January 11, 2021
令和2年12月10日、自民・公明両党により令和3年度税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱は、あくまでも税制改正案ではありますが、政権与党(自民党・公明党)により取りまとめられたものであり、ほぼそのまま可決されることが多いものです。
主な内容は以下の通りです。
【基本的考え方】
・ウィズコロナ、ポストコロナがもたらした新たな日常に対応するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが重要
・活発な研究開発活動、労働者の賃上げ等は国際競争力の維持や雇用環境の悪化を防ぐために積極的に促進すべき
・産業構造の変革のためには、企業価値向上のための事業再編が重要であり、そのためには積極的なM&Aを促す必要がある
・わが国の国際金融センターとしての地位を確立させるために、法人税・所得税のみならず資産税についても税負担を軽減し、海外から事業者や人材、資金が集まるような措置を講ずる
・税務関係書類における押印義務の廃止、電子帳簿等保存制度を利用しやすいものとするなど納税環境を整備することにより、行政手続コストの削減や、感染症の感染拡大防止につなげる
・中小企業を取り巻く状況が厳しくなっていることから、中小企業に適用されている各種優遇措置を延長する
1.株式対価M&Aを促進するための措置の創設
企業の機動的なM&Aを促すために、買収する会社が会社法の株式交付制度に従い、買収対象会社の株主に自社株式を交付し、対価として買収対象会社の株式の譲渡を受けた場合、その株式の譲渡損益に対する課税が繰り延べられるようになります。この措置は、交付される対価に占める買収する会社の株式価額が80%以上である場合に適用されます。
2.研究開発税制の見直し
研究開発投資を促進するために、総額型の税額控除制度について、控除率の下限を2%(現行は6%)とし、増額試験研究費割合は10.145%(現行は9.9%)を基礎とし、9.4%超(現行は8%超)となった場合に控除率がさらに引き上げられるようになります。
また、コロナ禍でも研究開発投資が行われるよう、総額型及び中小企業技術基盤強化税制の控除額の上限を、売上高減少等の要件を満たすことを条件に5%の上乗せ措置が適用されます。
いわゆるオープンイノベーション型の研究開発税制の対象に、国立研究開発法人・国公立大学等の外部化法人、人文系の研究機関が追加されます。
研究開発費の定義が見直され、クラウド環境で利用する自社利用ソフトウェアの制作費も対象とされます。
3.給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度
コロナ禍でも新規雇用者の給与増加を促すため、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度の賃上げ要件について、従来は継続雇用者の給与が増加することを求めていたのに対し、改正案では新規雇用者の給与増加で足りるとすると共に、増加割合が3%から2%に引き下げられます。また税額控除額は、新規雇用者に対して雇用日から1年以内に支給された給与額の15%として計算されます。
4.中小企業における所得拡大促進税制
中小企業における所得拡大促進税制の賃上げ要件について、従来は継続雇用者の給与が増加するということが求められていましたが、雇用者の給与増加で足りるとする内容に改正されます。また、その適用期限が2年延長されます。
5.デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制
青色申告法人が主務大臣の確認を受けたデジタルトランスフォーメーション(DX)促進のためのソフトウェア、器具備品等を取得した場合、以下のいずれかの適用を受けることができます。
・取得価額の30%の特別償却
・取得価額の3%の税額控除
6.繰越欠損金の控除上限の特例の創設
青色申告法人が一定の期間内に、産業競争力強化法の改正法の「事業適応計画」(仮称)の認定を受けた場合、対象期間内に発生した欠損金を最大で5年間、欠損金の繰越控除前の所得金額の範囲内で所得からの控除が行えるようになります。
7.中小企業者等に係る軽減税率の延長
中小企業者等に適用されている、年所得800万円以下の部分の軽減税率(15%)の適用が2年延長され、2023年(令和5年)3月31日までに開始する事業年度までとなります。
【所得税関連】
1.住宅ローン控除の延長及び)床面積要件の緩和
住宅ローン控除について、従来より、住宅の取得等に係る消費税が10%の場合に控除期間を13年間とする特例がありましたが、その特例が延長されることになります。
具体的には、2022年(令和4年)末までの入居により、特例の適用が受けられることとなります。
また、従来は適用対象として床面積が50㎡以上の住宅に限られていましたが、40㎡以上50㎡未満の住宅でも対象となります。ただし、その場合の所得要件は、合計所得金額が1,000万円以下の場合に限られます。
