2017年02月20日

これからの中国経済を見るポイント

拙書 『経済はこう動く』 でも述べていることですが、2017年の中国経済を見るうえで最大のポイントは、中国政府が小型車減税を2016年末で打ち切るのか、あるいは2017年末まで延長するのか、ということでした。中国でも自動車産業は製造業の要となっており、推定で5000万人近い雇用を支えているからです。

中国政府にとってその差配が難しかったのは、小型車減税を2017年末まで延長するのであれば、目先の心配がなくなって済むのですが、延長する期間が長くなれば長くなるほど、その後の反動が大きくならざるをえないということです。そういった意味では、予定通りに打ち切るのも心配であったし、延長するのもまた心配であったというわけです。

その結果として中国政府が昨年末に下した判断は、2016年まで小型車の自動車取得税を10%から5%に引き下げた減税措置を、2017年末までは7.5%と半分に圧縮するというものでした。従来の減税措置の「打ち切り」と「延長」のちょうど間の政策判断をしたというわけです。

私の見通しでは、減税幅が半分に圧縮されたとはいえ、下支え効果がなくなったわけではないので、2017年の中国経済には大きな波乱はなさそうです。ただし、減税幅の圧縮により、2016年のような効果はとても見込めないと考えるべきでしょう。

歴史を振り返れば、中国政府は2008年のリーマン・ショック後に消費を喚起しようとして、2009年~2010年の2年間にわたって小型車減税を実施しています。政府は当初、小型車減税は1年間だけの実施予定としていましたが、当時の経済環境を考慮してもう1年間だけ延長するという決定がされたのです。

確かに減税の効果によって、2009年の新車販売台数は45.5%、2010年は32.4%と大幅に伸びたのですが、減税終了後にはその反動によって、2011年は2.5%、2012年は4.3%と、その伸びは大いに鈍化することとなりました。

2009年~2010年当時の中国は、4兆元投資も重なってバブルに近い景気の拡大期にあったのですが、2016年に新車販売台数が13.7%増えたというのは、現在の景気が減速期にあるなかでは、十分に健闘しているといえるでしょう。

そこで心配なのは、小型車減税が2017年末に終わることによって、需要の先食いがかなり起こるだろうと考えられることです。実のところ、2016年の小型車販売の伸び率は21.4%と突出していて、乗用車全体の7割強を占めるまでになっているのです。

ですから、2018年の新車販売の現場では、相応の反動減を覚悟しなければならないでしょう。供給の過剰感が強まることで安売り競争にいっそう拍車がかかり、疲弊したメーカーのなかには破綻するところが出てくるかもしれないのです。


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keizaiwoyomu at 15:06|この記事のURL経済分析 

2017年02月13日

トランプ政権になっても、米国経済の大きな流れは変わらない

米国経済が他の主要国や主要地域と比べて好調であるのは、個人消費が経済全体を下支えできているからです。近年、設備投資や輸出の伸びが芳しくないにもかかわらず、個人消費は平均して3%台の増加を続けてきているのです。

個人消費が伸びている最大の要因は、原油安をきっかけに物価が下落し、米国民の実質所得が上がってきているためです。2015年の消費者物価の上昇率が0.1%と低迷したばかりか、卸売物価指数にいたってはマイナス0.9%とデフレの状況にあったのです。その結果、2015年の家計所得(物価上昇を考慮に入れた)の中央値は5万6516ドルと5.2%増加し、その増加率は1967年の調査開始以来で最大となったというわけです。

この続きは、2月13日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


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2017年01月23日

これからの米国経済を見るポイント

米国経済の動向を見る最大のポイントは、拙書『経済はこう動く』でも述べているように、これからの米国10年債利回りの推移にあります。このような見方は、米国の大統領が誰になろうとも関係はありません。

過去数年の米国の経済成長を下支えているのは、個人消費の3%~4%の高い伸び率です。設備投資や輸出が冴えないなかで、個人消費が目立って堅調なのは、原油安や低金利により家計の購買力が高まり、自動車と住宅の両市場が好調を持続しているからです。

しかし、米国の大統領選後、米国債の利回りは1.6%台から2.6%台に跳ね上がり、20日現在では2.4%台と高止まりしています。長期金利が2%台後半になってもっとも懸念されるのは、消費の柱である住宅市場がこれまでの堅調さを維持できなくなってくるということです。米国の住宅価格はすでにバブル最盛期に近づいており、割高感が意識されているものの、史上最低と言われる低金利が住宅市場を牽引してきたのです。

