2009年04月

2009年04月26日

宴のあと。

4・23

秘密兵器はおどろくほど効果を発揮し、安眠。
会場へいき、そのあと、本会場へいく。不況とはなんぞや。すごい人の数である。
この時期ミラノは一年で一番の観光客をみこんでおり、ホテルは普段の3倍、4倍の値段となるとか。
昨日会ったインテリア関係者は5倍とられたとなげいていた。
展示関係のひとたちは、そのあたりをうまくやっている(そうしないとお金が・・・)人が
おおく、友人の家、ドリルさんたちのようなちょっとばかり郊外のフラット、僕のような
一週間借りのレジデンス。できるだけ展示以外の費用をおさえることが重要になってくる。
入場料は2,500円。ぼったくり。
ひとの頭がお金にみえてくる。
去年、フィエラは僕にとって単なる通路でしかなかった。サテリテとホテルの往復で
おわってしまった。だから初めて見ることになったといっていい。
すわったり、体験したり、なんとなく体にイメージをしみつける。カメラはとらなくてもいいかと。
ドリルさんといっしょにドリルの売り込みもする。
直接社長と話ができるのがここの強みだ。そうかと思うと、圧倒的な準備不足と、どような資料をつくるべきかが
明白になってくる。もちろん、ドリルさんの資料がということではなく僕の資料がである。
ドリルさんの家具にあうメーカー、あるいは興味深いものをつくっているメーカー、ピンポイントで
声をかけていく。といってもせいぜい2−3社であるけれど、直接社長が話をしてくれるところ、(しかも気さくに)
あるいは、興味があるから作品をおくれといってくれるところ、様々だ。わかったことは
まず、そこで資料をわたすまえに、できればメーカーに声をかけておくほうがいいのかもしれないという
ことだ。そこでアポをとり、プレゼンをするという按配だ。いっしょに回りながら、そんなことを感じた。

いったんそこで別れたあと、僕は照明のブース、ユーロルーチェへ。目的は多くの照明をみることそしてもうひとつは、
メーカーにコンタクトをとることである。去年から付き合ってきたメーカーで、明日プロトタイプをみるまえに、うちのデザインディレクターと話しをしろとの指令。
あ、去年もみた顔である。正直なところおもいっきりイタリア人の彼との会話はなんだかよくわからなかった。しかしながらキーマンであることは間違いないから丁重に対応。
あしたプロトをみることをつたえ、彼からもらったアイデアも検討することをつたえた。
そのあと、ほかのブースをまわり、スペインの無名のメーカー(僕がしらないだけ?)をみつけ
そこに飛び込み営業。小さい会社はわかりやすい。姉が輸出関係、妹がデザイン関係。まず姉に話、
妹に電話。妹とお話した。素敵なおねーさんで、ゆっくり話しをきいてくれて、まずは関係を構築していきましょうと
いうことになった。なにかを商品化ということではなく、そこのメーカーにあうものがあれば
提案するという話だけれど、このような話を増やしていくことはきっとデザイナーにとって大事なことなのだろう。
が、ここまではどのようなデザイナーであれ、どのようなメーカーが相手であれ、
このお祭りの間は、可能性がある。問題はその先なのだが・・・・。
夜は、デザイナーズブロックのパーティー。妙なもりあがりをみせている。不思議なDJ、スコットランドの民謡をかなでる男、
酔っ払い、そんなところである。

昨日熟睡できたにもかかわらず、猛烈に眠気がおそってくる。きっと眠りが眠りをよんでいるのだ。
帰りの電車は座ったら眠ってしまうと思い、ひざをがくがくさせてホテルへ。

