オーストラリア弁護士生活

2004年からオーストラリア・ゴールドコーストのサーファーズパラダイスで弁護士をしている信頼と実績の弁護士・神林佳吾です。  困った事があれば、1人で問題を抱えず、まずは気軽に日本語でご相談下さい。 あなたの問題が解決するまで親身になってサポートします。 (秘密厳守)

不動産売買

オーストラリアで不動産を購入する際の補助金・Great Start Grant (First Home Owner Grant)について

まず “Great Start Grantとはオーストラリア政府による補助金の一つで、もともとはGST導入による不動産購入時の影響を緩和する目的で200071日にシステムが導入されました。  当初は全州共通のFirst Home Owner Grantという名称にて、初めて不動産を所有する人達全員を対象に一律7000ドルが支給されていましたが、現在は州毎にシステムが異なりますので支給される額面も州毎に違い、また、どの州でも新築物件の購入が適用の条件となってきているのが主な特色です。

 

クィーンズランド州の場合、20121011日以降からは現行のGreat Start Grantが開始されています。  現在、Great Start Grant ではFirst Home Ownerによるマイホーム購入を対象に75万ドル未満の新築物件購入時に15000ドルが支給されています。  ここでいう新築物件とは過去に占有されたことのない居住用物件の他、Substantially renovated homes(大幅補修及び改装が行われた中古居住用物件)も含まれます。  また、この補助金は初めてマイホーム購入する人を対象にしているため、たとえ共同名義にしていなくても配偶者の方が過去に不動産を購入した事がある場合でしたり、購入してから1年も住まずに売却された場合など、補助金を受けるにあたって幾つかの制限が設けられています。  詳しくは政府のHPに記載されていますので、不安な点がある場合には最新の情報に照らし合わせて確認される事をお勧めします。

 

なお、不動産購入時に発生するStamp Duty(厳密にいうと印紙税というよりも取得税に近いものです)についてですが、初めてのマイホームを購入される場合にはFirst Home Concessionといって、通常よりも減額されたレートが適用されます。  また、ローンを組まれる場合には抵当権設定など、諸経費が掛かりますので、これらの点を踏まえて資金繰りを算段されると良いと思います。

 

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オーストラリア国弁護士 神林 佳吾,
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オーストラリアの不動産売買について その2

先日のブログではオーストラリアの不動産売買における契約後の流れについて説明させていただきましたが、今回は不動産売買の実務で気を付けるべき点をご説明したいと思います。  その前に不動産は金額の大きい資産ですから、やはり一番気になるのは手数料や費用などではないでしょうか。  そこで、クィーンズランド州における不動産売買における手数料・費用の目訳について、先ずはご説明したいと思います。 

 

不動産売買の費用目安について

-      印紙税 25%                物件価格に拠って変動  買主負担

-      不動産エージェント手数料   物件価格に拠って変動* 売主負担

-      弁護士費用                      2000ドル前後**                 

-      建物検査・不動産価格調査   5002000ドル

 

* 不動産エージェントの手数料には上限が定められており、不動産売却価格に対し18000ドルまでは5%、それ以降は2.5%以下と法律で定められています。 

** 弁護士ではないConveyancing Clerkが応対する業者では1000ドル前後が一般的です。

 

オーストラリアの印紙税について

2015711日現在におけるクィーンズランド州のStamp Duty(印紙税)は以下の通りです。

 

売買&譲渡額

印紙税

A$5,000

無税

A$5,000以上A$75,000未満

A$5,000以上についてA$100毎にA$1.50

A$75,000以上A$1,000,000未満

A$1,050+(A$75,000以上についてA$100毎にA$3.50)

A$540,000以上A$1,000,000未満

A$17,325+(A$540,000以上についてA$100毎にA$4.50)

A$1,000,000以上

A$38,025+(A$1,000,000以上についてA$100毎にA$5.75)

 

Stamp Duty(印紙税)算出について

 A$600,000の物件を投資目的で購入する場合にはStamp Duty(印紙税)はA$20,025がかかります。 なお、その際の計算式は以下の通りです。

         A600,000の場合:  A$17,325 + (60,000 x 0.045) = $20,025

 