リーマン・ショック後の景気回復の過程では、住宅市場が失速した時期が1回だけありましたが、それは長期金利が1.6%台から3.0%台まで駆け上がった影響を受けた2013年秋~2014年春のことでありました。住宅価格は当時と比べてかなり高くなっているので、住宅市場は想定外の金利上昇に対して、市場関係者が考えている以上に脆弱になっているように思われます。

さらには、消費のもうひとつの柱である自動車市場は、薄利多売による競争激化や原油価格の底入れ、金利の上昇などによって、2016年(正確には、2016年前半)にはピークを打っていた可能性が高いと見ています。2017年の新車販売は8年ぶりに減少に転じ、耐久財消費に暗い影を落とすことになるのではないでしょうか。

米国経済を個人消費が牽引している現状では、金利の上昇はもっとも避けなければならない事態であるはずなのですが、何故かウォール街はそのようなことは意識していないようです。「巨額インフラ投資」や「大型減税」で景気が拡大すると期待する勢力は、そういった期待が長期金利の上昇によって簡単に打ち消されてしまうリスクを見逃してしまっているのです。

また、長期金利の上昇とそれに連動するドル高を放置すれば、米製造業の業績悪化は避けられないという事態もわかりきっていることです。そのことを踏まえると、トランプ政権はどこかで支持者の離反を招きかねないドル高を抑制しなければならず、長期金利を抑え込む必要に迫られるかもしれません。すなわち、「巨額インフラ投資+大型減税」と「ドル安」は相容れない政策であるというわけです。

そういった意味では、トランプ政権がどういった選択をするのか、それによって長期金利がどのように推移するのか、注意深く見ていく必要があります。

※ヤフーファイナンスにも、同じ記事を掲載しています。


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2016年12月30日

2016年の最後に思うこと

拙書 『ビジネスで使える経済予測入門』 から言葉を借りれば、私のこれまでの経験では、経済の予測のほうが市場の予想よりもかなり精度が高いことがわかっています。経済の大きな流れを外すことはほとんどなかったと思いますし、大きく外すという要素も市場の予想に比べれば、はるかに少ないという事実があるからです。

逆の見方をすれば、市場の予想のほうが経済の予測よりはるかに難しいし、市場の予想がぴったりと当たることは稀であるといえます。そういった意味では、経済の予測をするのにあまりプレッシャーを感じたことはありませんが、為替や株価の予想をする時はいつも 「外しはしまいか」 という懸念を持ちながら述べてきました。

過去10年以上を振り返って、私は経済の見通しを大きく外したことはないと思っております。しかし、市場の予想では今のところ、4年~5年に一回のペースで大きく見誤ってしまっています。まさに今回のトランプ・ラリーはまったく予想することができなかったので、 「大きな誤り」 の事例に当てはまってしまったのです。

今回のように市場が想定外の動きをした時に、差別化された 『経済展望レポート』 では上手く対処できるように戦略 (11月18日の記事参照) を構築しているので問題はないのですが、ブログや拙書ではその後のフォローを臨機応変にできる体制をとることができていません。大きな重圧を感じる主な原因は、まさにこの点にあります。

ですから、来年以降はブログや拙書などでは、市場の予想は一切しないという結論に達しました。『経済を読む』 というタイトルどおり、このブログでは経済の見通しだけを述べていくつもりですし、拙書 『経済はこう動く』 では市場の予想がいちばん求められていたので、もう書くことはないと決心しております。

それが、私なりのプロとしての責任の取り方でありますし、日頃から 「結果の検証をしないプロ」 への苦言を呈している自身の処し方であると考えております。(そう思う反面、いちばんの重荷を降ろすことができるので、少しほっとしているところもあります。)

最後に、経済と市場はまったく別物であり、トランプ次期政権になっても経済の大きな流れはあまり変わらないでしょう。長期金利の急騰によって、むしろ米国の景況感の悪化は少し早まるのではないかと懸念しているところなのです。


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keizaiwoyomu at 14:22|この記事のURLその他 

2016年12月26日

大博打に勝利したヘッジファンド

トランプ次期米国大統領が本当に「できること」と「できないこと」が明らかになってくるのは、来年の1月20日の政権発足以降の話になります。さらには、具体的なことが決まってくるのは、春先になるだろうと考えられます。

