2012年11月

2012年11月26日

日本経済大消失 ~生き残りと復活の新戦略

(幻冬舎)2012/12/5発売


私は今までに20冊近くの本を書き、近年は『これから世界で起こること』(東洋経済新報社)、『騙されないための世界経済入門』(フォレスト出版)など、欧米経済の分析をもとに世界経済を見通す内容を中心に書いてきましたが、実は、日本経済の分析に特化した本は今までに1冊も書いたことがありませんでした。

本書は、私が日本経済にフォーカスを当てて書いた、初めての本になります。私が日本経済について語る時、いったいどこに注目をしているのか?今までの研究のエッセンスを余すところなく、大事だと思う要点をすべて詰め込みました。もちろん、できるだけ余計な文章は削ぎ落として、読みやすい文体にする自分のポリシーとスタイルは貫いております。

なお、以前もご説明させていただいたように、本のタイトルを決める権限は基本的には出版社にあり、著者にはございません。私自身は日本経済の将来は暗くないと考えておりますが、特にここ1~2年は私がまったく意図しないタイトルになっている傾向にありますので、その点はご了承いただきたいと思います。

本書を読んでいただければ、次のような疑問に対して、正しくかつ骨太な考えを持つことができると考えています。

「これからの日本経済を見るうえで、何に注意していけばいいのか?」
「企業経営で失敗しないためには、どのようにしていけばいいのか?」
「世界中が憧れる日本経済の強みとは何であるのか?」
「どのような企業が日本経済を支えているのか?」
「デフレの本当の正体とは何であるのか?」
「金融緩和でデフレ克服ができるのは本当なのか?」
「日本再生のカギとなるのは何であるのか?」
「これから成長が期待できる産業は何なのか?」
「日本経済を復活させるためには、どんな政策を実行すればいいのか?」

こういった疑問を意識しながら、読み進めてみてください。

まず第1章では、「なぜ日本の家電メーカーが海外勢に大敗北を喫したのか」について解説します。みなさんの中には、「家電メーカーなど、自分の仕事とは関係がない。そんなことを知っていても意味がないのでは」と思う方もいるかもしれませんが、実は、日本経済の屋台骨は「電機」と「自動車」の二つの産業で支えられていると言っても過言ではありません。その「電機」の中核に当たる「家電」の浮沈は、日本経済、ひいては私たちの生活に大きな影響をもたらしうるのです。どうか「自分には関係がない」と読み飛ばさずに、ここでしっかりと理解を深めていただきたいと思います。

第2章では、「家電と同じように、自動車産業も海外勢に敗北してしまうのか」について解説します。日本の製造業の雄とも言える自動車産業の将来の動向に、日本経済の行く末が大きく左右されることは間違いありません。この重要な点について、私なりの分析と展望を述べたいと思います。

第3章では、「日本はデフレを克服できるのか」について解説します。そのためにはまず、デフレの本当の原因が何であるのかについて触れます。それを踏まえた上で、製造業や建設業、小売・卸売業などの現状を認識しながら、デフレを克服する方法を提案したいと思います。

第4章では、「日本経済は成長産業で復活できる」ことについて解説します。日本には自動車産業の他にも、世界に打って出ることができるポテンシャルを秘めた産業がいくつもあります。これからどんな産業を育成するべきなのか、私なりの提案をまとめたいと思います。

日本経済は「失われた20年」と言われるほどの長期低迷を強いられていますが、バブル崩壊の余韻が残る米国、欧州、韓国と比べれば、日本国民の生活はずっとマシな状況にあると言えるでしょう。

しかしながら、日本国民のこうした優位性が、このまま続くとは決して思ってはいけません。日本はもうこれ以上、過去の成功と遺産の上にあぐらをかくことが許されないのです。

今の日本は、当たり前のことが当たり前のようにできていません。大きな時代の流れの変化に対して、国と政治と企業がしっかりと対応さえできていれば、日本が大復活できないわけがないのではないでしょうか。

本書が混迷する日本経済を生き抜くための指針として、経営者、経営幹部、中間管理職、若手社員といった企業に勤める方々をはじめとして、年金生活をしているお年寄りから、就職を控えている学生まで、すべての方々のお役に立つことができれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。

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keizaiwoyomu at 19:24|この記事のURL拙書の紹介 

