2012年07月

2012年07月31日

欧州の政治が重い腰を上げ始めた

26日に、ECBのドラギ総裁が「どんなことをしてもユーロを守る」と発言したことで、ECBによる南欧国債の買い取り再開、または、ESMによる南欧の国債購入への期待が高まりました。

さらに27日には、メルケル首相とオランド大統領がスペインの危機を巡り、緊急の電話協議を行い、協議後の共同声明では、「ユーロ圏を守るためにあらゆることをする」と表明しました。

連日の要人たちの発言により、スペインの利回りは6%台まで低下し、欧米の株式市場は大幅に上昇しました。ひとまずは、危機を沈静化できた状態にあります。

たとえ欧州の首脳が休暇中であっても、危機が深刻化すれば、何らかの政治的アクションが出て来ることは確認できました。

29日には、ユンケル議長が独仏の新聞取材に応じ、「スペインの国債利回りの上昇を防ぐために、数日内の対策を決定する」「ECBと連携を強化していく」「ドラギ総裁の言うとおり結果を出して行く」と発言しています。

ここまで大風呂敷を広げておいて、今回は中途半端なことはさすがにできないのでは、と考えております。恐らくは、ESMで南欧国債を購入できるようにするか、ECBが南欧国債の買い取り再開をできるようにするか、どちらかの対策が有力であろうと思われます。「ESMで国債購入・ECBで利下げ」というセットでの対策も考えられます。

ただし、どのような対策が取られるにしても、今回も「時間稼ぎ」であることは認識しておかなければなりません。スペインの銀行に注入される資金は10兆円規模ですが、本当のところは20兆円~30兆円が必要であることは、関係当局の間では周知の事実であるからです。

スペインの銀行は住宅価格の値下がりに応じて、住宅ローンの減損処理を行っていない状況にあります。本来ならば30%近い簿価の縮小が必要なところ、直近で2%しか縮小していないのです。

それに加えて、ESMの発足は9月頃になると見られ、発足前に再び危機が蒸し返される可能性すらあります。

遅かれ早かれ、スペインの銀行の財務の深刻さが顕在化して、スペイン危機が蒸し返されるのは避けられないでしょう。その時に、欧州の政治がいよいよ抜本的な解決策に踏み込めるのかが、重要なポイントになるものと思われます。

(お知らせ1)
かつて拙書でも述べていたように、スペインの国債利回りが急騰する緊急事態となったため、間隔が短くてもがんばって更新しています。事態が沈静化すれば、また間隔が空くと思いますのでご了承ください。

(お知らせ2)
8月9日に新刊『これから世界で起こること』(東洋経済新報社)が発売されます。詳細については、以下のURLをご覧ください。
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keizaiwoyomu at 09:14|この記事のURL政治分析 

2012年07月30日

これから世界で起こること

(東洋経済新報社)2012/8/9発売


8月9日に新刊『これから世界で起こること』(東洋経済新報社)が出版されます。目次は以下の通りです。

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第2章 欧州経済は「停滞の時代」に突入する
第3章 なぜわたしたちはお金に縛られるのか?
第4章 お金の奴隷にならず豊かに生きる方法とは?
第5章 これから20年お金に困らない生き方と考え方

今後5年間の世界経済について確度の高い予測をし、その上で、自分のスキルを高めるためには何をなすべきか、あるいは、スキルを高めずとも堅実な人生を送るためには何をなすべきか、易しく解説しています。特に、20代~30代の若者に読んでほしいと思います。

興味のある方はご覧いただけると幸いです。

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keizaiwoyomu at 11:54|この記事のURL拙書の紹介 

2012年07月25日

タイムリミットはあと1カ月もないのでは

7月20日に、EUがスペインの銀行に対する約10兆円の支援策を正式決定しました。しかし、その決定から1週間も経たないうちに、スペイン国債の利回りが急騰、7.6%を超える危険水準まで上昇しています。

スペインとイタリアでは23日から、株式の空売り禁止の措置が取られましたが、過去の経験則から、空売り禁止だけで株価の下落を止められたケースはないと記憶しています。賞味期限は1週間もないでしょう。

また、同じ23日には、ムーディーズがドイツ・オランダ・ルクセンブルクの国債格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げました。ドイツ国債までもが格下げの圧力にさらされるようになってきたことは、欧州債務危機のリスクがより深刻になってきたことを意味しています。

スペインがギブアップするかどうかの非常事態時に、ドイツのメルケル首相とショイブレ財務相は2週間~3週間の夏休みに入ってしまっています。この政治的な空白が生じている今、期待できるのはECBの南欧国債の買い取り再開くらいしかありません。非常に心もとないです。

懸念材料はそれだけではありません。世界経済が低迷している中で、穀物価格が高騰していることも大きな懸念材料です。価格高騰が長続きするようなことがあれば、先進国よりも新興国の経済をより大きく減速させることが予想されます。

新興国がこの減速に対して断続的に金融緩和で対応しようとすれば、穀物価格はさらに上昇してしまうでしょう。もはや金融政策では制御不能な状況にあるのです。

その他にも、IMFがギリシャへの追加支援を見送るという情報もあります。米国の企業業績や株価をかさ上げしてきたアップルの決算も、9年ぶりに市場予想を下回り、今後は米国の株価に下押し圧力がかかるでしょう。LIBORの問題も欧州大陸や米国まで波及し、金融機関が巨額の訴訟・賠償費用を必要とすることも避けられないでしょう。

これだけの悪材料が顕在化してきた中で、世界経済のクラッシュを食い止めるためには、かつ今の状況を劇的に変えうるのは、やはりユーロ共同債の創設しかありません。

欧州の政治がこのまま抜本的な解決策を打ち出せず、問題の先送りを続けるようなことがあれば、あと1カ月以内にリーマンショックの再来があってもおかしくないと考えております。欧州の政治に最後の期待をしたいところです。

(お知らせ)8月9日に新刊『これから世界で起こること』(東洋経済新報社)が発売されます。今後5年間の世界経済について確度の高い予測をし、その上で、自分のスキルを高めるためには何をなすべきか、あるいは、スキルを高めずとも堅実な人生を送るためには何をなすべきか、易しく解説しています。特に、20代~30代の若者に読んでほしいと思います。

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keizaiwoyomu at 11:38|この記事のURL市場分析 
レポート配信履歴
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