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2009年04月25日

秘密兵器

4.23日
朝、たまたま行ったコーヒーショップでネットがつながり、スカイプやらメールやら。これはついている。
そして電気屋に一目散。
運のいいことにその電気屋はおどろくほどプロ用の電気屋であり、
こちらがのぞんだトランスをあっさり買うことができた。小さいうえに
コンパクトでデザインもいい。日本からもってきたトランスはいかにも電気用品といった雰囲気。
しかも大きい。会場が開く前に到着。主催者の電気屋さんといっしょに方法論を考える。吊り下げた照明は点灯。さらに、床においたもの修復。トラブルシューティングは快感である。2階にいる沢田さん、高橋さんと昼ごはんをたべ、ビールをのみ、ひとまずは一人祝杯をあげる。
近くのブースのひとたちと、ドローグの展示を見に行き、適度にコミニケーションをとり、夕方からトリエンナーレへ。ここでの展示の中心はセンスウェアー、繊維企業と日本のデザイナーとのコラボレーションである。ビッグネームがうろうろ。企業のおえらいさんも、スーツをきめ、名刺交換している。まず、この会場にくらべ
デザイナーズブロックは、実に爽快な空間だということは述べておこう。
中庭では突如としてコンサートがおこなわれ、ビールをのみ、子供たちが戯れる。
センスウェアーの展示は、非常に興味深いものであったけれど、
僕が見たい何かではなかったから、わりとするっと見てしまった。
そこでは、素材の可能性は感じたけれど、あくまでインスタレーションの域をこえるものではなかったし、それを商品にする、流通させるという射程をもったものではないから、どこか投槍な感じはいなめない。
驚いてねみたいな展示は、そうした素朴なものづくりに対する姿勢や知恵を感じることは難しい。そうした意味では、サテリテのような展示のほうがよっぽど刺激をうけたりするものだ。
夕方から、参、ドリル、大田さんがとまっている家の大家さんと食事。
今日はねれますように。実は寝るための秘密兵器を購入してあるのだ。




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2009年04月24日

事件

4・22日
寝不足と、時差ぼけのなか、早朝のホテルより。
べつにしりとりをしているわけではないが、様々な要因がいりまじり
驚くほど睡眠不足である。判断力と、決断力、そして行動もがさつになってくる。
この状況は、先週末、旅行の準備といっきに詰め込んだ仕事によって、自分をコントロールできなくなっていることによるものだ。
そうなるといままでの経験上事件がおこる。実際、今日僕におこったことを考えれば、圧倒的な準備不足によるもので、
僕に責任があることは言うまでもないが、このようなプロジェクトにおける会社としての動かし方も
今一度考え直さないといけないなという思いも同時にうかんだ。
設計事務所としてクライアントの仕事を優先させるのは当然のことだが、このような展示会も
重要度はおちるにせよ、会社をドライブさせていくエンジンのひとつなのだから。いまさら反省してもしかたがないが
今年一番の煩忙期において、よなよな僕がコツコツと準備するには、正直なところ、体力も気力も続かなかった。
結局なんとかなるだろうという甘い気持ちをもたざるえなくなり、ぎりぎりのところで
ふんばったけれど、最後にボロがでてしまった。後悔先にただずだ。
それでも救われたのは、今回一緒に参加しているドリルデザインさんが
いてくれたおかげである。精神的にも、実際の準備においてもパーフェクトにフォローしてもらっている。
持つべきものは友である。

事件をひとつひとつ書くのは気が滅入るから割愛するが、
結果からいうと、いま持ってきた照明は点灯していない。
つまり照明ではない。漏電なのか、ビル側の問題なのか、なんなのか
さっぱりわからないが、トランスの交換、さらには配線の交換が必要である。
そのような不測の事態において、ドリルの林さんは朝からつきあってくれるというのだから思わず涙がである。

事件は事件として、こればっかりは、行動してみてだめなものはだめだし、うまくいけばもうけものというくらいの気分でいくしかない。

ということで気が滅入る投稿で本当に申し訳ないが、
朝から長風呂にはいり、本を読み、こうして文章をかくことですこしずつ落ち着きを
とりもどしつつある。僕らの向かいのブースはベトナム在住イギリス人による家具の展示が
行われている。いかに彼が面白いかを明日、できればゆっくりと睡眠をとったあと、
万事がうまくいってよかったなという気分に浸りながら書きたいなと思っている。