今のところ、トランプ次期政権の人事を見ていると、共和党主流派の取り込みに成功しているとはいえない状況にあります。その意味では、米国の長期金利の急騰をもたらす契機となっている「巨額のインフラ投資」と「大型減税」の実現性については、どちらも米議会で満額回答を得るのは極めて難しいだろうと見ています。(そもそも、米国では建設労働者が今でも不足していて、海外から労働者を引っ張ってこなければ、1兆ドル規模のインフラ投資は無理です)。

共和党主流派の基本的な考えを大枠でいえば、主に「親ビジネス」と「財政再建」の2つが挙げられます。トランプ氏は「親ビジネス」の面では共和党とある程度はうまくやっていくことができるかもしれませんが、1兆ドルのインフラ投資はもちろん、大型減税などは「財政再建」の面から懸念が強く、共和党とどの程度のところで妥協点を見出すかが焦点になってくるのではないでしょうか。

この続きは、12月23日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


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keizaiwoyomu at 13:58|この記事のURL市場分析 

2016年12月15日

想定外の相場に冷静に対処する方法

拙書やブログではこの4年あまり、大きな誤りもなく無難に経済や市場の予測を述べてきたつもりですが、米大統領選におけるトランプ氏の勝利とその後の「トランプ・ラリー」と呼ばれる相場はまったく予測するこができませんでした。

どこで間違ったのか自分なりに反省点を探してみたのですが、とりわけ「トランプ・ラリー」については反省点が1つも見つからない状況にあります。実際のところ、ヘッジファンドの面々は大統領選前に買いと売りの両建てで結果を見守っていた過程で、彼らのほぼすべてはトランプ氏が勝利したら株価は下がるだろうと予想していたのです。

おまけに、2000年以降の市場を見てきて、これほど短期間で米国の長期金利が急騰したことを見たことがありません。さらには、長期金利の急騰によって、米ドルは主要通貨(通貨バスケット単位)に対して歴史に残るほどの急激な上昇をしてきています。要するに、私の今の見識では、「トランプ・ラリー」は100%予想不可能だったということです。

そういったわけで、拙書「経済はこう動く(2017年版)」では、早い段階で市場の予想を外してしまっています。発売時期が決められた1年に1回の単行本では、今回のような事態が起きた時に、臨機応変に対応することが非常に難しいと感じている次第です。「経済展望レポート」と同じ内容をすぐにブログに書くこともできませんし、悩ましい状況が続いております。

それでも、基本的な方針は、11月18日の記事「想定外の相場にどう対処したらいいのか」で述べさせていただきました。日経平均株価がボックス圏の上限である17905円を超えるとすれば、それは想定外の領域に入るというわけですから、そういった読めない相場になった時こそ、敢えて売買をしないのが賢明であると訴えたかったのです。読めない相場に手を出すのは、上がるか下がるかの博打になってしまうからです。

捕捉を加えるとすれば、私は昨年の12月初めの段階では、「来年は上値と下値を切り下げてのボックス圏相場に入るのではないか」と申し上げましたが、現時点の局面では、「来年は上値と下値が今年よりも少し切り上がったボックス圏相場になるのではないか」というイメージを持って見ています。

今回の上昇相場に乗れていない国内の日本株運用者たちはかなり焦っているといいます。「押し目待ちに押し目なし」の状態が続き、指数の上昇に比べると運用成績の悪化が顕著になっているからです。ですから、12月に入ってからは、こういった国内の運用者たちが積極的に上値に買いを入れているということです。

そういった意味では、個人投資家にはノルマ上の制約がなく、時間軸を長めに取って市場に接することができるので、機関投資家よりも有利な状況にあるといえます。バフェットも「自分にわからないものには手を出さない」という方針を貫いていますが、その考え方を個人投資家も取り入れるべきだと思います。

ところで、東洋経済新報社の「経済はこう動く」については当初から、「私が予測を大きく外すことがあれば、その次の年からは出さない」と心に決めておりました。それが3年後になるのか、4年後になるのか、5年後になるのか、私なりに覚悟はしていたつもりですが、それが米大統領選の結果で訪れるとは思っておりませんでした。

まだ出版社には申し上げておりませんが、「経済はこう動く」の2018年版は出すつもりはありません。また、拙書やブログ、オンラインでは来年の1月以降、経済の予測だけに限定し、市場の予想については述べないようにするつもりです。それが、アナリストとしての矜持であると考えております。


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keizaiwoyomu at 12:53|この記事のURL市場分析 

