記事 京北綜合射撃場テストシューター・水口

ソーヴェストレはサボット弾です。
ただし、その構造は通常のものと違って弾頭はマッシュルーミングに特化し、かつ安定翼が付いています。
メーカー説明ではこの安定翼がサボット離脱後も弾頭とともに飛行し、命中精度を高めるとのことです。
雑誌の紹介記事によると、この安定翼には翼端が片側に斜めになっていて飛行中に空力による回転も得るとメーカー説明があります。
ただし『安定翼自身は装弾(銃身)の中心線に沿って垂直に形成されており、回転に適した角度ではない』『弾頭形状から層流剥離が起こりやすく、翼端の切り込みは乱流後流にまかれ効果が薄いと推測されうる』などの理由により筆者自身は空力による回転には懐疑的です。
その為、実射テストではスムースボアとハーフライフリング銃身との両方を用いました。

なお、この構造は戦車(特に第三世代と称される世代以降のもののほとんど)で用いられる戦車砲弾(APFSDS 装弾筒付翼安定徹甲弾)と似た構造です(安定翼翼端の切り込みはありません)。
APFSDSはサボットに包まれた安定翼付きの弾芯を撃ち出す砲弾です。
これを撃つ戦車砲は滑腔砲であり、ライフリングはありません。


実射での状況
弊社50m射面で実施しました。
気候は晴天、夕方、 サンドバッグのみで据え撃ちしました。
使用した銃はベレッタ社のAL391ウリカの12番径です。
スムースボアでの実射では28インチの鳥撃ち銃身にシリンダーチョークを装備して実施しました。
ハーフライフリング銃身での実射にはハスティング社のカンチレバー付きハーフライフリング銃身で実施しました。

まず、スムースボアでの射撃ですが、
これはすでにスコープの調整は12番アポロ射撃用にてゼロインしてあります。
設定はそのまま撃った結果は写真のとおりです。
DSCN3549

写真では分かりませんが、的紙の切れ方もスパッと切れていて、弾速は十分出ています。遠矢も効くと思われます。

次にハーフライフリングでの射撃ですが、
これはスコープの調整と比較の為にまずはウィンチェスターのサボット弾でゼロインしました。
それがこの写真のとおりです。
DSCN3547

そしてその設定のままソーヴェストレを射撃しましたが、弾着が安定しませんでした。
それがこの写真のとおりです。
DSCN3548

見ての通り、ズレ方が概ね右に着弾しているので、銃身による回転がかかったまま飛んだ為に空力が作用していると考えられます。
前述しましたが安定翼が射線上に垂直に立っている為、回転時にエアブレーキ(抵抗)の様な効果が出たのではないでしょうか。
もしそうなら、逆に言うと安定翼が空力的に意味があったとも言えます。


ソーヴェストレは射撃時の反動はサボット弾のそれよりもむしろ通常のスラッグ弾に近く、そこまできつくありません。
気になるのは装弾の個体差、特に安定翼の形成精度がどこまで出ているかです。
鹿などの大物猟には装弾自体の精度に比べて気にするほどの差異は無いかと思いますが、頭の片隅において猟に挑んだ方がとっさの着弾のズレに戸惑わなくて済みます。

以上の結果から筆者は、
ソーベストレはスムースボアで遠射や精度をより期待したい射撃・狩猟に向いていると考えます。