今日は、まずははやめの朝食、そしてデザイナーズブロック運営者におしえたもらった電気屋に
はしろう。幸運を期待して。



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2009年04月23日

リトル東京

4・21日
12時間のフライトはきつい。
映画を4本みて、(話の内容があたまの中でシャッフルされている。)本をよみ、仮眠をとった。
ミラノは雨である。気温12度。しまった。春用の服しかもってきていない。というよりも、
荷物に余裕がなかったからしかたがない。ふと去年は事務所からコートを急遽もってきてもらったことを思い出した。
そして彼女が遅刻して・・バタバタに・・・。

毎回、海外で展示会をするときに思うのだけれど、学生時代の貧乏旅行のワクワク感を、いまだに持てる幸せをかみしめてしまう。年齢的にも、立場的にも、軽やかに海外出張といきたいところだが、時間的、金銭的な問題から大量の荷物を抱えて空港を走り回る。今回のファッションは、片手に木箱、スーツケース、そしてバックパックである。この格好で皇居のまわりをうろつけば、一発で検挙されてしまうだろう。

ほめられているのか、けなされているのか、(髪の量はめにみえて減ったけれど)
年齢よりも若くみられるのは、ひとつにこのような旅行をいとわない、ある種無謀さ、やんちゃさを
いまだに実行できるという環境と、気持ちが大きな原因なのかなと思う。空港から重い荷物をかかえ、
バス、地下鉄と乗り継くという行為も、タクシーにあえて乗らないのは、もちろんお金の問題もあるけれど
そんな気持ちを大事にしたいからだ。旅先の苦労こそが、思い出として残る宝物だというやや
ロマンチックな思い込みもある。設計事務所のボスとしては、その雰囲気はどうなんだろうかと思うが、
いつか、これもそろそろ辞めようと思うときがきてしまう。
実はいうと、今回ぼんやりそんなことを思ったのであるが。


マルペンサ空港は、一言でいってしまえば、そっけない空港だ。
飛行機からイミグレーションの途中で突然前の女の人が転ぶ。幅木がとれて通路に転がっている。
幅木といっても30ミリくらいある石の塊である。これがイタリアだよなと合点がいく。
荷物をひきとる場所で、カートを使おうと思ったらなんと1ユーロひつようだという。そしてお札しかもっていないことに
きづく。困ったなという顔していると、空港関係者に「10円玉でも大丈夫です。」小声で教えてもらう。
これもイタリアである。
バスで中央駅までおり、地下鉄にのりMOSCOVA駅へ。そこでドリルデザイン、坪井さん、大田さん、参さん、
柳原さん、ミラノ出展者がご飯をたべているという。いくとそこはリトル東京のようであり、
みなリラックスした様子。とりあえず、荷物が届いてよかったということなのだろう。
寝不足と、時差ぼけのなか、早朝のホテルより。



