2013年09月

2013年09月24日

日本経済の近未来

日本経済の近未来を述べるにあたって、拙書『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する』(2013年3月)に適当な部分がありましたので、まずはその引用文をご覧ください。

(以下、拙書からの引用)

日本の政治は長年、選挙で投票してもらうために非効率な目先のバラマキに終始し、国家の将来のことを真剣に考える機会を失ってきたように思われます。今こそ、国民は本当の政治を求めています。政治が国民に本気で明るい未来を見せたいのであれば、安倍政権が優先してやるべきことは決まりきっています。それは、日本がアメリカの世界戦略に積極的に協力することによって、アメリカ経済が復活した時の恩恵を最大限に享受することができるようにすることなのです。

これからの世界はエネルギー事情が激変し、資源国として勝ち組であった多くの国々を苦境に追いやることは間違いないでしょう。そして、それらの国々の中では、革命や政変が起こるところも出てくるでしょう。そのような世界の激変期に、日本が没落せずに今までのポジションに居続けるためには、アメリカとあらゆる分野で信頼関係を深め、共存共栄をはかっていかなければなりません。

しかし、それまでの道のりはけっして平坦なものではありません。仮に2013年以降の円相場が100円前後で安定的に推移したとしたら、日本は通貨安による副作用の影響から免れることができないからです。金融危機後のアメリカや韓国、小泉政権下の日本の例が示しているように、再び日本でも中間層からこぼれ落ちる人々が増えてしまい、格差の拡大が進んでしまう可能性が高いのです。

さらに追い打ちをかけるのが、2014年4月に実施が予定されている消費税の3%増税です。この増税によって、日本の景気がさらに冷え込むことは間違いないだろうと言われています。

国民の中には、「景気が悪ければ増税はしないから大丈夫だ」という意見の人もいるようですが、私は消費税増税が絶対に行われると考えています。というのも、安倍首相は消費税引き上げについて、「2013年4-6月期のGDPを見て判断する」と公言しているからです。安倍首相のこの発言を受けて、財務省の職員は連日の徹夜を重ねて、予算の執行時期を調整するなどして、必ず2013年4-6月期のGDPが良くなるように持って行くはずです。

これは裏を返せば、2013年4-6月期より後のGDPは悪くなっても増税が実施されるということなのです。財務省が4-6月期の数字を良くしようとするあまり、その反動が7-9月期や10-12月期に出てくるのではないかと心配しなければならないところです。現実に、GDPが悪化する中で消費税増税が実施されれば、景気は厳しさを増すことになるでしょう。

そのように考えると、2014年~2015年にかけては日本経済が最も暗い状況になるのではないでしょうか。

しかしながら、「夜明け前がいちばん暗い」という言葉もありますように、アメリカ経済が想定通り2014年~2015年に復活すれば、日本経済も2015年以降にその恩恵を受けることができるようになります。

(以上、引用終わり)

以上の引用文で修正箇所があるとすれば、財務省は2013年4-6月期だけでなく、その前後の期のGDPが上ブレするように公共工事の執行時期をうまく調整していたことです。2012年末に書いた原稿では、私にこの点での認識不足がありました。

補足としては、2014年3月までは、消費税増税を前にして駆け込み需要が発生し続けます。2014年1-3月期までは、GDPがかさ上げされることになるわけです。

2013年に入ってから住宅やマンションの販売が好調ですが、住宅やマンションが売れるということは、家具や電化製品、身の回り品などの需要も増加し、経済への波及効果は思いのほか大きなものになります。消費も2014年3月までは期待していいのです。

ただし、住宅やマンションの需要を数年分先食いしているために、その反動もかなり大きくなることは覚悟しなければなりません。

おそらく、2014年4-6月期のGDPは、公共工事と需要先食いで二重にかさ上げされた効果がはげ落ちるだけでなく、増税により消費者の財布がより引き締まるため、大きく落ち込むことが考えられます。

最後に、『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する』では、日本経済復活の条件としてアメリカとの「軍事上の安全保障」「エネルギー安全保障」「経済上の安全保障(TPP)」の3点セットが必要不可欠としましたが、安倍政権はそのとおりに着実に歩を進めているようです。

政治・外交の実態を少しでもご存知であれば、3点セットを切り分けて考えられないことは理解していただけるでしょう。米エネルギー省が今年の5月から日本へのシェールガス輸出の案件を認め始めている中で、「シェールガスは輸入してもらいたいが、TPPは参加できない」などということは決していえないのです。

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keizaiwoyomu at 14:56|この記事のURL経済分析 

2013年09月19日

新興国経済総くずれ 日米は支えきれるか

(徳間書店)2013/9/21発売


明後日、新刊『新興国経済総くずれ 日米は支えきれるか』(徳間書店)が出版されます。目次は以下の通りです。

プロローグ
第1章 世界経済の現状を俯瞰する
第2章 壮大なる実験国家 中国の敗北
第3章 資源バブルにあぐらをかいたブラジルとロシアの悲劇
第4章 まだら模様のインド、韓国、東南アジア
第5章 中国に代わってアメリカが「世界の工場」になる
第6章 ドイツ一強時代が続く欧州
第7章 こうすれば日本は成長できる
エピローグ

