2012年12月

2012年12月28日

円安時代が始まる

外国人の短期筋の買いにより、円安が急激に進んでいます。私の円相場に対する見立ては、『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』(2012年3月刊行)に書いておりますので、その中の文章を一部引用して、補足を加えたいと思います。

(以下、第5章「2012~2013年、円高は最終局面を迎える」より引用)

2011年以降、1ドルは75円台に突入し、1ユーロも100円を下回るなど、急激な円高が進行しています。世界経済や国際金融の大きな流れで見ると、日本経済を悩ませている現在の円高基調は、もうしばらく続くでしょう。

先進国と新興国の双方が、ドルやユーロの保有を減らし、円やスイスフラン、金などの購入を増やす傾向がまだ続きそうだからです。特に、新興国の外貨準備における円の保有が、金と同様に大幅に伸びると思います。実際に、2010年の半ば以降、新興国の政府系ファンドや機関投資家の円買いに伴い、日本国債における海外投資家の保有比率も上昇し続けています。

背景には、あなたもご存じの通り、欧州の債務危機問題が収束するまでに、ある程度の時間を要することが想定されるという事情があります。また、米国では大規模な量的緩和を実施したにもかかわらず、景気が本格的に回復する見通しが立っていません。

もちろん、これは純粋な日本買いを意味していません。日本経済は長期のデフレに陥っている上に、欧州の高債務国と同じように深刻な財政問題も抱えています。したがって、一連の円買いは、円が実力以上に買われていると見るべきでしょう。現在は円が過大に評価されているのです。

しかしながら、その円高もいよいよ最終局面に近づきつつあるように思います。2012〜2013年のどこかで歴史的な円高トレンドの転換点が訪れ、その後は円安に向かうことになるでしょう。

円高が最終局面を迎え、円安へと転換するまでのステップは、次のようになると考えられます。
①米国で量的緩和第3弾(QE3)が実施され、もう一段の円高が進む。
②欧州の債務問題で抜本的な解決策が示され、危機収束の見通しが立つ。
③米国の景気が本格的に回復し、ゼロ金利政策が終わる見通しが立つ。

順番としては、①が最初に来ることは間違いありません。QE3は、2012年末までに行われる可能性が高いでしょう。しかし、その次に②が来るのか、③が来るのかは、判断が難しいところです。(中略)

大事な点は、②と③のいずれが先になっても、歴史的な円高は終わる可能性が高いということです。

(以上、引用終わり)

しかし予想外だったのは、解散総選挙が早まり、安部総裁の発言、自民党の大勝、日銀の方針転換などにより円安が大きく進んでしまったことです。ヘッジファンドの短期筋の買いなので、一回は再び円高への揺り戻しがあるとは思いますが、大きな流れでは緩やかな円安傾向になるのではないかと見ています。

なぜなら、早ければ2013年には、米国経済が2014年~2015年に本格的に復活するという見通しが立ってくるからです。つまり、③にほうが見通しとしては早くなってくるのです。このことについては、またの機会に述べたいと思います。

それにしても、経済の大きな流れは分かっていても、金融市場の難しさを改めて思い知らされた1年でした。来年も各国の政治に振り回される1年になるでしょう。

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keizaiwoyomu at 14:20|この記事のURL市場予測 

2012年12月04日

金融緩和のやりすぎは国民生活を苦しくする

日本経済は1999年より、物価が継続的に下落するデフレに陥っています。消費者物価の推移を見ると、2007年から08年にかけて一度だけ物価が上昇に転じたものの、ほぼ一貫して物価が下がり続けている状況です。日本の消費者物価は98年をピークに下落を続け、現在ではピーク時よりも4%も低い水準にあります。

デフレが続く過程では、経済は「物価の下落→所得の減少→消費の減少→物価の下落」という悪循環が起こると言われています。これが「デフレ・スパイラル」と呼ばれるもので、日本が長期停滞から脱せない原因は、このデフレ・スパイラルを断ち切ることができないからだと解説されていることが多いようです。

しかし、私はこのデフレ・スパイラルの説明が経済の本質上、順序立てで大きく間違っていると考えています。その理由として私は、日本をデフレに陥らせている最大の原因は、労働者の所得が下がり続けている点にあると見ているからです。

つまり、「物価の下落→所得の減少→消費の減少」という順番は誤りであり、「所得の減少→消費の減少→物価の下落」がデフレを説明する上での正しい順序なのです。これは、「鶏が先か、卵が先か」といった問題と同列にはできません。あくまで原因が先で、結果は後に来なければならないからです。

国税庁の「民間給与統計実態調査」によれば、2011年の日本の給与所得者の平均年収は409万円です。1997年の467万円をピークに翌98年から減少傾向が続き、現在では89年当時とほぼ同じ水準にまで下がってしまっています。この十数年の間に日本人の平均年収は実に1割以上も減ってしまっています。

給与所得者の平均年収が下落し始めたのは98年、消費者物価指数が下落を始めたのが99年ですから、この二つの統計の時系列は、原因と結果の関係を見事に示していると思われます。

日本がデフレとなった原因については、これまでに、①土地や株価の下落による資産デフレ、②銀行の融資削減による信用収縮、③資源高や円高などによる企業収益の悪化、④新興国の台頭による競争激化、⑤少子高齢化による需要の減少など、さまざまな原因が指摘されてきました。いずれの原因も一面では正しく、デフレを助長させる一因になっているのは間違いありません。

内閣府の試算によると、90年以降、土地と株式の値下がりで生じた損失は1500兆円、銀行の融資削減による信用収縮が480兆円、資源高や円高などによる企業収益の悪化が160兆円になると見られています。いずれの原因も景気回復の大きな足かせとなっているのは明らかです。

しかし、もっとも大切なのは、さまざまな原因の中から本質的な原因を見誤ってはならないということです。本質を見誤ってしまうと、処方箋を間違い、デフレは解消されたとしても、国民生活をいっそう苦しくする結果になってしまうからです。

その間違った処方箋の代表格というのが、無制限の金融緩和や2%のインフレターゲットの設定などの「過剰な金融緩和」です。これは、金融危機後の米国や韓国の例を見ても明らかです。政治家はもっと経済の本質や歴史を学ぶ必要があります。

デフレの本質を完全に見誤り、誤った処方箋を考えている政治家にこの国の経済運営を任せることは、国民にとってこの上ない不幸なことです。新しい政権が間違った経済政策を実施しないために、できるだけ多くの日本国民に新刊を読んでほしいと思っております。ご興味のある方は、以下のURLをご覧ください。
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keizaiwoyomu at 14:06|この記事のURL金融政策分析 
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