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 「ポップ・ミュージック大好き集団」だったので、自然の流れとして、広島フォーク村は、当時、全国に無数にあったフォークソング同好会とは全然違うであろう雰囲気を持った団体になっていき、そのことが、アルバムのレコーディングに結びつく大きな要因となり、そのアルバムがきっかとなって拓郎さんがデビューし、愛奴、浜田省吾、岡崎倫典……とつながっていったのだ、というようなことを書くつもりだが、それは後に詳述するとして、この回では、広島フォーク村とは、要は、実際はどのようになっていたのか、ということを書いていこうと思う。
  広島フォーク村の中心にあったのは二つのギター教室だ。一つは、広大の学生だった的場民主(まとば・たみお)さんが広島楽器センターの2階の小部屋一一8畳くらいの広さの細長い部屋で、壁にはビートルズやボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルのなどの小さなパネルが掛けられ、備品として古いガットギターやフォークギターが何本も置かれ、片隅のテーブルの上にはフォーク雑誌やギターのコード・ブックや歌本などが置かれていて、パイプ椅子も6、7脚くらいあった一一で教えていた教室で、教えていた内容は、ピーター・ポール&マリーが得意としていたギター奏法である「ツー・フィンガー/スリー・フィンガー奏法」だった。
 的場さんの名前が出てきたので、的場さんがらみの話の中で、このブログをお読みの方だけに超貴重な情報一一吉田拓郎さんの熱心なファンの方だったら、「なに!拓郎にそんなオリジナル曲が2曲もあったのか!どんな曲なんだ!その曲が録音されているものはどこかに残っていないのか!探せ!絶対に探しだすんだ!!」と超興奮するであろう情報一一をお教えすることにしよう。
 今、私の手もとに「青少年のための広島フォークソング連盟主催 第1回フォークソングの夕」と題されたコンサート・プログラム(広島フォーク村の仲間の男熊薫さんが保存されていたものをお借りしてコピーさせてもらった)がある。表紙の下にはこのように書かれている。

     日時 1967年4月28日 PM 6:00
     場所 広島青少年センター
     後援 広島楽器センター
        日本コロムビア
        中国新聞社

 そして、表紙をめくると、1ページ目の上欄に「ごあいさつ」という見出しがあって、的場さんが次のようなあいさつ文を書いている。

 私たちは歌が好きです。
 ギターを手にして苦しいこと、悲しいこと、楽しいことを歌います。
 私たちは歌に語り、歌は私たちのために歌ってくれます。
 フォークソング(民謡)とは、ただ人間としての何か一一いつわってない人間の心を
 歌ったもの、それと思うのです。
 本日、この「フォークソングの夕」でそんな素朴さを我々の演奏するフォークソングに
 感じていただければ何よりです。
 私たちは、今日は一生懸命に歌いますからどうぞ最後までごゆっくりおすごしください。


 広島フォークソング連盟、少し堅苦しい名ですが、ただフォークソングを好きな者どもの集まりです。
 フォークソングをお好きな方はどなたでもご入会下さい。連絡は ○○郡○○町 
 広島フォークソング連盟 的場民主まで。
 
 また、フォークソングに関するギター等の研究会としてフォークソング教室を開いています。
 ツーフィンガー奏法など、ともに研究していきたいと思っています。

 この「ごあいさつ」の下欄には、「YMCAで価値ある青春を! 高校生、グループ、クラブ会員募集中 だれでも気軽に入会できます お問い合わせは広島YMCA少年部」という広告が入っている。
 2ページ目には「みんなで歌おう」という見出しがあって、「風に吹かれて」と「ウイ・シャル・オーバー・カム」の英語の歌詞が掲載されている。
 そしていよいよ、超貴重情報が飛び出してくるページだ。この3ページと4ページは「プログラム」という見出しになっていて、演奏者と曲目が次のように紹介されていた。

● The Willows
・Hush-a−bye
・Flora
・Don’t think twice,it’s all right
・etc

        Member 的場民主
             山本浩二(この人もフォーク村のはず)
            ※他2名(省略)

●リーフレッツ
・ こげよマイケル
・ 花はどこへいったの
・ ドナ ドナ
・ 500マイルも離れて
        ※Menber は省略

●The Briars
・ スワニー河
・ ターンアラウンド
・ 島の女
・ 銀色の道
        ※Menber は省略

●ゲスト出演 ザ パイオニアーズ(コロムビア)
・ 君と二人で
・ 隣の人にコンニチワ
・ 太陽の道
・ 小鳩には空がない
・ その他

●ザ ウオッシャーズ
・ 風にふかれて
・ 平和はいつくるの(オリジナル)
・ 山のじいさま
・ そうらん節

●吉田拓郎
・ 風にふかれて
・ ポーランドタウン ※校正ミス。正しくは「ポートランドタウン」
・ 戦争の親玉
・ アル中の歌(オリジナル)
・ ヒザ上10センチ(オリジナル)

●フーテナニー
・ ウイ・シャル・オーバー・カム
・ 若者たち
・ 風にふかれて

 
*以下続く