2013年11月19日

2014年以降の米国経済

書店に行くと、2014年の経済予想本が数多く並んでいます。そこで、2014年以降の米国経済、欧州経済、新興国経済について、過去の拙書と重なる内容になるかもしれませんが、このブログ上で3回にわたって改めて整理し、大きな流れを再確認したいと思います。まず1回目は、2014年以降の米国経済についてです。

米国経済は2014年にも本格的に回復傾向を強めると、私は考えています。シェール革命と呼ばれる、かつての産業革命に匹敵する大変革が進行中だからです。シェール革命が進むと、米国は再び「世界の工場」として復活し、膨大な雇用を生むことが期待されているのです。

米国の製造業は原油から安価なガスへとエネルギー転換を進めており、圧倒的なコスト競争力を手に入れようとしています。製造業にとって生産拠点の決定には、人件費と並んで、エネルギーコストが重要であるのはいうまでもありません。元々、米国南部と中国沿海部の賃金差が縮小する中で、シェール革命に伴うエネルギーコストの低下が重なり、自動車、電機、機械などの製造分野から始まった米国企業の国内回帰は、化学、鉄鋼、非鉄金属など広範な業種に広がりつつあるのです。

素材や部品など周辺産業の厚みをとっても、世界最大の消費地を抱える点でも、生産拠点としての米国の魅力が再評価されています。もはや中国は「世界の工場」としての地位を失いつつあります。いまやかつてとは逆に、中国では人や生産設備を外に「押し出す力」が働き、対する米国にはそれらを国内に「引きつける力」が作用していると言えるでしょう。

その証左として、昨年あたりから米国に対して国内外から多くの投資が行われています。米国や欧州、日本などの先進国の企業ばかりではなく、中国や南アフリカ、韓国、台湾など世界中の新興国の企業までもが生産コストを下げるために、米国に工場を建設しようとしています。

このような動きは、米国経済を復活させます。国内外から米国への設備投資が増え続け、多くの工場建設によって、国内では新たな雇用が創出されていくのです。大規模な工場が次々と建設される2015年以降には、良質な雇用が急増する見通しにあります。

残念ながら、2013年11月時点での米国の雇用を見ると、実態はあまり良いとは言えません。というのも、リーマンショック後に米国で失われた雇用900万人のうち4分の3が豊かな中間所得層だったのに対して、回復した雇用700万人の半分が賃金の安い非正規雇用だからです。したがって、失われた中間所得層の雇用回復は芳しくなく、実際には低所得者層が
増加していることになります。

しかし、米国の雇用の実態が良くないからこそ、シェール革命が重要になっていきます。2013年の失業率の傾向を見ると、全米平均が7%台半ばで推移しているのに対し、失業率が最も低い州はノースダコタ州の3%台前半、次いでサウスダコタ州の3%台後半、ネブラスカ州4%台前半となっています。こうした失業率の低い州は、例外なく、シェールオイルが豊富な油田地帯を擁している北部の州です。シェールオイルはシェールガスよりも利益率がはるかに高いので、シェールオイル生産が急増しているこれらの州では、失業率が低いだけでなく、所得のほうも急伸しているのです。

その一方で、シェールガスが潤沢に採れるガス田を擁しているテキサス州やルイジアナ州、ニューメキシコ州などの南部の州では、失業率が際立って低いわけではありませんが、世界一安い安価なガスが世界中の企業を引き寄せています。これらの州でもシェール革命が進めば進むほど、失業率が低下し、所得も増える可能性が高いと思われます。よって、2014年以降の米国経済は明るいでしょう。

ただし、最大の懸念材料は、債務上限の引き上げのリミットが2014年2月に再び迫っていることです。前回のブログでは、米国経済は2013年末に向けて踊り場を迎えると書きましたが、債務上限の問題が混迷を深めるようなことになれば、2014年春先くらいまでは米国の経済指標が悪化する可能性も否定できません。そうなれば、QE3の縮小時期が2014年前半から後半へと先送りされることもあるかもしれません。

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keizaiwoyomu at 13:16│経済の分析・予測 
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