2015年10月

2015年10月29日

円安トレンドの終焉と円高トレンドへの転換はいつになるのか

拙著『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』(2012年3月出版)では、「FRBのQE3開始をきっかけに、円高トレンドが終焉し、円安トレンドが始まるだろう」を予測しましたが、2015年の後半になって、その円安トレンドの終焉がいよいよ近付いてきていると言っておきたいところです。

日銀の追加緩和があろうとなかろうと、円安トレンドの終わりを決定付けるのは、米国の利上げが始まる前後の1カ月以内に訪れる円相場の急伸になるでしょう。

そのいちばんの根拠は、米国が2012年9月にQE3を開始した直後に、1ドル75円台という円高のクライマックスが訪れて、その後に歴史的な円高が終焉しているからです。要するに、今回予想する円安トレンドの終焉はその逆バージョンであると考えられるわけです。

私は2015年初めの見通しでは、米国の利上げの直後1カ月以内に、円安トレンドは転換するだろうと述べてきました。ところが、その見通しを「直後1カ月以内」から「前後の1カ月以内」に少し早めたのは、チャイナ・ショックによって為替市場でリスク回避が前倒しで起こっていると見ているからです。

日本の株式市場が官製相場で上昇してきた陰に隠れがちだったのですが、過去3年間の円安の進行も・・・

この続きは、新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』でご覧になれます。

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keizaiwoyomu at 09:59|この記事のURL市場予測 

2015年10月26日

日本経済にとって本当に恐いのは、中国経済の減速ではない

国民が景気回復を実感できない状況下で、2016年は外部環境の悪化が日本経済の足を引っ張る可能性が高まってきています。中国経済が大減速すれば、その悪影響は少なからず日本にも打撃を与えるからです。

ただし打撃を受けるのは、主に企業部門になります。今のところは、中国経済の減速が企業業績の悪化として表面化しているのは、機械や素材などの設備投資に関連する業種が中心となっています。日本の大企業の中では、建設機械のコマツや日立建機、工作機械のファナック、鉄鋼の新日鉄住金、神戸製鋼所などで業績が悪化し始めています。

今後は中国の消費市場まで弱含むことが想定されるので、自動車など影響を受ける業種は一気に拡大していくことになるでしょう。ただし、中国市場で自動車販売首位のフォルクスワーゲンが排ガス不正問題で自滅する見通しにあるので、日本の自動車メーカーはフォルクスワーゲンの需要を取り込み、それほど悪影響を受けないで済むかもしれません。

また、中国から日本を訪れる観光客によるインバウンド消費も、これからは伸び悩みの傾向が表れるだろうと予想することができます。中国の株価バブルが日本での爆買いに一役買っていたのは間違いなく、株価が暴落した今となっては訪日観光客の人数が頭打ちになり、一人あたりの消費額も減少するのはある程度は避けられないでしょう。

しかし私は、日本経済にとって本当に恐いのは、中国経済の大減速よりも・・・

この続きは、新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』でご覧になれます。

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keizaiwoyomu at 09:25|この記事のURL経済分析 

2015年10月23日

中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕

(東洋経済新報社)2015/10/23発売


本日、新刊 『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』(東洋経済新報社)が出版されます。目次は以下の通りです。

まえがき
プロローグ 
第1章【米国経済編】
第2章【欧州経済編】
第3章【中国経済編】
第4章【日本経済編】
あとがき

本書では、経済の本質を見据えたうえで、新しいパラダイムのもとで、米国、欧州、中国、日本などの近未来の予測をしています。

できるだけ多くの読者の方々が、本書によって経済やマネーの動向についての先を読み、経営や仕事のスキルを高める一助になれば、これ以上の幸せはないだろうと思う次第です。

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keizaiwoyomu at 08:35|この記事のURL拙書の紹介 

2015年10月13日

ロシアは世界平和を望んでいない

ロシアがシリアの内戦に介入し、中東情勢が混迷を深めてきました。ロシアが本当は何を考えているのかについては、拙書『石油とマネーの新・世界覇権図』(2015年8月出版)の148~150ページに適当な文章がありましたので、まずはその中の文章を一部引用し、少し補足を加えたいと思います。

(以下、『石油とマネーの新・世界覇権図』より引用)

最近のロシアの行動を見ていると、あえて平和を望む世界の流れに逆らい、エネルギー価格高騰につながる地政学的事件を引き起こそうとしているように思われます。

2015年4月から5月にかけてアメリカ・ニューヨークの国連本部で行われた、核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議でも、ロシアは冷戦終結以降に進められていた核軍縮の流れを無視して、核兵器削減の確約を拒否しました。

核兵器不拡散条約は、核兵器の拡散防止と核の平和利用を目的として1970年に発効したもので、5年ごとに実行状況が確認されています。

今回の再検討会議では、議論の結果をまとめた最終文書を採択できず、会議は決裂したまま終了となりました。直接の原因は、「中東を非核地域とする」という構想について、西欧諸国と中東諸国が対立したためとされますが、同じ席ではロシアも求められた核兵器削減要求を無視したのです。