不動産物件を投資目的ではなく、通常の居住用(=別荘ではない)として購入する場合にはConcession Rate(減税レート)が適用され、A$600,000の物件ですとStamp Duty(印紙税)はA$12,850となります。  なお、その際の計算式は以下の通りです。

         A600,000の場合:  54万ドルまでA$10,150ドル+54万ドル超過分6万ドルに対して4.5%  

また、オーストラリア国民及び、永住権保持者にはFirst Home Buyerという政府の補助金を申請できる場合がありますので、税金の金額や補助金についてはケースバイケースで判断する必要があります。

 

不動産エージェント手数料について

不動産購入エージェントは売主の依頼を受け、その際の契約内容に基づいて不動産の買主を見つけてくる事で手数料を受けます。  この費用について、クィーンズランド州では上限が定められており、法律で不動産売却価格に対し18000ドルまでは5%、それ以降は2.5%と定められています。  ですから、不動産手数料については交渉で下げる事が可能なのですが、不動産手数料を値切ったばかりに親身になって応対してもらえず、本来は85万ドルで売れる物件が80万ドル*で買主を見つけてこられたのでは困ってしまいます。  そこで気を付けて頂きたいのは、不動産エージェントは不動産が売れなければCommission(手数料)を得られない訳ですから、自分が納得できない売値については断固断るという姿勢を提示する事です。  場合によっては、幾つかの不動産業者に競わせると良いでしょう。

 

* 不動産エージェントの視点としては、高く売ろうとして話が流れるよりも、安くても買いたい人がいれば、手数料が入る訳ですから売りたいというのが本音です。

 

オーストラリアの不動産売買における注意点

通常、契約書にサインした後は弁護士が契約内容に沿った手続きを行います。 言い方を変えれば、契約書にサインしてしまった後にできることは限られているということなのですが、稀に契約書にサインしてしまってから弁護士に依頼される方がいます。  そういう方の話を聞いてみると、不動産の資産価値は銀行が調査した上で問題ないかローンを出しているわけだし、不動産エージェントに急かされて署名してしまったというケースが多いように感じます。  そこで、不動産エージェントと銀行の役割についてご説明したいと思います。

まず、殆どの方は不動産業者を通して買いたい物件を決められると思いますが、この時に知っておかなければいけないことは、不動産エージェントの役割はあくまでも売主の依頼の下で任務を遂行することであり、一見して親身になってくれているようでも、必ずしも不動産エージェントは買主のために行動しているということではないということです。  また、不動産は他の物品を買う場合とは異なり、書面による契約が必須であり、契約締結前の約束事は何の拘束力も待ちません。  契約書にサインしてから「不動産エージェントはあの時はこういってたのに」となっても後の祭りですので、重要な内容については契約書にサインする前に必ず弁護士に確認してもらうのがいいでしょう。

不動産購入に際して銀行などの金融機関にホーム・ローンを申請される場合、銀行側は購入不動産を含め各種査定を行います。  ここで気を付けていただきたいのは、銀行側がチェックしているのは申請者の返済能力を加味した上での不動産自体の担保価値についてのみです。  言い方を変えれば、銀行側がチェックしているのは不動産が正常な価格で取引されているかということではなく、貸したお金を回収できる見込みがあるかどうかということですから、買主が最も得たい、また、得る必要がある「この物件が適正な価格なのか」という点についての助言は不動産エージェント、銀行側のどちらからも得られるものではないことを意味します。  

 

極論をすれば、不動産エージェントは不動産が売れれば後は関係ないですし、銀行側も貸し付けたお金が回収できれば買主が損をしても構わないということです。

不動産の適正な評価額でしたり、購入者の権利についてアドバイスは行う役割を担うのは、あなたが依頼した弁護士となります。  弁護士は依頼者である買主が「購入」という決定を行うために必要な関連情報をすべて得るべく行動します。  言いかえれば、弁護士の役割は「買おうとしている家が自分の期待する状態であるか」という買主の質問に答えるということなのです。  果たして、購入する不動産が適正な価格であるのか、契約内容に何か注意した方が良い点があるのか、また、契約者が望んでいる条件が契約書に反映されているのか、場合によっては、契約を進めるべきでない旨のアドバイスを行う立場にいるのは弁護士だけです。  

