2014年03月06日

2014年のGDP見通しは理解不能

今のところ、政府も日銀も民間も、2014年の経済見通しについて概ね以下のように見ているようです。

1-3月期 消費増税を前に駆け込み消費が景気を押し上げる
4-6月期 駆け込み消費の反動減で景気は悪化する
7-9月期 景気は再び回復基調に戻る
7-9月期以降 回復基調を強める

ここで私が大いに疑問を感じるのは、この見通しの前提が輸出(貿易黒字)の増加によって成り立っているということです。民間調査機関12社の全社が2014年7-9月期から2015年1-3月期まで3四半期連続のプラスを見込んでいますが、この期に及んで本当に輸出が増えると思っているのでしょうか。

輸出(貿易黒字)が増えない理由は、これまでのブログや拙書の中で繰り返し説明してきました。その理由を理解していただくために、改めて拙書からの引用をざっと拾ってみたのでご覧ください。

(『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する』より引用)
貿易全体で見ても、収益が上がる見込みの輸出企業であっても、非常に長い年月に及ぶ円高で苦しんできたので、円高のリスクを軽減するために、輸出に占めるドル建て取引はすでに50%を割り込んでいる状況にあります。その一方で、輸入に占めるドル建て取引は70%を超えていて、円安の影響はドル建て取引の比率が高い輸入により強く出るので、日本の貿易赤字はかつてよりも円安によって膨らみやすくなっています。行き過ぎた円安は、日本が経常赤字に陥るリスクを高めてしまうでしょう。

(『シェール革命後の世界勢力図』より引用)
「世界経済は過去30年で最もよい状態である」といわれた2005~2007年のときと比べて、いまの世界経済はアメリカだけが気を吐いており、欧州やBRICS諸国を中心に相当悪い状況にあるので、かつてほど日本からの輸出を受け入れる余裕がなくなっています。ゆえに、日本企業は思ったほどの輸出増は見込めないでしょう。

(『日本人は「経済学」にだまされるな』より引用)
アメリカの住宅バブル崩壊前、日本の輸出は好調でした。それは世界経済が堅調だったからです。ところがいまや、経済指標で見てかろうじて景気がいいのは、先進国ではアメリカ、新興国では東南アジアぐらいです。円安によって競争力が強化されても、肝心の海外需要が弱ければ輸出は増えません。

(『インフレどころかこれから世界はデフレで蘇る』より引用)
経済学者の多くは円安がもたらす「Jカーブ効果」という理論を支持している。「Jカーブ効果」とは、円安により輸入価格が上昇し、一時的に貿易赤字が拡大するとしても、円安による輸出価格低下で輸出数量が徐々に増加し、最終的に貿易収支も改善するという理論のことをいう。この理論も経営や企業活動の現場を無視している。日本企業の経営者は多くの場合、円相場が大きく変動しても価格を引き下げたりなどしない。円高が進んだときも価格を引き上げずに耐えたのだから、円安のときだけ価格を引き下げるというのは考えにくい話だろう。だから、「Jカーブ効果」で想定される円安による輸出価格の低下という理論自体が、少なくとも日本企業には当てはまらなくなってしまっているのだ。

以上のような理由で、政府も日銀も民間も予想する輸出増は望めません。2013年のGDPの増加分は消費増と公共投資の二つで十分に説明できますが、消費増は株高により高額消費が引っ張っていましたし、公共投資は消費増税の環境整備ために2013年に大幅に引き上げられました。今年は株高が見込めない中で、公共投資の額も減っています。どうしてGDPが増えるのか、私には理解不能です。

かつて議論の場で以上のような論理で「円安では輸出(数量)は増えない」という予想を展開したところ、ある大学の先生からは「あなたはマクロ経済学がわかっていない」というような見解をいただきました。しかし、実際の経済は机上の理論ではなく、ビジネスの現場で大きく動いているのです。

この先生も「Jカーブ効果」「Jカーブ効果」と呪文のように唱えていましたが、「企業の経営者は経済的合理性で動く」という視点を持っていない大学の先生が多すぎて、これでは学生さんが役に立たないことばかり教えられてかわいそうだと思いました。

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keizaiwoyomu at 09:07│経済分析 
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