なお、適用期間の11年目から13年目については、年末借入金残高(4,000万円を限度)の1%と住宅取得等の税抜対価の額(4,000万円を限度)×2%÷3の、いずれか少ない金額が上限とされます。
2.退職所得課税の適正化
従業員の退職所得課税について、勤続年数5年以下の場合には、収入金額から退職所控除額を控除した残額のうち、300万円を超える部分については2分の1に軽減される措置が廃止されます。
役員については、従来より、勤続年数5年以下の場合には、2分の1に軽減される措置が定められていましたが、従業員についても、短期間勤務予定の場合の給与を下げ、代わりに高額な退職金を支払うことが行われていたため、それを阻止するための改正です。
【相続税・贈与税関連】
1.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
教育資金の一括贈与の非課税措置について、贈与者死亡時における相続税の課税対象が贈与者死亡前3年以内の贈与に係る残額についてのみだった点を改め、全ての贈与に係る残額が相続税の対象とされます。その上で、適用期間が2年延長されます。
また、受贈者が孫・ひ孫の場合には、相続税の2割加算の適用対象とされます。
2.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置の見直し
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置について、受贈者が孫・ひ孫の場合には、贈与者死亡時の相続税額(受贈者が50歳に達した時点の残額が対象)が2割加算の適用対象とされます。
また、受贈者の年齢要件の下限が、従来の20歳から18歳に引き下げられます。
3.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の据え置き等
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額を2020年(令和2年)4月から2021年(令和3年)3月までの契約分と同額に据え置かれることとなります。
また、対象となる住宅用家屋の床面積要件について、受贈者が贈与を受けた年分の所得税の合計所得金額が1,000万円以下である場合には、下限が従来の50㎡から40㎡に引き下げられます。
4.土地の固定資産税等の課税標準額の据え置き
新型コロナウイルスの影響を踏まえて納税者の負担を軽減するために、3年に一度の固定資産税評価額の評価替えの年である2021年度(令和3年度)においては、固定資産税評価額が上昇した土地については、課税標準額及び税額が据え置かれることとなります。
【その他】
1.税務関係書類に係る押印義務の見直し
担保提供書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付が求められている書類や遺産分割協議書を除き、従来押印が必要だった税務関係書類については押印を要しないこととされます。
2.国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度の見直し
電子帳簿等保存制度について、事前承認制度を廃止し、一定の要件を満たせば訂正履歴の確認や検索機能などがない電子帳簿でも電子データによる保存が認められることとなります。
また、改正前の要件を満たす帳簿について、申告漏れがあった場合に課される過少申告加算税については、5%に相当する金額が控除されることとなります。
3.国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
国税関係書類のスキャナ保存について、承認制度が廃止され、3日以内とされていたタイムスタンプ付与期間が、記録事項の入力期間と同様(最長2か月)となります。
また、受領者がスキャナ読み取りを行う際の書類への自署を不要とし、訂正・削除履歴が残るシステムにデータ保存を行う場合にはタイムスタンプが不要とされます。
(なお、消費税関連の改正については、今回は多くの企業に影響を与えるといった項目はなかったため、割愛させていただきました。)
January 15, 2019
平成30年12月14日、自民・公明両党により平成31年度税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱は、あくまでも税制改正案ではありますが、政権与党(自民党・公明党)により取りまとめられたものであり、ほぼそのまま可決されることが多いものです。
主な内容は以下の通りです。
一部、意訳を交えて。
<基本的考え方>
・少子高齢化を前提とした社会保障の確立、財政健全化のために消費税率10%への引き上げを確実に行う
→過去2度の延期はあったが、今回は必ずやります!
・一方で、平成26年4月に消費税率を8%に引き上げた際には駆け込み需要の反動で景気が落ち込んだため、そういったことが起こらないよう対策を行う
→過去の反省をちゃんと踏まえますよ!