不動産売買は契約書にサインした時点で契約締結となり、この契約内容に基づいて全てを進めなければならなくなります。  契約書に署名した後は、契約書で取り決められた内容に沿ってしか弁護士は応対を行う事ができません。 ですから、契約書にサインする前に弁護士に依頼するのが正しい判断です。

当オフィスでは可能な限りクライアントの利益を考えて価格や条件交渉に臨みます。 ネットで見つけた物件の購入アシストや売却手続きの代行、また、英語での取引が不安な場合など代行業務も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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オーストラリアの不動産売買について その1

最近、「オーストラリアで住宅を買いたいので、契約や手続きについての流れを教えてください。 」という相談を頻繁に受けますので、簡単にオーストラリアの不動産売買における流れと注意点についてご説明させていただきます。


まず、契約についてですが、クィーンズランド州では一般的にクィーンズランド州不動産協会(Real Estate Institute of Queensland)認定の住宅売買契約書が用いられます。  この契約書は95年以上に亘る同協会の蓄積された経験とノウハウが反映されており、様々なケースに対応できるよう包括的な契約内容となっているためにカバーされている契約事項は多岐に亘っているのが特徴です。  

その上で、一般的に買主が留意するべき主な契約事項は以下の点が挙げられます。


クーリング・オフ期間

クィーンズランド州では法律で5営業日のクーリング・オフ期間が居住用物件の購入時(オークションでの購入を除く)に設定されます。  この5営業日は締結された契約書のコピーを買主が受け取った日からカウントされ、クーリング・オフ期間中は、買い主はいかなる理由でも契約を解約することができますが、売り主は購入金額の0.25%の違約金を買い主に請求することができます。  なお、クーリングオフの違約金は預けてあるInitial deposit(最初の手付金)から差し引かれるのが一般的です。  



建物、害虫の調査

殆どの買主は実際に不動産物件を見た上で購入手続きに進んでいるものですが、外観からでは確認することが難しい瑕疵や問題点については、なかなか素人では判断できないものです。  例えば、シロアリが軒下や壁の中に巣をつくっていたり、建材にアスベストが使われていたり、過去に浸水していた形跡があったり、外からみるだけでは判断する事ができない場合も多いものです。  マイホームを購入したものの、購入後に床が抜けてしまったり、屋根が落ちてきたり、そういったリスクは出来る限り避けたいものです。  そこで、買主はライセンスを保持しているビルダーにより物件のインスペクションを実施してレポートを取得し、レポート内容に納得のいかない場合は契約を解約する権利があります。  レポートの内容によっては、決済までに売り主が修理する旨を交渉したり、修理の代わりに購入金額から修理費用としていくらか差し引くなど、交渉することも可能ですので、実際の調査と判断に必要となる日数を契約で取り決めておいた方がいいでしょう。



ローンの取得

ローンを組んで不動産を購入する場合は、銀行側から融資にあたっての承認を得なければならないものですが、このローンの申請から承認までに必要となる日数は金融機関に拠って異なり、審査内容もケースバイケースです。 契約書にサインしてから、購入にあたっての資金が期日までに用意できない場合には手付金が没収されてしまいますので、融資取得期日(Finance Date)までに買い主が納得のいく融資が取得できない場合は契約が解約できるという条項など適切な条件を契約で取り決めておいた方がいいでしょう。



前述した建物の検査とローンの契約事項については、日数を書き込めるようになっていますので、不動産エージェントが書きこんでくれる場合が一般的です。 



その他に良くある契約内容として、買主が住んでいる家を売ると同時に引っ越し先の家を購入を希望する場合には、両方の家の決済が同時に完了することを条件にするなど適切な特約が契約書に含まれている必要があります。   もし一方の契約が何らかの理由で破棄となったり、延期・完了しない場合には住む家がなくなってしまったり、購入金が支払えなくなる可能性がありますので注意が必要です。  

契約書は1度サインをしてしまうと、その契約内容に基づいてしか解約を行う事ができなくなります。そのため、サインをする前に弁護士からアドバイスを受けることが重要です。



