2014年05月30日

将来の日本に残された3つの選択肢

経済予測の中でも、将来人口の動向は比較的高い精度で予測ができます。予測するうえで必要になる要素が、主に出生率と平均寿命の2つしかないからです。そのため、2025年までに出生率の劇的な変化がなければ、かなりの精度で50年後までの少子高齢化の姿を描くことが可能です。

しかし私は、国の試算よりも少子高齢化が若干進むのではないかと見ています。その理由は、医療の進歩によって平均寿命がさらに延びる可能性が高いからです。現在の高齢化に関する試算では、医療の進歩をまったく考慮に入れていません。

おそらく2025年には、日本人の死因のトップである「がん」が死の病ではなくなっているかもしれません。平均寿命はさらに5歳くらい延び、なおかつ高度医療の普及が医療財政を圧迫するようになるでしょう。しかも、今の60代~70代は昔に比べて肉体的にずっと若く、将来ますます健康的に暮らす人々が増えていきます。

政治は高齢者に痛みを求める努力を放棄していると言われていますが、65歳以上の人々をこれまでどおり「高齢者」と気遣い続ければ、いよいよ社会は立ち行かなくなります。このまま何もしないでやりすごすことなど、絶対にできないのです。

日本の出生率が今と変わらず、平均寿命が5歳延びると仮定すると、将来の国民が選べる選択肢は次の3つになると思います。これらは大まかな数字で試算しているので、1つの指針として考えてください。

①社会保障を現状維持のままで、消費税を40%に引き上げる
②社会保障を3割削減して、消費税を30%に引き上げる
③退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%に引き上げる

この3つの選択肢を並べた場合、国民を論理的に説得できるのは、どれだと思いますか。

国民全体を説得するのに、①と②の選択肢はあまりにも厳しすぎます。消費税を40%に引き上げると説明しただけで、国民は拒絶反応を起こすでしょうし、社会保障を3割削減と言っただけで、高齢者からの強烈な非難が殺到するでしょう。国の財政が危機的状況に陥らない限り、①と②は実行するのが不可能でしょう。

ところが③なら、まだ国民を説得する余地があります。国民皆年金ができたのは1961年ですが、当時の平均寿命は68歳にすぎませんでした。支給開始年齢が60歳だったので、平均寿命で見れば8年間の年金がもらえる計算になっていました。

それに対して、今の平均寿命は84歳と、当時よりも16歳も延びています。同様に8年間の年金がもらえるとすれば、支給開始年齢は60歳から76歳に繰り上げてもいいわけです。これから平均余命はさらに延びる可能性が高く、年金の支給が75歳からになっても、それほど不利益を被るわけではないのです。

さらに、定年後も働きたいという人々が増えています。働きたい理由は「生活費を補いたい」「働いたほうが健康にいい」「社会との接点が欲しい」などさまざまですが、働く意欲を持つ高齢者はとても多くなっています。

そのうえ、高齢者の1人世帯が激増していくなかで、社会とのつながりが重要になっていきます。65歳~75歳の雇用を、2人で1人分のワークシェアリングとして考えることはできないでしょうか。

平均余命が延びた恩恵を社会が享受するためには、高齢者が健康や能力に応じて活躍できることが必要になっていきます。法律では2025年度には企業が社員を65歳まで雇用することが義務付けられますが、健康でいられる年齢が延びているのに、退職年齢を65歳までしか延ばさないのは、おかしな話です。

これらの点を政治家がきちんと説明すれば、退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%にする案に、国民も嫌々ながら納得してくれると思うのです。その際、65歳~75歳まで年金は受け取れませんが、この間の年金保険料は支払わなくてもいいという制度にしたらいいと思います。

もちろん、2025年までに出生率が2.0になり、平均寿命が今と変わらない状況ならば、退職年齢は70歳に引き下げという緩和策も取れるかもしれません。

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keizaiwoyomu at 20:37│政策の提案 
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