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2009年04月22日

悪癖

4月20日
大人であろうが、子供であろうが、何度いっても直らない癖がある、
それをごそっと棚にあげて躾と称して、えらそうなことを親はいうわけだけど、
あるとき、行動がともなっていないことに子供は気づく。僕の経験からいうと
いまになって気づくことも多い。
つまり立場が逆転してはっと気づかされているわけだ。
僕の悪い癖は、ぎりぎりの時間で行動をしすぎることだと妻はいう。
こちらとしては時間を有効につかっているだけだと反論するわけだが、
どうやら旅行前においては、圧倒的に彼女が正しい。いままさに機上にいる。
ここにいたるまでの準備は、いままでにもましてしんどかった。
今回の出張は1週間をこえる。その結構な日数を、事務所からはなれるわけで、できるだけ
クライアントに迷惑にならないように、スケジュールの照準をあわせてきた。
結果、土曜日2つ契約。日曜日、概算見積もり提出アンドミーティング。
そのあとからミラノ行きの準備という段取りとなった。すべてのミーティングをおわらせた時点で実はかなり
疲労してしまった。年齢もあるのかなと頭の片隅をよぎる・・・。だんだん無理がきかなくなってきた。
ともあれ、まずはパッキングである。
昨年グラビティーライトで使用した梱包の合板を利用。つくったところで大きさを
勘違いしていたことが発覚。さらにクリスくんの照明の箱をつくりつつ、
大きさを修正。susproにつくってもらった金物を取り出し、青ざめる。
ついているべき金物がない。こういうとき、現場監理でつちかったトラブルシューティングのスキルが
いきる。以前つくってもらった金物と、合板、さらには模型材料でなんとかごまかす。
実際ここで神経をかなりすりへらした。
さらに、今回のプレゼン用の資料を折る。が、これだけでは、
企業へのプレゼンテーションとしては足りないような気がして、急遽資料をつくりはじめる。
この時点で10時である。紙をおりつつ、現場で使う道具をピックアップしつつ、
資料をつくりつつ。12時をまわると、坪井さんチームが帰っていく。
真夜中にこうこうと明かりをつけ、作業に没頭。2階の時計が3回なった。
つまり3時である。大方パッキング、道具の整理、資料はつくりおえた。
ここから、事務所スタッフへの諸連絡。メールやらスケッチやら・・・。
また時計がなる。車にどかどかと荷物をのせつつ、あきらかに荷物が
30キロを超えていることに途方にくれる。家につき、体重計ではかり、
インパクトドライバーや、いくつかの荷物をバックパックへうつす。
そうこうしているうつに朦朧としてきたから、仮眠をとることにする。
朝、娘たちの声がきこえ、さよならだけでも言おうと、眠気をこらえ
シャワーをあびつつ、彼女たちをおくり、生活用品のパッキングを始める。
あと1時間で家をでなくては・・・。メールをうったりしていたらあっという間に
そのときがきてしまい、妻に日暮里までおくってもらうことになった。
が、これもぎりぎり。妻が走って駅で切符を買い、僕が大量の荷物を
抱え 走る。スカイライナー出発2分前。やれやれ。
空港で小林幹也くんと電話連絡。彼は事務所から直接きたのだとか。
多かれ少なかれ、ミラノで展示をするひとたちは、そんな感じなのである。
僕だけではない。けれども、そろそろ余裕をもって
やりたいなと。あまりにもきつい。これを一人でやるのは、今年で最後にしよう・・。
チェックイン。荷物
案の定重量オーバー。困った顔をしていると、なぜかスルーされた。(あとで別の人は
チャージされたという話をきいた。)まだつきはのこっている。


ミラノで展示をするひとたちが、必ずしも、優秀だとか、展示すべきとか、そんなえらそうなことを
べらべらとしゃべりたくはない。けれど、ひとつ言えるのは、ここで展示するということは
かなりのエネルギーを必要とすることであり、そのエネルギーを出せる人たちだという
評価は間違いなくあってもいい。そして、作品、仕事の良さとの相関関係は
なきにしもあらずと。

最後になってしまったけれど、
仕事とはいえ、このミラノ行きを許してくれた妻、そして僕がいなくても
しっかり仕事をこなしてくれる二人のスタッフ。
今回もプロトタイプをつくってくれたsusproのみやまさん、社長の秋元さん。
きっと大して寂しがってはいないであろう二人の娘たち。
どうもありがとうございます。仕事とはいえ、ちょっとばかり罪悪感。