決済(Settlement

決済とは不動産の購入代金の支払いと権利の譲渡が行われる手続きの事をいいます。

決済日に買主は銀行保証のついた小切手を購入代金として売り主に手渡し、それと同時に、売り主は権利譲渡書を買主に手渡します。  買主と売主が銀行でローンを組んでいる場合は、売主側の抵当権(Mortgage)の解除書と買主側の銀行が抵当権の設定手続きに入りますので4者の代理人が集まって手続きを行います。  このプロセスの目的として、売主から買主へ名義の書き換えを行うとともにローン関係で発生している抵当権について作業を行い、売主がローンを借りていて抵当権が付いていた場合はお金を貸していた金融機関への返済を行った上で抵当権を解除します。そして買主が新たに金融機関からローンを借りる場合は、その金融機関の抵当権を付与します。


この手続きが終わった段階で不動産は買主のものとなり、その連絡が売主と買主の弁護士から不動産エージェントに行われ次第、不動産エージェントは家の鍵を買い主に渡し、デポジットを売り主に支払うことができます。



保険について

上記で不動産は決済後に買主のものになると書きましたが、クィーンズランド州では不動産に関する責務は契約締結後の翌営業日の午後5時から買主側に発生しますので、契約をされたら直ちに保険に加入されておいた方がいいでしょう。  なお、銀行から融資を受ける場合にはローンの申請時に保険に加入している事が義務付けられている場合が一般的です。



その他の調査項目について

REIQ指定の標準契約書では、買い主は物件に関するさまざまな調査を実施する権利があります。例えば、地方役所の記録調査(Rates search)、ボディー・コーポレートの記録調査(アパートなど集合物件の場合)、そして土地税(Land tax)の調査は、売り主に未払いの地方税(Rates)・水道代・管理組合費用・土地税がないかを確認するために非常に重要です。決済後は、決済日前に発生した費用や税金であったとしても、不動産所有者として買い主が未払金の支払いをする責任があるからです。  弁護士はこれらの調査を行った上で、未払金や既に支払ってある費用などについては、決済日に併せて日割り計算で算出して購入代金の調整を行います。



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オーストラリアの委任状(Power of Attorney)について 

委任状(Power of Attorney)とは、第三者に何かを委任するとき、その意思表明を法的に書き記した文書のことです。



たとえば、日本在住の方がオーストラリアで開設した銀行口座の管理をオーストラリア在住の息子さんに任せたいとします。  そのとき、その親御さんは息子さんを代理人として選任する事により、本人に代わって銀行口座の管理を息子さんに行ってもらう権限を確認しておくことができます。  ほかにも、不動産の管理業務を委託したり、ビジネスの際における手続きをエージェントに依頼するときなど、しっかりとした契約の意を示すために、委任状が必要とされるケースはたくさん考えられます。




委任状って種類があるの?

オーストラリアの委任状(州により名称が変わります)は大きく分けて、General Power of Attorney  と Enduring Power of Attorneyの二つに分ける事ができます。  そして、Enduring Power of Attorneyは日本では余り一般的ではないシステムといえますので、これらの違いを簡単にご説明させていただきます。



まず、General Power of Attorney ですが、これは日本のごく一般的な委任状になります。  ご留意して頂きたい点ですが、日本の委任状が “XXX銀行に預けてある口座番号XXXに関しての繰越し、または普通預金への移管業務” などと限定されているのに対して、オーストラリアの委任状では全ての権利に適用される場合が多いものです。  従って、日本の委任状では考えられないようなリスクが伴い、そのリスクに関しては後述させて頂きます。



もう一方のEnduring Power of Attorneyですが、これは事故に遭った事で植物状態になってしまったり、痴呆になってしまった場合、すなわち、委任者本人が意思決定する事ができなくなった場合に初めて有効となるように指定する事ができます。  例えば、あなたが交通事故に遭ってしまい、意識不明になってしまった場合、どのような治療を施すのか、医療費やその他諸々の支払いはどうするのか、何よりも、あなたの代わりに誰が決定する事ができるのか、そして、支払いに際してあなたが保有している銀行口座などにアクセス出来るのか、などを取り決めておく事ができます。 通常のPower of Attorneyは本人の判断能力がなくなった場合には効力が執行してしまいますので、それを補完する形でEnduring Power of Attorneyが存在しているのです。