2012年11月21日

金融緩和は本当に正しいのか

解散総選挙が決まり、自民党、民主党、みんなの党、日本維新の会など主要な政党は、デフレ脱却のために、日銀に対して大規模な金融緩和を求めています。日銀も物価上昇率が1%になるまで、金融緩和を進めていく方針を示しています。しかしながら、日本経済が長いデフレの状態にあるからといって、現状で物価上昇を目指す金融政策が本当に正しいと言えるのでしょうか。

何よりも重要なのは、デフレの本質的な原因を見誤ってはならないということです。本質を見誤ってしまうと、間違った対処方法を行い、デフレは解消されたとしても、国民生活をいっそう苦しくしてしまいかねないからです。デフレの本質は、国民の所得が下がり続けていることです。デフレを克服するためには、間違った対応策を取らないように、この本質を多くの国民が認識する必要があるのです。

経済が上昇に向かう正しい道筋は、「所得の増加→消費の拡大→物価の上昇」というプロセスで生じなければなりません。物価が上昇すれば、所得も増加するだろうという見方は、非常に短絡的だと言わざるをえません。たとえ大規模な金融緩和により物価を上昇させることができたとしても、今の日本では所得の増加はとても見込めないのではないでしょうか。所得の増加が伴わない物価の上昇は、大多数の国民生活を苦しくさせてしまうだけなのです。

現に、米国では大規模な金融緩和を行った結果、さらなる金利低下が銀行の貸し渋りを強め、苦境に陥る中小企業を増加させましたし、ガソリン価格の高騰に代表される物価高は生活コストを上昇させ、国民の生活をいっそう苦しくしました。日本にいるとあまり実感できないかもしれませんが、国土の広い米国では、いちばん近くにあるスーパーまで50キロ、100キロ離れていることも珍しくありません。それゆえ、ガソリン価格の高騰は国民の生活を直撃してしまうのです。

当然、雇用の中核を担っている中小企業が苦しんでいるので、国民の所得も思うように増えるわけがありません。2011年の米国民の平均所得は前年比で1%ほどの微増で、物価上昇率の3.14%を大きく下回るものとなっています。「物価の上昇→所得の増加→消費の拡大」という順序立てが成り立たないのは、ここまで読んでいただければ分かると思います。日本でインフレが起こるとすれば、それは、国民の所得が伸びない中での悪いインフレしかないだろうと思うのです。金融緩和に過度に依存しようとしている主要政党には、この当たり前の考えが抜け落ちてしまっています。

ユニクロの服やソフトバンクの携帯、HISの旅行、大手スーパー・コンビニエンスストアのプライベートブランドなど、これらの商品やサービスが繁盛している限り、デフレから脱却し、健全なインフレが起きるわけがありません。それでも、消費者が好んでより安い商品やサービスを求めているのですから、今のうちはそれで良いのではないでしょうか。国民の所得が上がらない中でインフレになるくらいなら、まだデフレのほうがマシだと言えるでしょう。

デフレから抜け出せずに健全なインフレが起きないのは、日銀の努力不足を示しているのではありません。国民の所得が右肩上がりに増え続けて、国民が将来に明るい展望を描けるようになるには、金融緩和に過度に頼るのではなく、所得の底上げを含めた成長戦略が必要なのは明らかなのです。つまり、日銀ではなく、政府の責任であると言えるのです。

確かに、金融緩和によって円安が進み、株価が一時的に上昇するかもしれませんが、欧米経済の本格的な回復なしには、実体経済にお金は回りません。追加の緩和は欧米経済の回復まで円高の進行を抑える時間稼ぎの役割しか果たすことができません。企業の資金需要がない伸びない中で、いくら金融緩和をしても銀行は国債を買うぐらいしかお金の振り向け先がありません。過度に金融緩和を進めたとしても、銀行はこれ以上日銀からの資金供給を望んでいないのです。

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keizaiwoyomu at 11:31|この記事のURL金融政策分析 

2012年11月09日

経済と安全保障は一体である

鳩山由紀夫元首相の時代に、普天間基地の移転問題がクローズアップされました。私は、その時の政治家や国民の反応を見て、日本人には「安全保障と経済活動は一体である」という視点があまりにも欠けていると感じました。

日本が戦後、奇跡的な経済成長を遂げることができたのは、日米安保体制の傘の下で、戦争や紛争に巻き込まれるリスクを負わずに済んだからです。そのおかげで日本は、国外からの脅威をまったく心配することなく、経済発展にだけ集中することができました。その経済効果は何百兆円のレベルではきかないはずです。