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悪癖

大人であろうが、子供であろうが、何度いっても直らない癖がある、
それをごそっと棚にあげて躾と称して、えらそうなことを親はいうわけだけど、
あるとき、行動がともなっていないことに子供は気づく。僕の経験からいうと
いまになって気づくことも多い。
つまり立場が逆転してはっと気づかされているわけだ。
僕の悪い癖は、ぎりぎりの時間で行動をしすぎることだと妻はいう。
こちらとしては時間を有効につかっているだけだと反論するわけだが、
どうやら旅行前においては、圧倒的に彼女が正しい。いままさに機上にいる。
ここにいたるまでの準備は、いままでにもましてしんどかった。
今回の出張は1週間をこえる。その結構な日数を、事務所からはなれるわけで、できるだけ
クライアントに迷惑にならないように、スケジュールの照準をあわせてきた。
結果、土曜日2つ契約。日曜日、概算見積もり提出アンドミーティング。
そのあとからミラノ行きの準備という段取りとなった。すべてのミーティングをおわらせた時点で実はかなり
疲労してしまった。年齢もあるのかなと頭の片隅をよぎる・・・。だんだん無理がきかなくなってきた。
ともあれ、まずはパッキングである。
昨年グラビティーライトで使用した梱包の合板を利用。つくったところで大きさを
勘違いしていたことが発覚。さらにクリスくんの照明の箱をつくりつつ、
大きさを修正。susproにつくってもらった金物を取り出し、青ざめる。
ついているべき金物がない。こういうとき、現場監理でつちかったトラブルシューティングのスキルが
いきる。以前つくってもらった金物と、合板、さらには模型材料でなんとかごまかす。
実際ここで神経をかなりすりへらした。
さらに、今回のプレゼン用の資料を折る。が、これだけでは、
企業へのプレゼンテーションとしては足りないような気がして、急遽資料をつくりはじめる。
この時点で10時である。紙をおりつつ、現場で使う道具をピックアップしつつ、
資料をつくりつつ。12時をまわると、坪井さんチームが帰っていく。
真夜中にこうこうと明かりをつけ、作業に没頭。2階の時計が3回なった。
つまり3時である。大方パッキング、道具の整理、資料はつくりおえた。
ここから、事務所スタッフへの諸連絡。メールやらスケッチやら・・・。
また時計がなる。車にどかどかと荷物をのせつつ、あきらかに荷物が
30キロを超えていることに途方にくれる。家につき、体重計ではかり、
インパクトドライバーや、いくつかの荷物をバックパックへうつす。
そうこうしているうつに朦朧としてきたから、仮眠をとることにする。
朝、娘たちの声がきこえ、さよならだけでも言おうと、眠気をこらえ
シャワーをあびつつ、彼女たちをおくり、生活用品のパッキングを始める。
あと1時間で家をでなくては・・・。メールをうったりしていたらあっという間に
そのときがきてしまい、妻に日暮里までおくってもらうことになった。
が、これもぎりぎり。妻が走って駅で切符を買い、僕が大量の荷物を
抱え 走る。スカイライナー出発2分前。やれやれ。
空港で小林幹也くんと電話連絡。彼は事務所から直接きたのだとか。
多かれ少なかれ、ミラノで展示をするひとたちは、そんな感じなのである。
僕だけではない。けれども、そろそろ余裕をもって
やりたいなと。あまりにもきつい。これを一人でやるのは、今年で最後にしよう・・。
チェックイン。荷物
案の定重量オーバー。困った顔をしていると、なぜかスルーされた。(あとで別の人は
チャージされたという話をきいた。)まだつきはのこっている。


ミラノで展示をするひとたちが、必ずしも、優秀だとか、展示すべきとか、そんなえらそうなことを
べらべらとしゃべりたくはない。けれど、ひとつ言えるのは、ここで展示するということは
かなりのエネルギーを必要とすることであり、そのエネルギーを出せる人たちだという
評価は間違いなくあってもいい。そして、作品、仕事の良さとの相関関係は
なきにしもあらずと。

最後になってしまったけれど、
仕事とはいえ、このミラノ行きを許してくれた妻、そして僕がいなくても
しっかり仕事をこなしてくれる二人のスタッフ。
今回もプロトタイプをつくってくれたsusproのみやまさん、社長の秋元さん。
きっと大して寂しがってはいないであろう二人の娘たち。
どうもありがとうございます。仕事とはいえ、ちょっとばかり罪悪感。



