2012年03月

2012年03月21日

中小型株に妙味あり

「日経平均が10000円を超えた状況で、買える株があったら教えてください」という質問をよく受けるようになりました。世界的な金融相場と円安の進行は、4月~5月にかけていつ終わってもおかしくはありませんので、ここから日経平均に採用されているような大型株を買うのは、さすがに避けたいところです。しかしながら、中小型株にはまだ十分にチャンスがあると思っています。

拙書『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』の内容を少し引用させていただくと、世界の株式市場における日本株の存在感は、過去10年くらいで低下の一途をたどってきました。かつて海外の機関投資家はアジア株の区分を「日本株」と「日本を除くアジア株」としていました。しかし今や、日本株の長期低迷を反映してか、その区分は「中国株」と「中国を除くアジア株」に変わりつつあります。日本株は「中国を除くアジア株」に含まれるようになってきています。

日本株に対する関心の低下を受けて、日本株を専門とするファンド・マネジャーや日本株を担当するアナリストも減少しています。中でも、大口の投資家の関心が薄い中小型株には、すべての証券会社を見渡しても、担当アナリストが一人もいないという状況が珍しくありません。そのために、有望な企業が割安に放置されているケースが目立つようになってきているように思います。

世界の株式市場では、コンピューターによる自動売買を駆使して、短期の利ザヤを積み重ねるヘッジファンドの売買シェアが、年々高まってきています。日本の株式市場も例外ではなく、ファンダメンタルズを考慮しない短期の売買が主流になりつつあります。それを象徴するように、長期投資の代表格だった年金基金の日本株投資額は、この10年で6割以上も減少しました。

また、かつては長期投資を好んでいた個人投資家の多くも、現物株より投機性の高い株価指数先物や外為証拠金(FX)取引を好む傾向を強めてきています。そのような状況にあって、本来ならば収益性や成長性、財務の健全性をもっと評価されてもいいはずの中小型株が埋もれてしまっているように思います。

その何よりの証拠は、MBO(経営陣による買収)が増加傾向にあることです。経営陣が自らの企業の価値が株式市場で正当に評価されていると考えれば、MBOは起こりえません。企業価値から判断し、明らかに株価が割安に放置されているため、経営陣が株式市場への不信感を募らせ、退場を選択しているのです。(引用はここまで)

TOB(株式公開買い付け)の実施も増加傾向にあります。今年は2月末までにすでに18件の届け出があり、前年同期より5割も増えています。TOBが増える背景にも株安があります。日経平均は直近では上昇基調ですが、リーマンショック前と比べれば未だ2割ほど低い水準です。株価に割安感が出ていた企業が増えたことが、M&Aを考える企業にとって好機と映ったようです。

この内容は資産運用のジャンルなので、この続きは『中原圭介の資産運用塾』で述べたいと思います。

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keizaiwoyomu at 18:31|この記事のURLその他 

2012年03月12日

昨年と同じ展開になるのか?

9日に発表された米国の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が22万人増加し、3カ月連続で20万人を超えました。景気回復への期待を背景に、失業者が徐々に職探しに戻ってきているせいか、失業率は8.3%と、前月と変わりませんでした。失業率は下がらなかったものの、雇用者数が17カ月連続で増えていることは、家計(消費者)の心理を明るくするのには十分な効果があると思われます。

一方で、先月の28日に発表されたS&Pケース・シラー住宅価格指数は、主要20都市の指数が前年同月比で4.0%下落、15カ月連続の下落となりました。前月比でも1.1%下落、4カ月連続の下落となり、住宅バブル崩壊後の最低値を更新してきました。住宅価格の下落は家計のバランスシートを悪化させるため、家計(消費者)の心理を暗くする負の効果をもたらすものと考えられます。

米国の経済を見る上で、雇用情勢と住宅価格の2つが最も重要でありますが、この2つが相反する傾向を示していることは、米国経済の状況を見えにくくしているように思われます。

そのような状況にあっても、金融相場による株高が、実態以上に経済見通しを楽観的なものにしているのは間違いありません。金融緩和によって大量に供給されたマネーは、どこかに投資されなければならないために、米国では低格付けの社債市場までもが活況を呈している状況です。

7日にはブラジルが5回連続の利下げに踏み切り、9日にインドも預金準備率の引き下げを決定しました。先進国に追随して新興国でも金融緩和が進むことで、株式市場は目先、堅調さを維持できそうです。