2016年11月24日

マンション・アパート経営は厳しい時代に

2016年に入ってからのGDPの内訳を見ると、唯一好調さを保っているのは住宅投資の分野です。これは、貸家となるアパート、マンションなどの集合住宅の建設が大幅に伸びているためです。国土交通省によれば、2015年の貸家の着工戸数は前年比で4.3%増えましたが、2016年の9月までの累計では前年同期比で9.7%増となり、その勢いを加速させているのです。

このような貸家の建設は、2015年1月に相続税の増税がなされたことでブームに火が付き始めました。もともと多くの資産家が貸家を建てて相続税の評価額を引き下げるという節税法を使ってきましたが、相続税の基礎控除額の縮小によって相続税を納める必要がある被相続人の数が倍増するだろうといわれています。この節税法を使う人々の資産額のハードルが大幅に下がったというわけです。

2015年よりも2016年に貸家の建設が2倍超に伸びているのは、日銀のマイナス金利政策によって借金が以前よりも容易にできるようになったためです。長期金利のマイナスが常態化するなかで、銀行は今や普通の住宅ローンに比べ貸出金利が高めに設定しやすいアパート・マンション向けの融資を積極化しています。その結果として、景気が停滞しているにもかかわらず、アパートやマンションの建設に行き過ぎ感が表れ始めているのです。

この続きは、11月19日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


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keizaiwoyomu at 09:02|この記事のURL経済分析 

2016年11月18日

想定外の相場にどう対処したらいいのか

想定外の株価上昇が短期間で起こりましたので、拙書やブログの読者のためにも今回は特別に、『経済展望ミニレポート11月16日号』を掲載させていただきます。レポート購読者の方々には、ご理解をいただきたいと思います。

(以下、『経済展望ミニレポート11月16日号』全文)

11月9日および10日号では、「先が読みにくいなかで、念には念を入れて、11月中は臨時のミニレポートを随時お送りすることで対応させていただきたい」としましたが、早くもミニレポートをお送りするタイミングが訪れてしまいました。米国で長期金利が急騰することによって、為替市場ではドル高円安も急激に進行し、日経平均株価が明日にも上値17905円~下値14864円のボックス圏を上へ突き抜けようとしているからです。

3月11日号のレポート以来、今回のボックス圏での対応方法として一貫して申し上げてきたのは、2016年~2017年は損をしないだけでも少数の勝ち組になることができるので、決して無理をしないようにすることでした。それ以降のレポートでも、2015年までのリスク資産の運用を100とすれば、2016年以降は30程度で十分という判断をさせていただきましたし、現物のみの対応で信用や先物には手を出さないようアドバイスもさせていただきました。

もちろん、私の判断は大失敗をしないためのものであり、絶対的な指針ではありませんので、各々の方々がご自身のリスクを計算しながら売買していただいて問題はございませんが、仮に私の判断どおりに売買しているとすれば、現時点では現物を売り上がってポジションは持っていないということになります。ポジションを持っていない現状では、ボックス圏の上限を超えてきた場合、それが一時的なものであるのか、あるいは継続的なものであるのか、焦る必要はなく冷静に見ることができます。

先進国の株式を先物主導で買い進める海外の投機筋の狡猾なシナリオを推察すると、市場関係者に上がるという材料を提供して煽るだけ煽っておいて、ある程度のところで利食いを入れてくるのではないでしょうか。海外の投機筋のなかに3か月後や6が月後にポジションを持ち続ける筋がいるとは、とても考えられないのです。トランプ氏の大統領選勝利を見越して売っていた売り方が買い戻しを迫られる状況での大幅高となっていますが、私の判断では、明日以降、相場がどう動こうと静観したほうが無難ではないかと考えております。

長い目で見れば、長期金利の急騰によって米国経済はダメージを受ける可能性が高まっていきますし(拙書をお持ちの方は、46~50ページを参照してください)、その結果として、再びドル安円高への巻き戻しが起こり100円~105円のレンジに回帰していくことになるだろうと予想しております。ただし、短期的にはドル円相場が達成感の出やすい110円台で止まるのか、さらにもう少し円安が進むのか、それは誰にもわからないことです。先が読みにくい相場は休むのが肝要だと思っている次第です。


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keizaiwoyomu at 15:31|この記事のURL市場予測 