このようにEnduring Power of Attorneyを作成しておく事によって、あなたの意識が戻るまでの間に発生する様々な取り決めをあなたが指定する代理人に委託する事ができるわけです。  これによって、子供達に経済的負担を強いる事を未然に防ぐ事ができますし、また、運営しているビジネスが決済できずに休業状態になってしまったり、税金や公共料金などの支払いなどが滞ってしまわないように準備しておく事ができるわけです。



委任状の作成について

オーストラリアの委任状には規定の用紙がありますので、一般の方でも必要事項を記入するだけで簡単に委任状を作成する事ができます。  その一方で委任状の作成をするにあたっては “何を委任するのか” を委任状に反映させるにあたって問題が往々に散見されることから、オーストラリア政府は委任状の作成にあたって専門家からアドバイスを得る事を推奨しています。  



委任状
のデメリット

委任状のデメリットを率直に言うと、自分が委任した相手の責任まで全部背負わなくてはならなくなるということです。 代理人に自分の望む行為をしてもらう代わりに、その人の行為の責任まで、自分が背負うことになるのです。  例えば、日本在住の方がオーストラリアの不動産の売却を息子さんに委任したいとします。  その上で、息子さんが売却契約書に法定代理人として署名した場合、あなたが望まない金額での売却であったとしても契約が成立してしまいます。  



だからこそ、委任状を活用するにあたっては、まずそれに対する知識が必要とされてきます。 とても慎重にならなくてはいけません。 いったいどのようにすれば、メリットをより多くし、デメリットを少なくすることができるのかどうかを、あらかじめ知っておくことが大切なのです。  



委任状の作成費用について

委任状の作成につきましては、前述の通り、雛形がありますので専門家が作成する場合には5分程度で作成する事が出来るものです。  しかし、弁護士はその委任状が依頼者のニーズに沿ったものであるのか、そして、その委任状を作成する事で発生する権利や責任などをクライアントにアドバイスする事が義務付けられていますので、依頼内容の確認とコンサルティングに1〜2時間程度の時間が掛かります。 そして、このアドバイスを受けることによって、様々な問題を事前に防ぐ事が出来るわけです。


なお、オーストラリアの弁護士に委任状の作成を依頼する場合の費用は
150〜300ドル前後が一般的です。


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オーストラリアでの不動産売却について 

はじめに

不動産売却のプロセスは大きく2つの段階に分ける事が出来ます。  
1. セールス 
2. 売却手続き

日本と同様で不動産を売却する際には不動産業者を任命して購入主を探してもらうのが一般的です。  手続き自体は単純な為に見落とされがちですが、不動産といった性質から非常に大きな金額の取引となりますので、気をつけておきたい点が幾つかあります。

当オフィスでは可能な限りクライアントの利益を考えて価格や条件交渉などに臨んでおります。 ネットで見つけた物件の購入アシストや日本国内からの売却手続き、また、英語での取引が不安な場合など代行業務も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。




不動産業者の選定
不動産業者はあなたの不動産を売却するエージェントとして、売却にあたって必要な手続き全般を応対します。  不動産業者の能力や販売時の采配によって売却金額が大きく左右されるわけですから、一番大切なのは不動産業者選びといっても過言ではありません。

Presen1
























Presen2


























大手不動産業者と地域に密着した不動産業者のいずれにもメリットとデメリットがあり、どちらの不動産業者が良いかは個別に判断するしかありません。  購入主は不動産を実際に見た上で購入を決める訳ですから、不動産業者のブランドネームよりも、セールスマンが有する知識、経験、ネットワーク、ノウハウ等が重要になってきます。  ですから、不動産業者を任命するにあたり、なるべく多くの不動産業者を訪れ、実際にセールスを担当される方に会って直に相談されてみるのが賢い選択といえます。  不動産売却(実務)に関しての注意点は
こちらのページをご参照ください。

 