・研究開発は、我が国の経済成長にとって非常に重要なものであるため、研究開発税制を見直し、より優遇する
・深刻な人手不足に直面している中小企業を支援するために、積極的な設備投資を促す措置を講ずる
・税収が大都市部に偏っていることから、それを是正するための措置を講ずる
→政権与党の地方票を意識した施策が見え隠れ
・仮想通貨取引やインターネットを通じた仕事の請負による所得についても、きちんと課税されるような措置を講ずる
<法人税関連>
1.研究開発税制
従来にも増して試験研究費の増加を促すため、総額型(試験研究費の総額に対する税額控除)の税額控除率が見直されます。
具体的には、試験研究費割合が0%~8%の場合には税額控除率が増加し、△25%~0%の場合は税額控除率が減少することとなります。
また、この総額型について、研究開発を行う一定のベンチャー企業(設立10年以内で、翌期繰越欠損金がある法人)の税額控除限度額が当期の法人税額の40%に引き上げられます(従来25%)。
オープンイノベーション型(国の研究機関、大学等との共同研究やそれらに委託して試験研究を行うもの)について、税額控除の対象となる特別試験研究費の範囲の拡充が図られます。具体的には、一定の要件を満たす企業間の委託研究に関する費用が加えられることとなります。
研究開発はどんどんやって下さい!という意味が込められています。
2.中小企業に関する税制優遇措置
中小企業者等について、年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(本則税率は19%)の適用が2年間延長され、2021年3月31日までに開始する事業年度までとされます。
また、中小企業者等が設備投資を行った場合の優遇措置(一定の税額控除や特別償却が認められるもの)についても2年間延長され、2021年3月31日までの間に事業の用に供した資産が対象となります。
なお、いわゆる「みなし大企業」の判定における大規模法人の範囲が拡大することにより、中小企業者の範囲が縮小されることになります。具体的には、大規模法人の支配下にある孫会社も中小企業特例における中小企業者から除かれることになります。
<所得税関連>
1.住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の特例の創設
前回の消費税率8%への引き上げの際に、様々なものの価格が一斉に上昇し、大きな需要変動が起りました。そこで、住宅については需要変動の平準化のために、2020年末までの消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の期間が3年延長され、13年間となります。
11年目から13年目については、以下のいずれか少ない金額の控除を受けることができます。
・住宅借入金等の年末残高×1%
・住宅の取得価格(税抜)×2%÷3
駆け込み需要や消費税引き上げ後の消費の冷え込みを抑える目的があります。
2.空き家についての譲渡所得の特別控除の拡充・延長
現行では、被相続人が老人ホーム等へ入所したことにより、被相続人が住んでいた住居が相続開始直前において空き家になった場合、空き家に係る譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例は適用できませんでした。
改正案では、被相続人が老人ホーム等に入所したときから、相続開始直前まで被相続人による一定の使用がなされていることなどの要件を満たせば、相続開始直前において被相続人が住んでいたものとして、特別控除を受けることができるようになります。
また、当該特別控除の適用期限が4年間延長され、2023年までに行う譲渡について適用が可能となります。
3.ストックオプション税制の拡充
ストックオプション税制(株式会社の取締役等が一定の要件の下、新株予約権等を行使して株式を取得した場合に、所得税の課税が株式の譲渡時まで繰り延べられる、いわゆる「税制適格ストックオプション」)について、その適用対象者に「特定事業者」が追加されます。
特定事業者とは、中小企業等経営強化法に規定する認定新規中小企業者等(仮称)が、同法の規定する新事業分野開拓計画(仮称)に従って活用する取締役及び使用人等以外の者(新事業分野開拓計画(仮称)の実施期間の開始の日から新株予約権の行使までの間、居住者である等一定の要件を満たす者に限る)をいいます。
4.ふるさと納税制度の見直し
ふるさと納税制度の健全な発展に向けて、全国各地の地域活性化に繋げるため、過度な返戻品の送付を送付し、制度の趣旨を歪めている自治体については、制度の対象外とする措置が講じられます。
寄附金の募集を適正に実施し、返礼品の返戻割合を3割以下、かつ地場産品としている場合に限り、ふるさと納税の特例控除が認められることとなります。
これは以前から議論されていたところですが、一部の自治体が返戻割合の非常に高い返礼品を送っていたり、換金価値の高い返礼品を送っていたりといった状況について、ふるさと納税の趣旨を逸脱していると批判されたことから設けられた措置です。
<相続税・贈与税関連>
1.個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設
非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度の特例に準じて、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設されます。
これは、10年間の時限措置として認められるもので、都道府県に承認計画を提出することを要件に、特定事業用資産(先代(被相続人・贈与者)の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供されていた土地、建物等で青色申告書の貸借対照表に計上されているもの)の相続・贈与に係る相続税・贈与税が猶予される制度です。
2.特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し
小規模宅地等の特例についての特定事業用宅地等の範囲が見直されます。具体的には、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等については、特例の対象から除外されることとなります。
ただし、当該宅地にて事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地の等の価額の15%以上である場合は除かれます。
3.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の要件緩和
非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(被相続人から非上場会社の株式又は出資を相続又は遺贈により取得した場合に、一定の要件の下、当該非上場株式等に係る相続税の納税が猶予・免除される制度)について、現行では資産保有型会社等に該当した場合、直ちに納税猶予は取消されることとなっておりますが、一定のやむをえない事情により資産保有型会社等に該当し、6カ月以内に該当しなくなった場合には、納税猶予の取消事由に該当しないものとされます。
<その他>
1.仮想通貨関連(法人税)
法人が期末に保有する仮想通貨について、その評価方法および譲渡した場合の譲渡原価の算出方法が明確化されます。
活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上するものとされます。また、譲渡原価の算出方法については、移動平均法または総平均法による原価法とされ、法定算出方法は移動平均法による原価法とされます。
2.仮想通貨関連(所得税)
仮想通貨の取得価額の算出方法について、現行は移動平均法が相当であり、継続適用を条件に総平均法を用いても差し支えないとされておりましたが、改正後は移動平均法又は総平均法により算出するものと定められています。
October 17, 2018
会計事務所を立ち上げて9年、数多くのドクターの先生方とお話しさせていただきました。ドクターが税金についてどんなところに疑問を持ちやすいか、どの部分を解説すれば理解していただけるかという観点から易しく書いてみました。
本書出版のきっかけは、ドクター向けの税金の本は数多く出版されているものの
・難しいことばで書かれているものが多い
・節税ばかりが取り上げられている
・同様の理由から開業や医療法人化をやたら勧める内容の書籍がある
と感じたためです。
本書は偏りなく、易しい言葉で難解な税金のルールなどを解説することに重きを置いています。また、単に税金の説明だけでなく、租税教育的な内容とするため、租税法の基本的考え方、脱税をした場合のペナルティなどについても触れました。さらに、開業医のみならず勤務医の先生にも役に立つ情報を盛り込みました。
ぜひ手に取っていただければと思います!
