オーストラリア弁護士生活

2004年からオーストラリア・ゴールドコーストのサーファーズパラダイスで弁護士をしている信頼と実績の弁護士・神林佳吾です。  困った事があれば、1人で問題を抱えず、まずは気軽に日本語でご相談下さい。 あなたの問題が解決するまで親身になってサポートします。 (秘密厳守)

Photoelectric Smoke Alarm (煙式火災報知器)の設置義務について

2011年にブリスベン南部の住宅街で起きた火災により11人(内、8人が子供)が逃げ遅れて死亡した際に、設置されていた火災報知器が二つとも複数年に亘って作動していなかった旨の事件報告を受け、今年、クィーンズランド州政府はFire and Emergency Services (Domestic Smoke Alarms) Amendment Act 2016を議会で承認し、200771日より施工されていた居住用建物におけるSmoke Alarm(火災報知器)の設置義務について大幅な法改正を行いました。 

これは、火災に拠る死亡の要因は「逃げ遅れ」が殆どであり、主に深夜の就寝時間帯に火災の発生に気が付かず、招いてしまった惨事と考えられており、少しでも早く火災の発生に気づくことができれば、救われた命だったかもしれないという点に起因します。 特に火災の恐ろしさは煙にあり、煙によって呼吸を妨げられるだけでなく、視界を奪われてしまい、結果、避難することが困難になってしまいます。 つまり、火災から命を守るには、初期段階の発見により、避難する時間を少しでも多く作ることが重要だといえます。 

今回の法改正に伴い、クィーンズランド州の居住物件では全ての寝室及び廊下にPhotoelectric(煙式)でinterconnected しているsmoke alarmの設置が義務付けられることになりました。  従来の火災報知器はIodised(熱式)の物が大半を占めており、これは火災による熱を感知するタイプの火災報知機なのですが、今回の法改正で義務付けられたPhotoelectric(煙式)は、火災の初期段階から発生する煙を検知しますので早期に被害の拡大を防ぐことができます。  また、其々の火災報知器がinterconnectedしている事が義務付けられたことにより、一つの火災報知機が作動すると全ての火災報知機が連動して作動する事になりますので、仮に火災報知機の一つが動作しない場合でも火災に気付くことができますし、離れた部屋で起きた火事にも直ぐに気付くことができます。
 

新しい法律の適用は201711日から開始され、10年以内に全ての居住用物件に適用されます。  具体的な法律の適用開始時期は以下の通りです。
 

 20161231日以降  全ての新築物件及び、大幅改修物件に設置が義務化
 

 20211231日以降  全ての売却物件、賃貸物件に設置が義務化
 

 20261231日以降  その他の全ての居住物件に設置が義務化

 

また、201711日以降に設置されるSmoke Alarmは全てAustralian Standard 3786を満たしているPhotoelectric(煙式)のものが義務付けられます。 

詳しくは、クィーンズランド州政府・Queensland Fire and Emergency Services (QFES) のウェブサイトをご参照ください。 https://www.qfes.qld.gov.au/

 




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オーストラリア国弁護士 神林佳吾, 
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オーストラリアの相続手続きについて

オーストラリアの相続手続は大きく分けて、Grant of Probate(遺言書の存在している場合)とLetter of Administration(相続書が存在していない場合)のどちらかの検認手続きを経て行われる形となります。 Grant of Probateでは遺言書で故人が指定したExecutor(遺言執行人)が遺言状に基づいて遺産を分配し、Letters of Administrationでは最近親の方がAdministrator(遺産管財人)として遺産分配を法律に従って行います。 

検認手続きの流れ

これらの検認手続きでは遺産が所在している地域の司法管轄権を有する高等裁判所に申請を行います。  そして、裁判所に拠って相続手続きにおける阻害事項がないことと、申立人が相続手続きを行う権限を有している旨の承認(Seal)が行われます。 クィーンズランド州高等裁判所に前述の申し立てを行う場合はUniform Civil Procedure Rules 1999 (民事訴訟法)が定める前提条件をクリアしている必要があります。  具体的には、1. 被相続人が亡くなられたことの告知、2. 遺言状の存在、または、Intestate(故人が遺言状を残していなかった旨)の告知、3. 申し立て人が検認手続きを裁判所に申し立てる旨の告知、そして、4. 申し立て人の選出について異議申し立てを受け付ける旨の告知、これらの内容を含む告知を州内全域に流通する新聞、並びに官報紙に掲載した上でPublic Trustee(公認受託者)に該当の記事を送付し、そこから最低14日間が経過した時点でクィーンズランド州高等裁判所に検認手続きの申し立てを行う形となります。 
 