また、日米安保があるからこそ、日本の軍事費が少なくて済んでいることも忘れてはいけません。日本の軍事費はGDPの1%以下です。米国の軍事費はGDPの4%程度、主要先進国は2.5%程度ですから、日本は経済規模の割には軍事費が著しく少ないのです。この点でも、日本は米国から恩恵を受けていることになります。

アジアの地政学的に見ても、米軍の基地の本拠を置くには沖縄以上の場所がないし、県外に移設するのはとても合理的な選択肢ではありません。仮に、県外に移設しようとしても、現地の猛反対に遭って頓挫することは目に見えているはずです。

それにもかかわらず、鳩山元首相が普天間基地の県外移設を唐突に言い出したので、「この人は、国際情勢も国益も経済も、何一つわかっていないのか」と、私は日本の将来を憂い、愕然としたことを覚えています。当時、週刊誌の連載でも、このことについては厳しい意見を述べさせていただきました。

マスコミの報道にも違和感を覚える時があります。沖縄の学生にとって米軍基地は最も人気のある就職先のひとつになっていますし、米軍の存在そのものが沖縄の経済に多大な貢献をしています。しかしその一方で、海兵隊員が事故や事件を起こしたりすると、そのことばかりが大きく取り上げられ、「米軍は沖縄から出ていけ」という世論をつくりだしているようにも感じられる時があります。

もちろん、犯罪を犯した海兵隊員は厳しく処罰されるべきです。しかし、海兵隊員の多くは日本を守るために命を捨てる覚悟を持って日本に来ているというのに、沖縄県民ばかりか日本国のトップにまで「米軍は沖縄から出ていってほしい」と暗に行動で示されたら、海兵隊員のモチベーションが下がるだけでなく、米国の大統領が激怒して日米関係に隙間風が吹くのも当然でしょう。

かつてのように、日米の強固な信頼関係が保たれていたら、中国が尖閣諸島近辺への領海侵犯を繰り返し、日本を挑発できるわけがなかったのです。ところが、普天間問題で日米関係がぎくしゃくしたことにより、中国は尖閣諸島近辺への領海侵犯を繰り返し、これに対して、日本が国有化で応戦することになりました。

その結果、中国では大規模な反日デモが起こり、多くの日本企業が暴動の被害に遭ってしまうこととなります。それだけならまだしも、中国での日本製品の売上げが急激に落ちてしまい、中国への海外進出および輸出依存を高めてきた日本企業にとって大きな痛手となっているのです。

これら一連の騒動について、すべての元凶は鳩山元首相にあります。彼が日本に与えた経済的損失はすでに何兆円になるのか想像もつきません。その意味で、安全保障と経済の密接な関係が理解できていない政治家が日本のトップに立ってしまったことは、日本にとってこの上ない不幸な出来事だったと思います。

未だに識者の中には、「EUは崩壊する」「ユーロは崩壊する」という主張をしている方がいらっしゃいますが、こういった考え方にも「安全保障と経済活動は一体である」という大事な視点が抜け落ちてしまっているように思われます。

そもそも、EUとユーロの存在意義は何かというと、共同体という安全保障を確立することによって、平和の維持をはかることにあります。そのために、欧州の国々は経済的な結びつきを強める必要があったのです。

欧州の歴史は争いの歴史であり、ローマ帝国の時代から、常に国家間で戦争や侵略が繰り返されてきました。甚大な被害をもたらした第一次、第二次の両大戦後も、欧州大陸では冷戦下における対立や民族紛争が相次ぎました。そういった歴史を二度と繰り返さないように、EUやユーロが誕生したのです。

安全保障があってこそ経済発展があるということも、欧州の政治家たちはよく理解しているはずです。恒久平和への努力を投げ出すようなことは決してできないでしょう。だから、私はEUもユーロも絶対に崩壊しないと考えています。

安全保障がしっかりしていて初めて経済の安定があるということを、私たち日本国民はもっと強く認識する必要があります。

私たちが平和ボケして生活できているのも、沖縄県民と米軍のおかげです。私たちは彼らにもっと感謝をするべきです。そして、沖縄県民に大きな負担をお願いしている以上、国は経済振興策をもっと手厚くする形で、沖縄県民の理解を得られるようを努力する必要があるでしょう。

次に日本の首相になられる方には、経済と安全保障を一体として見ることができる人物を切に望みます。

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keizaiwoyomu at 09:04|この記事のURL政策提案 
レポート配信履歴
4/11・4/28

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