが発表され、新生銀行は買収防衛策の導入として、ポイズン・ピル(新株予約権無償割当)を検討ということで、買収防衛策としての新株予約権の無償割当について、少し記事にしてみました。

ポイズン・ピル(新株予約権無償割当)に関する主な判例として、ピコイ事件(高裁)を例に挙げると、同事件では、新株予約権無償割当発行が取締役会決議のみだと、企業価値の毀損の危険性があるか否かの具体的な検討が出来ないので、当該発行は当該現経営陣の保身目的であるとして、 著しく不公正な方法にあたると判断され、同予約権の発行は無効となりました。

最近の事例でいうと、202011月、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンス(東京・渋谷)が買収を仕掛けていた日本アジアグループに対して、同社の山下哲生会長兼社長が米投資ファンドのカーライルと共同でのMBOのため、TOB(株式公開買い付け)を行うと発表、シティは買い付け価格が安すぎるとし、買収合戦になりました。

日本アジアグループは、シティによる株買い増しへの対抗措置として、取締役会での決議のみで買収防衛策として新株予約権の無償割当を決議しましたが、裁判所は同社が経営支配権を維持するためにシティの持株比率を不当に下げると判断し、当該決議は差し止められました。

一方、無償割当が認められた判例として、ブルドックソース事件(最高裁)の判例が挙げられますが、当該判例では買収防衛策としてのポイズン・ピルの導入について、株主総会決議により、株主から賛成多数で承認されていたこと等を理由に、無償割当は株主平等原則には反しないとされ、適法とされています。

最近の同様の事例としては、20213月に電子部材などの日邦産業が、産業機械製造のフリージア・マクロスに対して発表した買収防衛策に基づく新株予約権の無償割当がありますが、当該防衛策の導入自体は、事前に株主総会で承認されており、防衛策として無償割当が取締役会で決定されたことにつき、その効力が争われていました。結論については、一度は裁判所から差し止められましたが、日邦産業による保全異議申し立てにより、無償割当は有効となっています。


このように、ポイズン・ピルについては、最高裁の判例で、買収防衛策の導入については事前に株主総会決議の承認が必要であることが一般的であるところ、
今回のSBIホールディングスによるTOBに対する新生銀行の買収防衛策の導入については、引き続き注視が必要ですね。