不動産業者の任命方法
不動産業者を任命するにあたって、“Open Listing”(一般取扱い)か“Exclusive Listing”(専任)にするかを選ぶ事ができます。 
どちらの契約にも一長一短あるのですが、殆どの不動産業者は専任販売を勧めてきます。  不動産業者は専任契約を取る事で売主(あなた)が他の不動産業者に依頼しないよう囲い込む事ができますし、万が一、他の不動産業者が買主を見つけてきても共同販売という形で手数料を受け取る事ができるからです。  

専任販売の最大のメリットは専任を結んだ不動産業者による積極的な販売が期待できる所です。 例えば、ウォークインで訪れたお客さんは勿論、他の物件を見に来られたお客さんにも積極的にセールスをかけてもらうことが期待できます。  デメリットについては前述でも触れましたが、専任契約を結んだ場合、他の不動産業者は買主を見つけてきても通常の約半分の手数料しか得る事ができません。  当然、他の不動産業者は手数料が全額入る物件を優先的に販売するわけですから、他の不動産業者による積極的な紹介は期待できません。  専任販売が良いかどうかはケース・バイ・ケースになりますので、各自の状況を見極めて判断されるのが賢明です。また、不動産の価格設定、広告やマーケティング等に関しては絶対的な指針がありませんので、不動産業者と良く相談した上で一番理に適っていると思われる方針で進められるのが順当です。

クィーンズランド州では不動産業者の手数料に対して上限が法律で定められており、不動産業者は売却価格の$18000までに対して5%、$18000以上に対して2.5%以上の手数料を請求する事が認められていません。  手数料の金額に関しては不動産業者によって異なり、また、交渉する事も可能です。  とはいえ、数千ドルの手数料を値切った為にセールスが疎かになり販売価格が数万ドル下がってしまったなんて事にならないよう注意が必要です。

販売方針と手数料が定まり次第、不動産業者と販売に関しての契約を結び、不動産業者が契約内容に沿った広告の手続き、マーケティング、セールス等の対応を開始します。  通常は1〜2週間毎にセールスの進展具合について不動産業者から連絡が行われてきますので、気になった点などは積極的に質問するのがいいでしょう 

あとは、セールスマンの力量次第ですので、購入主が現れるのを待つだけです。


買主との交渉・売買契約
オーストラリアでは買主から無条件で不動産を購入するオファーが来る事は稀です。  
通常は購入価格の減額であったり、購入にあたって必要な融資条件が満たされることであったり、買主が保有している不動産の売却などが前提になった打診などが行われます。  これを英語ではCounter Offer(カウンター・オファー)といいますが、これは売主が提示した売却条件で買主が買うということではなく、あくまでも買主からこの条件で売ってくださいという打診になります。  勿論、買主の提案を受けるかは売主の判断になります。  
具体的な契約内容が纏まりましたら、契約書を法律事務所へと郵送します。


弁護士事務所の役割
オーストラリアでは不動産売買の手続きを弁護士事務所が応対します。
契約内容を弁護士が確認し、土地の名義変更手続き等の事務業務をConveyancerと呼ばれる専門の事務員が担当します。

弁護士事務所による名義変更手続き費用の相場は10002000ドルぐらいです。 
しかし、これは平均的なオーストラリア人による売買を対象とした手続きとなる為、細かい部分での采配や、必ずしも海外在住者のニーズにあった対応は行なわれません。 また、手続きにおける全ての書類は英語で行われるのが一般的ですから、場合に拠っては事務員ではなく弁護士、日本語での仲介を入れられるのが安心です。


売却手続き
締結されている契約内容に沿った手続きを前述のConveyancerが行います。  
クーリングオフ期間や融資事項が消失して契約が無条件となった段階で、決済日にあわせて住民税、減債基金、管理組合費、水道料金などを日割り計算で算出します。  決済時に売主側は不動産権利書(発行されている場合)、不動産譲渡書を持参し、買主側は指定された銀行小切手を持参して同時交換を行います。 オーストラリアの不動産決済は代理人によって行われ、当事者による立会いは行われないのが一般的です。  

なお、小切手は銀行小切手で振り出され、ご夫婦名義など共有名義の不動産売却は特定の条件が満たされない限り、両者(ご夫妻)名義での小切手となります。




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オーストラリアでの不動産売却について(実務編)

