2014年11月

2014年11月17日

7-9月期GDPの結果にサプライズはない

今朝発表になった7-9月期のGDP速報値は、前期比で0.4%減、年率換算では1.6%減となりました。GDP速報値がマイナスになったのは、決してメディアが言うようなサプライズな結果ではありません。

何故このような結果になったのかを改めて申し上げるのは、このブログでは繰り返しになってしまいますので、過去のブログの記事をご参照いただき、検証いただければと思います。

GDP分析に関する記事
(3月6日)2014年のGDP見通しは理解不能
(8月22日)「大手証券3社の日本経済の見通し」は理解できない

私は経済の予測を述べる時に「必ず」とか「間違いなく」という言葉は極力使わないようにしていますが、アベノミクス(過度な量的緩和)に関しては、2013年5月14日5月31日のブログをはじめ、いろいろな媒体で「間違いなく失敗します」と断言してきました。経済の本質以前に、物事の道理や本質から考えれば、当然の結論だったわけです。

先日、東洋経済オンラインの連載でも書いたことなのですが、安倍政権や黒田日銀は、消費税増税をするために株高を演出する経済金融政策を実行してきました。公共投資を大幅に増やしたし、大型の補正予算まで行いました。半ば企業を脅して、ベアの大幅な引き上げも達成しました。だから、消費税増税はアベノミクス失敗の根本的な理由にはなりえません。

そもそも物価上昇率に占める消費税増税分(試算では2%と出ている)を差し引いても、国民の実質賃金は安倍政権発足前よりも下がってしまっているのです。直近の9月の実質賃金指数は前年同月比で2.9%下落(増税分の影響を除けば0.9%下落)し、15か月連続で下がってしまっているわけです。

これは、リーマン・ショック時の特殊な時期を除けば、デフレ時のほうが実質賃金の下落率は小さかったという事実を示しています。リフレ派はアベノミクス失敗の理由を消費税増税のせいにするでしょうが、そんな責任転嫁が認められるはずがありません。

そもそもリフレ派はある重鎮たちは当初、「アベノミクスの効果は半年で出る」と言っていたのですが、それが「1年で効果が出る」、「2年で効果が出る」と、時が経過するたびに効果が出る次期の修正を繰り返しています。消費税増税をリフレ派の免罪符にしてしまっては、日本人の経済リテラシーはいつになっても上がらないのではないでしょうか。

現時点で、アベノミクスへの審判はすでに下っていると思われます。このまま政権と日銀が愚鈍な政策を続ければ、仮に来年の消費税増税を延期したとしても、2015年には景気後退入りする可能性が極めて高くなってしまうでしょう。ですから、とくに日銀の金融政策には強く再考を促したいところです。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 13:51|この記事のURL経済分析 

2014年11月05日

未来予測の超プロが教える 本質を見極める勉強法

(サンマーク出版)2014/11/5発売


新刊『未来予測の超プロが教える 本質を見極める勉強法』(サンマーク出版)が出版されました。

この新刊は、「本質を見極める力を身につける」ために、どういう取り組み方をしたらいいのかを書いた勉強法の本です。私が初めて書く勉強法の本ともいえるでしょう。

グローバル化が進展した社会においては、英語力はあるのに越したことはないのですが、必ずしもそれが求められているわけではありません。私たちがもっとも求められるのは、幅広い視点をもつことによって、物事の本質を見極める力を身につけることなのです。

私の実感では昨今、英語は堪能であるにもかかわらず、基本的な物事の考え方ができない若者が増えているように思われます。これは、教育の現場が英語を重視しすぎる教育を行ったことによる副作用ではないでしょうか。

たとえ英語力が弱かったとしても、物事の本質を見極められるのであれば、グローバル企業はあなたを雇いたいと考えるでしょう。なぜなら、本質を見極めることができるということは、当然ながら、時代や社会、経済などの趨勢を先読みすることにも長けているはずであるからです。

そもそも私たちが何気なく使っている「本質」という言葉は、どういう意味をもっているのでしょうか。国語辞典(三省堂国語辞典・第三版)で「本質」とは何かを調べると、①本来の性質。根本のたいせつな性質、②そのものの特徴を形づくっている要素、と書かれています。

たしかに、本質の意味は辞典に書いてあるとおりだと思います。しかしながら、私が考える本質とは、そういった意味に加えて、昨今の流動化が激しい時代では見通しにくい物事についての、その「正解」「構造」「価値体系」「真相」といった意味合いを多分に含んでいます。

私は、経営コンサルタントとしての仕事をする一方で、経済アナリストとしても活動しています。ビジネスと経済動向は複雑に絡み合っていて、それぞれを切り離して考えるのは現実的に不可能であるという持論があるからです。

本来であれば、経営コンサルタントと経済アナリストの間では、仕事の内容は明確に住み分けがなされています。経営コンサルタントとは、企業などの経営についてアドバイスをする職業であるのに対して、経済アナリストとは、マスメディアなどで経済の先行きを自らの分析に基づいて述べることを生業としているからです。

ところが、私の場合は「経営と経済は一体である」とこの仕事を始める前から確信していました。だから、経営コンサルタントとして企業にアドバイスをするときには、経済アナリストとしての知見も含めてアドバイスをするようにしていますし、経済アナリストとして経済の先行きを述べるときには、企業経営の現場の視点を分析に取り入れるようにしています。