2016年11月10日

トランプ大統領が誕生しても、これまでの投資戦略に変更はない

このブログや連載コラムでは拙書『経済はこう動く〔2017年版〕』のPRをさせていただきましたが、私は拙書のなかで、米国の大統領選でトランプ氏が勝利したことについて予想を外してしまいました。最後には、クリントン氏のメール問題再燃が尾を引いたわけですが、選挙の結果を公に予想したからには、結果がすべてであると思っております。私の読みが甘かったということであり、一切の言い訳をするつもりはございません。

しかしながら、多くの読者の方々が拙書のマーケット予想に期待していただいているということもあり、トランプ大統領の誕生により日経平均株価の見通しに修正が必要かどうかだけは、このブログや連載コラムで申し上げる責任があると思い、改めて見通しを述べることにいたしました。
 
私がボックス相場に入ったと判断し、初めて公にお伝えしたのは、3月11日の経済展望レポートおよび3月12日の『投資戦略フェア EXPO2016』での講演でしたが、その要点を一文でいえば、「日経平均株価は2月の上値17905円~下値14865円の3000円幅のボックス相場に入っている」というものです。もちろん、拙書のなかでもこのボックス相場はしばらく続く可能性が高いだろうと予想しております。

厳密にいえば、6月末に英国のEU離脱ショックを受けて、新しい下値は14864円と14865円を1円だけ割り込む形となりましたが、1円の違いは完全に無視してしまって問題はありません。むしろ、強力なダブル・ボトムの下値支持ラインが出来上がったと考えるべきでしょう。

ボックス相場での投資戦略は非常に単純であり、小難しいことを何も考える必要がありません。すなわち、下値14864円に接近する過程では3回くらいに分けて買い下がり、それとは逆に、上値17905円に接近する過程では3回くらいに分けて売り上がりをしていくという、機械的な売買が有効になりえるのです。

これは、もっと簡略化すれば、16000円割れは数回に分けて買い、16000円~17000円は買いも売りも見送り、17000円超えは数回に分けて売るという形に置き換えることができるでしょう。日経平均株価に連動するETF等で、このような売買を機械的に繰り返すだけでいいというわけです。

それでは、トランプ大統領が誕生したからといって、この投資戦略を修正する必要があるのでしょうか。私はトランプの勝利後のスピーチを聞いているかぎり、今のボックス相場に変化はないだろうと考えております。要するに、今の投資戦略を修正する必要はまったくないだろうと見ているわけです。

これまでトランプ氏は選挙戦において繰り返し国民の分断を煽ってきましたが、そんな彼が勝利後のスピーチで国民の団結を呼びかけていたのには、正直申し上げて非常に驚きました。私たちが見てきた彼はある意味では虚像であり、本当のところは現実を直視し、国民の分断を決定づけるような極端な公約を修正できる人物であるのかもしれません。

そうであるならば、株式市場では来年5月のフランス大統領選までは大したリスクはないだろうと見ております。来年の日経平均株価を見る時に重視すべきは、上値17905円~下値14864円のボックストレンドの下値を突き破ってしまうのか、あるいは下値14864円で強い抵抗を見せるのか、冷静に見極めなければならないということです。来年のポイントは、株価がボックス圏の下値14864円をキープできるのか、この一点に尽きると考えることができます。

拙書でも述べていますように、来年の金融市場に関する予想は、私が昨年末に今年の予想をした時よりも、格段に難しくなっているように思われます。円相場にしても株式相場にしても、次のトレンドへの転換を以って事後的に判断するしかないからです。おまけに、政治的なイベントの日程を把握していたとしても、それらの結果が前もって読むのが難しいという問題もあるのです。

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keizaiwoyomu at 00:37|この記事のURL市場予測 

2016年11月02日

新刊PRのインタビュー

新刊 『経済はこう動く(2017年版)』 のPRも兼ねて、「美人すぎる金融アナリスト」として評判の三井智映子さんからインタビューを受けました。このインタビューも恒例となった気がしますが、今回も昨年のインタビュー時と同じように、経済を予測するポイントや今後の米国・欧州・中国・日本の経済動向について、東洋経済オンラインで3回にわたって述べていますので、興味がございましたらご覧いただければと思います。
(※オンラインのタイトルは編集者が決めておりますので、いちばん伝えたいことがタイトルになっているとは限りません。ご了承ください。)

第1回 2017年、世界を揺るがす「リスク」はあるか
第2回 2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる?
第3回 マイナス金利で日本は空き家だらけになる

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keizaiwoyomu at 09:03|この記事のURLその他 
レポート配信履歴
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