遺産管財人の選任
通常、全ての申請書類が整うまでに3週間から6週間程度、裁判所に申請して承認されて証書が発行されるまでに4週間から7週間程度掛かりますから、最短で進んだと仮定しても検認手続きには2〜3カ月程度の時間がかかります。  ただし、これはオーストラリアに住むオーストラリア人が亡くなった場合の話ですので、日本人の方が日本で亡くなられている場合でしたり、申立人の方が日本在住の場合などは必要とされる書類も異なります。  また、英語以外の書類はオーストラリア政府認定の公認翻訳を付けて提出しなければならず、進めてみないと見通しがつかない場合もあり、予想通りに話が進まない場合が多いものですから最低でも69か月程度の期間を見ていただく方が宜しいでしょう。  


なお、相続手続きで必要となる実費で
主なものは以下の通りです。

-     Supreme Court Filing fee (高等裁判所費用)  
-     Courier Mailへの掲載費(文字数に拠り変動) 
-     Queensland Law Reporterへの掲載費 (官報紙)              
-     オーストラリア政府認定の公認翻訳               

 

 

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オーストラリアで有効な遺言書がない場合の相続手続きについて

遺産管財人の選任

オーストラリア国内に不動産や銀行口座などの資産を遺したまま、オーストラリアの遺言状を遺されずに亡くなられる状態をIntestate(無遺言)といいます。 この場合、亡くなられた方の相続手続きにあたって、親族の方が高等裁判所に遺産管理人として認めてもらう為の申請(Letters of Administration)を行う必要があります。  

 

無遺言の相続手続きでは遺言状が存在しているケースのように遺言執行人が指定されていませんので、原則として、親族で一番血縁関係が近い方が遺産管理人として申請を行う形となります。  

 

高等裁判所によって遺産管理人が選任されますと、遺産管理人は相続の分配をSuccession Act 1981クィーンズランド州の場合)に基づいて行わなければなりません。  相続における配分は最初に生存配偶者が被相続財産のうち最初の15万豪ドルと家財道具(Household Chattel)を取得し、それ以外に遺産がある場合は親族間で分配する形となりますが、生存している親族によって分配方式は異なるため計算式は少し複雑です。  この場合、予期せぬ人にも相続権が発生したり、デファクト関係の間に生まれた子供が相続人として認められるにあたって裁判が必要となったり、予期せぬ問題が起きる場合があります。

 

日本での遺言状はオーストラリアでは無効な可能性も

本コラムの掲載時点では日本とオーストラリア間には相続法に関する国際協定が批准されていませんので、 日本人の方に注意していただきたいのは、仮に日本で遺言公正証書が存在していたとしても、その内容がオーストラリアの裁判所で考慮されるとは限らないということです。 日本では遺産分割協議が纏まっていたり、仮に遺言公正証書が存在している為に親族全員が相続に納得されていても、オーストラリアでは無遺言だった為に予期せぬ相続紛争が起きる場合があります。 

 

なお、「オーストラリアでは遺言書が無いと財産が政府に没収されてしまう」 と勘違いをされている方にお会いすることがあります。  これは特に昔からオーストラリアに長く住まれている日本人の方がそのように認識している場合が多いのですが、オーストラリアも日本と同様で遺言状が無くても相続の手続きを行う事は認められています。  政府に没収されてしまうケースというのは、基本的には日本のそれと同じで遺言状が存在せず、亡くなられた方の親族が一人も居ないような状況に限られます。 ただ、遺言状が無い場合は相続に際して必要な手続きが増えますし、遺族間のトラブルの原因になりますので、オーストラリア国内に不動産や銀行口座などの資産がある場合にはオーストラリアで有効な遺言状を作成しておかれるのが無難です。 

 

 

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