グローバル経済や情報技術の目まぐるしい発展によって、経済やビジネスのサイクルが非常に短く、かつ速くなってきています。20世紀には20~30年かけて起きた大きなそのような状況の中では、「経営」や「経済」といった狭いジャンルの知識だけで物事を考えるのではなく、それぞれのジャンルの知識を組み合わせて、判断する力を身につけていく必要性が増しているのです。その結果として、ビジネスにおいても経済においても、精度の高い予測が可能となっていくわけです。

ありがたいことに、経済アナリストとしては、予測が当たるというご評価をいただき、経済やお金に関連した書籍をすでに20冊を超えて書かせていただいております。経営コンサルタントとしては、誰もが名前を知っている大企業からご依頼をいただくまでになっています。(ただし、一寸先は闇やみである政治や株価などについては、予測はきわめて難しいとご了解いただいております。)

そんな私が仕事でいちばん注意を払っているのは、「物事の本質は何か」ということを常に考えるようにしていることです。経営や経済だけではなく、社会や身の回りのことなど、広くその本質について考えることは、それと同時に、俯瞰的てきかつ大局的な物の見方をも育ててくれるのです。その結果、経営コンサルタントとしては効果的なアドバイスができ、経済アナリストとしては正確な未来予測ができるわけです。

それでは、本質を見極める力を身につけるには、どういったことをすればいいのでしょうか。

その答えが、この本には書かれています。私が実践している「本質を見極めるための学び方や考えるコツ」を余すことなくお伝えしております。興味のある方はご覧いただけると幸いです。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 14:07|この記事のURL拙書の紹介 

2014年11月01日

追加緩和で株価は上昇トレンドへ、格差は拡大へ

日銀の追加緩和は年内にはないだろうと見ていたのですが、意外にも昨日の金融政策決定会合で追加緩和が決定されました。報道にもあるとおり、資金供給量は年60兆~70兆円から80兆円へと拡大し、長期国債の買い入れ額は年50兆円から80兆円へと増額されます。また、ETFの買い入れ額も年1兆円から3兆円へ引き上げられます。

2月7日の記事では、「日経平均の上昇トレンドが崩れてしまった今となっては、今後のレンジは13500円~16500円くらいに考えて対応したいところです。再び海外投資家の買いが旺盛になるためには、日銀の追加緩和(私はこれには反対ですが)や法人税の減税が欠かせないと考えております」と述べました。

今回の追加緩和を受けて、日経平均は13500円~16500円のボックストレンドを突破して、新しい上昇トレンド入りの可能性が高くなってきています。どこまで上値があるのかは全く予測不可能ですが、投資家としては嬉しい反面、国民全体のことを考えれば素直に喜べない複雑な心境です。

繰り返しになって申し訳ないのですが、私がこれまで拙書やこのブログで言い続けてきたことは、大規模な量的緩和を行っても、(1)実質賃金は下がる、(2)格差が拡大する、(3)輸出は思うようには増えない、(4)日本は経常赤字国になる可能性が高まる、主に4点になります。

せっかく原油の国際価格が拙書『シェール革命後の世界勢力図』で述べたように、長期的に見て下がってきているのに、日本国民は円安によってその恩恵の大部分を享受できすにいます。このままでは、今回の追加緩和によって、特に(1)(2)の傾向がさらに強まってくるのは避けられないでしょう。

というのも、追加緩和による株高が進めば、消費税増税を決断するには追い風となるからです。これから110円~120円の円安が定着することによって、(1)(2)の傾向が止まらない状況のなかで、消費税増税が行われるようなことがあれば、その傾向はいっそう強化されてしまうでしょう。

8月22日の記事では、「大都市圏と地方の勤労者のあいだで実質賃金には大きな開きが生じています。それと重なるように、大都市圏と地方、大企業と中小企業の格差拡大が重層的に進んでいるのです」と書きました。

その後、直近の10月に発表された実質賃金(7月分)では、地方の大半が悲惨な状況にあり、たとえば関東地方では栃木県が9.9%、群馬県が5.8%も実質賃金が下がってしまっています。追加緩和による円安の進行や消費税増税の決定が、地方の実質賃金にさらなる悪影響を与えるのは避けられそうもありません。

先日、FRBのイエレン議長が講演のなかで、「アメリカでは所得や富の不平等がかつてないほど広がっている」と述べて格差拡大に対して警鐘を鳴らしましたが、アメリカはインフレ推進政策によって、物価を考慮した実質賃金が今では1970年代の水準を下回ってしまっているのです。

「所得増の9割は上位1%の富裕層が得た」
「上位5%の富裕層に富の6割以上が集中している」
「金融危機以降、上位1%層の所得は31%増えたが、残る99%の所得の伸びは0.4%にとどまった」

アメリカでは格差に関する試算や推計データがたくさんありますが、これらはそのなかのほんの一部に過ぎません。日本は間違った金融政策により、貧困大国アメリカの後追いをするつもりなのでしょうか。今一度、政府や日銀には金融政策について再考を促したいところです。

  ←応援クリックお願いします!

keizaiwoyomu at 14:54|この記事のURL市場予測 
レポート配信履歴
1/15・1/31

2/12・2/26

3/14・3/25

3/30・4/11

※レポートが届いていない場合、ゴミ箱または迷惑メールBOXをご確認ください。