世界経済全体の分析を行うのは、『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』(フォレスト出版・2012年3月)以来になります。興味のある方はご覧いただけると幸いです。

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keizaiwoyomu at 10:08|この記事のURL拙書の紹介 

2013年09月13日

新興国の正念場(その2)

前回の記事の続きになります。

その次が、資源バブルの終焉です。アメリカのシェール革命は世界的に天然ガスや原油、石炭などのエネルギーの需給関係を緩め、長い目で見ると、これらのエネルギー価格が下落していくことは避けられません。

そうなると、鉄鉱石や銅、亜鉛、アルミニウムなどの資源はもちろん、大豆、小麦、トウモロコシなどの穀物価格も下落していきます。

その悪影響をダイレクトに受けるのが、ロシアとブラジルの両資源大国です。ロシアは天然ガスと原油の価格下落によって経済成長率が大きく落ち込み、低迷が続くことになりそうです。同じく、鉄鉱石の価格下落によってブラジルの借金経済は回らなくなるでしょう。

最後に、借金経済の問題です。これは新興国全体の問題でもあるのですが、最近騒がれているのが中国のシャドーバンキングの問題です。銀行が非公式の融資として仲介し、採算の見込みのない地方の不動産開発に対して、国営企業や共産党幹部から湯水のようにお金が流れているのです。

これらのどの程度が焦げ付いてしまうのか分かりませんが、しばらくはこのシャドーバンキングの問題が中国の金融システム不安の火種としてくすぶり続けるでしょう。

一方で、まったく騒がれていないのが、ブラジルの家計の借金問題です。かつてアメリカの家計の借金経済が住宅価格の高騰によって支えられていたのと同じように、今ではブラジルの家計の借金経済が鉄鉱石価格の高騰によって支えられています。

その鉄鉱石の価格が2011年にピークを打ってじりじりと下がり続けています。そろそろブラジルの借金経済が回らなくなってくるはずです。恐らく、2016年のオリンピックまでには、借金経済が崩壊してしまうのではないでしょうか。

また、韓国も家計の借金経済に苦しんでいます。これは日本と同じく不動産バブルの暴落によって引き起こされています。韓国の家計の借金は史上最高額を毎年更新しており、住宅ローンを抱えた国民は厳しい生活を強いられています。

それぞれの国々で経済が失速する要因を複数持っていて、それらの要因が複雑に糸のように絡み合っています。そして、お互いに負の作用をもたらしています。新興国を代表する国々は、非常に苦しい経済状況にあることがおわかりいただけたでしょうか。

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keizaiwoyomu at 11:34|この記事のURL経済分析 

2013年09月06日

新興国の正念場(その1)

BRICs諸国である中国・インド・ロシア・ブラジルと隣国であるの韓国を合わせた5カ国を総括して見てみると、2013年以降の景気減速はそう簡単には避けられそうもありません。

そのいくつもの要因を列挙していくと、まずは汚職のまん延です。中国、ロシア、インドでは賄賂を袖の下に通さないと、ビジネスが上手く行かないと言われています。

その象徴となっているのが、道路などのインフラ工事です。インフラの工事には多額の賄賂が流れるため、賄賂に抜かれる分はどうしても手抜き工事になってしまい、インフラは実際にかけたお金よりも脆弱なものになっています。

特にロシアやインドでは、道路がよく陥没することで有名です。これは国内外の企業を問わず、輸送コストの増加につながりますから、頭の痛い問題です。インフラの脆弱さが生産性の低下を招き、海外の企業が投資を控える一因ともなっているのです。

おまけに政権と警察・司法が癒着している中国やロシアの場合、国営企業でない新興企業の経営者が高級官僚の絡んだ汚職に協力しなかったりすると、逮捕されてしまうケースもあるというから驚きです。これでは国営企業でない企業は育ちません。

もちろん、政権を批判しようものなら、警察に逮捕され司法で有罪にされるだけでなく、全財産を没収されてしまうケースもあります。

次が、格差拡大の問題です。このような汚職がまん延すると、特権階級にある人々は際限なく資産を膨らませることができ、それ以外の人々は置き去りにされていきます。

やはり中国、ロシア、インドがこれに該当するのですが、特に格差拡大が最も進んでいるのが中国です。否応ない貧富の格差に憤り、中国全土では年間20万件を超える農民の暴動が起こっています。今や共産党一党独裁を揺るがすまでの事態に発展しているのです。

格差拡大の構造が唯一違うのが韓国です。韓国では前政権まで通貨安政策を採用していたので、大多数の国民の実質賃金がインフレ経済で伸びないなか、大企業に勤める人々とそれ以外の人々の格差が大きく拡大してきました。現政権はそれを改めようと、通貨安政策を志向していません。

最近では海外の資本流出により、新興国全体で通貨安が進み、インフレが懸念されています。経常赤字が重なって通貨安が一向に止まらないインドやブラジルなどでは、今後は格差がさらに拡大することも考えなければならないでしょう。

続きは、来週更新いたします。

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keizaiwoyomu at 10:11|この記事のURL経済分析 
レポート配信履歴
9/14・9/29

10/14

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