プーチン大統領はロシア国営テレビ局が放映したドキュメンタリー番組の中で、「クリミア半島編入の際、必要があれば核兵器部隊に戦闘態勢を取らせる用意があった」と述べています。

アメリカ国務省は2015年1月「わが国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)などに配備された戦略核弾頭の数を、1年前の1688発から1642発へと減らす一方、ロシアは1400発から1643発と、2割近くも増やしている」という調査結果を発表しています。ロシア政府は2015年3月、戦車や戦闘機など重火器の保有数を定める「欧州通常戦力(CFE)条約」からの離脱を宣言し、「中距離核戦力(INF)廃棄条約」に違反する形で新型ミサイルの開発を続けているとされます。

ロシアは2007年、イランから8億ドルでミサイルS300を受注したものの、対イラン制裁中であり、アメリカとイスラエルが強く反対したため、当時のメドベージェフ大統領が契約を履行しなかったという経緯があります。ところが2015年に入ってから、プーチン大統領が、一度は止めたイランへのミサイル輸出を再開する命令にサインしたりしています。

これはもうアメリカとサウジアラビアへのあてつけと言うしかありません。シーア派の大国イランにミサイルを持たせて、スンニ派のサウジアラビア、そしてイスラエルあたりを刺激したいと思っているのです。イスラエルがイランを空爆でもしてくれたら大喜びで、むしろ中東で大きな戦争が起こることを望んでいる節があります。

平和に背を向けてナショナリズムに走るロシアは、他の西欧諸国から見れば完全に異質な国に戻ってしまいました。

しかしこうした虚勢も、経済の弱体化の下ではいつまでも続けられません。結局は新冷戦も、かつての冷戦と同じように、ロシアが経済的に疲弊することで終わることになるでしょう。

(以上、引用終わり)

多くのメディアでは、ロシアのシリアへの軍事介入は欧米の経済制裁に譲歩を迫るためと解説していますが、私はそれがすべて正しいとは考えておりません。ロシアにとって、たとえ欧米の譲歩が得られなかったとしても、中東地域での地政学的リスクが高まれば目標は半ば達成したことになるからです。

要するに、ロシアの最重要な目標は原油価格を上昇させることにあり、中東地域で争いが長く続いてくれたほうが好ましいわけです。最終的には、中東地域で大きな戦争が起こり、産油各国の原油生産設備が破壊される状況を望んでいるのかもしれません。

ロシアによるシリアでの空爆を認めたオバマ大統領が、そのようなロシアの意図を読めなかったのは、本当に残念でなりません。

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keizaiwoyomu at 11:40|この記事のURL政治分析 

2015年10月01日

「新しい3本の矢」は経済失政をごまかすためのもの

アベノミクスが始まって早くも2年9か月が過ぎようとしていますが、その実態はというと、円安や株高によって大企業や富裕層が潤った一方で、国民生活は悪化し続けてきたということに尽きるでしょう。国民経済の視点から見れば、アベノミクスは完全に失敗に終わっていたわけです。

そのような経済失政にもかかわらず、自民党総裁に再任したばかりの安倍首相は、わざわざ記者会見まで開いて、「アベノミクスは第2ステージに入る」と訴え、「新しい3本の矢」を実行していくと力説しています。新しい3本の矢とは、-①希望を生み出す強い経済、②夢を紡ぐ子育て支援、③安心につながる社会保障-だということです。

しかしこれは、金融緩和を中心に据えた「従来の3本の矢」の失敗を総括することなく、経済失政の責任問題が浮上する前に「新しい3本の矢」にすり替えたというのが実情ではないでしょうか。

これに先駆けて、日銀の2年以内に2%を達成するとしたインフレ目標は、完全に失敗することとなりました。たとえ達成の期限を先延ばしたとしても、たとえ追加緩和を実施したとしても、結局のところまた失敗するのは避けられないでしょう。

日銀が異次元緩和に失敗した理由は、以下の記事(東洋経済オンラインや当ブログ)で詳しく述べていますので、興味がございましたらそちらをご覧いただければと思います。

『過度な金融緩和は国民を苦しめる』 (2012年12月13日)
『アベノミクスは歴史の教訓を何も学んでいない』 (2013年3月7日)
『量的緩和は間違いなく失敗する』 (2013年5月31日)

日銀も認めているように、エネルギー輸入国である日本の経済にとって、原油価格の下落は明らかにプラスとして働きます。ところが、そのプラスの材料が日銀の政策目標から見れば大きな逆風になるという矛盾は、日銀の掲げる金融政策が的外れであったという事実を示しています。

しかし、日銀の金融政策が見当違いで、インフレ目標が失敗に終わったからといって、取り立てて悲観する必要はありません。日銀のインフレ目標が失敗するというのは、実質賃金が下げ止まることを意味しているからです。

いずれにしても、日銀が政策目標における独自の消費者物価指数をつくって、メディアからの責任追及を逃れようとしたのと同様に、政府までもが「新しい3本の矢」をつくって、経済失政をごまかそうとしています。

このような無責任な体質では、国民のほとんどがもはや政府や日銀を信用することができなくなるのではないでしょうか。

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keizaiwoyomu at 09:47|この記事のURL経済分析 
レポート配信履歴
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