1. 不動産価格の調査
不動産を売却される場合、殆どの方が不動産業者を訪れてみて、先ずは話を聞いてみるというのが一般的な対応になるのではないでしょうか。  最近ではインターネットで近隣不動産の価格帯を確認する事ができますので事前に下調べをしてから不動産業者を訪れる方も多いと思います。

何事も往々にして、こちらが浅い知識しか持ち合わせていない事が相手に伝わると、途端に回答のレベルが下がり、表面的な返事しかもらえなくなる事があります。  最悪のケースでは、親身に相談に乗ってくれているように見えても、相手に都合の良い話で進められてしまう場合もあるでしょう。  逆に、十分な予備知識を持って面談に望んだり、また、自分の職業を明かすと、 「コイツは誤魔化せない」と感じるのか、回答のレベルがあがり、親身に相談に乗っていただいたり、具体的な説明を頂戴できるようになるものですから事前調査は非常に重要といえます。  



2. 不動産業者の下調べと選定
不動産には地域性というものがあり、一般的に不動産を探している方達は購入を希望する地域に所在する不動産業者を訪れるものです。  例えば、赤坂で不動産物件を探されている方達は、新宿ではなく、赤坂近辺にある不動産業者を訪れるといった具合です。
  
また、売却不動産の近辺における物件を多く取り扱っている業者さんを選ぶ利点として 地の利 だけではなく、過去の販売経験から、その地域特有の情報を多く保有しており、より具体的かつ積極的なセールスが期待できる所にあります。   

一番重要な事ですが、
最終的な売却金額は不動産業者のセールス能力や販売時の采配によって大きく左右されるものですから、セールスマンの人柄や力量は非常に大切になってきます。  また、大抵、どこの不動産業者でも50件以上の物件を店舗で取り扱っているわけですから、必然的に取扱い物件の中でも販売の際に優先順位が発生するものです。  ですから、新人のセールスタッフと話を進めるよりも、その不動産業者の代表者の方を含めて打ち合わせを行われるのが賢い選択といえます。


3.
 希望購入者との折衝
オーストラリアでは買主から無条件で不動産を購入するオファーが来る事は稀です。  通常は購入価格の減額であったり、購入にあたって必要な融資条件が満たされることであったり、買主が保有している不動産の売却などが前提になった打診が行われます。  これを英語ではCounter Offer(カウンター・オファー)といいますが、これは売主が提示した売却条件で買主が買うということではなく、あくまでも買主からこの条件で売ってくださいという打診になります。  

なお、オーストラリアでは 中値 という考え方が購入時の打診方法として浸透しています。  例えば、150万ドルで売りに出されている物件を140万ドルで購入したい場合、その買主さんは130万ドルで購入を希望する打診を行い、そこから売主、買主ともに譲歩して中間の140万ドルに売却価格を持っていくという考え方です。  ですから、150万ドルで売りに出しているにも関わらず、130万ドルの打診がきたとしても気を悪くされない方が精神的にも宜しいかと思います。 また、不動産業者は話が流れてしまうのであれば、130万ドルでも契約が纏まれば手数料が入るわけです(契約を纏めたい訳です)から、売主さんとの利害関係は相反しており、彼らのアドバイスを鵜呑みにする事はできない点にも留意しなければなりません。  

4.
 売却手続き
通常、売却内容が纏まり次第、不動産業者が売却契約書を作成し、売主さんが契約書に署名した後に弁護士事務所へ郵送します。  契約書に署名してから弁護士に郵送するのではなく、弁護士に内容を確認してもらってから署名されるのが宜しいかと思います。



5. 最後に

不動産売買は人生で最も大きな取引の一つです。  

オーストラリアで生まれ育った方でも 不動産を初めて売却される方 と 不動産を過去に何件も売却した事がある方 では保有している知識、経験やノウハウ等から最終的な売却金額が大きく変わってくるものです。  このブログにて、オーストラリアで不動産を売却する際に気を付けたい点を簡単に纏めてみましたが、ケース毎に応じた対応であったり、細かい点などを含めると、実際には上記の何十倍もの内容になってしまうものです。  神林が経営するオフィスでは不動産売買手続きだけでなく、不動産売買の代行業務も承っておりますので、ご質問などが御座いましたら、気軽にご連絡下さい。


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