中央経済社ホームぺージ
アマゾン
January 18, 2018
昨年中は高騰が続いたため、今回のように年明けに暴落すると納税資金が確保できない!といった方も多いかと思います。今回はそんな方へのヒントのための記事です。
昨年一年間のご自身の活動をよく振り返ってみて下さい。なにか副業と言われるようなことはしていませんか?メルカリで転売を行った、アフィリエイトをやっていた、クラウドソーシングで少し仕事を請け負ったなど。それらで損が出ていれば、結果として仮想通貨による所得と相殺することができます。
ただし、FXや株での損失とは相殺できないので気を付けて下さい。
以上、少しでも節税のお役に立てればと思います。
December 29, 2017
平成29年12月14日、自民・公明両党により平成30年度税制改正大綱が公表されました。
税制改正大綱とは、確定したものではありませんが、ほぼこのまま改正されることになります。
冒頭の基本的考え方では、
・富裕層の課税をより強化すべきであること
・企業に賃上げを促すべきであること
・円滑な事業承継を促すべきであること
・国際的な脱税を取り締まるべきであること
などが記されています。
<法人税関連>
企業経営にとって重要な改正案を以下挙げます。
1.所得拡大促進税制
一定額給与を増やした企業について認められる税額控除の制度ですが、この適用要件が簡素化されます。
具体的には一人当たり平均給与について、中小企業では1.5%以上、大企業では3%以上増加させることにより税額控除を受けることができるようになります。税額控除の金額については、給与総額の増加分の15%とされます。
2.情報連携投資等の促進に係る税制の創設
青色申告を行っており、活用計画の認定を受けることを要件として、5,000万円以上の一定のソフトウェア等を取得した場合には、特別償却または特別控除を受けることができる制度です。
5,000万円以上の資産が対象なので、大企業が中心となるかもしれません。
3.交際費、少額減価償却資産の特例の延長
交際費損金不算入制度が2年延長されます(中小企業は年間800万円まで損金算入が認められます)。
また、中小企業者が30万円未満の減価償却資産を取得した場合(年間総額300万円まで)に全額損金算入できる制度についても2年間延長されます。
4.大法人の電子申告の義務化
大法人の税務申告について、電子申告(e-Tax)が義務化されます。電子申告を行わなければ無申告とされるため、注意が必要です。
<所得税関連>
1.給与所得控除の見直し
サラリーマンなどの給与所得者に認められている給与所得控除が一律10万円引き下げられます。また、給与所得控除の上限についても、給与収入850万円超の場合に195万円が限度とされます。
2.基礎控除の見直し
基礎控除(あらゆる人に認められている所得の控除)が一律10万円引き上げられます。一方、合計所得金額が2,500万円を超える場合には、基礎控除はゼロとされます。
3.青色申告特別控除の見直し
青色申告特別控除(青色申告を行っている個人に認められる控除)が10万円引き下げられ、55万円とされます。ただし、電子申告(e-Tax)を行っているなどの要件を満たすことにより、現行と同じ65万円の控除を受けることができます。
<相続税・贈与税関連>
1.事業承継に関する相続税・贈与税の納税猶予制度
先代経営者から引き継いだ非上場株式に関する納税猶予制度が使いやすくなります。納税猶予対象となる株式が発行済株式総数の100%となり、猶予される税額も100%に引き上げられます。
2.一般社団法人に関する相続税・贈与税の見直し
一般社団法人に関する相続税・贈与税の課税が強化され、一般社団法人の役員が死亡した場合に、同族役員数が役員総数の過半数となる場合には、一般社団法人に相続税が課税されることとなります。
3.小規模宅地等の特例の見直し
いわゆる「家なき子特例」の要件が見直されます。
相続人が、3親等以内の親族または特別の関係のある法人が所有する家屋に居住したことがあれば、特例を受けることができなくなります。
以上、税制改正大綱を簡潔にまとめました。
詳しくは是非大綱をご覧ください(自民党のホームページに全文が載っています)