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悪癖

4月20日
大人であろうが、子供であろうが、何度いっても直らない癖がある、
それをごそっと棚にあげて躾と称して、えらそうなことを親はいうわけだけど、
あるとき、行動がともなっていないことに子供は気づく。僕の経験からいうと
いまになって気づくことも多い。
つまり立場が逆転してはっと気づかされているわけだ。
僕の悪い癖は、ぎりぎりの時間で行動をしすぎることだと妻はいう。
こちらとしては時間を有効につかっているだけだと反論するわけだが、
どうやら旅行前においては、圧倒的に彼女が正しい。いままさに機上にいる。
ここにいたるまでの準備は、いままでにもましてしんどかった。
今回の出張は1週間をこえる。その結構な日数を、事務所からはなれるわけで、できるだけ
クライアントに迷惑にならないように、スケジュールの照準をあわせてきた。
結果、土曜日2つ契約。日曜日、概算見積もり提出アンドミーティング。
そのあとからミラノ行きの準備という段取りとなった。すべてのミーティングをおわらせた時点で実はかなり
疲労してしまった。年齢もあるのかなと頭の片隅をよぎる・・・。だんだん無理がきかなくなってきた。
ともあれ、まずはパッキングである。
昨年グラビティーライトで使用した梱包の合板を利用。つくったところで大きさを
勘違いしていたことが発覚。さらにクリスくんの照明の箱をつくりつつ、
大きさを修正。susproにつくってもらった金物を取り出し、青ざめる。
ついているべき金物がない。こういうとき、現場監理でつちかったトラブルシューティングのスキルが
いきる。以前つくってもらった金物と、合板、さらには模型材料でなんとかごまかす。
実際ここで神経をかなりすりへらした。
さらに、今回のプレゼン用の資料を折る。が、これだけでは、
企業へのプレゼンテーションとしては足りないような気がして、急遽資料をつくりはじめる。
この時点で10時である。紙をおりつつ、現場で使う道具をピックアップしつつ、
資料をつくりつつ。12時をまわると、坪井さんチームが帰っていく。
真夜中にこうこうと明かりをつけ、作業に没頭。2階の時計が3回なった。
つまり3時である。大方パッキング、道具の整理、資料はつくりおえた。
ここから、事務所スタッフへの諸連絡。メールやらスケッチやら・・・。
また時計がなる。車にどかどかと荷物をのせつつ、あきらかに荷物が
30キロを超えていることに途方にくれる。家につき、体重計ではかり、
インパクトドライバーや、いくつかの荷物をバックパックへうつす。
そうこうしているうつに朦朧としてきたから、仮眠をとることにする。
朝、娘たちの声がきこえ、さよならだけでも言おうと、眠気をこらえ
シャワーをあびつつ、彼女たちをおくり、生活用品のパッキングを始める。
あと1時間で家をでなくては・・・。メールをうったりしていたらあっという間に
そのときがきてしまい、妻に日暮里までおくってもらうことになった。
が、これもぎりぎり。妻が走って駅で切符を買い、僕が大量の荷物を
抱え 走る。スカイライナー出発2分前。やれやれ。
空港で小林幹也くんと電話連絡。彼は事務所から直接きたのだとか。
多かれ少なかれ、ミラノで展示をするひとたちは、そんな感じなのである。
僕だけではない。けれども、そろそろ余裕をもって
やりたいなと。あまりにもきつい。これを一人でやるのは、今年で最後にしよう・・。
チェックイン。荷物
案の定重量オーバー。困った顔をしていると、なぜかスルーされた。(あとで別の人は
チャージされたという話をきいた。)まだつきはのこっている。


ミラノで展示をするひとたちが、必ずしも、優秀だとか、展示すべきとか、そんなえらそうなことを
べらべらとしゃべりたくはない。けれど、ひとつ言えるのは、ここで展示するということは
かなりのエネルギーを必要とすることであり、そのエネルギーを出せる人たちだという
評価は間違いなくあってもいい。そして、作品、仕事の良さとの相関関係は
なきにしもあらずと。