しかし、昨年もQE2の効果により1月~3月に楽観論が優勢になり、5月から市場環境と経済環境がともに悪化していったことを、念頭に置いておく必要があります。今年も昨年と同じように金融緩和の効果は徐々に失われていくものと思われます。どこかで突然、マネーが逆流し始めることも想定しておいたほうがいいでしょう。

ただし、昨年と違うのは、株価が年の途中で失速したとしても、その時はFRBによるQE3が切り札として控えていることです。確かに、QE3は市場のカンフル剤となり、株価を上昇させることができるでしょう。

ところが、それと同時に、QE3は株価のバブルや悪いインフレを世界にもたらし、その後の市場や経済を混乱させる要因を多分に孕んでいます。FRB内ではQE3を行ってもインフレにならない奇策を検討しているという噂が流れていますが、果たしてそのような策があるのか、関心を持って見守っているところです。

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keizaiwoyomu at 12:27|この記事のURL市場予測 

2012年03月08日

2015年までは通貨と株で資産を守れ!

(フォレスト出版) 2012/3/8発売


本日、新刊『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』(フォレスト出版)が出版されます。目次は以下の通りです。

第1章 世界経済はどうなる? 
第2章 欧州経済はどうなる?
第3章 米国経済はどうなる?
第4章 新興国経済はどうなる?
第5章 2015年までの資産運用

前著『騙されないための世界経済入門』(2010年11月)では、2011〜2012年の経済予測をテーマとさせていただきました。本書は、いわばその続編に位置づけられるものです。

2012年の現状に触れつつ、2013〜2015年あたりまでの世界経済の見通しを解説し、最後に「どう資産を守るべきか?」について述べております。

興味のある方はご覧いただけると幸いです。

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keizaiwoyomu at 14:36|この記事のURL拙書の紹介 

2012年03月02日

世界的な金融緩和は何をもたらすのか

2011年の年末を境に、金融市場は世界的な緩和局面に入りつつあります。先進国に加え新興国でも、欧州の景気後退が予想される中、金融政策を引締めから緩和へと転換させる動きが出てきています。

新興国の中でもいちばん早く動いたブラジルでは、すでに2011年9月から4回連続の利下げが行われました。他の新興国よりもインフレに神経を尖らせている中国でさえ、同年12月におよそ3年ぶりとなる預金準備率の引き下げを実施しましたし、BRICS諸国で物価上昇率がいちばん高いインドでも、2012年1月になって3年ぶりに預金準備率の引き下げに踏み切っています。

これまでの世界の金融政策は、先進国が緩和を続ける一方で、新興国は一貫して引き締めを行ってきました。そのために先進国と新興国の間では金融政策の不均衡が累積しつつありましたが、先進国に倣って新興国までもが金融緩和へと舵を切り始めたことは、世界経済に多くの不安定をもたらしてきたマネー経済が膨張する度合いを強めることを意味しています。それと同時に、新興国や途上国で高インフレが再燃する下地ができつつあるとも言えるでしょう。

世界的な金融緩和の流れの中で、実体経済と乖離した株高は長く続かないと分かっているにもかかわらず、資金を低コストで調達した金融機関やヘッジファンドによる株高が続くまでは付いて行こうというババ抜きゲームが、相も変わらず行われています。勝ち逃げを許す金融機関の報酬体系が改まらない限り、金融緩和が予想以上の株高をもたらすという傾向は今後も繰り返されるのかもしれません。

2012年中には、新興国での金融緩和がもう一段進むことが予想されます。そのような状況下で、米国が独善的なQE3を行うようなことがあれば、新興国や途上国では2011年に匹敵するインフレが起こり、経済的にも政治的にも深刻な危機に見舞われることが予想されるのです。にもかかわらず米国では、QE3待望論が日に日に強まってきています。

QE3により大量に供給された資金は株式市場や商品市場に流れ込み、株価や商品価格を上昇させることができるでしょう。ところが、QE3という劇薬は新興国に激しいインフレをもたらし、新興国経済が減速ではなく後退にまで陥る可能性を高めてしまいます。そうなれば、そのしっぺ返しが新興国で稼ぐ欧米の大企業にも及び、世界経済全体が急失速することが予見されるのです。

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keizaiwoyomu at 22:04|この記事のURL金融政策分析 
レポート配信履歴
9/14・9/29

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