足取りは重かった。
何が何だか分からなかったが、警備隊の言われるままに処遇部まで歩いた。
歩いている途中、警備隊の親父が何かしたのかと聞いてきたが、
何にもしてないと答えると、親父も苦笑いを浮かべていた。
処遇部に着くと、取調室に入れられた。
冷静に考えてみたが、何で連行されたのか分からなかった。
1分1分がすごく長く感じた。
どれくらい経っただろうか。
取調室の扉が開き、主任が入ってきた。
主任の手には官本が握られていた。
あるページを開き、僕に見せてきた。
そのページには落書きがしてあった。
「これ、おまえが書いたのか?」
主任が聞いてきた。
記憶にないので、書いていないと答えた。
主任がもう一度同じことを聞いてきたが、僕も同じように答えた。
落書きなんて注意だけで終わるんだから認めろと言われた。
自分もそうだろうと思いながらも、やっていないことをやったと言えるほど、心が出来てはいなかった。
それから同じようなやり取りが何度続いただろうか。
主任はちょっと待ってろと言い残し、部屋を出て行った。
僕はなんてくだらない件で連行されたんだと恥ずかしい気持ちになった。
少しして、部屋のドアが開いた。
主任が口を開く。
「夜勤の先生が、おまえが落書きするのを見ていたと言っている。」
そう言われた。
一気に頭に血が上った。
本当に書いていないのだ。
書いていないものを見たと言われている。
心から腹が立った。
僕も熱くなり、筆跡鑑定でもなんでもしてくれと言った。
くだらないやり取りを何度か繰り返した後、主任が言った。
「とりあえず、取り調べにするから。」
一瞬、固まった。
当時12月の半ばくらいだったのだ。
今取り調べになれば3週間くらいはかかる。
正月、取り調べ房で生活することになるのだ。
刑務所での正月と言えば、1年で一番娑婆に近づける瞬間だ。
取調房にいたら、テレビすら観られない。
最悪の嫌がらせだった。
けれど、いまさらやっていないことをやったとは言えない。
刑務所の決まりだから、どうあがいたって決定は覆らない。
知ってはいたが、文句を言わずにはいられなかった。
刑務官が嘘を言うとは思えない。
それが主任の答えだった。
じゃあ、刑務官が嘘をついてたらどうするんだ。
僕が言うと、
それを調べるために取り調べにするんだ。
もっともらしい言葉しか返ってこなかった。
それでも引き下がらず騒いでいると警備隊が部屋に入ってきた。
その瞬間、諦めに似た気持ちが僕の心には漂った。
次回へ続く・・・・・
何が何だか分からなかったが、警備隊の言われるままに処遇部まで歩いた。
歩いている途中、警備隊の親父が何かしたのかと聞いてきたが、
何にもしてないと答えると、親父も苦笑いを浮かべていた。
処遇部に着くと、取調室に入れられた。
冷静に考えてみたが、何で連行されたのか分からなかった。
1分1分がすごく長く感じた。
どれくらい経っただろうか。
取調室の扉が開き、主任が入ってきた。
主任の手には官本が握られていた。
あるページを開き、僕に見せてきた。
そのページには落書きがしてあった。
「これ、おまえが書いたのか?」
主任が聞いてきた。
記憶にないので、書いていないと答えた。
主任がもう一度同じことを聞いてきたが、僕も同じように答えた。
落書きなんて注意だけで終わるんだから認めろと言われた。
自分もそうだろうと思いながらも、やっていないことをやったと言えるほど、心が出来てはいなかった。
それから同じようなやり取りが何度続いただろうか。
主任はちょっと待ってろと言い残し、部屋を出て行った。
僕はなんてくだらない件で連行されたんだと恥ずかしい気持ちになった。
少しして、部屋のドアが開いた。
主任が口を開く。
「夜勤の先生が、おまえが落書きするのを見ていたと言っている。」
そう言われた。
一気に頭に血が上った。
本当に書いていないのだ。
書いていないものを見たと言われている。
心から腹が立った。
僕も熱くなり、筆跡鑑定でもなんでもしてくれと言った。
くだらないやり取りを何度か繰り返した後、主任が言った。
「とりあえず、取り調べにするから。」
一瞬、固まった。
当時12月の半ばくらいだったのだ。
今取り調べになれば3週間くらいはかかる。
正月、取り調べ房で生活することになるのだ。
刑務所での正月と言えば、1年で一番娑婆に近づける瞬間だ。
取調房にいたら、テレビすら観られない。
最悪の嫌がらせだった。
けれど、いまさらやっていないことをやったとは言えない。
刑務所の決まりだから、どうあがいたって決定は覆らない。
知ってはいたが、文句を言わずにはいられなかった。
刑務官が嘘を言うとは思えない。
それが主任の答えだった。
じゃあ、刑務官が嘘をついてたらどうするんだ。
僕が言うと、
それを調べるために取り調べにするんだ。
もっともらしい言葉しか返ってこなかった。
それでも引き下がらず騒いでいると警備隊が部屋に入ってきた。
その瞬間、諦めに似た気持ちが僕の心には漂った。
次回へ続く・・・・・