最後になってしまったけれど、
仕事とはいえ、このミラノ行きを許してくれた妻、そして僕がいなくても
しっかり仕事をこなしてくれる二人のスタッフ。
今回もプロトタイプをつくってくれたsusproのみやまさん、社長の秋元さん。
きっと大して寂しがってはいないであろう二人の娘たち。
どうもありがとうございます。仕事とはいえ、ちょっとばかり罪悪感。



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2009年04月11日

たまごから学ぶにわとり

清水さんと一緒に仕事をするようになってから
いかにスタッフと接するべきか、あるいは設計とは教えることの
できるものなのかという話がよくでる。

そんなときに思い出すのは、自動車学校の先生のイライラ教習だ。先生にとってあまりにも当たり前のことが(つまり運転するということ。)
生徒があまりにもできず、イライラしているのだと、あとになってわかった。生徒にとってはまったくもって未知のことだというあたりまえの事実がどこかに飛んでいってしまっているのである。

娘に自転車を教えているときも思い出した。おもわず同じようにイライラした態度をとってしまうと娘はあからさまに嫌な顔をし、今日は乗らないといいだす。なぜ曲がれないのか?と問い詰めるのではなく、どうやったら曲がれるかをいっしょに考えてあげるとまたうれしそうに乗り始めるた。

教えるという行為は実に根気が必要で、エネルギーがいる仕事だ。ときにはこうしたイライラを飲み込み、ニコヤカに諭すことが必要になる。ボスにとって、仕事をすること、仕事をとること、教えることがあるが、日々すべてを上手にこなす難しさを感じている。

僕の先生暦は、大学2年生までさかのぼる。
家庭教師をして、眠りながら教えるという離れ業をやってのけたが、
その両親にとっては不快だったようで、まもなく首になった。

自己分析をしても、いままでの経歴を考えても、ぼくは決して教え方の上手なボスではない。いまでこそ眠りながら教えるようなことはないが、(教えなければ自分が困るから?)どちらかというとイライラした先生だ。かつてのスタッフや、いまのスタッフも相当に迷惑をこうむった、こうむっているにに違いないと思う。

ここ一年くらいでわかったことがある。なにかを教えようと思うからイライラするのであって、ともに学ぶという気持ちがあれば、むしろこちらも楽しいのだということ。もっというとイライラしている場合ではなくなる。

最近打ち合わせをしながら、「どう思う?」とよく聞くようになった。つまり一緒に考えるということをはじめたら随分打ち合わせも楽しくなってきた。なるほどそんな考えもあるのねと、刺激をもらいながら新しい案がうまれる。そんな躍動感のある打合わせにスタッフの顔も明るい。

ideoの本には「たまごから学ぶにわとり」と書いてあった。
つまりそういうことだ。


eclipselight03




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2009年04月08日

夢をあきらめないで?

こんなことを書いてしまうのはどうかと思うけれども
時には夢なんぞあきらめたほうがよっぽど賢い。

娘の入学式のパンフレットに、教頭先生は、夢をあきらめない子供たちの育成と書いてあった。が実のところ賢い子供たちは、とっくにイチローや俊輔にはなれないことは理解している。

親や先生の仕事は、きっと闇雲に夢を追いかけさせることでは
ないだろう。

むしろ、冷静にその子のキャラクターや、能力を判断するのが
長く生きてきたものの使命かなと思う。

親や先生だけではない。この使命は、ボスにも必要とされるスキルである。これから巣立とうしているスタッフや、巣立っていった
優秀なスタッフにむやみやたらと、夢を追えとはとてもいえない状況がまっている。賢い彼らは、自分がレンゾピアノではないことは十分にわかっているが、それでも、自分が有名になり、雑誌の表紙をかざり、そのうち美術館をと思っているのであれば、その夢をまずは捨ててしまったほうが賢い。むしろそれよりもそれぞれのスキルにあった”何か”があるはずで、その”何か”を探すほうがよっぽど生産的だ。

結局のところ、後者のほうから攻めていくことで思いがけず
嘗ての夢に届くこともあるかもしれないと思うのだ。

eclipse light photo:takumi Ota

eclipse

keijidesign at 18:41|PermalinkComments(3)TrackBack(0)